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イスラム市場(南西アジア・中東)からハラルビジネス研究

【食品ハラルビジネス進化論〜ハラル認証原料編vol.9】

前回の記事を読む:国内ハラルマーケットを分析【食品ハラルビジネス進化論〜ハラル認証原料編vol.8】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。2022FIFAワールドカップカタール大会は、アルゼンチンの劇的な優勝で終了しました!日本サッカーも森保一監督いわく、「新しい景色は見られなかったが、選手が新しい時代を見せてくれた」と私たちにも感動を与えてくれました!すでに次(NEXT)が始まっています。皆さんの次は何でしょうか?2023年を飛躍の年にしたいですね。

今回は「イスラム市場(南西アジア・中東)からハラルビジネス研究」について解説していきます。

インド、バングラデシュ、パキスタンは次のイスラム市場のビッグマーケット

イスラム市場は東南アジアイスラム市場、特にマレーシア、シンガポール、インドネシアが熱く伸びていますが、次にビックマーケットになると考えられているのが、南西アジアのイスラム市場、インド、バングラデシュ、パキスタンなどの国々です。

なぜ魅力的なのでしょうか?1つ目の理由はイスラム教徒の人口です。インドは1.9億人、バングラデシュ1.5億人、パキスタンは2.1億人と3か国だけでの5.5億人です。2つ目は若年齢層が多く、経済の循環に期待ができ、ますます豊かになる土壌があります。3つ目は親日的であり、お米をたくさん食べるのでアドバンテージがあります。

インドはヒンズー教、ジャイナ教もあり多様性の国ですが、食べ物で言えばベジタリアン・ヴィーガンで対応可能です。その他の国は東南アジアと比べてそれほど多民族・多宗教ではなく、イスラム教徒がメインのためあまりハラル認証には頼る必要がないようです。しかし、今後は東南アジア同様に、ハラル認証が拡大する可能性があります。イスラム市場としては楽しみなエリアです。ただ、食に保守的な部分があるエリアのため、完成品での輸出はすぐには難しいかもしれません。まずは原材料から輸出が広がることが考えられますが、その際はハラル認証・ヴィーガン認証(または成分ハラル、成分ヴィーガン等)が輸出取引に求められることが増えると思います。

バングラデシュでは船も生活の足として重要


中東はハブ戦略で進出を狙う国を決めるべし

ハラル=イスラム教=中東を連想される方が非常に多いと思いますが、少しそのイメージを修正してください。イスラム教の発祥=中東、ハラル認証の発祥=東南アジア(マレーシア)と理解するといいと思います。またUAEドバイを中東と考え、ハラルビジネスの展開をイメージされているかもしれませんが、中東はイラン、トルコ、エジプトまでを含むと定義します。その時のハブはどこか?これはおそらくUAEドバイを、アジアで言う香港やシンガポールに置き換えて考えるとよいでしょう。イスラム教徒が多いエリアですので、肉・肉加工品を除き、あまりハラル認証を中心に考えなくても問題ありません(成分的にハラルであれば適切に輸出できるからです)。例えばUAEからエジプト、イラン、場合によってはカザフスタンなどがハブになると考えられます。

スンニ派、シーア派エリアの違いを理解することも大切です。大きくはイラン、イラクと、それ以外のイスラム教徒の国とで、考え方の違いがあるということです。まずはイランと取引するのか?しないのか?がポイントになります。中東は欧州諸国と取引のある国が多いので、欧州商社のバイヤーをいかに使えるかもポイントです。まずはニーズを捉えて原材料をベースに輸出し、進出するのがよいでしょう。ただし、欧州の影響が強い分、すでに高品質な物は一通りそろう上、食文化、パッケージデザインの好み、化粧品の好みなどは完全に欧州寄りです。その点は東南アジアとは大きく違い、日本の食品や化粧品などは苦戦するかもしれません。

ギフト用チョコレート(UAE)


シリーズ10回目を迎える新年2023年の初回では、原材料の「健康食品(サプリメント)のハラルビジネス考察」を解説します。1月の第4金曜日を楽しみにしてください。皆さま、良い年をお迎えください。

(佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)


次回の記事を読む:健康食品(サプリメント)のハラルビジネス考察【食品ハラルビジネス進化論〜ハラル認証原料編vol.10】

執筆者プロフ
シェアシマ編集部

食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、累計記事執筆2,500以上の元新聞記者等々、30〜40代の編集メンバーを中心に運営中

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着色料のご紹介〜「色」で食欲増進や品質保持に貢献〜

食品において着色料は、見た目を美しくするだけでなく、食欲を刺激し、製品の品質を向上させる重要な役割を果たします。この記事では、着色料の役割とメリット、代表的な着色料の特徴、海外展開を考える際に注意すべきことのほか、関連商品をご紹介します。本記事を参考に、開発テーマや条件にあった原料をぜひ見つけてください。食品に使われる着色料(食用色素)とは「着色料」は、食品が加工や劣化によって変色・退色してしまうのを防ぎ、食品に色付けするために使用される食品添加物のことです。「食用色素」とも呼ばれることもあります。赤飯や紅白餅、繭玉(まゆだま)など、日本では古くから伝統食や行事食にさまざまな「色」が用いられてきました。着色料は身近な料理にも多く使われて来た歴史があり、食べ物のおいしさを引き立てる役割を担ってきました。着色料の役割とメリット現代の食品開発において、着色料は食品の魅力を高めて品質を保つ上で、重要な役割を果たしています。適切な着色料を使用することで、製品の視覚的なアピールだけでなく、品質やブランド差別化にも寄与することができます。ここでは、着色料の主な役割とそのメリットについて説明します。視覚的な魅力の向上食品の色合いは、消費者の購買意欲に大きく影響します。たとえば、鮮やかな色には、食品を新鮮で美味しそうに見せる効果があり、消費者の食欲を増進させます。食品の特徴やターゲットに合わせた色を使用することで、消費者の関心を引き、食品をより魅力的に見せることができます。品質の保持食品は保存中に酸化や退色が進むことがあり、見た目が悪くなると品質の低下を感じさせてしまいます。着色料を使用することで、色合いを一定に保ち、製品の品質が保持されます。また、着色料は製品の安定性を向上させるため、長期保存が求められる商品においても重要な役割を果たします。色が一定であれば、消費者に対して製品の鮮度が保たれている印象を与え、信頼感を高めることができます。製品の差別化着色料を活用することで、他の製品との差別化が可能となります。色別のシリーズ展開や季節限定の色を使用することで、消費者に新しい印象を与え、注目を集めることができます。たとえば、特定のイベントやシーズンに合わせた限定カラーを導入することで、消費者の関心を引きつけ、購買を促進することができます。さらに、特定の色をブランドの象徴として使用することで、消費者に強い印象を与え、ブランド認知を高めることもできます。着色料の使用が禁止されている食品食品における「色」は、鮮度や安全性を判断する際に重要な指標となります。そのため、鮮魚や食肉、野菜などの生鮮食品には着色料の使用が禁じられています。これらの食品に着色料を使用すると、消費者が品質や鮮度について誤った判断をする可能性があり、添加物の本来の目的に反するためです。※参考:東京都保健医療局「用途別 主な食品添加物」

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酸化防止剤のご紹介〜食品の風味や色、保存性を長持ちさせる添加物〜

食品の品質劣化の主な原因の一つが、食品に含まれる成分の「酸化」です。酸化が進むと、食品は色や風味が損なわれるだけでなく、栄養価が減少したり、酸化によって発生した過酸化物が原因となり、吐き気や嘔吐などの中毒症状を引き起こすこともあります。今回は、食品の酸化を防ぐための「酸化防止剤」の活用法やそのメリット、さらに世界規模でのニーズや動向についても紹介します。本記事を参考に、開発テーマや条件にあった原料をぜひ見つけてください。酸化防止剤とは酸化防止剤は、食品の酸化を防ぐために使われる添加物です。食品が空気に触れることで酸化が進むと、色や風味が変化し、栄養価も低下します。酸化防止剤は、こうした劣化を防ぎ、食品の品質を保つために使用されます。つまり、酸化防止剤は、食品の成分に代わって自ら酸化されることによって、食品の品質の低下を防ぎます。代表的な酸化防止剤酸化防止剤は、大きく分けて「脂溶性」と「水溶性」の2つに分類されます。食品に含まれる成分に適した酸化防止剤を適切に使用することが大切です。脂溶性酸化防止剤油に溶けやすく、主に油脂の過酸化物の発生を抑える目的で利用されることが多いです。

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特集|フェムケア素材〜女性特有の健康課題を身体の内側からサポート

女性特有の健康に関する悩みを解決する商品やサービスのことを「フェムケア」、「フェムテック」といいます。近年では、新ブランドが続々と誕生したり、女性誌で特集が組まれたりと、商品開発においても注目のテーマのひとつとなっています。この記事では、フェムケア・フェムテックの概念や市場規模、女性特有の不調に伴う経済損失を解説するとともに、食品開発に役立つ関連商品をご紹介します。女性の社会進出とともに顕在化した「女性の悩み」に、社会全体で向き合う動きが広がりつつある今、食品開発によって貢献できるアプローチを考えます。フェムケア素材のご紹介サンアクティブFe-P80LKP|太陽化学株式会社還元NMN|炭プラスラボ株式会社ヒマラヤ松樹皮抽出物|株式会社ニゾナサフラン|株式会社Bollardエクオール乳酸菌プレミアム™|炭プラスラボ株式会社エクオール乳酸菌™️|炭プラスラボ株式会社【抗糖化素材】ヒシエキス【機能性表示届出中】|林兼産業株式会社納豆菌培養エキスNSK-SD|株式会社日本生物.科学研究所PHENIXUN SHIELD|株式会社マツモト交商シャタバリ|株式会社サビンサジャパンコーポレーションETAPEO|株式会社マツモト交商有機JASマカ乾燥粉末|株式会社マツモト交商クリスパタス菌KT-11(KT-11HP)|株式会社キティーミヨシ亜麻仁油パウダー|ミヨシ油脂株式会社オメガヴィーパウダー100|ミヨシ油脂株式会社ヘンププロテインパウダー 50%|株式会社ニューエイジトレーディング麻の実ナッツ|株式会社ニューエイジトレーディング発酵黒マカエキス末|株式会社光健フェムケア・フェムテックとは女性のライフステージには、さまざまな健康課題が存在します。それらの解決に役立つフェムケア・フェムテックには、それぞれ次のような違いがあります。フェムテックフェムテック(Femtech)は、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を合わせた造語です。月経、妊娠・不妊・産後ケア・更年期といった女性のライフステージにおける悩みや、婦人科系疾患・セクシャルウェルネスに対して、AI(人工知能)やアプリなど先進的なテクノロジーの力を使って解決することを指します。フェムケアフェムケア(Femcare)は、Feminine(女性の)とCare(ケア)を合わせた造語です。フェムテックとの違いは、テクノロジーに頼らないことです。フェムケアは、生理用品やサプリメント、食品、衣類など多岐にわたり、女性のウェルビーイング(※)を向上させるための幅広いケアを含みます。※身体的、精神的に健康な状態であるだけでなく、社会的、経済的に良好で満たされている状態にあること女性特有の健康課題による経済損失は3.4兆円経済産業省は、2024年2月「女性特有の健康課題による社会全体の経済損失」を公表し、経済損失は3.4兆円に上ると試算しました。働く女性の多くが、月経やPMSによる心身の不調(情緒不安定、抑うつ、集中力の低下、めまい、腹痛、頭痛など)で、仕事のパフォーマンス低下を経験していますが、有効な対処を行う女性の割合は少なく、特に効き目があるとされる低容量ピルの服用率は0.9%にとどまっています。また、不妊治療と仕事の両立ができずに「仕事を辞めた又は雇用形態を変えた」ことがある女性の割合は32.9%、さらに、更年期症状の影響で「昇進を辞退したことがある」が50%、「仕事を辞めたことがある」が17%と、女性特有の健康課題がキャリアにも影響していることがわかります。※参考:経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と 健康経営の必要性について」、「フェムテックに関する経済産業省の取組 ~フェムテックで企業が変わる、社会が変わる~」、「経済産業省のフェムテック推進について」フェムケア・フェムテックによる経済効果は2兆円フェムテックによる経済効果は、2025年時点で年間約2兆円とも予測されており、ライフステージの変化に対する女性の健康サポートや望まない離職を防ぐ仕組みづくりの重要性が見直されています。経済産業省では、「女性が働きやすい環境整備を進め、より多様な人材の活躍を推進することが、持続的な企業価値の創造の観点から重要」としてフェムテックを推進。「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」などの補助事業を通して、ウェルビーイング実現に向けた積極的な導入・開発を呼びかけています。参考:株式会社 日立コンサルティング「令和2年度産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に 与える効果と課題に関する調査 報告書 (概要版)」フェムテックの市場2016年ごろからの新興市場であるフェムテック。2019年時点の世界の市場規模は820億円、2025年には5.5兆円に達すると予測されています。国内市場は、2019年の579億円から2022年は695億円と、政府の後押しもあって順調な成長を見せています。全人口の半分をターゲットとする産業として、今後さまざまな製品・サービスの開発・投入を通じて市場の拡大が期待されています。※参考:株式会社矢野経済研究所「フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場に関する調査を実施(2023年)」

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抗酸化素材のご紹介〜アンチエイジングを意識した食品開発のヒント〜

人生100年時代と言われる今、年齢や性別を超えたテーマとなっているのが「アンチエイジング」です。アンチエイジングとは、加齢による身体の老化を可能な限り小さくすること。そのために効果が期待されているのが「抗酸化素材」です。そこで今回は、身体の酸化を抑制して老化を防ぐ「抗酸化素材」をご紹介するとともに、代表的な抗酸化物質とそれを含む食品、抗酸化力を高める食品開発のヒントをご紹介します。本記事を参考に、開発テーマや条件にあった原料をぜひ見つけてください“サビない身体”をつくる「抗酸化」とは私たちの身体は年齢とともに老化していきますが、それは細胞の「酸化」、つまり“身体がサビていく”ことに起因しています。この、身体の酸化を抑制する働きのことを「抗酸化」といいます。身体の酸化は、体内に生成される「活性酸素」によって起こります。私たちは、生きるために呼吸をして酸素を体内に取り込んでいますが、そのうち数パーセントが活性酸素に変化するとされています。活性酸素は、細胞内での情報伝達や免疫、代謝の調節など重要な役割を果たす一方で、過剰に産生されると細胞を傷つけて、疲労や老化、動脈硬化、ガンなどの原因になります。活性酸素から身体を守る「抗酸化酵素」と「抗酸化物質」身体には本来、活性酸素から身体を守る「抗酸化防御機構」が備わっています。抗酸化防御機構というのは、体内で合成される内因性の「抗酸化酵素」と、食事から取り入れられる外因性の「抗酸化物質」の働きにより、活性酸素のバランスが保たれる仕組みのこと。抗酸化酵素にはスーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼ、抗酸化物質はビタミン類、ポリフェノール類などがあります。抗酸化酵素と抗酸化物質の作用によって、無害化するのを助けたり、活性酸素によって受けたダメージの修復をサポートしたりしています。体内で合成される抗酸化酵素は、加齢によって次第に減少してしまいます。そのため、食事によって抗酸化物質を補うことがアンチエイジングに役立つといわれています。※参考 健康長寿ネット「抗酸化による老化防止の効果」代表的な抗酸化物質と食品例“サビない身体”をつくるための抗酸化物質には次のような役目があります。活性酸素の発生を抑えるもの活性酸素の酸化力を抑えるもの活性酸素で受けた被害を修復するもの体内で合成される抗酸化酵素の働きを補助するためにも、日々の食事から複数の抗酸化物質を取り入れる必要があります。ここでは、代表的な抗酸化物質の特徴と、その物質が含まれる食品例をご紹介します。