
時代で文化は変わっていく~中国が食べ残しに罰金
食文化には地域性がある、というのは皆さん体感したことがありますよね。日本料理、中華料理、フランス料理などの料理自体の違いもさることながら、食事マナーにも国や地域によって独自性があります。
今回は中国の食事マナーから文化の変遷について考えてみましょう。
食べ残しを法律で禁止
中国では外食で客をもてなす際、もてなす側が食べきれないほどの食事を注文し、客はわざと料理を残すという文化があります。日本では「もったいない」という土台が共通しているためか、食事を残すのはあまりよくないイメージがありますよね。日本では子供のころに「残さず食べなさい」と育てられた人も多そうですが、中国では逆に食べ残すことで有り余るほど満たされ感謝しているという意味合いになるのだそうです。
しかし近年の世界的な食品ロス削減の流れや将来の食糧不足を警戒し、中国政府は食べ残しを減らすよう取り組みを進めてきました。2021年4月29日には食品の浪費を禁じる「反食品浪費法」が可決。禁止された大食い番組や動画の公開にはおよそ170万円以下の罰金、客に過剰に注文させた飲食店にもおよそ17万円以下の罰金が科せられる可能があるといいます。
法律と礼儀、どちらが大事?
文化を法律で取り締まるのは日本では考えにくいですが、中国らしいとも言えそうなこの法整備。トップダウンで食べ残しをしない新しい文化が生まれるのか、それともこれまでの文化はそうたやすく変化しないのか。
一人ひとりの感覚では、おいしそうに完成している料理をゴミ箱に捨てることに罪悪感を覚えている人も多いのではないかと考えられます。ただ、マナーとして残すのが正しいとされている中では、礼儀を欠くわけにはいかないからと大量の食べ残しも是としているのではないでしょうか。法律と礼儀のどちらをとるか、中国の人々の判断に今後も注目していきたいと思います。
フードロス削減を大きなうねりに
フードロスの削減は中国だけに限らない、世界的課題です。自分一人だけが行動しても何も変わらないと思ってしまうかもしれませんが、地球上の人々の多くが「行動しよう」と考えて動き出せば、それは全体の大きなうねりとなります。
始めないことには、何も始まりません。一人ひとりが意識し、少しずつでも行動に移していけばやがて結果に繋がります。買いすぎない、腐らせない、食べ残さない。できるところから実践してみてくださいね。