
コオロギパウダーなぜ使われる?味や栄養価、安全性を解説
将来的な食糧不足やタンパク質危機などの解決策として、世界中で注目されている昆虫食。そのなかでも「コオロギパウダー」を使った商品が話題を集めています。
その一方で「昆虫やコオロギパウダーを食べるのは抵抗がある」という人も少なくありません。 この記事では、コオロギパウダーが使われる理由とともに、味や栄養価、安全性について解説します。
コオロギパウダーが使われている食品
コオロギパウダーは粉末状になっているため、見た目だけではコオロギを使っているかどうかはわかりません。
無印の商品が話題に|「コオロギせんべい」「コオロギチョコ」
無印良品が2020年に発売したコオロギせんべい。食用コオロギの生産量が国内トップの徳島大学のベンチャー企業・株式会社グリラス(徳島県鳴門市)と株式会社良品計画(東京都豊島区)が共同で開発した商品です。昆虫食の第一弾として発表したもので、エビによく似た風味があり薄くて食べやすいと人気を集めました。
2021年にはコオロギパウダーを使ったコオロギチョコを発売。タンパク質が多く含まれていて、プロテインバーのような感覚で食べられる商品です。原材料にはオレンジ果汁パウダーなども含まれていて爽やかな香りがあるのも魅力です。
コオロギフードはダイソーや学校給食にも
コオロギせんべいの人気を受けて、100円均一ショップのダイソーでの販売も始まりました。また、グリラスは2022年に徳島県の高等学校の学校給食にコオロギパウダーを供給。学生たちが考案したオリジナルメニュー「グリラスかぼちゃコロッケ」が給食として提供され、話題を呼びました。
別名・クリケットパウダーでの表記も
コオロギは英語で「クリケット」と呼ばれていて、コオロギパウダーは別名「クリケットパウダー」と表記される場合があります。
コオロギパウダーはなぜ食品に使われるのか
食品業界ではコオロギパウダーを使った商品開発が進んでいて、これは日本に限った話ではありません。
世界的に高まる昆虫食の期待|コオロギが筆頭に
世界的な人口増加により、将来的な食糧不足やタンパク質危機などの問題が心配されるようになりました。昆虫食はこうした事態を回避するために有効な食材であり、昨今注目を集めています。
昆虫食といってもさまざまな種類がありますが、コオロギは室内で養殖でき、成虫になるまでの時間が短いことから、海外では盛んに生産されています。大量に生産することで安価かつ安定的な価格で入手できることも、大きな特長です。
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気になるコオロギパウダーの味と栄養価
コオロギパウダーは、どのような味なのでしょうか。気になるコオロギパウダーの味と栄養価について解説します。
コオロギパウダーの味
コオロギパウダーにはナッツのような香りがあり、味はエビによく似ています。クセが少なく食べやすい食材です。初心者など「味が心配」という場合は、濃い味付けの料理や、スパイスなど香りのある焼き菓子などに加えると食べやすくなります。
コオロギの栄養成分:タンパク質を鶏ささみ肉と比較
コオロギはタンパク質を豊富に含有しています。商品によって若干異なるものの、コオロギ100gあたり、タンパク質は約67gです。一般的にタンパク質が多いと言われる鶏ささみ肉の場合、100gあたりのタンパク質量は約23gです。コオロギパウダーが多くのタンパク質を含んだ食材であることがよく分かります。
また、コオロギには人間の体内でつくることのできない必須アミノ酸が豊富に含まれています。そのほか、オレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸や食物繊維、ミネラルも多く含有しています。
コオロギパウダーはプロテインとしてのニーズも
タンパク質が豊富に含まれるコオロギパウダーは、プロテインとしてもよく使われていて、「クリケットパウダー」の名称で販売されることが多いです。ほかの動物性タンパク質と比べて少量のえさと水で生産できるので、サステナブルなプロテインといえます。
コオロギパウダーの安全性とアレルギーの危険性
コオロギパウダーを食べることで、エビなどの甲殻類のようなアレルギー反応が出るケースがあります。現状では、昆虫食にはアレルギー表示が義務化されていません。食物アレルギーが気になる場合は、初めて食べるときには十分に注意して、少量から試すようにしてください。
昆虫食への心理的な抵抗がある
昆虫食に対して「虫が苦手」「食べたくない」という心理的な抵抗を抱えている人も少なくありません。
パスコのコオロギパンの炎上、不買運動とは
Pasco(パスコ)では2020年12月にコオロギパウダーを使用した「Korogi Cafe」シリーズをスタート。製パン業界では初めての試みで、賛否両論の声が出ることは予想されていました。しかし、2023年2月ごろからSNSを中心に想定を超えたネガティブな反応があり、一部では不買運動にまで発展しました。
アレルギーを起こす場合も
昆虫食に対して「虫が苦手」「おいしくなさそう」という心理的な抵抗を抱えている人も少なくありません。コオロギパウダーのように、虫をイメージさせないような形状にしたり、クッキーやカレーなどに混ぜて使ったりすることで、昆虫食へのハードルを下げることができるでしょう。
入手しづらい傾向がある
昆虫食のニーズは日本ではまだ少なく、スーパーやコンビニエンスストアなどでは入手しづらい傾向があります。一方で、インターネット通販ではコオロギパウダーの取り扱いが増えています。無印良品のコオロギせんべいをはじめ、昆虫食をテーマにした商品やレストランも少しずつ増加しているので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
たびたびSNSで話題になるコオロギパウダーは、タンパク質が豊富に含まれていて、特に栄養面でのメリットが多い食材です。一方で、多くの人にとっては昆虫を食べることへの抵抗感があるなど、食品としての普及に向けては、まだ課題がある状況と言えそうです。一過性のトレンドで過ぎ去ってしまうのか、それとも未来のタンパク質危機を救う存在になるのか、今後も動向に注目したいと思います。