抗糖化とは?糖化を改善する食べ物やお茶について解説
「糖化(glycation)」という言葉が、アンチエイジングや美容・健康の分野で大きな注目を集めています。
糖化とは、体内の余分な糖がタンパク質や脂肪と結びつくことで「体のコゲ」とも呼ばれる老化物質を作り出す現象のこと。見た目の老化だけでなく、血管・皮膚・臓器などの機能低下にも関与するとされ、食品開発の新たな切り口として“抗糖化”の視点が求められています。
そこで、本記事では、糖化の概要とともに、糖化の症状や影響、糖化を防ぐ食材・お茶について解説します。

抗糖化とは

糖化とは、食事によって摂り過ぎた余分な糖とタンパク質や脂質が結びつくことで「終末糖化産物(AGEs)」を生成する現象です。
この反応は「メイラード反応」と呼ばれていて、具体的な例としては、パンや肉の“焼き色”“コゲ”、他に味噌や醤油などの変色にも関わっています。
抗酸化との違い
糖化とよく似た言葉に「酸化」があります。酸化は、活性酸素が細胞にダメージを与える反応であり「体のサビ」とも呼ばれます。
活性酸素には殺菌作用などの体に有用な働きがある一方で、過剰に発生すると有害なものに変わります。本来、私たちの体には「サビ止め」をする作用が備わっているものの、不健康な食事や生活習慣によって活性酸素が過剰発生してしまいます。
また、糖化によってタンパク質が変性・劣化すると、酸化のダメージを助長することにつながります。この意味では、糖化と酸化はお互いに関わっていて、この両方が重なることで健康を害するリスクが高まります。
糖化は老化?アンチエイジングとの関係
さまざまな研究結果から、AGEsが体内に過剰に蓄積すると、皮膚や血管の老化につながることが示されています。
別の言い方をすれば、抗糖化を意識することはアンチエイジングにつながるといえます。
※参考:株式会社明治「老化を促進する『糖化』とは?仕組みと糖化対策を解説」
※参考:医療法人社団わかと会「抗糖化コラム “糖化”と“酸化”」
※参考:PRESIDENT Online「『酸化』と『糖化」がアンチエイジングのキーワード」
糖化の症状・影響

糖化が進むと、具体的にどのような症状や影響が出てくるのでしょうか。代表的な症状としては、肌の老化、動脈効果などの血管への影響、アルツハイマー病の進行リスクなどが挙げられます。
肌の老化現象としては、糖化によって皮膚のコラーゲンやエラスチンが変性し、ハリが低下します。また、AGEsが蓄積することで、血管壁にプラークが付着したり、プラークが広がって血栓化することで動脈硬化が進みます。
糖尿病の人は認知症の発症リスクが高いことから、アルツハイマー病の発症や進行に糖化が関わっている可能性が示唆されています。
糖化は黄ぐすみの原因にも
肌の「黄ぐすみ」や「くすみ」は、AGEsの沈着が一因とされています。花王株式会社の研究では、AGEsが蓄積することによって、肌の透明感が失われ、黄みを帯びたくすみが現れることを発表しています。
※参考:株式会社明治「老化を促進する『糖化』とは?仕組みと糖化対策を解説」
※参考:PR TIMES「あなたの肌のくすみは、茶色?黒?黄色?くすみの原因をわかっていない人は半数以上!花王スキンケア研究所研究員が、黄ぐすみの要因を解説」

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糖化を防ぐ・改善する食べ物/食べ方

甘いものや炭水化物の摂りすぎなど、血糖値を急激に上げる食生活も糖化を早める原因となります。
食品には、血糖値を上昇させやすい高GI(グリセミック・インデックス)の食品と、上昇させにくい低GI食品があります。主食の場合、白米や食パン、うどんなどは高GIですが、そばや玄米、全粒粉のパンなどは低GIです。糖化を防ぐには、低GIの食品を選ぶことが重要です。
また、食べ方の工夫によっても、糖化を防ぐことができます。ポイントは、野菜などを先に食べてから、肉や魚などの主菜、最後にごはんを食べるということです。この順番で食べることによって、血糖値の急上昇を抑えることができます。
野菜には食物繊維が多く含まれていて、これを先に食べることによって、糖の吸収を遅らせることができ、急激なインスリンの分泌を抑制できます。
さらに、調理方法としては「低温」「短時間」を意識することも大事です。AGEsは、高温調理(揚げ物・グリルなど)によって増えるとされています。糖化を防ぐには、煮る・蒸すなどの調理をメインにすることが理想です。
※参考:大正製薬 インナーケアコラム「糖化を防ぐために取り入れたい『7つの抗糖化習慣』」
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糖化を防ぐ・改善する飲み物とお茶

糖化を防ぐ飲み物やお茶にはどのようなものがあるのでしょうか。ある研究によれば、茶カテキンにはAGEs抑制作用があるとされていて、高濃度の茶カテキンを含む「濃い緑茶」には抗糖化作用が期待されています。ただし、緑茶にはカフェインが含まれているので注意が必要です。
糖化を防ぐノンカフェインのお茶としては、甜茶やドクダミ茶、ルイボスティーなども注目されています。甜茶に含まれる「エラグ酸」やドクダミ茶に含まれる「クエルシトリン」などのポリフェノールには、AGEsを分解する作用も期待されています。
※参考:日本経済新聞「肌のたるみ、くすみを解消 糖化を防ぐ7つのお茶」
コーヒーは糖化予防にも
コーヒーに含まれるクロロゲン酸などのポリフェノールには、AGEs生成を阻害する作用が期待されています。ただし、加糖タイプのコーヒーでは糖化リスクを高めるため、「無糖」で飲むことが大切です。
まとめ
抗糖化は、老化や生活習慣病の予防、美容維持に関わる重要なテーマです。食材や調理法、飲料の設計を工夫することで、糖化の進行を抑えることができます。美と健康の両面から注目される“糖化”を理解し、抗糖化の視点を取り入れることは、これからの食品開発において新たな価値提案にもつながるでしょう。
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シェアシマ編集部
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