
卵の価格高騰が食品開発に与える影響|注目の代替素材と持続可能な対応策
卵の価格高騰は、食品業界にとって深刻な課題となっています。それに加えて、近年は鳥インフルエンザや飼料費の高騰、物流コストの上昇などが重なり、卵の供給が不安定で先の見通しがつかない状況です。これにより、卵を多く使用する製品の価格上昇や、製造工程の見直しが求められています。
本記事では、卵の価格高騰の背景とその影響、そして食品開発現場での対応策として注目される代替素材「プラントベースエッグ」について詳しく解説します。また、食品開発の現場で直面する課題とその解決策についても考察します。

卵の価格高騰はいつから?価格推移と影響
国内の卵価格は、近年急速に上昇しています。卸売価格や卵液の価格が変動することで、食品メーカーの原材料コストや製造計画に直接影響を与えていて、業界全体で対応が求められています。ここでは、価格推移とその影響をデータを交えて解説します。
卵・卵液の価格推移
日本国内における卵の価格は、過去にも変動を繰り返してきましたが、特に2022年から2023年にかけて急激な高騰が見られ「卵ショック」「エッグショック」とも呼ばれました。一般社団法人日本養鶏協会のデータによると、2022年の卵の平均価格は前年比で約20%の上昇を記録しました。
2024年1月の卵の価格は「180円/kg 」まで下落したものの、同年12月には「290円/㎏」にまで再び高騰しました(※)。
また、業務用のニーズが高い卵液の価格も同様に上昇しており、従来の価格での供給が難しくなっています。これにより、食品メーカーは原材料費の増加に直面し、製品価格の見直しが急務となっています。
※参考:一般社団法人 日本養鶏協会「鶏卵価格の年次別月別推移」
食品業界での卵の使用制限
卵の価格高騰と供給量の減少により、多くの食品メーカーが卵の使用量を制限するほか、代替素材の導入を検討しています。特に、卵を大量に使用する製品(プリンやマヨネーズ、ケーキなど)では、製品のレシピ変更が進められています。
卵の価格高騰の主な原因
卵価格の高騰には、単一の要因だけでなく、複数の要素が重なっています。鳥インフルエンザや飼料価格の上昇、エネルギー・物流コストの増加など、背景を整理することで、今後の見通しや対策のヒントが見えてきます。
鳥インフルエンザによる鶏の殺処分
鳥インフルエンザの発生は、卵の供給不足を引き起こす主要な要因の一つです。2022年から2023年にかけて、日本国内で発生が確認され計1771万羽のニワトリが殺処分されました。これにより、卵の生産量が大幅に減少し、供給不足が価格高騰を招きました(※)。
2025年1月は各地の養鶏場で「高病原性鳥インフルエンザ」が流行し、過去最多のペースで急増しました。
※参考:読売新聞オンライン「鶏卵高騰『エッグショック』懸念、鳥インフル急拡大で殺処分が最悪ペース…業者「防ぎきれない」
輸入飼料価格の上昇
飼料の多くは輸入に依存していて、世界的な需給バランスの影響を受けやすい状況です。特に、穀物価格の上昇や為替の変動が飼料コストに直結し、鶏の飼育コストを押し上げています。これにより、卵の生産コストが増加し、最終的な販売価格に影響を与えています。
燃料・電気・物流コストの上昇
エネルギー価格の上昇や物流コストの増加も、卵の価格高騰に関わっています。鶏舎の温度管理や照明、輸送など、多くの工程でエネルギーを消費していて、これらのコスト上昇が生産コストに反映されています。また、物流の混乱や運送費の高騰も、卵の供給に影響を及ぼしています。

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食品開発現場に与える影響
卵は食品開発において、風味・食感・乳化・色づきなどさまざまな役割を持っています。しかし価格高騰の影響で、従来通りのレシピや使用量ではコスト管理が難しくなっています。ここでは、現場に与える影響と対応の方向性を整理します。
食品開発現場における卵液の役割
卵液とは、卵の殻を取り除いた後、黄身と白身を攪拌したもの。保存性や利便性に加えて、価格が安定していることから、製パンや菓子などの食品メーカーでよく利用されてきました。材料のつなぎ、風味の付与、色合いの調整、食感の調整、そして乳化安定化などの役割を果たしています。
代替素材の導入やレシピ検討
卵の高騰に対応するため、多くの食品メーカーが代替素材の導入を進めています。たとえば、アクアファバ(ひよこ豆の煮汁)や豆乳、でんぷん類などが代替素材として注目されています。これらの素材は、卵の機能を部分的に代替することが可能であり、コスト削減や製品の差別化に寄与しています。
代替素材としての選択肢「プラントベースエッグ」
卵の価格高騰に対応する手段として、植物由来で卵の機能を再現する「プラントベースエッグ」が注目されています。従来の卵液と比較したメリットや課題、導入時の工夫について解説します。
注目の「プラントベースエッグ」とは
「プラントベースエッグ」とは、植物由来の原材料を使用して卵の機能を再現した製品です。大豆やひよこ豆、でんぷん類、こんにゃく等などを組み合わせることで、卵の乳化作用や泡立ち、色合いなどを再現しています。これにより、卵の使用を減らしつつ、製品の品質を維持することが可能となります。
価格面の課題を乗り越える工夫
プラントベースエッグは、製造コストが高くなる傾向がありますが、原材料の調達先の見直しや製造工程の最適化、スケールメリットの活用などにより、コスト削減が可能です。また、製品の差別化や健康志向の消費者ニーズに応えることで、付加価値を高めることができます。
*今話題のプラントベースエッグ「畑から生まれたたまご」を開発した、JA全農たまごとカゴメの担当者に開発エピソードとこれからについてインタビューしました。こちらから記事全文をご覧ください。
関連記事:注目集まるプラントベースエッグ「畑から生まれたたまご」とは~JA全農たまご×カゴメ×シェアシマが語る、開発とこれから~
まとめ
卵や卵液の価格高騰は食品開発に大きな影響を与え、従来通りのレシピを維持することが難しくなっています。そのため、使用量の調整やレシピの見直しが求められる状況です。
一方で、卵や卵液の代替素材やプラントベースエッグが注目されつつあり、将来的な選択肢として検討が進んでいます。価格面ではまだ課題もありますが、こうした素材の動向も踏まえながら、柔軟な開発が必要です。
シェアシマでは、商品開発のための価格シミュレーションのご相談にも対応しています。卵液を使用した商品の再検討や代替素材の導入についてご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


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