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日持ち向上剤のご紹介〜食品の安全性向上やフードロス削減に貢献〜

日持ち向上剤とは、食品の保存性を短期的に高めるために使用される食品添加物のことです。保存料ほどの強力な効果はありませんが、食品の日持ちを良くすることができ、食品の安全性向上やフードロス削減に大きく貢献しています。

この記事では、日持ち向上剤とは何か、日持ち向上剤の種類と特徴、保存料との違い、気になる食品表示について解説します。シェアシマに掲載されている商品もあわせてご紹介しますので、ぜひご覧ください。

シェアシマに掲載されている「日持ち向上剤」の商品一覧はこちら


日持ち向上剤とは

日持ち向上剤は、総菜やサラダなど保存性の低い食品について、数時間または数日といった短い期間、微生物の増殖を抑え、食品を長持ちさせる目的で使用されています。

食品の腐敗や変敗を抑制する食品添加物には、保存料や酸化防止剤、pH調整剤など、さまざまな種類がありますが、「日持ち向上剤」という用途名は食品添加物名簿にはなく、食品業界で用いられている言葉です。

近年の中食市場の拡大や、消費者の健康志向によって加工食品の低塩・低糖化が進み、保存性の低下を補うために日持ち向上剤の役割が重要になっています。

参考:一般社団法人日本食品添加物協会「食品添加物とは
参考:広島県「『保存料』,『日持ち向上剤』について

日持ち向上剤の主な種類と特徴



酢酸ナトリウム

幅広い細菌類の生育を抑える効果があります。 対象食品の制限はなく、日持ち向上剤として最もよく使われる食品添加物です。酢酸と聞くと「酸っぱい」というイメージがあるかもしれませんが、弱アルカリ性のためそこまで酸っぱさは感じません。pH調整剤や調味料、酸味料としても利用されています。

グリシン

微生物の細胞成分の生成を阻害することで、菌の活動・増加を抑え、食品の日持ちを向上させます。アミノ酸の一種であるグリシンは、イカやエビの呈味成分としても知られ、調味料としても使用されています。

リゾチーム

リゾチームは卵白から抽出される酵素です。リゾチームの溶菌作用により、細菌、特にグラム陽性菌である耐熱性芽胞菌に対して優れた静菌効果を発揮します。それにより、食品の日持ち向上に役立ちます。

チアミンラウリル硫酸塩

チアミンラウリル硫酸塩はビタミンB1誘導体の一種で、食品添加物としてビタミン強化・日持ち向上に用いられています。抗菌スペクトルが広く、一般細菌のみならず、真菌・乳酸菌にも効果を発揮します。

各種抽出物(唐辛子、ニンニク、ローズマリー、孟宗竹、ワサビ等)

食品の劣化抑制には、天然由来の抽出物も多く活用されています。例えば、ワサビの中に含まれるアリルカラシ油という揮発成分には、強力な抗菌力があり、寿司や刺身などの美味しさを引き立てるだけでなく、細菌の繁殖を抑制する役割も果たしています。


日持ち向上剤として使用される物質にはいろいろな種類がありますが、単独添加のほか、組み合わせて使用することで効果が高まるものもあります。食材や細菌に対して、効力のある成分を適切に配合して用いることが大切です。

参考:神戸化成株式会社「日持ち向上効果のあるアミノ酸 グリシンのご紹介
参考:三菱ケミカル株式会社「リゾチームの静菌効果
参考:奥野製薬工業株式会社「保存性を向上させる食品添加物の 作用機構と効果的な使用方法


日持ち向上剤と保存料の違い



食品添加物には、安全性と有効性を確認して国が指定した「指定添加物」と、長年使用されてきた天然添加物として品目が決められている「既存添加物」があります。そのうち「保存料」は、食品中の微生物の増殖を抑制し、食中毒のリスクを低減することで食品の安全性を保つ役割を果たしています。使用できる食品や使用量について、食品衛生法上の使用基準が定められています。

一方、日持ち向上剤は、保存料と比べて微生物に対する効力が弱く、法令上の使用基準は定められていません。制限によって保存料が使えない場合や、保存料に対する偏ったイメージから保存料表示を避けたい場合によく利用されます。

日持ち向上剤は、保存料に比べて効果が穏やかなため添加量が多くなり、味に影響が出てしまう傾向があります。食品業界では、少量でも効果を発揮するものや、味に影響を与えにくい製品の研究開発が日々進められています。



日持ち向上剤を使用する際の食品表示



原則として、食品添加物を使用したときには、食品表示に「物質名」を記載することになっています。しかし、さまざまな種類や目的によって表示方法が変わります。

日持ち向上剤の場合は、「物質名」の代わりにpH調整剤や酸味料、調味料等の「一括名」として表記することもあります。例えば、グリシンは日持ち向上剤として使用されるアミノ酸ですが、イカやエビの呈味成分としても知られており、調味料として使われる場合もあります。このように、複数の効果のある食品添加物を使用する場合は、それを使用する主目的から表示方法を決めることになっています。

保存料や酸化防止剤、甘味料など8用途に使用される添加物には、「物質名」に加えて「用途名」の記載が必要です。

期間 表示方法 添加量
日持ち向上剤 短期間 物質名 制限なし
保存料 長期間 保存料(物質名) 物質ごとに制限あり

参考:消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識(消費者向け)[PDF:806KB]
参考:株式会社ウエノフードテクノ「食品添加物の役割と利用


シェアシマに「日持ち向上剤」の原料登録のある企業一覧


このほか、日持ち向上効果が期待できる原料




食品の日持ちを良くすることは、食中毒の予防や食品流通下での無駄な廃棄を減らす上でも非常に重要です。食品や保存期間に合わせて製品をご検討ください。

シェアシマ会員の皆さまは、商品ページより【規格書・商品情報をダウンロード】【サンプル依頼・問い合わせ】機能をご利用頂けます。気になる商品がありましたら、ぜひご活用ください。

執筆者プロフ
シェアシマ編集部

食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、累計記事執筆2,500以上の元新聞記者等々、30〜40代の編集メンバーを中心に運営中

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