
おいしい減塩のコツ【番外編】|フードテックによる減塩方法
おいしい減塩のコツ前編、後編では、私たちが味を感じる仕組みから、日本人の塩分摂取量の現状、塩味を強く感じさせるための商品開発のポイントと商品事例をご紹介しました。今回は、フードテックによる減塩方法をご紹介します。
現在、電気刺激を食品や人体へ与えることによって、塩味を強く感じさせることがわかっています。その原理は、料理を食べる際の食器に人体に影響しない微弱な電流を通すことで、食材に含まれるナトリウムイオンを舌に集中させ、食塩濃度が低くても濃く感じさせるというものです。
カトラリーや食器への応用
キリンホールディングス株式会社が開発したのが、電気の力で減塩食品の塩味やうま味を増強する「エレキソルト スプーン」と「エレキソルト -椀-」。減塩食品の塩味を1.5倍ほど増強させる独自の電波技術を搭載したスプーンやお椀です。
スプーンは、料理をすくう部分と持ち手の柄の部分に電極が付いており、それを使用して料理を口へ運ぶと、微弱な電流によって料理の中の塩分に含まれるナトリウムイオンが集まり、舌に塩味を強く感じさせる仕組みになっています。
お椀の場合は、お椀の底部を手で持つことで、お椀内部に微弱な電流が流れて効果を発揮。塩味を強く感じさせます。
※参考:キリンホールディングス株式会社「電気の力で減塩食品の塩味やうま味を増強する『エレキソルト スプーン』5月20日(月)より公式オンラインストアにて数量限定で販売を開始」
※参考:キリンホールディングス株式会社「電気の力で、減塩食の塩味を約1.5倍※2に増強するスプーン・お椀を開発」
ウェアラブル機器への応用
電気刺激を応用した減塩方法には、装着型のものも開発されています。味の素株式会社が開発するウェアラブル機器もその一つです。耳や首にかけて体に機器を密着させることで下あごや首に対して経皮的に電気刺激を与え、塩味の感度を向上させる仕組みになっています。それにより、口にした瞬間はもとより、口の中で噛んでいる瞬間だけでなく飲み込む間まで効果を実感することができます。さらに、液体に限らず固体の料理にも同様の効果が得られるそうです。
同社専門家による評価では、減塩食の塩味が1.6倍ほど増強されたと報告されています。
それ以外に、うま味、酸味の増強、風味の変化にも影響を与えることがわかっています。
※参考:味の素株式会社「電気の刺激で味覚が変わる!?「おいしい減塩」を実現する味の素社の「電気調味料」とは?」
※参考:味の素株式会社「味の素㈱、東京大学、お茶の水女子大学との共同研究で「電気調味料」の技術を開発」
関連記事:おいしい減塩のコツ【前編】|味を感じる仕組みと日本人の塩分摂取量の現状
関連記事:おいしい減塩のコツ【後編】|塩味を強く感じさせるための工夫~商品開発に役立つポイント6つ
シェアシマ掲載の「減塩」の関連原料をチェックする
フードテックの進展により、私たちは新たな食のステージに向かっています。塩味はおいしさの決め手となる要素ですが、健康面を考慮すると、減塩は避けられません。今回、3回にわたってご紹介したさまざまな工夫を取り入れ、商品開発や消費者へのアプローチのヒントとしていただければ幸いです。
シェアシマ掲載の「減塩」関連原料をチェックする >
(初めてのご利用の場合、こちらから会員登録をお願いします)
ご希望の商品が見つからない方は、シェアシマ事務局までお問い合わせください。皆さまの原料探しを全力でサポートをさせていただきます。

食品業界に携わる方々に向けて、日々の業務に役立つ情報を発信しています。食品業界の今と未来を示唆する連載や、経営者へのインタビュー、展示会の取材、製品・外食トレンドなど話題のトピックが満載!さらに、食品開発のスキルアップや人材育成に寄与するコンテンツも定期的にお届けしています。