
セルロースとは?食品添加物で食物繊維の一種
セルロースは食物繊維の一種です。現代においては、食品添加物として多種多様な加工食品にセルロースが使われていますが、「よく分からない」という人も多いかもしれません。
そこで、この記事では、セルロースの用途や特徴、効果、注意点について解説した上で、セルロースが使われている食品・商品をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
食品添加物のセルロースとは?
セルロースとは、D-グルコピラノースが β(1→4)グリコシド結合した「ホモ多糖類」のことです。
さまざまな加工食品に添加されているので、気が付かないうちに口にしている人も多いかもしれません。なお、食品添加物としては、「微結晶セルロース」や「ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)」という形で使用されています。
セルロースは食物繊維の一種
セルロースは消化酵素で分解されず、直接吸収もされないため、食物繊維の一種です。食物繊維とは、人の消化酵素によって分解されたり、直接吸収されたりしない成分を指し、さまざまな健康効果があります。
セルロースは、デンプンと同様にグルコースからなる多糖です。ただし、人の消化酵素では加水分解反応が起こらず、腸内の微生物による資化性も低いため、ほぼ全量が糞便として排泄されます。
なお、セルロースは、水や油に溶けません。そのため、「不溶性食物繊維」に分類されています。摂食後に単独または他成分と一緒にまとまった状態で塊(かたまり)になります。
セルロースの用途|食物繊維を補うために食品に添加
セルロース食物繊維を補う目的で食品に添加されています。現在の日本では、食物繊維の摂取量が少ない人が増えています。セルロースが添加された強化食品を食べることで、食物繊維不足の解消の一助となるかもしれません。
セルロースの特徴|効果と注意点
ここでは、セルロースの健康効果や注意点について紹介します。
セルロースの効果
食物繊維の一種であるセルロースを摂取すると、腸内環境が整い、便秘解消や大腸ガンの発症リスク低減といった効果が期待できます。
また、血糖値・コレステロール値の抑制や、糖尿病・動脈硬化といった生活習慣病の予防にも役立つとされています(※)。
※参考:厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
セルロースの注意点
さまざまな実験の結果、セルロースは「極めて毒性の低い物質」と見なされています。大量摂取した場合は、セルロース以外の難消化性の食物繊維と同様に、消化管への軽度な影響(「軟便」など)がありますが、基本的には安全と考えて良いでしょう。
ちなみに、公益財団法人日本食品化学研究振興財団は、7種類の加工セルロースについて「安全性に懸念がない」として、ADI (1日摂取許容量)を設定していません(※)。
※参考:食品安全委員会「添加物評価書 ヒドロキシプロピルメチルセルロース」
セルロースが使われている食品・商品
以下、セルロースが使われている代表的な食品・商品をご紹介します。
チーズ
チーズなどの乳製品にセルロースが添加される場合があります。
セルロースを含むことで、互いにくっつかず、適度に離れやすくなるため、特に「粉チーズ」や「ピザ用のチーズ」などに添加されるケースが多いです。
アイスクリームやゼリー
アイスクリームやゼリーにも、粘性を高めて食品成分を均一に安定させるために、「安定剤」としてセルロースが添加されることがあります。
この場合、セルロースをそのまま添加するわけではなく、「カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)」などの形にしたうえで使用するケースが一般的です。
なお、CMCは、セルロースを水酸化ナトリウムなどで処理して製造され、水に容易に溶け、粘性や安定性、保護コロイド性といった特性があります。
パン
食物繊維の量を増やすことを目的として、パンやカステラなどを製造する際に、小麦粉の何割かをセルロース粉末(微結晶セルロース)で置き換えるケースがあります。
小麦粉と置換することで含水率・気孔数などに差が生じるため、「完全に同じ食感」にはならない場合もあります。
ただし、セルロース粉末を配合したカステラの場合、20%くらいまでの置換率であれば、食べた人の多くから「高評価」を得られたという結果が報告されています(※)。
※参考:日本食品保蔵科学会誌 VOL.45 NO. 1(2019)「食用セルロースのカステラ素材への適用性に関する研究」
調味料
調味料(ドレッシングなど)にも、セルロースが添加されているケースがあります。
この場合、セルロースの三次元的な網目構造により、コショウ、バジル、タマネギ、ニンニクといった具材の沈殿や油脂の分離を抑制することを目的として使用されます。
セルロースは食品以外にも利用されている
ここまで、セルロースが添加される場合がある食品の例をご紹介してきました。しかし、セルロースが活用されているのは、食品分野だけにとどまりません。以下に示すような商品・領域においても使用されています。
- 紙(板紙、段ボールなど)
- 建材
- 繊維製品
- セルロースナノファイバー
なお、セルロースナノファイバーは、微細なセルロースを利用した新素材です。今後、医療やエレクトロニクスの分野で活用が進んでいくことが期待されています。
まとめ
セルロースは、チーズ、アイスクリーム、ゼリー、パン、調味料などのさまざまな加工食品に添加されています。
大量に摂取すると「軟便になる」など、消化管への軽度の影響が及ぶことがありますが、極めて安全な物質といわれています。重大な副作用は報告されておらず、1日の摂取量の上限も定められていません。
セルロースを摂取すると、腸内環境が整い、便秘解消や大腸ガンの発症リスク低減といった効果が期待できます。血糖値・コレステロール値の抑制や、糖尿病・動脈硬化といった生活習慣病の予防にも役立つとされているので、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。