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糖類のご紹介〜甘みの付与や低糖質・糖質オフを取り入れた商品開発のヒント〜

似たような言葉の「糖質」と「糖類」。健康観を打ち出した食品や飲料のパッケージに、「糖質オフ」や「糖類ゼロ」などの表記を見かけることも増えてきました。これらは、ダイエットや生活習慣病予防の観点から注目されているワードですが、いまいち違いがわからないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、「糖質」と「糖類」の違いや、それらに含まれる成分の種類、推奨されている摂取量などについて管理栄養士がわかりやすく解説します。また、糖類の活用事例や原料についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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【管理栄養士監修】糖とは|「糖質」と「糖類」の違い

単に「糖」という時、三大栄養素の一つである炭水化物を指すことが多いです。炭水化物は、脳や体を動かすエネルギー源として使われ、血液中に一定濃度存在したり、筋肉や肝にグリコーゲンとして蓄えられたりします。


「糖質」とは

「糖質」は、炭水化物の中から食物繊維(難消化性炭水化物)を引いたものを指します。そもそも、炭水化物の中にはエネルギーとして使われる糖質と、私たちの体内の消化酵素では分解しきれずエネルギーとしてほとんど使われない食物繊維の両方が含まれているのです。

糖質は、その化学構造によって単糖類・二糖類・オリゴ糖・多糖類・糖アルコールなどに分類できます。

※参考:NAGASEグループ「糖の基礎知識」
※参考:生物工学会 第89巻 p.486「甘い糖と甘くない糖」

「糖類」とは

糖質の中でも、甘味があるものを「糖」と呼ぶことがあります。それとは別に、単糖類と二糖類をまとめて「糖類」と区分けします。「糖類」の中には、苦味を呈するものもあるため、「糖」=「糖類」ではないことに注意しましょう。

たとえば、「低糖質」や「糖質オフ」という場合には、糖および糖類の含有量が少ないことを示します。しかし、「糖類ゼロ」「ノンシュガー」「無糖」などの場合には、糖類はほとんど含まれませんが、でんぷんや甘さを感じさせる糖アルコール、非糖質系の甘味である天然甘味料や人工甘味料などが含まれていることがあります。これらは似たような言葉ですが、意味する内容は異なるので使い分けが必要です。


糖質・糖類の種類と特徴

糖質と単糖類、二糖類の定義は、それぞれ次のとおりです。


単糖類

単糖類とは、最も小さな糖の単位であり、ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)などが含まれます。

細胞の中に取り込まれてエネルギー源として代謝されたり、微生物によって乳酸発酵やアルコール発酵されやすいという特徴があります。

※参考:化学のグルメ「有機化学」

二糖類

二糖類とは、単糖が2個結合した糖のことで、ショ糖(スクロース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)、トレハロースなどが含まれます。ちなみに、一般的に使用されている砂糖の大部分はショ糖で占められています。

酵素や酸の触媒作用によって加水分解され、2つの単糖になるという特徴があります。


オリゴ糖

オリゴ糖の「オリゴ」は、ギリシャ語で「少ない」という言葉が由来です。オリゴ糖は二糖類とまとめて「少糖類」と呼ばれることもありますが、通常は単糖が3〜10個程度結びついた糖のことを指します。代表的なものに、フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖などがあります。

消化されずに大腸まで届くことで、低エネルギーな上に、整腸作用や腸内細菌を増やすなどの作用もあります。そのことから、「おなかの調子を整える」という表示とともに特定保健用食品に使われています。(なお、二糖類がオリゴ糖に含まれることもありますが、その場合は消化酵素で分解されるため、この記述は当てはまりません)

※参考:株式会社パールエース「『オリゴ糖』って何だろう?」

多糖類

多糖類とは、10個以上の単糖が結合したものを指します。数十〜数百万個結合したものが多いですが、中には1万個以上の単糖が結合しているものもあります。デンプン、グリコーゲン、セルロース、ペクチン、キチン、キトサンなどが含まれます。

デンプンやグリコーゲンは体内でのエネルギー貯蔵に、セルロース、ペクチン、キチン、キトサンなどは動植物の外骨格や細胞壁を形づくるのに役立っています。

食品においては、パンやケーキなどに軟らかい食感を与えたり、ジャム、ドレッシング、ソースなどの粘度の調整として多糖類が利用されます。そのほか、使用感の改善などのために化粧品、洗顔料、工業薬品にも使われることがあります。


糖アルコール

糖アルコールとは、糖に水素を添加(還元反応)した糖質の総称を指します。 単糖を還元したソルビトールやキシリトール、二糖を還元したマルチトール、水飴を還元した還元水飴などがあります。もともと果物や野菜、発酵食品などに含まれている天然の成分でもあります。

熱・酸・アルカリに強い、微生物の栄養源になりにくい、消化吸収されにくい、などの特長を持っています。そのため、「虫歯の原因にならない」「砂糖の消化・吸収を穏やかにする」「血糖値が気になる方の生活改善」などの表示とともに特定保健用食品に使われています。

その他にも、糖アルコールの種類によって塩味・辛味・酸味・うま味・風味の増強、食感や照り・ツヤの向上などにも役立ち、食品のおいしさを高めます。

※参考:MP五協フード&ケミカル「多糖類概要」
※参考:物産フードサイエンス「糖アルコールの特徴」

糖質や糖類を摂り過ぎるとどうなる?過剰摂取のリスク

糖質は、先述したとおり脳や体のエネルギー源として使われる栄養素ですが、過剰摂取によってさまざまな病気のリスクを高める原因になります。ここでは、糖質や糖類の摂り過ぎによって指摘されている体への影響をご紹介します。


肥満

生体内では血糖値を一定の範囲に保つように、ホルモンを分泌して調整しています。通常、血糖値に影響を与えるブドウ糖は筋肉や肝臓に貯蔵されますが、糖質や糖類を摂り過ぎてしまうと貯蔵できない分は中性脂肪に換えられ、体脂肪として溜め込まれてしまいます。このため、糖質や糖類の摂り過ぎは肥満の原因になってしまうのです。

※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「炭水化物/糖質」

糖尿病|合併症のリスクも

継続的に糖質や糖類が多い食生活を送ると、次第に血糖値を下げるためのホルモンが不足したり、効きにくくなったりして、血糖値が高い状態が続く糖尿病を発症します。血糖値が高い状態では、血管内が傷つけられて動脈硬化が進み、目の網膜、腎臓、神経の働きなどが低下して合併症のリスクも高まります。

※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病」

細胞の老化|動脈硬化、骨粗鬆症、白内障、アルツハイマーの原因に

このほか、糖質や糖類を摂り過ぎることで、体内で糖とたんぱく質が結合して糖化も起こります。

糖化が進むとAGE(糖化最終生成物)が多く作られ、細胞の老化が加速されていきます。すると、肌・髪のハリやツヤが失われたり、シミやそばかすが増えたり、動脈硬化・骨粗鬆症・白内障・アルツハイマーなどの多くの病気の原因になることも指摘されています。

※参考:オムロン ヘルスケア株式会社「老化の原因『糖化』を防止しよう」

糖質や糖類の摂取基準

健康な体を守り、若々しい見た目を維持していくためには、糖質や糖類の摂り過ぎを避ける必要があります。

そのために大切なことは、バランスのよい食事や適度な間食です。


日本の摂取基準

厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、炭水化物の食事摂取基準(%エネルギー)は1歳以上のすべての年齢で50〜65%と目標量が定められています。

1日2,000kcalを摂取する人の場合、次の式で求めることができます。

2,000×0.5~0.65÷4(炭水化物1gあたりの熱量)=250~325g


たとえば、食品に含まれる炭水化物量の目安は以下の通りです。(日本食品標準成分表より)

  • 白米茶碗3杯(450g)あたり167.0g
  • じゃがいも100gあたり17.3g
  • かぼちゃ50gあたり10.3g
  • バナナ1本(120g)あたり27.0g
  • 缶コーヒー(ミルク入り加糖)1本(190g)あたり15.6g
  • ビール350mlあたり10.9g


これらを飲食すると、それだけで合計が1日に必要とされる炭水化物量に届いてしまいます。調味料や野菜などにも炭水化物を多く含むものもあるため、実際には、もっと多くの炭水化物を摂っている計算になります。

そのことから、偏った食事をしていると簡単に炭水化物を摂り過ぎてしまうため、とくに間食の摂り過ぎには気を付ける必要があります。

ちなみに、脳をはじめ、神経組織、赤血球などにおけるブドウ糖の1日最低必要量は100gと推定されます。ブドウ糖を含む糖類の明確な摂取量についての数値は、残念ながら現時点で必要性がないと判断され、厚生労働省では設定していません。(※1)


国際的な摂取基準(フランス、韓国、WHO)

フランスでは糖類の摂取量(総糖類:total suger)を1日100g未満、韓国では総エネルギー量の10〜20%と定めています。(※2)

世界保健機関(WHO)では、肥満・2型糖尿病などを減らすために、糖類やシロップに果汁を加えたもの(遊離糖類:free suger)は、総エネルギーの10%未満、さらなる健康効果のためには5%未満とすることを勧告しています。この5%未満とは、1日2,000kcalを摂取する人の場合は25g(ティースプーン6杯分)未満という計算になります。(※3)

現在(2025年3月)、日本食品標準成分表には単糖や二糖類などの糖の成分値がすべて掲載されていないため、日本人が1日にどれだけ糖類を摂取しているかを把握するための大規模なデータは存在しません。しかし、1日3食の食事を疎かにして、甘い飲食物を多く摂るような食生活を送っている人はフランスや韓国の基準を超えていることが懸念されます。

WHOの基準を考慮すると、25gの糖類は一般的な500mlのペットボトル炭酸飲料の半分に相当します。このことから、多くの人が糖類を過剰に摂取している可能性があると考えられます。(※4)

※1、※2参考:厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書 Ⅱ各論 1-4炭水化物」
※3参考:大樹生命保険株式会社「砂糖との健康的な付き合い方」
※4参考:内閣府 食品安全委員会「世界保健機関(WHO)、糖類を多く含む飲料(sugary drinks)の消費及び健康への影響を抑制するよう世界的行動の奨励を公表」

糖の食品への活用事例|低糖質・糖質オフのためのアイデアも

ここからは、実際に商品化されている具体的な成分と食品をご紹介します。

1.ステビア

南米に自生するキク科の植物であるステビアは、葉の部分に強い甘味を持っており、抽出されて甘味料として使用されています。「ステビオサイド」や「レバウディオサイド」という成分が含まれていて砂糖の300倍ほどの甘味があるため、少量の使用で甘さを与えることができます。なお、ステビアの糖質量は実質的に0なので、使用することで糖質を抑えた商品づくりが可能です。

また、pHの変化に安定的で、熱による褐変が少なく、微生物による発酵が起こらないという特徴があります。ほかにも、清涼感の付与、べたつき軽減、苦味のマスキング、塩味を和らげる塩なれ効果、酸味と調和して酸っぱさを和らげて味をまろやかにする効果なども期待できます。

食品例:清涼飲料水、スナック菓子、インスタント食品、漬物、惣菜、醤油

※参考:守田化学工業株式会社「ステビアとは」
※参考:東京都保健医療局「用途別 主な食品添加物 甘味料」
※参考:ツルヤ化成工業株式会社「ステビア」
※参考:独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」

2.カンゾウ(甘草)

マメ科植物のカンゾウは、根や根茎に強い甘味を持っており、抽出されて甘味料として使用されています。主成分として「グリチルリチン酸」を含み、砂糖の200倍ほどの甘味があります。後引きの強い甘味と特有の風味が特徴です。カンゾウの糖質量も0なので、糖質を抑えた商品づくりに役立ちます。

また、タンパクの嫌味をマスキングしたり、他の糖類や調味料と併用した場合にうま味を増強したり、べたつき軽減、高い塩なれ効果などが期待できます。

食品例:清涼飲料水、菓子、漬物、醤油、味噌

※参考:池田糖化工業株式会社「製品のご案内『カンゾウ甘味料』」
※参考:ツルヤ化成工業株式会社「カンゾウ」

3.イヌリン

イヌリンとは、チコリの根、菊芋、ごぼう、玉ねぎ、にんにく、バナナなどに含まれている食物繊維の一種です。また、アメリカ南西部〜中南米にかけて自生するリュウゼツラン(アガベ)という熱帯植物の茎からも抽出されます。

イヌリンは、食物繊維でありながら砂糖の10分の1ほどの甘味を持ち、腸内細菌を増殖させる、便通を整える、血糖値の上昇を穏やかにする、コレステロールを低下させるなどの作用があります。そのため、糖質を抑えつつ、健康に訴求した商品づくりに役立ちます。

また、脂肪に似たなめらかな食感の付与、雑味・金属味などのマスキング効果も期待できます。

食品例:パン、焼き菓子、アイスクリーム、乳製品、調味料

※参考:帝人株式会社「ビオリエ」
※参考:株式会社メディカライズ「アガベイヌリン」
※参考:株式会社アルマテラ「ブルーアガベ イヌリンファイバー」

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関連記事:食物繊維「イヌリン」とは|効果と多い食べ物をわかりやすく解説!

4.エリスリトール

エリスリトールは、果実、きのこ、ワイン・清酒・醤油・味噌・チーズなどの発酵食品に含まれている糖アルコールで、酵母によってブドウ糖が発酵されると生成されます。エリスリトールの大部分は体内で代謝されないまま排泄されるため、糖質に分類されますが、その中では唯一カロリーが含まれず、糖質も0gとなっています。そのため、特定健康用食品や糖尿病などの病者用食品としても使われています。

エリスリトールは砂糖の約75%の甘味があり、すっきりとした切れのよい味が特徴です。

なお、一般的な糖アルコールは摂り過ぎるとお腹が緩くなることがありますが、エリスリトールはそのリスクが低くなっています。また、熱による褐変がなく、臭みや苦味のマスキング、高い吸熱作用による冷涼感の付与効果なども期待できます。

食品例:清涼飲料水、菓子、乳製品、卓上甘味料

※参考:J-Stage オレオサイエンス第13巻第9号(2013)p.5「エリスリトール」
※参考:三菱ケミカル株式会社 フード・ヘルスケア事業部「エリスリトール 一般的な用途」

シェアシマ掲載の「糖類」の関連原料をチェックする

全世代における健康意識の高まりにより、今後も世界的に糖類やその代替原料の需要は高まっていくと思われます。それに伴い、次々と研究開発が進められ、今まであまり注目されていなかった食品や成分も登場していくようになるでしょう。

ご紹介した内容を参考に、糖類を使った商品開発を考えている人や商材をお探しの方に役立ててもらえれば幸いです。


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監修

多田ゆかり

大学卒業後、一般企業に就職。出産・子育てを経て、2019年からフリーランスの管理栄養士として活動を始める。現在はWEB媒体を中心に栄養や健康に関する執筆を行う傍ら、セミナー講師、料理教室の主宰、栄養指導も務めている。
執筆者プロフ
シェアシマ編集部

食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、栄養指導やセミナー講師も務める管理栄養士、デザイナーと二足のわらじの元雑誌編集者など、30〜40代の食に関心の高いメンバーを中心に運営中

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p.486「甘い糖と甘くない糖」「糖類」とは糖質の中でも、甘味があるものを「糖」と呼ぶことがあります。それとは別に、単糖類と二糖類をまとめて「糖類」と区分けします。「糖類」の中には、苦味を呈するものもあるため、「糖」=「糖類」ではないことに注意しましょう。たとえば、「低糖質」や「糖質オフ」という場合には、糖および糖類の含有量が少ないことを示します。しかし、「糖類ゼロ」「ノンシュガー」「無糖」などの場合には、糖類はほとんど含まれませんが、でんぷんや甘さを感じさせる糖アルコール、非糖質系の甘味である天然甘味料や人工甘味料などが含まれていることがあります。これらは似たような言葉ですが、意味する内容は異なるので使い分けが必要です。糖質・糖類の種類と特徴糖質と単糖類、二糖類の定義は、それぞれ次のとおりです。単糖類単糖類とは、最も小さな糖の単位であり、ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)などが含まれます。細胞の中に取り込まれてエネルギー源として代謝されたり、微生物によって乳酸発酵やアルコール発酵されやすいという特徴があります。※参考:化学のグルメ「有機化学」二糖類二糖類とは、単糖が2個結合した糖のことで、ショ糖(スクロース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)、トレハロースなどが含まれます。ちなみに、一般的に使用されている砂糖の大部分はショ糖で占められています。酵素や酸の触媒作用によって加水分解され、2つの単糖になるという特徴があります。オリゴ糖オリゴ糖の「オリゴ」は、ギリシャ語で「少ない」という言葉が由来です。オリゴ糖は二糖類とまとめて「少糖類」と呼ばれることもありますが、通常は単糖が3〜10個程度結びついた糖のことを指します。代表的なものに、フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖などがあります。消化されずに大腸まで届くことで、低エネルギーな上に、整腸作用や腸内細菌を増やすなどの作用もあります。そのことから、「おなかの調子を整える」という表示とともに特定保健用食品に使われています。(なお、二糖類がオリゴ糖に含まれることもありますが、その場合は消化酵素で分解されるため、この記述は当てはまりません)※参考:株式会社パールエース「『オリゴ糖』って何だろう?」多糖類多糖類とは、10個以上の単糖が結合したものを指します。数十〜数百万個結合したものが多いですが、中には1万個以上の単糖が結合しているものもあります。デンプン、グリコーゲン、セルロース、ペクチン、キチン、キトサンなどが含まれます。デンプンやグリコーゲンは体内でのエネルギー貯蔵に、セルロース、ペクチン、キチン、キトサンなどは動植物の外骨格や細胞壁を形づくるのに役立っています。食品においては、パンやケーキなどに軟らかい食感を与えたり、ジャム、ドレッシング、ソースなどの粘度の調整として多糖類が利用されます。そのほか、使用感の改善などのために化粧品、洗顔料、工業薬品にも使われることがあります。糖アルコール糖アルコールとは、糖に水素を添加(還元反応)した糖質の総称を指します。 単糖を還元したソルビトールやキシリトール、二糖を還元したマルチトール、水飴を還元した還元水飴などがあります。もともと果物や野菜、発酵食品などに含まれている天然の成分でもあります。熱・酸・アルカリに強い、微生物の栄養源になりにくい、消化吸収されにくい、などの特長を持っています。そのため、「虫歯の原因にならない」「砂糖の消化・吸収を穏やかにする」「血糖値が気になる方の生活改善」などの表示とともに特定保健用食品に使われています。その他にも、糖アルコールの種類によって塩味・辛味・酸味・うま味・風味の増強、食感や照り・ツヤの向上などにも役立ち、食品のおいしさを高めます。※参考:MP五協フード&ケミカル「多糖類概要」※参考:物産フードサイエンス「糖アルコールの特徴」糖質や糖類を摂り過ぎるとどうなる?過剰摂取のリスク糖質は、先述したとおり脳や体のエネルギー源として使われる栄養素ですが、過剰摂取によってさまざまな病気のリスクを高める原因になります。ここでは、糖質や糖類の摂り過ぎによって指摘されている体への影響をご紹介します。肥満生体内では血糖値を一定の範囲に保つように、ホルモンを分泌して調整しています。通常、血糖値に影響を与えるブドウ糖は筋肉や肝臓に貯蔵されますが、糖質や糖類を摂り過ぎてしまうと貯蔵できない分は中性脂肪に換えられ、体脂肪として溜め込まれてしまいます。このため、糖質や糖類の摂り過ぎは肥満の原因になってしまうのです。※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「炭水化物/糖質」糖尿病|合併症のリスクも継続的に糖質や糖類が多い食生活を送ると、次第に血糖値を下げるためのホルモンが不足したり、効きにくくなったりして、血糖値が高い状態が続く糖尿病を発症します。血糖値が高い状態では、血管内が傷つけられて動脈硬化が進み、目の網膜、腎臓、神経の働きなどが低下して合併症のリスクも高まります。※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病」細胞の老化|動脈硬化、骨粗鬆症、白内障、アルツハイマーの原因にこのほか、糖質や糖類を摂り過ぎることで、体内で糖とたんぱく質が結合して糖化も起こります。糖化が進むとAGE(糖化最終生成物)が多く作られ、細胞の老化が加速されていきます。すると、肌・髪のハリやツヤが失われたり、シミやそばかすが増えたり、動脈硬化・骨粗鬆症・白内障・アルツハイマーなどの多くの病気の原因になることも指摘されています。※参考:オムロン ヘルスケア株式会社「老化の原因『糖化』を防止しよう」糖質や糖類の摂取基準健康な体を守り、若々しい見た目を維持していくためには、糖質や糖類の摂り過ぎを避ける必要があります。そのために大切なことは、バランスのよい食事や適度な間食です。日本の摂取基準厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、炭水化物の食事摂取基準(%エネルギー)は1歳以上のすべての年齢で50〜65%と目標量が定められています。1日2,000kcalを摂取する人の場合、次の式で求めることができます。2,000×0.5~0.65÷4(炭水化物1gあたりの熱量)=250~325gたとえば、食品に含まれる炭水化物量の目安は以下の通りです。(日本食品標準成分表より)白米茶碗3杯(450g)あたり167.0gじゃがいも100gあたり17.3gかぼちゃ50gあたり10.3gバナナ1本(120g)あたり27.0g缶コーヒー(ミルク入り加糖)1本(190g)あたり15.6gビール350mlあたり10.9gこれらを飲食すると、それだけで合計が1日に必要とされる炭水化物量に届いてしまいます。調味料や野菜などにも炭水化物を多く含むものもあるため、実際には、もっと多くの炭水化物を摂っている計算になります。そのことから、偏った食事をしていると簡単に炭水化物を摂り過ぎてしまうため、とくに間食の摂り過ぎには気を付ける必要があります。ちなみに、脳をはじめ、神経組織、赤血球などにおけるブドウ糖の1日最低必要量は100gと推定されます。ブドウ糖を含む糖類の明確な摂取量についての数値は、残念ながら現時点で必要性がないと判断され、厚生労働省では設定していません。(※1)国際的な摂取基準(フランス、韓国、WHO)フランスでは糖類の摂取量(総糖類:total suger)を1日100g未満、韓国では総エネルギー量の10〜20%と定めています。(※2)世界保健機関(WHO)では、肥満・2型糖尿病などを減らすために、糖類やシロップに果汁を加えたもの(遊離糖類:free suger)は、総エネルギーの10%未満、さらなる健康効果のためには5%未満とすることを勧告しています。この5%未満とは、1日2,000kcalを摂取する人の場合は25g(ティースプーン6杯分)未満という計算になります。(※3)現在(2025年3月)、日本食品標準成分表には単糖や二糖類などの糖の成分値がすべて掲載されていないため、日本人が1日にどれだけ糖類を摂取しているかを把握するための大規模なデータは存在しません。しかし、1日3食の食事を疎かにして、甘い飲食物を多く摂るような食生活を送っている人はフランスや韓国の基準を超えていることが懸念されます。WHOの基準を考慮すると、25gの糖類は一般的な500mlのペットボトル炭酸飲料の半分に相当します。このことから、多くの人が糖類を過剰に摂取している可能性があると考えられます。(※4)※1、※2参考:厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書 Ⅱ各論 1-4炭水化物」※3参考:大樹生命保険株式会社「砂糖との健康的な付き合い方」※4参考:内閣府 食品安全委員会「世界保健機関(WHO)、糖類を多く含む飲料(sugary drinks)の消費及び健康への影響を抑制するよう世界的行動の奨励を公表」糖の食品への活用事例|低糖質・糖質オフのためのアイデアもここからは、実際に商品化されている具体的な成分と食品をご紹介します。1.ステビア南米に自生するキク科の植物であるステビアは、葉の部分に強い甘味を持っており、抽出されて甘味料として使用されています。「ステビオサイド」や「レバウディオサイド」という成分が含まれていて砂糖の300倍ほどの甘味があるため、少量の使用で甘さを与えることができます。なお、ステビアの糖質量は実質的に0なので、使用することで糖質を抑えた商品づくりが可能です。また、pHの変化に安定的で、熱による褐変が少なく、微生物による発酵が起こらないという特徴があります。ほかにも、清涼感の付与、べたつき軽減、苦味のマスキング、塩味を和らげる塩なれ効果、酸味と調和して酸っぱさを和らげて味をまろやかにする効果なども期待できます。食品例:清涼飲料水、スナック菓子、インスタント食品、漬物、惣菜、醤油※参考:守田化学工業株式会社「ステビアとは」※参考:東京都保健医療局「用途別 主な食品添加物 甘味料」※参考:ツルヤ化成工業株式会社「ステビア」※参考:独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」2.カンゾウ(甘草)マメ科植物のカンゾウは、根や根茎に強い甘味を持っており、抽出されて甘味料として使用されています。主成分として「グリチルリチン酸」を含み、砂糖の200倍ほどの甘味があります。後引きの強い甘味と特有の風味が特徴です。カンゾウの糖質量も0なので、糖質を抑えた商品づくりに役立ちます。また、タンパクの嫌味をマスキングしたり、他の糖類や調味料と併用した場合にうま味を増強したり、べたつき軽減、高い塩なれ効果などが期待できます。食品例:清涼飲料水、菓子、漬物、醤油、味噌※参考:池田糖化工業株式会社「製品のご案内『カンゾウ甘味料』」※参考:ツルヤ化成工業株式会社「カンゾウ」3.イヌリンイヌリンとは、チコリの根、菊芋、ごぼう、玉ねぎ、にんにく、バナナなどに含まれている食物繊維の一種です。また、アメリカ南西部〜中南米にかけて自生するリュウゼツラン(アガベ)という熱帯植物の茎からも抽出されます。イヌリンは、食物繊維でありながら砂糖の10分の1ほどの甘味を持ち、腸内細菌を増殖させる、便通を整える、血糖値の上昇を穏やかにする、コレステロールを低下させるなどの作用があります。そのため、糖質を抑えつつ、健康に訴求した商品づくりに役立ちます。また、脂肪に似たなめらかな食感の付与、雑味・金属味などのマスキング効果も期待できます。食品例:パン、焼き菓子、アイスクリーム、乳製品、調味料※参考:帝人株式会社「ビオリエ」※参考:株式会社メディカライズ「アガベイヌリン」※参考:株式会社アルマテラ「ブルーアガベ イヌリンファイバー」シェアシマ掲載の「イヌリン」をチェックする >関連記事:食物繊維「イヌリン」とは|効果と多い食べ物をわかりやすく解説!4.エリスリトールエリスリトールは、果実、きのこ、ワイン・清酒・醤油・味噌・チーズなどの発酵食品に含まれている糖アルコールで、酵母によってブドウ糖が発酵されると生成されます。エリスリトールの大部分は体内で代謝されないまま排泄されるため、糖質に分類されますが、その中では唯一カロリーが含まれず、糖質も0gとなっています。そのため、特定健康用食品や糖尿病などの病者用食品としても使われています。エリスリトールは砂糖の約75%の甘味があり、すっきりとした切れのよい味が特徴です。なお、一般的な糖アルコールは摂り過ぎるとお腹が緩くなることがありますが、エリスリトールはそのリスクが低くなっています。また、熱による褐変がなく、臭みや苦味のマスキング、高い吸熱作用による冷涼感の付与効果なども期待できます。食品例:清涼飲料水、菓子、乳製品、卓上甘味料※参考:J-Stage オレオサイエンス第13巻第9号(2013)p.5「エリスリトール」※参考:三菱ケミカル株式会社 フード・ヘルスケア事業部「エリスリトール 一般的な用途」シェアシマ掲載の「糖類」の関連原料をチェックする全世代における健康意識の高まりにより、今後も世界的に糖類やその代替原料の需要は高まっていくと思われます。それに伴い、次々と研究開発が進められ、今まであまり注目されていなかった食品や成分も登場していくようになるでしょう。ご紹介した内容を参考に、糖類を使った商品開発を考えている人や商材をお探しの方に役立ててもらえれば幸いです。さっそくシェアシマで「糖類」の関連商品を調べるシェアシマ掲載の「砂糖類」をチェックする >シェアシマ掲載の「糖類・糖質」をチェックする >シェアシマ掲載の「低糖質」をチェックする >(初めてのご利用の場合、こちらから会員登録をお願いします)ご希望の商品が見つからない方は、シェアシマ事務局までお問い合わせください。皆さまの原料探しを全力でサポートをさせていただきます。

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特集|続々商品化!脳機能を高めるヌートロピックとは?具体的な成分や食品例をご紹介

仕事や勉強、家事などの日常生活において、作業能率をいかに高めるか、ということに注力している人も多いのではないでしょうか? そうした中、注目を集めているのが脳機能を高める効果が期待される「ヌートロピック」です。この記事では、脳の機能を高めることで日常の作業能率の改善に役立つ成分や、それらの種類、海外・国内の市場動向のほか、関連商品をご紹介します。本記事を参考に、開発テーマや条件にあった原料をぜひ見つけてください。シェアシマ掲載の「脳機能」関連商品をチェックする >関連セミナー:【受付中】シニアを中心に市場拡大!脳機能素材の選び方とエビデンスを知ろう(3/12)ヌートロピックとは「頭がよくなる(賢くなる)」「集中力が高まる」などのように、脳の機能向上効果を謳った健康食品のことを「ヌートロピック(Nootropic:向知性薬という意味)」や「ヌートロピクス(複数形)」と呼びます。海外では、健康食品だけでなく医薬品も含め、脳機能に効果が期待できる成分を含んだものをまとめて「ヌートロピック」と表現することもあります。一方、国内では「スマートドラッグ」や、その略称である「スマドラ」と呼ばれることが多くなっています。また、「向知性薬」「脳機能調整薬」「認知機能増強物質」と紹介されることもあり、近年SNSなどを中心にその効果が注目されています。なお、脳に良い影響を与える成分が含まれた「ブレインフード」や「ブレインサプリメント」などの名称でメディアに取り上げられたり、市場に出回ることもありますが、これらもヌートロピックに当たります。※参考:厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)令和元年度 分担研究報告書「脳機能調整薬の使用実態等に関する SNS 調査」※参考:ニューズウィーク日本版オフィシャルサイト「頭がよくなる魔法の薬『ヌートロピック』って何?」ヌートロピックの具体的な効果ヌートロピックには、成分ごとに異なる効果が期待できるとされています。主な効果に、次のようなものがあります。モチベーションの向上疲労感や倦怠感の軽減注意力、集中力の向上記憶力向上認知機能の維持気分や幸福感の改善不安やストレスの軽減睡眠の質の向上 これらのことからわかるように、ヌートロピックは健常人の集中力・記憶力の強化に留まらず、高齢者の認知機能の維持、ストレスや睡眠障害に悩む人など、幅広いニーズに対応することが期待されています。すでに欧米諸国では、集中力が必要な職種(研究者、ビジネスマン、アスリートなど)における作業効率や能力向上、試験前の学生の学習能力向上など、脳のパフォーマンスを高める目的での需要が高まっています。※参考:IWASE COSFA「サプリメント市場が今注目するヌートロピックとは?」ヌートロピックの種類アメリカのヌートロピックを紹介するサイト内では、130以上もの成分が紹介されています。その中には、ADHD(周囲欠如・多動性障害)治療薬などの医薬品成分、サプリメント、ビタミンB類なども含まれています。国内においては、指定成分(※)や抗うつ薬のほか、主に次のような成分が紹介されています。DHA、EPAGABA(γ-アミノ酪酸)イチョウ葉、イチョウ葉エキスカフェインコリン大豆レシチンチロシンブルーベリーエキス など※指定成分とは、食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物を指します。※参考:東京都保健医療局「指定成分等含有食品」海外・国内で需要増すヌートロピックの市場動向世界的に需要が増大しているヌートロピック市場(脳の健康補助食品市場)。さまざまな業界の市場調査を行う「Fortune Business Insights」によると、世界の市場規模は、2024年で62億9,000万米ドルに達していて、2032年までに115億5,000米ドルまで成長すると予測されています。特に、欧米での伸びが顕著で、精神的な鋭敏さと集中力の向上を求めるアスリートに特化した製品を提供する企業が増えており、急速に消費が拡大しているとも言われています。※参考:フォーチュン ビジネス インサイト「脳の健康サプリメント市場規模、シェアおよび業界分析、製品タイプ別(向知性サプリメント{栄養補助食品、ハーブエキスなど)、ビタミンおよびミネラル)、剤形別(錠剤、カプセルなど)、用途別(認知)機能、ストレスと不安、その他)、流通チャネル別 (病院の薬局、ドラッグ ストアと小売薬局、オンライン)チャネル、その他)、および地域予測、2025~2032年海外|アメリカ、西ヨーロッパで消費拡大アメリカの市場規模は、2014年以降から前年比10%を超える急激な成長を遂げています(※1)。その背景として、アメリカの成人人口うち5,930万人(2022年時点)に相当する人が精神疾患を抱えていると報告されている(※2)ことや、人口の高齢化、認知健康に対する意識の高まり、技術の進歩などの要因が挙げられています(※3)。また、ヨーロッパでは、多くの人が脳の健康に高い関心を抱いていることが明らかになっています。消費者市場調査を専門とするグローバル企業MMR Research社によれば、フランス、ドイツ、オランダの消費者1,657人を対象とした「健康問題で重要と思う箇所」の調査で、いずれの国においても、心臓、脳、免疫の健康がトップ3に入るという結果になりました。中でも、オランダの消費者はブレインヘルスをトップに挙げていることがわかりました。同時に、オランダで48%、ドイツで59%、フランスでは67%の人が、QOL(生活の質)を高める商品を進んで選んでいることから、経済的圧力があったとしても認知機能を含む脳の健康に対してメリットのある商品に金額を費やすことをいとわない、という考え方の人が多くいることがわかっています(※4)。※1参考:ウェルネス総研レポートonline「【マーケティングレポート①前編】健康な人の認知機能やパフォーマンスを向上する「ヌートロピック」の可能性」※2参考:フォーチュン ビジネス インサイト「米国行動ヘルス市場規模、シェアおよび業界分析、タイプ別(行動およびメンタルヘルス、薬物乱用、摂食障害、トラウマ/PTSDなど)、支払者別(公的健康保険および民間健康保険/自己負担)、および国別予測、2024~2032 年」※3参考:Global Infomation「ブレインヘルスサプリメント市場の2030年までの予測:製品別、サプリメント形態別、年齢層別、用途別、流通チャネル別、地域別の世界分析」※4参考:ウェルネス総研レポートonline「【マーケット】欧州の消費者は脳の健康を最優先」日本|高齢化を背景に消費拡大の見込み海外の動向を受け、日本国内においても各企業でヌートロピックに関連した製品が近年増加傾向にあります。とりわけ、日本では認知症対策などの予防的な目的での導入が多くなっています。実際に、「脳機能をサポート」「記憶力を維持する」などの表記とともに、商品化された機能性食品やサプリメントを店頭やインターネットで見かけることができます。日本は諸外国に比べて高齢化のスピードが速く、世界でトップクラスの長寿国となっています。年々平均寿命が延び、100歳以上の人口の割合も増加している日本において、今や「人生100年時代」を迎える事態に直面しているのです。ところが、長寿であっても健康を維持できないことが、医療費や介護施設の圧迫として社会的な問題として挙げられています。いかに介護や病気の心配なく過ごせるか、健康寿命の延伸が社会命題となっているからこそ、国内でのニーズもますます高まっていくことが考えられるでしょう。【管理栄養士監修】脳機能をサポートする成分と食品例ここからは、実際に商品化されている具体的な成分と食品をご紹介します。1.パラチノースパラチノースとは、蜂蜜に微量に含まれている天然の糖質です。イソマルツロースという成分ですが、欧米ではパラチノースの呼称が定着しています。パラチノースの甘さは砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)の半分ほどですが、見た目や味わいは似ています。現在は、甜菜糖を発酵処理したものから作られることが多くなっています。体内では分解に時間がかかることから、ショ糖の5分の1ほどの吸収速度と言われています。そのため、血糖値の急激な変動を抑えたり、体脂肪の蓄積を防いだり、脂肪の燃焼促進にも役立つことがわかっています。また、脳への血糖供給持続によって注意力の向上や眠気低減作用も期待できます。食品例:ゼリー飲料、菓子(クッキー、羊羹など)、サプリメント※参考:DM三井製糖株式会社「持続するエネルギー源『パラチノース®』」※参考:医療・介護関係者の方へ向けた専門情報サイト meiji Nutrition Info「パラチノース」シェアシマ掲載の「パラチノース」をチェックする >2.DHA、EPADHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)は、魚の脂に多く含まれる成分です。特に、脂のりのよい魚種や青魚の含有量が高くなっています。もともと私たちの脳や神経などに存在する成分でもありますが、体内で作られる量が少ないため、食品などから取り入れる必要があるのです。不飽和脂肪酸に分類され、健康効果の高いことで知られるω-3脂肪酸(n-3系脂肪酸)でもあります。体内の免疫反応の調整、生活習慣病や炎症の予防・改善、記憶力や言語能力などの認知機能と行動能力の向上などにも役立つと言われています。食品例:ジュース、ヨーグルト、魚肉練り製品、サプリメント※参考:不二製油株式会社「不二製油の革新」※参考:大塚製薬「栄養の基本を知ろう!栄養教養学部」シェアシマ掲載の「DHA」をチェックする >3.シチコリンCDP-コリンとも呼ばれる成分で、体内にも存在している成分です。もともとは脳梗塞、脳卒中、外傷性の脳機能障害や、緑内障などを治療するための医薬品として使われていましたが、脳や神経細胞にある細胞膜を維持する働きも期待できることがわかっています。日本では医薬品としての使用しか認められていませんが、欧米では記憶力・注意力の向上などを目的として健康食品などの原料に使われています。食品例:エナジードリンク、スポーツドリンク、プロテインバー、サプリメント※参考:キリンの研究開発「脳機能素材『シチコリン』を海外主力商材に押し上げた女性研究者の挑戦」※参考:協和発酵バイオ株式会社「シチコリン」4.L-テアニンL-テアニンとは、アミノ酸の一種であり、緑茶に含まれるうま味や甘味の元となる成分です。茶葉に日光が当たることで、渋みのあるカテキンへと変化する性質があります。そのため、玉露や抹茶など、収穫の前に日光を遮って栽培される高級な茶葉ほど多く含まれる傾向があります。リラックス感の向上や抗ストレス作用をはじめ、睡眠の質を高めて目覚めた時の疲労感や満足感の改善などにも役立つとされています。食品例:ゼリー、ジュース、アイスクリーム、サプリメント※参考:森下仁丹「テアニン・ゼリー」※参考:太陽化学株式会社「テアニンのおはなし」シェアシマ掲載の「テアニン」をチェックする >5.イミダゾールジペプチドイミダゾールジペプチドとは、アミノ酸が2つ結合した物質の中で、主にアンセリンとカルノシンのことを指します。イミダペプチドやイミダゾールペプチド、と呼ばれることもあります。筋肉や脳内に多く存在しており、食品としては鶏むね肉に高濃度に含まれています。以前から知られている抗酸化作用や抗疲労作用に加え、最近の研究では認知機能や記憶の改善作用があることも報告されています。食品例:スープ、ゼリー、サプリメント※参考:日本予防医薬株式会社「イミダペプチドスープ(コーン・コンソメ)」※参考:独立行政法人 農畜産業振興機構「鶏肉に含まれるイミダゾールジペプチドとその機能性について」※参考:日本ハム株式会社「期待集まる動物性食品由来の『イミダゾールジペプチド』炎症を抑えて脳の老化改善に可能性が」シェアシマ掲載の「イミダゾールジペプチド」をチェックする >6.GABAGABA(ギャバ)とは、正式名称は「γ(ガンマ)-アミノ酪酸」で、そのアルファベットの頭文字をとった略称で呼ばれています。アミノ酸の一種であり、植物性食品を中心に幅広く含まれる成分です。人間の脳にも存在し、交感神経の働きを抑え、脳の興奮を鎮める、睡眠の質を高める、高めの血圧を下げるなどの効果が知られています。医薬品としても利用され、脳血流量や脳酸素供給量などを増加させる脳代謝促進作用を持っています。食品例:菓子(チョコレート、キャンディーなど)、ヨーグルト、サプリメント※参考:ヤクルト中央研究所「GABA(γ-アミノ酪酸)」※参考:KEGG MEDICUS「医療用医薬品 : ガンマロン」シェアシマ掲載の「GABA」をチェックする >シェアシマ掲載の「ヌートロピック」素材をチェックする効率重視、ストレス過多、高齢化といった社会的背景から、今後も世界的にヌートロピックの需要は高まっていくと思われます。それに伴い、次々と研究開発が進められ、今まであまり注目されていなかった食品や成分も登場していくようになるでしょう。ご紹介した内容を参考に、ヌートロピックを使った商品開発を考えている人や商材をお探しの方に役立ててもらえれば幸いです。さっそくシェアシマで「脳機能」関連商品を調べるこちらからシェアシマサイトへ > (初めてのご利用の場合、こちらから会員登録をお願いします)ご希望の商品が見つからない方は、シェアシマ事務局までお問い合わせください。皆さまの原料探しを全力でサポートをさせていただきます。

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米高騰はいつまで続く?原因と政府の取り組みをわかりやすく解説!

近年、米の価格上昇が続き、消費者や食品業界に大きな影響を及ぼしています。特に、異常気象や需要の変化が、米の供給と価格に影響を与えています。本記事では、米の価格高騰の原因と今後の見通し、政府の対応策について詳しく解説します。関連記事:米価は上がっても農家はラクにならない、中山間地の稲作事情【社長コラム#2】

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唐辛子のニーズに特化! 辛味や色味をオーダーメイド加工【アスタ】

さまざまな食品に活用される香辛料。なかでも唐辛子は、幅広い食品のシーズニングなどでおなじみの香辛料原料です。今回は唐辛子の輸入と卸売で30年以上の実績をもち、用途に合わせた柔軟な対応とフットワークの軽さが強みの有限会社アスタをご紹介します。※こちらの記事は同社の提供で、シェアシマ編集部が制作しています。香辛料の輸入・卸売を独自ルートで開拓兵庫県加古川市に本社を置く有限会社アスタは、1991年の創業以来、香辛料原料の輸入と卸売を手がけてきた企業です。特に乾燥唐辛子の輸入に長年関わり、現地の工場で唐辛子の選別や加工指導も長年行ってきた、まさに「唐辛子のプロフェッショナル」といえる存在です。用途に合わせたオーダーメイド加工今でこそ多様な品種や辛さのレベルが知られている唐辛子ですが、アスタの代表・中川正博氏が創業した当時、唐辛子の種類やその使い分けに対する認知度は日本でも原産地の中国でも低く、中川氏が自ら中国現地の工場で唐辛子の選別や加工工程の手ほどきを行ったとか。このように長年培われた唐辛子の取り扱いノウハウは、同社の大きな特長でもあります。現在は主に中国から乾燥唐辛子を輸入するアスタの大きな強みは、用途やニーズに合わせて唐辛子の細かいオーダーが可能なこと。おもに次の3つの要素に関して、唐辛子のきめ細かい注文や相談に応じています。数百キロ単位の小ロットからの注文も可能です。【1】辛味唐辛子の辛味は、辛さの単純な強弱だけではなく、そこに含まれる苦味やクセ、風味なども複雑に絡み合って成立しています。アスタでは、用途に最適な唐辛子の辛味を提案・選定できます。【2】色味唐辛子の色味は、よく知られる赤唐辛子や青唐辛子の他にも、オレンジや黄色などさまざま。こちらも辛味と同様、用途や希望に合った色味を提案可能です。【3】カット(メッシュ)サイズたとえばキムチに、調味料に、スープ類の材料に、菓子類などのシーズニング用に……。用途によって、唐辛子の最適な加工形状はさまざまです。アスタでは、乾燥唐辛子のカットサイズがミリ単位から調整可能です。現地工場との強いパイプを活かすアスタが提携する唐辛子の加工工場は、中国の山東省にあります。世界最大級の唐辛子市場が数カ所ある山東省には、唐辛子の加工工場も多く、各産地の唐辛子原料を入手しやすい環境だといいます。収穫された唐辛子は、現地の工場で厳格な衛生管理のもと、乾燥やカットなどの加工を経て輸入されます。唐辛子の他にも、わさびやショウガ、花椒など、さまざまな香辛料輸入を手がけるアスタ。自社製品にぴったりの唐辛子を探したい、こだわりの香辛料を少量だけ輸入したい、などのご要望がある方は、ぜひお問い合わせください。

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DHA、もっと手軽に!鮮度キープの秘密技術【不二製油】

サバやイワシなどの青魚などに多く含まれるDHA。サプリメントでおなじみの成分ですが、「酸化しやすく特有の劣化臭(魚臭)が生じる」という側面があり、食品への活用が難しい状況でした。不二製油株式会社では、独自の技術でDHAの酸化を抑え、食品のおいしさを損なわずにDHAの効能をプラスできる安定化DHA含有油脂素材「プロレア(R)」を開発。食品開発の可能性を広げる、その特長をご紹介します。※こちらの記事は同社の提供で、シェアシマ編集部が制作しています。DHAの健康効果とは?DHAは、人の健康と切り離せない不飽和脂肪酸のひとつです。DHAをはじめとするω-3系多価不飽和脂肪酸は、私たちの正常な身体機能に必要な脂肪酸であることから「必須脂肪酸」とも呼ばれるほど重要な成分でもあります。「脂質(油)は太る」というマイナスな印象が語られがちですが、DHAを適量摂取することは健康維持のためにも欠かせません。赤ちゃんから高齢期まで、全世代で重要な役割を担うDHADHAの一般的な効能として知られるのは「記憶力や学習能力の向上」などですが、じつは子どもから成人、高齢者まで、全世代に対して各年代に沿った幅広い健康機能が確認されています。全世代で幅広い健康機能を示すDHA・EPAこれだけ重要な成分であるDHAですが、ヒトの体内ではほとんど作られないため、食事で摂取することが重要です。近年では、食の欧米化で日本人の魚の摂取量が低下しており、現代人に不足しがちな成分でもあります。DHAの難点は「酸化しやすさ」と「特有の劣化臭」DHAを手軽に摂取する方法として、サプリメントが多く流通しているのは周知のとおり。一方、食品や飲料に添加しようとする際に問題となるのが「酸化しやすい」という特徴でした。DHAは一般的な油脂に比べて非常に酸化しやすく、それに伴って生じる特有の劣化臭(魚臭)が食品のおいしさを損ね、さらには食品工場においてラインの着香汚染も引き起こしてしまうのです。世界初、不二製油がDHAの大幅な酸化抑制に成功DHAの酸化を抑制できれば、食品への活用の幅がもっと広がる。この課題に取り組んだのが、植物性油脂などの供給メーカーとして知られる不二製油株式会社(本社:大阪府泉佐野市)です。安定化DHA含有油脂素材「プロレア(R)」の誕生本来、油脂の酸化防止(抗酸化)には、油に溶けやすいビタミンEなどの油溶性抗酸化成分を用いるのが一般的です。しかし酸化スピードが速いDHAの場合、それらの成分では酸化抑制が追いつかないことが確認されました。そこで、不二製油の研究チームが数千パターンもの実験による試行錯誤の末に考案したのが、ビタミンCやポリフェノールといった「油に溶けにくい」成分を活用したDHAの酸化抑制でした。不二製油は“油に溶けにくい成分がDHAの酸化安定性を高めること”と“油脂中に油に溶けにくい成分を安定分散させる技術(Fuji Stabilization Technology、FST)”を掛け合わせることで、世界で初めてDHAの酸化劣化を大幅に抑制することに成功 。酸化しにくく鮮度を維持できる安定化DHA含有油脂素材「プロレア(R)」が誕生しました。市販DHA油に比べ、酸化による臭気成分が大幅に減少した「プロレア(R)」*1 油脂の二次酸化物であり、酸化劣化指標となるプロパナールを対象とし、LC-MS分析を実施した。サンプルは、加熱劣化(60℃、遮光、120時間保存)した市販魚油とプロレア(R)とした。*2 当社分析酸化による劣化臭を抑え、食品から手軽においしくDHAを摂取する機会の提供を可能にする安定化DHA含有油脂素材「プロレア(R)」は、2016年より業務用として販売をスタート。その酸化安定性が評価され、幅広い食品メーカーで採用されています。植物性(藻類)由来で安心安全・サステナブルなDHA安定化DHA含有油脂素材「プロレア(R)」のもうひとつの特長は、よく知られる魚由来ではなく、植物性(藻類)由来のDHAを採用している点です。じつは魚に含まれるDHAも、魚が藻類を食べることによって体内に蓄積されたもの。プロレア(R)の原料となる藻類由来のDHAは、管理された環境の中で培養生産されるため水銀などの有害物質の含有量が極めて少なく、妊娠中の女性でも安心して摂取することができます。こうした人体への安全性に加え、海洋資源保護の観点から、サステナビリティにおいても優れたDHA素材であるといえます。「プロレア(R)」で広がるDHA配合食品の可能性食品のおいしさを損なわずに添加可能な安定化DHA含有油脂素材「プロレア(R)」は、サプリメントはもちろん、多彩な食品や飲料に活用できます。中高年向けに記憶機能の維持増進を謳う食品や、子ども向けにDHAを添加したおやつなど、幅広い年齢層に向けた食品の開発にも大いに活用できる油脂素材といえるでしょう。