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牛乳のカゼインとは?含まれる食品とカゼインプロテインについても解説

牛乳のカゼインとは?含まれる食品とカゼインプロテインについても解説

カゼインは牛乳や乳製品に含まれるタンパク質の一種ですが、どのような物質なのか、よく知らない人も多いでしょう。そこで今回は、カゼインとは何かと共に、カゼインの栄養や健康効果、牛乳アレルギーとカゼインの関係や腸に対する影響、乳製品などカゼインが含まれる食品、話題のカゼインプロテインについても詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

カゼインとは

カゼインがどのような物質かを説明した上で、栄養や健康効果について紹介します。

カゼインは牛乳や乳製品に含まれるタンパク質の一種

カゼインとは、牛乳や乳製品に含まれるタンパク質の一種です。牛乳には直径30nm~300nm程度のカゼインミセルが存在していて、牛乳に含まれる全タンパク質の約80%をカゼインが占めています。なお、カゼインミセルとは、数百個~数万個程度のカゼイン分子のほか、カルシウム、リン酸などから構成される球状の粒子のことです(※1)。

※1:石井哲也(2005年)「総説 カゼインミセルの構造および性質に関する最近の研究動向」ミルクサイエンス、54巻、1号、pp.1-8

カゼインの栄養と健康効果

牛乳に含まれるタンパク質の8割程度は「カゼイン」で、残りの2割程度は「ホエイ」です。ホエイは、体内に素早く吸収されるため、「ファストプロテイン」と呼ばれているほか、「乳清タンパク質」と呼ばれる場合もあります。一方で、カゼインは酸性となる胃内で凝集し、腸内でゆっくりと吸収されることから「スロープロテイン」と呼ばれています。血中アミノ酸濃度を長時間維持できることが特徴です。そのほか、カルシウムの吸収を促進する働きや、血圧を降下させる作用、抗血栓作用を有することが知られています(※2)。このようにカゼインには高い栄養的価値があり、さまざまな健康効果を期待できるので、カルシウム不足や血圧が気になっている人は、摂取してみてはいかがでしょうか。

※2:神田淳ほか(2020年)「吸収性に優れ,カラダ作りに最適な革新的乳タンパク質飲料の開発研究 」化学と生物、58巻、1号、pp.54-58/梅谷かおりほか(2018年)「カゼイン由来ペプチド-ペクチン複合体の調製」三重県工業研究所研究報告、42号、pp.62-67

牛乳アレルギーとカゼインの関係

カゼインは一般的に健康に良い効果があるとされています。その一方で、牛乳アレルギーとの関係も指摘されています。

腸のバリア機能を低下させる場合がある

牛乳に含まれるカゼインは分解されにくいアミノ酸配列をしています。未消化のまま腸に入ると粘膜が傷つき、炎症が起こる場合があります。炎症が繰り返し発生すると次第に粘膜の目が粗くなって、腸のバリア機能が低下します。本来であれば取り込まれることのない異物が体内に侵入する状態になります。これにより、アレルギー反応を引き起こす「リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)」になる可能性があるとされているので、気を付けるようにしましょう(※3)。

※3:宮澤医院「カゼインフリーの重要性と知っておくべき牛乳の弊害」/岩田明(2021年)「分子栄養補充およびグルテン・カゼイン除去による認知症・発達障害治療」認知症治療研究会誌、8巻、1号、pp.11-16

カゼインが含まれる食品

カゼインを含む食品について紹介します。

牛乳



生の牛乳には、カゼインが大量に含まれています。牛乳は、世界のさまざまな地域で大量に生産されている食品で、日本においてもスーパーなどで簡単に入手可能です。「そのまま飲む」というシンプルな摂取方法もおすすめですが、毎日続けていると飽きてしまうかもしれません。そこで、スープやシチュー、デザートなどの材料として使うと摂取しやすくなるでしょう。ちなみに、シチューなどの形に調理すれば、牛乳が温められ、ほかの食品と一緒に腸管に入るため、乳糖不耐症の人であっても、お腹がゴロゴロしにくくなります。

チーズやヨーグルトなどの乳製品



牛乳を加工して製造される「チーズ」や「ヨーグルト」といった乳製品も、カゼインが豊富です。ちなみに、チーズの主成分は、カゼインと脂質であり、製造プロセスにおいてホエイが除去されています。また、ヨーグルトは、乳酸菌が生産した乳酸によって牛乳が酸性となり、等電点でカゼインが沈殿する性質を利用して生産されています。なお、等電点とは、最も溶解度が低くなり、タンパク質が沈殿しやすくなるpHのことです。

プロテインパウダーやサプリメント



カゼインは、「プロテインパウダー」や「サプリメント」という形で摂取することも可能です。タンパク質が不足している場合や運動後すぐに食事がとれない場合に、補食として利用してはいかがでしょうか。睡眠中の筋タンパク質の回復のために、就寝前に摂取するのも良いでしょう。なお、製品によっては、カゼインのほかにビタミンやミネラル、糖質などが含まれている場合もあります。

話題の「カゼインプロテイン」とは

市販の「プロテイン」という名称の商品は、ホエイプロテインを主成分とするものが多数です。しかし、以下に示す特長があることからカゼインを主成分とする商品が話題になっています。

  • 吸収されるまでに要する時間がホエイプロテインの3~4倍程度(おおよそ7~8時間)
  • 満腹感が持続するため、ダイエット中の栄養補給源に適している


「筋トレ後に、速やかにタンパク質を補給したい」という場合はホエイプロテインを、ダイエットをしている場合はカゼインプロテインを選ぶのがおすすめです。

まとめ

牛乳に含まれるタンパク質の8割を占める「カゼイン」は、体内でゆっくりと吸収されます。「スロープロテイン」と呼ばれていて、ダイエットに適しています。また、カルシウムの吸収を促進する働きや、血圧を降下させる作用、抗血栓作用を有することも知られています。カルシウム不足の人や血圧が高めの人は、カゼインを摂取すると良いでしょう。ただし、アレルギーを引き起こす可能性があるので、心配な方は事前に医師にご相談ください。カゼインは、牛乳のほか、チーズやヨーグルトなどの乳製品にも含まれています。気になる方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。



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