免疫力を高めるには？発酵食を活かした商品開発のトレンド

今さら聞けない

シェアシマ編集部 2025/12/24

年々高まる健康志向の中で、「免疫力向上」や「免疫ケア」という言葉をよく耳にするようになりました。特に発酵食品は、昔ながらの和食文化として身近に親しまれてきましたが、最近は免疫力を高める食材としても注目が高まっています。

今回の記事では、免疫ケアや発酵食品の市場が拡大する背景や理由とともに、商品開発の現場で利用できる発酵菌や食品例について解説します。免疫力や発酵食をテーマにした商品を開発する上で、ぜひ参考にしてみてください。

免疫力を高めるには｜発酵食への注目の高まり

免疫力を高めるためのひとつの方法として、「発酵食」への注目が高まっています。ここでは、拡大する免疫ケアの市場の動向とともに、それに伴って広がりつつある発酵食品の市場についても説明します。

拡大する免疫ケアの市場

出典： PR TIMES「約2人に1人が、春の季節の変わり目に “なんとなく不調”を実感」

免疫ケアというのは、健康を保つために免疫機能を正常に働かせて、その状態を維持するための行動のこと。近年、「病気を未然に防ぎたい」「毎日の食事で体調を整えたい」といった価値観の変化から、免疫ケアや予防的な健康管理への関心が急速に高まっています。

キリンホールディングス株式会社が2023年に行った「体調管理に関する調査」によれば、全体の65.9％が「持続的に健康管理を続けるのは難しい」と回答しつつも、67.5％が「健康管理ができるなら続けたい」、約半数が「免疫ケアを実践してみたい」と答えました（※1）。

また、2023年9月に明治安田生命保険会社が行った「健康」に関するアンケート（※2）によれば、「具体的にどのようなことに対して意識が高まりましたか」という問いに対して、2022年は「手洗い・消毒」がトップだったところ、2023年は「食事・栄養」が1位になりました。

こうした流れを受けて、特に若年〜中年層を中心に、免疫ケアに関するサプリや機能性食品、健康関連の市場全体が拡大傾向にあります。

※1参考： PR TIMES「約2人に1人が、春の季節の変わり目に “なんとなく不調”を実感」
※2参考：明治安田生命「明治安田生命「健康」に関するアンケート調査を実施」

発酵食品の市場規模も成長中

こうした社会の変化は、発酵食品や“菌を意識した食生活”への注目にもつながっています。その結果として、発酵食を使った商品開発やサービスも増えています。

実際に、世界的に見ても発酵食品の市場は急成長しています。2024年の市場規模は約7,500億ドルに達し、2032年までに1兆1,221億ドルへ成長すると予測されています（※3）。

発酵食品とは、微生物（カビ、酵母、最近など）の働きを活用することで、食品の味や栄養価、保存性を高めたもの。代表的なものとしては、味噌や納豆、キムチ、ザワークラウト、テンペなど国内外にさまざまな種類の発酵食品があります。

日本においても、伝統的な発酵文化が見直されるとともに、新しい発酵食品も次々と開発されていて、発酵食品市場は活況を呈しています。

こうした市場の動向から、発酵食品は「昔ながらの食文化や伝統食」としての意味だけでなく、「免疫ケアや機能性食品」へと魅力や価値が広がっていることを示しています。

※3参考：FORTUNE BUSINESS INSIGHTS「食品加工・加工食品／発酵食品市場」

発酵食品が免疫力強化に役立つ理由

発酵食品には、免疫力を高める作用が期待されています。その背景には、“腸内環境への影響”と発酵による“微生物の働き”が関わっています。

腸には免疫細胞の約70％が存在すると言われていて、免疫機能が正常に働くには、腸内環境を整えることが大事です。

発酵食品は微生物の働きで作られたもので、ここには免疫細胞を活性化させる有用菌が豊富に含まれています。また、発酵食品に含まれる微生物の働きによって、食材がスムーズに消化・吸収されて体内に届けるのをサポートできます。

つまり、発酵食品を日常的に取り入れることで、腸から健康を整え、免疫力の土台を作ることができます。

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免疫力を高める食べ物・飲み物に使える「発酵菌」と食品例

ここでは、免疫力の改善に役立つ食べ物・飲み物に利用できる主な発酵菌と、代表的な食品例を紹介します。

乳酸菌

乳酸菌は、糖類を分解して乳酸を作り出す細菌の総称。人間の腸内だけでなく、自然界のさまざまな場所に存在しています。代表的な食品としては、ヨーグルトやチーズ、漬物、キムチ、漬け物などに使われています。乳酸菌は「善玉菌」の代表で、悪玉菌の増殖を防いで腸内の環境を整える働きがあります。

ビフィズス菌

ビフィズス菌は、人間の腸内に多く生息する善玉菌です。腸内環境を整える働きがあり、ヨーグルトや乳酸菌飲料などに含まれています。最近の研究では、ビフィズス菌は認知機能の維持にも役立つことがわかってきました（※4）。

※4参考：アリナミン製薬健康サイト「ビフィズス菌の注目の効果とは？」

納豆菌

納豆菌は、納豆を作るのに必要な枯草菌（こそうきん）という菌の一種です。酸や熱に強いのが特徴で、生きたまま腸に届き、有用菌を増やす作用があります。

酪酸菌

酪酸菌は、アルコールをお酢の成分である酪酸に変えるための細菌です。腸内の免疫細胞を活性化させて、免疫力を高める働きがあります。代表的な食品として、ぬか漬けや台湾の伝統食「臭豆腐」などに含まれています。

酵母菌（酵母）

酵母菌（酵母）は、パンづくりや日本酒、醤油の醸造などに用いられていて、糖をアルコールと炭酸ガスに分解する働きがあります。酵母菌は、ビタミンB群やミネラルを豊富に含み、免疫力向上と共に、疲労回復にも役立つといわれています。

まとめ

近年、「免疫ケア」「腸活」への関心の高まりから、発酵食品への注目が再び高まっています。市場規模そのものも拡大傾向にあり、発酵食品は“伝統食”でありながら、現代の健康ニーズにも応える「機能性の高い素材」としても位置づけられています。

こうした背景やトレンドを理解しておくことは、今後の商品開発や企画においても大きなヒントになります。“おいしさ”だけでなく、“健康価値”を踏まえて素材を選ぶ工夫が、商品の差別化やブランド価値の向上につながっていくといえそうです。

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