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牡蠣の殻は再利用できる!用途や特徴、石灰肥料の活用事例を紹介

牡蠣を食べた後に殻を捨てる方も多いと思いますが、実は意外な再利用方法があることをご存じでしょうか。肥料やインテリア、アクセサリーに利用できるだけでなく、アメリカの海水浄化プロジェクトにも活用されるなど、捨てずに再利用することができます。

この記事では、牡蠣の殻の特徴や再利用方法、地域別の事例を紹介します。牡蠣の殻が廃棄されている現状についても解説するので、牡蠣の殻の再利用に興味がある方はぜひ参考にしてください。

牡蠣の殻の廃棄の現状

日本では各地域の堆積場に牡蠣の殻が大量に廃棄されていて、堆積場が満杯になっているのが現状です。

牡蠣の殻は肥料や飼料への加工が可能なものの、地域によって利用量の差があります。再利用への取り組みが少ない地域は堆積場に大量の牡蠣の殻が投棄されていて、高額の費用を捻出して溶融処理を行わなければなりません(※)。

生産者だけでなく、自治体にも大きな負担が生じていることから、牡蠣の殻の再利用への取り組みが実施されています。

※参考:糸島地区カキ殻リサイクル研究会「福岡県リサイクル総合研究センター平成24年度 研究成果発表会」

牡蠣の殻の捨て方

牡蠣の殻の主成分はカルシウムなので、燃やすことができます。そのため、可燃ゴミとして取り扱っている自治体が多いです。ただし、 焼却設備が充実していない場合は、埋め立てられる場合もあります。

牡蠣の殻の特徴

牡蠣の殻には、独自の特徴があります。殻に含まれる成分に大きく関係するため、ここで牡蠣の殻の主成分と効果を紹介しましょう。

牡蠣の殻の主成分

牡蠣の殻の主成分は炭酸カルシウムで、全体の9割以上を占めています。残りの1割はカリウムやマグネシウム、窒素や鉄です(※)。

※参考:フジクリーン工業株式会社「牡蠣|水の話」

牡蠣の殻の効果

牡蠣の殻は土壌を良くする作用や、水質を安定させる作用が期待できます。肥料で得られる土壌への効果には次のようなものがあります(※1)。

  • 土を柔らかくして、土壌が硬くなることを防ぐ
  • 作物の栄養吸収率を向上させる


続いて、水質を安定させる効果を紹介します。

  • 殻に付着した好気的微生物が有機物を酸化分解する
  • 主成分の炭酸カルシウムが水質を中性化する


牡蠣の殻は土を柔らかくしたり、作物の栄養吸収をサポートする効果があるため、肥料として活用されています。また、牡蠣の殻を水中に入れることで、有機物を分解したり、水質を中性化させたりする効果もあり、注目を集めています。

土木学会西部支部が行った水質実験によると、牡蠣の殻を入れていない水槽よりも、殻を入れている水槽のほうが濁りにくいという結果が出ました(※2)。ただし、牡蠣の殻は長期的に水の中に置いておくと効果が失われていくため、水質を安定させる効果を期待するのであれば、定期的に交換することが大切です。

※1参考:丸栄株式会社「肥料事業」
※2参考:土木学会西部支部「牡蠣殻による水の浄化について」

牡蠣の殻を再利用する方法



牡蠣の殻は肥料や水質安定剤以外にも、形や素材を活かした方法で再利用されています。牡蠣の殻がどのように活用されているのでしょうか。ここでは、3つの再利用方法を紹介します。

牡蠣の殻を原料にした有機石灰肥料

海のミネラル成分を豊富に含む牡蠣の殻の有機石灰肥料は、野菜や花の栽培に活用できます。

牡蠣の殻の主成分の炭酸カルシウムには、植物の病気を防止・改善する効果があるとされています。植物特有の病気にかかる心配が少なくなり、美しい花や草を長期的に楽しめます。

また、牡蠣の殻は植物の根や茎を強くし、栄養の効率的な吸収をサポートします。ミネラルやアミノ酸により野菜や果物の色つや・糖度・日持ちが向上するので、外観の美しさはもちろん、品質にも優れた野菜や果物を栽培できるでしょう(※)。

牡蠣の殻を利用した肥料は以前から販売されていましたが、加工時の高温焼成により、ミネラルやアミノ酸などの栄養素が失われていました。現在は、栄養素をそのまま維持する「低温乾燥方式」を採用する製造業者が増えたため、自然由来の栄養素を土壌に届けることが可能になりました。

※参考:株式会社グリーンマン「連作障害を防ぐ|カキ殻肥料~新製法・低温乾燥でミネラル保持」

牡蠣の殻の色合いを活かしたインテリア

牡蠣の殻の色合いを活かし、花瓶や装飾タイル、壁に付ける装飾品などのインテリアを手がけるデザイナーもいます。

牡蠣の殻を焼くと真っ白な粉状の灰になるため、陶器製作に必要な釉薬に使えます。釉薬とは、陶磁器の表面を覆うガラス質の部分です。釉薬の材料に牡蠣の殻の灰を使うことで、牡蠣の殻を連想させる独創的なインテリアに仕上がります。

また、牡蠣の殻は硬さもあるため、インテリア素材としても活用されています。粉砕した牡蠣の殻を鉱物や砂などと混ぜ合わせることで、より強固になるため、硬さが必要なインテリア素材として最適です。牡蠣の殻による美しい質感は、装飾タイルや壁に取り付ける装飾品など、さまざまな雑貨に活かされています。

繊細な技術で製作されたアクセサリー

牡蠣の殻をアクセサリーパーツに加工し、おしゃれな装飾品に仕上げるデザイナーもいます。

牡蠣の殻は、洗浄や消毒を行って不要物や微生物を除去すれば、装飾品に加工することが可能です。牡蠣の殻を平面に加工すると、自然の色合いを活かしたネックレスに仕上がります。殻を小さくカットして研磨すれば、クラフトパーツを作れます。

クラフトパーツはイヤリングやヘアゴム、指輪、ジッパーチャームなど、幅広いアクセサリーや雑貨に付けられます。牡蠣の殻の色合いを活かしたアクセサリーは一つひとつ色味が異なるので、個性的なアクセサリーに仕上がります。

SDGsにもつながる、牡蠣の殻の再利用事例



牡蠣の殻は、持続可能な資源として注目されています。毎年大量に廃棄されている牡蠣の殻を有効活用するために、日本だけでなく、世界でも再利用に向けた取り組みがスタートしています。ここでは、福岡県糸島市とアメリカのニューヨークでの牡蠣の殻の再利用事例を紹介しましょう。

【福岡県糸島市】土壌改良剤として再活用

福岡県糸島市では、廃棄される牡蠣の殻の特徴を活かし、土壌改良剤を製作しています。

糸島市は牡蠣の養殖産業が盛んな地域で、市の重要な産業のひとつでもあります。2014年には500トンの牡蠣を生産し、地域の牡蠣小屋は多くの賑わいを見せました(※1)。しかし、生産量に伴って増える牡蠣の殻の処理費用に、生産者や自治体は頭を悩ませていたといいます。

そこで、生産者や自治体の負担を軽くするために、2010年に糸島地区カキ殻リサイクル研究会が発足。会の目的は、廃棄される牡蠣の殻を乾燥・粉砕し、土壌改良剤として活用することです(※2)。

研究を重ねて完成した土壌改良剤「シーライム」は2010年に販売を開始。自然素材を活用した新しい土壌改良材として注目を集めています。

※1参考:福岡県水産海洋技術センター「糸島地域におけるカキ養殖業の発展とカキ小屋の役割」
※2参考:糸島地区カキ殻リサイクル研究会「福岡県リサイクル総合研究センター平成24年度 研究成果発表会」

【ニューヨーク】浄化作用を活かしたプロジェクトを実施

アメリカのニューヨークでは、ニューヨーク湾の水質をきれいにする「ビリオンオイスタープロジェクト」が2014年から実施されています。

このプロジェクトは、約20年かけてニューヨーク湾全体に10億個の牡蠣を放すというもの(※)。水をきれいにする効果が期待できる牡蠣を大量に放すことで、ニューヨーク港の牡蠣礁を復元することが目的です。

プロジェクトにはハーバー・スクールの学生も参加していて、ニューヨーク湾の水質を改善するために、数多くの牡蠣を海に放しています。プロジェクト開始時は濁って何も見えなかった海も、徐々に濁りが解消されつつあるようです。

水質の悪い環境で育った牡蠣は、汚れを多く含んでいるため食べることはできません。しかし、このプロジェクトによって水質が改善し、牡蠣礁が復元されることで、将来的に品質のいい牡蠣を食べられると期待されています。

※参考:ビリオンオイスタープロジェクト「私たちのビジョン」

まとめ

牡蠣の殻は年間約20万トン生産されていて、そのうちの8割を占める牡蠣の殻が廃棄されています。殻を廃棄するには溶融処理を行わなければならず、生産者や自治体が高額の費用負担を強いられています。

こうした負担を抑えるべく、牡蠣の殻はさまざまな方法で再利用されるようになりました。肥料やインテリア、アクセサリーなど、特徴や主成分を活かした画期的な方法で活用されています。牡蠣の殻は持続可能な資源として注目を集めていて、今後も新たな再利用方法が生まれるかもしれません。


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執筆者プロフ
シェアシマ編集部

食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、累計記事執筆2,500以上の元新聞記者等々、30〜40代の編集メンバーを中心に運営中

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