
食物繊維「イヌリン」とは|効果と多い食べ物をわかりやすく解説!
食物繊維は別名「第6の栄養素」とも呼ばれ、健康志向が高まる中で注目を浴びています。その中でも水溶性食物繊維の一種「イヌリン」は、腸内環境や血糖値の急上昇を抑える効果が話題となり、食品業界や消費者の間で広がりを見せています。
この記事では、「イヌリン」の基本情報から、その効果や摂取方法、多く含まれる食品などをわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
食物繊維が注目を集める理由
食物繊維は、精製していない穀物やいも類、豆類、根菜、果物、海藻、きのこ類などの食材のなかに多く含まれています。整腸作用や便秘の予防だけでなく、血糖値やコレステロールの上昇を抑制する作用などさまざまな効果が期待されています。最近では別名「第6の栄養素」とも呼ばれ、食物繊維への注目が高まっています。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(※)では、食物繊維の1日あたりの摂取目標量は、成人・高齢者の場合「少なくとも25g以上」としています。これは、WHOの炭水化物摂取量に関するガイドラインで採用された研究をまとめたメタ・アナリシスから定められた値です。
しかし、食物繊維の有用性が認められる一方で、食生活の変化などに伴い、日本人成人(18歳以上)の食物繊維の摂取量の中央値は1日あたり「13.3g」で、目標値に比べてかなり低い状況です
また、食物繊維は「必要な量を摂取すればそれでよい」というのではありません。食物繊維には「不溶性」と「水溶性」の2種類があり、バランス良く摂取することが大切です。
不溶性食物繊維は、水に溶けにくく、便のかさを増やして排便を促進する働きがあります。水溶性食物繊維は、水に溶けるとゲル状になる性質があり、腸内細菌のエサとなり腸内環境を整える働きがあるといわれています。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
食物繊維「イヌリン」とは
食物繊維が不足しがちな時に便利なのが「イヌリン」です。イヌリンは水溶性食物繊維の一種であり、身近な食材にも含まれている成分です。ここでは、イヌリンの効果と共に、飲み方と摂取量、デメリットについて解説します。
イヌリンの効果|ダイエットにも使われる
イヌリンには、以下のような効果が期待されています。
- 腸内環境の改善:腸内のビフィズス菌を増やし、腸内フローラを整える
- 血糖値のコントロール:炭水化物の吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑制
- ダイエットのサポート:食後の満足感を高め、カロリー摂取を自然に抑える
イヌリンは糖質の一種なので、甘さがあります。また、上記のような特性を持つことから、食品開発では、ヘルシー志向の消費者向け商品の素材として活用されています。
イヌリンの飲み方と摂取量
イヌリンの一般的な飲み方は、コーヒーやお茶などの水分と一緒に飲む方法です。ダイエット効果を期待するのであれば、食前に飲むのがおすすめです。食前にイヌリンを摂取することで、満足感を得ることができ食べ過ぎを予防できます。
また、イヌリンの一日の摂取量については、明確な基準はないものの「1日5〜15g程度が目安」といわれています。
デメリットや危険性はある?|摂り過ぎると下痢になる可能性も
イヌリンはさまざまな健康効果が期待できますが、摂り過ぎや食べ始めには注意が必要です。
- 摂り過ぎによる影響:過剰摂取すると、腸内でガスが発生しやすく、腹痛や下痢の原因になることがある
- アレルギーリスク:まれにアレルギー症状が現れる場合があるため、初めて試す際は少量から始めるのがおすすめ
イヌリンが多い食べ物
ここでは、イヌリンが多く含まれる食べ物についてご紹介します。あわせて、食材だけでは十分に摂取できない時のために、パウダーやサプリを活用する方法についてもお伝えします。
イヌリンが多く含まれる食べ物|菊芋やアガべもおすすめ
イヌリンを多く含む食品として、以下の野菜が知られています。これらの食品は、自然由来のイヌリンを摂取したい方におすすめです。
- 菊芋:根に高濃度のイヌリンを含み、スープやサラダに活用しやすい
- アガベ:天然の甘味料として利用され、飲み物や料理に混ぜて使われる
- チコリ:ヨーロッパでは一般的な食材で、料理やハーブティーに利用される
そのほか、ニンニクやごぼう、玉ねぎなどにもイヌリンが多く含まれています。
足りない場合はパウダーやサプリを活用
現代の食生活では、食事だけで十分な食物繊維を摂るのが難しい場合もあります。その場合は、イヌリンのパウダーやサプリを活用するのもおすすめです。
イヌリンはパウダー状になったものやサプリなどを利用すれば、手軽に摂取することができます。イヌリンのパウダーは、飲み物やヨーグルトなどに加えて食べることができます。
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まとめ
イヌリンは、腸内環境を整える効果や血糖値コントロールなど、食品開発において魅力的な効果が期待できる食材です。自然由来の食品から摂取するだけでなく、パウダーやサプリメントで効率的に補うという選択肢もあります。
健康志向が高まる今、商品開発において「イヌリン」を活用することは、へルシー志向の消費者の期待に応える方法のひとつといえるでしょう。

食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、栄養指導やセミナー講師も務める管理栄養士、デザイナーと二足のわらじの元雑誌編集者など、30〜40代の食に関心の高いメンバーを中心に運営中