
品質改良剤のご紹介〜風味や栄養、保存性を高めて食品に付加価値を〜
食品の品質は、安全性や味、風味、見た目、食感、栄養価、保存性など、さまざまな要素によって評価されます。消費者が求めるのは、おいしく安全で栄養価の高い食品です。食品業界では、これらを向上させるためにさまざまな取り組みが行われています。
品質の高い食品は、消費者の満足度を高めるだけでなく、企業のブランド価値を向上させることにもつながります。
今回は、品質改良剤の特徴や活用のメリットを解説すると共に、関連商品をご紹介します。本記事を参考に、開発テーマや条件にあった原料をぜひ見つけてください。
品質改良剤とは
品質改良剤とは、食品の品質を向上させるために使用される添加物や処理剤のことです。「食品改良剤」と呼ばれることもあります。
食品の品質は、五感で感じる「味・彩り・食感・香り・喉ごし」などのおいしさに加え、保存性や安全性、作業性のしやすさなども重要な要素です。
品質改良剤は、「パンの柔らかさを保つ」「麺の粘着を防いでほぐれを良くする」「保水力を高めて歩留まりを向上させる」など、食品製造におけるさまざまな課題を解決するために活用されています。品質改良剤を適切に使用することで、商品価値を向上させ、消費者の満足度アップにもつながります。
品質改良剤の主な種類と用途、食品例
ここでは、品質改良剤の主な種類と用途、具体的な食品例をご紹介します。
乳化剤
水と油のように、本来混じり合わないものを均一に混合する作用があります。食品の口当たりを滑らかにし、食感を向上させたり、食品の保存中に分離や沈殿を防ぐ役割を果たします。
<食品例>パン、アイスクリームなどの乳製品、乳飲料、チョコレートなどの菓子類
かんすい
中華麺などの製造に使われることが多く、小麦粉に混ぜることでグルテンに作用し、麺の生地の引き締めや弾力性をもたせることができます。
<食品例>中華麺(ラーメン)や焼きそばなどの麺類
リン酸塩
食品の保水性や結着性を高めたり、肉類の発色を安定的に保つ作用があります。
<食品例>ハム・ソーセージ、練り製品、スナック菓子、インスタント食品
炭酸カルシウム
カルシウム強化に加え、パンのボリュームアップやソフト感の向上、風味・焼き色の改善などの効果が期待できます。
<食品例>乳製品、粉ミルク、菓子、シリアル、介護食など
添加物の表示不要!食品扱いの品質改良素材
品質改良剤の中には、天然由来の成分を用いた素材もあります。天然由来の品質改良素材は、食品の風味や保存性を向上させるだけでなく、栄養の強化が期待できるものもあり、健康志向の高い消費者から支持されています。「食品扱い」になるため、添加物表示の必要がないなどのメリットがあります。
麹
麹から発生する酵素の働きにより、パン生地の伸展性や、焼成後の柔らかさなどの品質を向上させる機能があります(※)。麹にはビタミンB群が豊富に含まれていて、栄養強化にも役立ちます。
<食品例>パン、菓子類
オーツ麦食物繊維
食物繊維強化のほか、食品の保水性や保油性、保形性の向上、すりおろし食感やふんわり食感の付与に役立ちます。
<食品例>パン、パスタ、菓子
還元水あめ
還元水あめは、デンプンを分解した水あめを原料として作られます。甘味料として以外にも、パンや菓子のボリュームアップ、ハムやソーセージの食感改良、煮物のツヤ出しなどにも使用されます。
<食品例>パン、菓子、食肉加工品、惣菜、デザート
※参考:美味技術学会誌論文「米麹を用いたパンの品質改善効果の検討」
このほかにも、食品の品質を高める食品添加物として「増粘安定剤」や「酸化防止剤」、「日持ち向上剤」があります。こちらもあわせてご覧ください。
品質改良剤を活用するメリット
品質改良剤を活用することは、食品開発においてさまざまなメリットがあります。
1.消費者満足度を高める
食品の見た目や風味、食感の改善は、食品のおいしさを高めるのに直結します。これにより、商品の価値を向上させて、消費者の満足度を高めます。
2.保存期間を伸ばし、食品ロスを削減
保存性を高める製剤を使用することで、食品の保存期間を延ばし、おいしさを長持ちさせます。食品の廃棄を減らし、食品ロス削減にも貢献します。
3.コスト削減と生産性向上
品質改良剤を適切に使用することで、食品の製造過程での効率化や生産性の向上、コスト削減に寄与します。
4.新しい商品の開発を促進
品質改良剤を利用することで、新しい商品の開発が可能になり、企業の競争力が高まります。
5.栄養価を高める商品づくり
一部の品質改良剤の使用により、栄養成分の強化を図ることができ、健康志向の消費者にアピールできます。
品質改良剤(食品添加物)のご紹介
米飯のほぐし工程や成型工程で生じる割れ潰れを抑制する品質向上剤です。チルド帯や常温体で保存する米飯の掲示的な老化を抑制します。増粘多糖類の効果により米飯の粒感を向上させ、保存後も米飯本来の食感を維持します。
「イナアガーF」は、ゼラチンと違い、仕込んだデザートを冷凍保存することが可能な画期的な業務用凝固剤です。アガー系の素材は、高温に弱く冷凍保管が出来ない「ゼラチン」の代用品として注目されています。
7割以上が食品素材で作られた、グルテンフリー食品用の品質改良剤です。麺の結着を補助し、コシのある食感を付与します。グルコン酸Naの力で、豆特有の青臭さをマスキングします。米粉麺の「茹でどけ」や「茹でのび」を抑えます。
既存のソースの液性変更や具材感を向上させることができます。 魚卵加工品の歩留向上や、ドリップ防止剤(吸水)としても有効です。 透明度が高く、味や香りに影響を与えにくい製剤のため、幅広い食品に使用することができます。
保水力改善により歩留まりを向上できる、リン酸塩フリーの品質改良剤。魚介類の風味を損なうことなく高い保水性を付与します。魚肉に対しては適度なソフト感、イカ・エビに対しては弾力性のある食感を付与します。
畜肉加工品や水産加工品の保水性を上げ、歩留まり向上や食感改良などに効果を発揮します。「ふっくらジューシー」に仕上がります。加熱時の身縮み、パサつきを抑え、ソフトな食感に仕上げます。溶解性が良く、浸漬・インジェクション・練り込みなどに最適です。 リン酸塩不使用の製剤です。
品質改良素材(食品扱い)のご紹介
てり・つや効果に優れ、自然なてりに仕上げます。また、その保持力にも優れていて、長時間持続させます。熱安定性や耐冷凍性にも優れ、pHに関係なく効果を発揮するほか、液だれ防止効果もあります。食品添加物不使用です。
酵素のチカラでお肉をやわらかく仕上げます。お酒のチカラで肉特有の不快臭をマスキングします。扱いやすい液体タイプ。
米こうじの持つ酵素の働きで、肉質をやわらかく仕上げるこうじ調味料です。肉本来の食感を損なうことなく、調理後の歩留りを上げることもできます。 食品添加物の表示は必要ありません。
ごはんの老化を抑制し、好ましい食感の維持に効果を発揮する醗酵調味液です。連続炊飯ラインにおける自動添加、定量添加に対応した液体タイプです。
ごはんを弾力と粒感のある食感に炊き上げ、老化を抑制することで、食感を維持するこうじ調味料です。また、ごはんの風味をよくします。食品添加物表示の必要はありません。
ごはんをやわらかい食感に炊き上げ、老化を抑制することで、やわらかい食感を維持するこうじ調味料です。また、ごはんの風味をよくします。食品添加物表示の必要はありません。
五糖以上の長鎖糖アルコールを多く含む粉末状の低糖化還元水飴です。 粘度が高く、優れた被膜効果を持つため、惣菜などの照りや艶出しに利用可能です。また、ガラス転移温度が高く、クッキーなど水分の少ない食品をサクサク食感に仕上げることができます。パウンドケーキやパンなど、水分の多い食品ではしっとりした食感にすることが可能です。
南信州特産の「市田柿」の果皮を色差分解処理(熱水処理)をし、柿本来の特性を生かした抽出を行っています。 柿由来ポリフェノール(柿タンニン)をはじめβカロテンなどが豊富です。臭みのマスキング、賞味期限の延長、食感(歯切れの)向上、糖分の削減などに役立ちます。
オーツ麦の外皮を有効利用した不溶性食物繊維です。食物繊維含量は約90%で、平均繊維長は180ミクロン、保水力・保油力は約7倍あります。絡み合うことで商品の骨組みを作り、成形性と保形性がアップ。栄養強化目的のほか、糖質がほとんどないため、低糖質食品にも適しています。
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食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、栄養指導やセミナー講師も務める管理栄養士、デザイナーと二足のわらじの元雑誌編集者など、30〜40代の食に関心の高いメンバーを中心に運営中