
ヒハツの効果効能を徹底解説|冷えやむくみ予防に利用されてきたスパイス
ヒハツは、コショウ科の香辛料です。日本人にとっては、あまりなじみのないスパイスかもしれません。しかし、2016年ごろからテレビ番組で紹介されるようになってから、徐々に知名度が上がり、一般社団法人日本スーパーフード協会による「2022年食のトレンド予測スーパーフードランキングTOP10」では4位となりました。
さまざまな効果があるので、食生活にヒハツを取り入れてはいかがでしょうか。この記事では、ヒハツの主な効果効能を3つご紹介します。摂取する際の注意点や副作用についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
ヒハツは南アジア原産のコショウ科の香辛料
ヒハツとは、南アジア原産のコショウ科の香辛料です。つる性の常緑木本の果実であり、インドの伝統医療「アーユルヴェーダ」において、ヒハツは「長寿の薬草」として扱われてきました。
ヒハツは「インドナガコショウ」とも呼ばれ、インドやインドネシアでは、さまざまな料理(肉料理やカレーなど)で多用されます。
古代の人々は「コショウとヒハツは成熟度合いが違うだけで同じ植物である」と考えており、明確に区別していなかったようです。中世になると、安価で供給が安定しているコショウが優位となり、ヒハツはヨーロッパであまり流通しなくなりました。
ちなみに、コショウ科ではあるものの、コショウと異なり、ヒハツの香りはほのかに甘く、爽快です。ただし、味はコショウと同様にピリッと辛いのでご注意ください。
なお、沖縄県で栽培されている島胡椒(ヒバーチ)は、「ヒハツモドキ」という同属別種の類縁種です。
ヒハツには辛味成分ピペリンが含まれている
コショウの辛みは、ピペリン(Piperine)という物質が原因です。ヒハツには、辛み成分であるピぺリンが、コショウよりも多く含まれています。香りが甘くても、味は辛いので、一度に大量に口に入れるのはやめましょう。
なお、ピペリンには「防虫」「抗菌」「防腐」といった作用や、後述するように「健康に良い効果」があります。辛いため一度に大量に摂取することは困難ですが、スパイスとして日常的な食事に取り入れてはいかがでしょうか。
ヒハツの効果効能とは?
ここからは、ヒハツが有する「健康に良い効果効能」を3つご紹介します。
内臓温度が上がり、冷え予防になる
体の冷えは、「だるくなる」「イライラする」「太りやすくなる」など、さまざまな不調の原因になります。
冷えを解消するためには、内臓温度を上昇させなければなりません。生姜も効果がありますが、ヒハツのほうが内臓温度を上昇させやすく、生姜の場合は1日に10g程度必要なのに対し、ヒハツなら1日1g(小さじ2杯)程度で充分だといわれています。
なお、生姜の場合、何らかの調理(刻む、煮るなど)をしなければなりませんが、ヒハツなら小さな容器に入れて、コショウや七味唐辛子のようにふりかけるだけなので手間がかかりません。
むくみ予防につながる
むくみは、腎臓機能や末梢循環障害に起因する病的なもの以外に、健康な方でもデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けている場合に発生することがあります。男性に比べて筋肉量が少なく、冷えやすい女性は、むくみに悩んでいる方も少なくありません。
愛媛大学の研究者が2009年から2011年にかけて実施した研究によって、ヒハツには、冠状動脈の血管を拡張する作用や、血流増加作用、発汗作用、新陳代謝の促進作用などがあり、むくみに対しても改善効果があることがわかりました。むくみに悩んでいる方は、ヒハツを食生活に取り入れてみるのもいいかもしれません。
血管の拡張により、血圧の改善に役立つ
血管の内皮細胞は、血流が速くなると一酸化窒素を産生して放出します。放出された一酸化窒素は、血管の「中膜」と呼ばれる部位にある「平滑筋」に作用し、平滑筋の緊張がゆるむことで血管が広がります。
なお、血管を広げる働きは、放出される一酸化窒素の量に左右されることにご注意ください。ヒハツ由来のピぺリンを摂取すると血管内で一酸化窒素の働きが増強され、血管が拡張しやすくなり、血流がスムーズになります。その結果として、正常な血圧を維持に効果が期待されています。
ヒハツを摂取する際の注意点と副作用
以下、ヒハツを摂取する際の注意点と副作用をご紹介します。
有害成分に関する報告はない
ヒハツには、有害成分に関する報告はありません。コショウや七味唐辛子など、ほかの香辛料と同様に、さまざまな料理でご利用ください。ただし、辛いので、一度に大量に摂取するのは控えるほうが良いでしょう。
辛いので、少しずつ摂取しよう
ヒハツには辛み成分のピぺリンが含まれており、コショウと同様に「ピリっ」とした辛さがあります。上述したように有害成分に関する報告は存在しないものの、一度に大量に摂取するのは、「辛さ」という点で困難です。
単独で摂取するのではなく、肉料理や野菜炒めなどに、コショウの代わりに少量ふりかけると、摂取しやすいです。また、「豚肉の臭み消し」「カレーの風味付け」「コーヒーの風味付け」にもおすすめです。シナモンに似た甘い香りがするので、いつもと違う趣きをお楽しみください。
過剰摂取には注意が必要、胃痛などの副作用の心配も
ヒハツの1日あたりの摂取量は1g(小さじ1/2程度)とされています。大量に摂取すれば効果が高まるというものではないので、過剰摂取には注意が必要です。
ヒハツを摂り過ぎると、胃痛や吐き気、下痢などの症状が現れる可能性があります。
まとめ
ヒハツは、南アジア原産のコショウ科の香辛料です。現在、インドやインドネシアなどでは、さまざまな料理でヒハツが使われています。また、アーユルヴェーダにおいては、「長寿の薬草」として扱われてきました。
日本ではあまりなじみのない食材ですが、近年、テレビ番組で取り上げられるようになり、少しずつ知名度が向上しています。
ヒハツには辛み成分のピぺリンが含まれており、コショウのように「ピリっ」とした辛さがありますが、香りはシナモンに似てほのかに甘く爽やかです。
冷えやむくみ予防への効果が期待されているので、気になる人は食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
有害成分の報告はありませんが、辛いため、一度に大量に摂取するのは困難です。コショウや七味唐辛子のように、さまざまな料理にふりかけると無理なく摂取できるでしょう。