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菌類による代替タンパク質「マイコプロテイン」とは|メリット・デメリット、製品例を解説!

菌類による代替タンパク質「マイコプロテイン」とは|メリット・デメリット、製品例を解説!

急成長中の代替タンパク質市場のなかで、新たに注目を浴びている「マイコプロテイン」。菌類によるタンパク質で、タンパク質危機の回避にもつながると話題になっています。この記事では、マイコプロテインの概要や栄養と共に、メリットとデメリット、マイコプロテインを利用した製品事例・取り組みについて解説します。

マイコプロテインとは|菌類による新たなタンパク質

マイコプロテインは、キノコのタンパク質を発酵させて作られた代替肉です。マイコプロテインをさらに加工することで、さまざまな商品を作ることができます。
マイコプロテインの開発は、世界人口の増加による食糧危機を回避する目的で、1980年代のイギリスで始まりました。初期の頃はイギリスのクォーン社が独占して開発していましたが、特許の期限が過ぎた後は、さまざまな企業がマイコプロテインの市場に参入するようになりました。

マイコプロテインのメリット



マイコプロテインには栄養やコスト、環境への影響の面で大きく3つのメリットがあります。

マイコプロテインの栄養|タンパク質と食物繊維が豊富

マイコプロテイン100gあたりのタンパク質は12~14gであり、卵や豆腐などと比べて多くのタンパク質を含んでいます。
また、ほかの代替タンパク質と比較して食物繊維を豊富に含有していることも大きな特徴です。クォーン社のマイコプロテインのひき肉100gあたりの食物繊維は7.5gとされています。これは、一般的に食物繊維が多いとされるごぼうやさつまいもの食物繊維を上回る量です。

製造にかかるコストが抑えられる

マイコプロテインは、通常の肉類と構造がよく似ています。そのため、ほかの代替肉と比べて肉らしさを出すための加工が最小限で抑えられます。結果的に、製造にかかるコストを抑えることができます。

環境負荷が少ない

マイコプロテインは、原料の調達から廃棄・リサイクルまでに輩出される温室効果ガスの量をCO2に換算した「カーボンフットプリント」が少ないとされています。一般的な牛肉と比較して、その量は40分の1といわれています。マイコプロテインは、環境負荷が少ない代替タンパク質といえそうです。

マイコプロテインのデメリット

マイコプロテインのメリットばかりが注目されがちですが、デメリットはあるのでしょうか。ここでは、マイコプロテインのデメリットを2つ紹介します。

特有の香りがある

マイクロプロテインは特有の香りや酸味があるそうです。このデメリットを克服すべく、クォーン社ではマイコプロテインに味を付けたソーセージやステーキ肉などの商品が販売されています。

日本では入手が困難

現状では、マイコプロテインの商品はクォーン社のものが大半を占めています。欧米のスーパーマーケットでは販売されているものの、日本では商品展開がまだ行われていないため、日本では入手が困難な状況です。

マイコプロテインを利用した製品・取組事例



マイコプロテインを利用した製品や取組事例にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、欧米で大人気の「クォーン」と、オマーン投資庁との連携事例を紹介します。

欧米で大人気の製品「クォーン」

欧米では30年以上前から、肉の代替食品「クォーン」が販売されていてヴィーガンやヘルシー志向の人たちから支持されています。英カーディアン紙によれば、クォーンの2017年の成長率はヨーロッパが27%、アメリカが36%となっていて、市場が急速に拡大しています。

オマーン投資庁との連携事例

オマーン投資庁はフードテックイノベーター「マイコテクノロジー」とジョイントベンチャー「バイタル・フーズ・テクノロジーズ」を設立しました。今回のパートナーシップによって、余った大量のオマーン産デーツを利用して、キノコ由来のマイコプロテイン食品の生産に取り組む予定です。

まとめ  

次世代の代替タンパク質であるマイコプロテイン。現代人に不足しがちな栄養が豊富で環境負荷も少ないことから、話題を集めています。日本では入手が困難であるものの、欧米ではすでに人気があり、オマーン投資庁との連携事例などさまざまなプロジェクトが進行しています。マイコプロテインが日本に上陸する日は、そう遠くないかもしれません。

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