
特集|食品ロス削減に貢献する原料〜フードサプライチェーンでできること〜
10月は「食品ロス削減月間」、そして、10月30日は「食品ロス削減の日」です。
本来食べられるはずの食品がさまざまな理由で捨てられてしまうことを「食品ロス」といいます。日本では、2022年度の推計で472万トンもの食品ロスが発生しており、そのうち半分は事業系食品ロスが占めています。飲食店での食べ残しやスーパー・コンビニでの売れ残り、製造・流通段階での廃棄、家庭での賞味期限切れなど、食品ロス削減には、一人ひとりの理解と心がけが必要不可欠です。
この記事では、食品ロス削減に貢献する原料と関連記事をご紹介するとともに、日本の食品ロスの発生状況と、フードサプライチェーンの各段階で実践できる具体策をご紹介します。
食品ロス削減に貢献する原料のご紹介
アップサイクル原料
本来廃棄されていた食材や食料を加工して、新たな価値ある商品へと生まれ変わらせた「アップサイクル原料」は、こちらの記事でご紹介しています。
シェアシマでは「大切な食資源を活かす」ため、未利用の原料情報も公開しています。
>>【シェアシマ】でアップサイクルプロジェクトの原料を見る
酸化防止剤
食品の変色を防いだり保存性を高めて食品ロス削減に貢献します。
- キプカロン™T|扶桑化学工業株式会社
- オキシナジー™|扶桑化学工業株式会社
- キプカロンFR|扶桑化学工業株式会社
- SeiSai-BY|株式会社ウエノフードテクノ
- SeiSai-FV|株式会社ウエノフードテクノ
日持ち向上剤
食品の保存性を高め食品ロス削減に貢献する「日持ち向上剤」はこちらの記事でご紹介しています。
パッケージの工夫
ガスや脱酸素剤を封入して食品を包装すること(ガス置換包装)で食品のロングライフ化(=食品ロスの削減)を可能にするパッケージは、こちらの記事を参考にしてください。
関連セミナー(アーカイブ配信中)
- シェアシマ商品開発セミナー|食品ロス削減にも貢献!賞味期限を延長させる原料の活用方法(2023年9月27日開催)
- シェアシマ食品ロス削減セミナー|食品ロス削減に向けての取り組み事例のご紹介(2023年2月14日開催)
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食品ロス発生量は、事業系・家庭系あわせて472万トン
日本の食品ロスは推計で472万トン、そのうち「事業系」が236万トン、「家庭系」が236万トンで、食品の生産・流通から家庭におけるまで多くの食べ物が捨てられています。(農林水産省及び環境省2022年度推計)
食品ロスの発生要因は、事業系では、製造・流通・調理の過程で発生する規格外品、 返品、売れ残り、外食事業による作り過ぎ、食べ残しなど。家庭系では、未開封のまま食べられずに捨てられるケースや、食べ残し、過剰除去などが挙げられます。(※1)
※参考1:農林水産省「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」令和6年7月時点版
多くの食料を輸入しているにも関わらず…
日本の食料自給率はカロリーベースで38%(※2)と、諸外国に比べて食料供給に対する国内生産の割合が低く、 食料の多くを輸入に頼っています。 また、日本では、9人に1人の子どもが貧困であるというデータ(※3)もあります。にも関わらず、たくさん食べ物を捨ててしまっている現状を、私たちは何とかして変えていかなくてはなりません。
※参考2:農林水産省「令和5年度の食料自給率」
※参考3:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
食品ロスによって生じる環境・経済的問題
食べられる食品を捨ててしまうことは「もったいない」だけでなく、環境や経済に関わる問題もはらんでいます。
環境への負荷
食品ロスによる深刻な問題のひとつが、廃棄物の運搬や焼却時に大量のCO2(二酸化炭素)を排出することです。CO2の増加は、地球温暖化の主な原因として知られています。食品は多くの水分を含むため、焼却にたくさんのエネルギーを使い、 かつCO2が発生します。
国連環境計画の食品ロスに関するレポート(UNEP Food Waste Index Report 2021)によれば、世界の温室効果ガス排出量のうち8〜10%が食品ロスに関連するものから発生していると推定されています。(※4)
実際に100トンの食品ロスを削減すれば、 46トンものCO2を削減することができます。食品ロス削減は、環境負荷の少ない循環型社会の構築に重要な施策といえます。
生産コストや廃棄にかかる経済的損失
食品が消費者のもとに届くまでには、生産・加工・流通コスト、さらには、それに関わった人の時間や労力まで、膨大なコストとエネルギーを必要とします。
日本では、食品ロスを含む一般廃棄物の処理費用に年間2兆円以上が使われています。食品ロスを削減できれば、これにかかる経済的損失も同時に減らしていくことができます。(※5)
※参考4:国連環境計画「UNEP Food Waste Index Report 」
※参考5:環境省「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和4年度)について 」
目標は2030年度までに食品ロスを半減
政府は、2030年度の日本の事業系・家庭系食品ロスをそれぞれ2000年度(事業系547万トン・家庭系433万トン)と比べて半減させることを目標とし取り組みを進めています。事業系は2022年度の推計で初めて目標を達成し、食品ロス量全体でも半減の水準はクリアしましたが、家庭系は目標に届いていません。
目標を達成するためには、一人ひとりが食品ロス削減の意識を持って取り組んでいくこと、また、国や地域、事業者、個人が連携し活動を広げていくことが大切です。
農林水産省では、「食品廃棄物等の発生抑制の取組」のひとつとして、発生抑制の業種別目標値を設定しています。詳細は農林水産省の公式ページ(外部リンク)に公開していますので、取り組みの目安としてご活用ください。

フードサプライチェーンの各段階でできること
消費者庁が発行する「食品ロス削減ガイドブック」(※6)では、「様々な企業や団体で実践できること」として、食品ロス削減のための具体的な対策を提案しています。その中から、食品事業者が実践できる取り組みをいくつかご紹介します。
規格外食材や流通できなかった食材の活用
- 生産地の直売所などで販売
- インターネットでの販売
- 加工食品の原材料として活用
流通規格外の野菜や自然災害等で傷ついた果物、獲れすぎた魚等をはじめとした産地ロスや商習慣で発生する事業系食品ロス。これを、多くの人が集まるプラットフォーム上で展開して必要とする人に届けたり、最新の冷凍技術・加工技術を用いて未利用資源を新たな価値に転換することで、食品ロスを削減することができます。
食品業界のデジタル化を促進させるWebプラットフォーム「シェアシマ」もぜひご活用ください。
製造時に食品ロスにしない工夫
- AI(人工知能)の活用や、加工の工夫
- 容器包装の工夫等による賞味期限の延長
- 賞味期限の年月表示化(大括り化)
持続可能な社会の観点から、製造時に食品ロスを生まない工夫が求められています。AIを活用した識別技術で廃棄量を減らす、容器の構造を工夫することで鮮度を保持する、消費者が無駄なく使えるよう個包装にするなど、さまざまな工夫が可能です。
商習慣の見直し
サプライチェーンにおいては、賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例、いわゆる「3分の1ルール」があります。このルールのもとでは、賞味期間の3分の1以内で納品できなかったものは、賞味期限までまだ日数があるにも関わらず廃棄となる可能性があります。このため、厳しい納品期限を緩和することは食品ロスの削減につながることが期待されます。
食品事業者から消費者への情報提供・啓発
店舗内で「食品ロス削減に取り組んでいます」と宣言し、消費者に食品ロス削減についての協力を呼びかけたり、家庭で捨ててしまいがちな食材を調査して購入後もおいしく食べきってもらうための情報やレシピを発信するなど、消費者への呼びかけを実践する企業もあります。
食品ロスについて知らない人や、どう取り組んでいいかわからないと思っている人に情報提供することで、意識や行動変革のきっかけとなり、企業としては社会貢献に繋がります。
※参考6:消費者庁「食品ロス削減ガイドブック」
シェアシマ掲載の「食品ロス削減に貢献する原料」をチェックする
食品ロス削減には、食品ロスがもたらす負の影響を正しく理解し、社会全体で取り組んでいくことが大切です。
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