アレルゲンフリー食品とは|支持される理由と企業の取り組み事例を紹介
食物アレルギーへの対応は、単なる表示義務や安全配慮にとどまらず、食品開発における重要なテーマとなりつつあります。
日本では食品表示法に基づき、特定原材料および推奨表示品目の表示制度が整備されていて、企業にはより高度なリスク管理と情報提供が求められています。一方で、アレルゲンフリー食品は制限された食事ではなく、誰もが同じ食卓を囲むための選択肢として注目を集めています。
この記事では、食物アレルギーの基礎から市場動向、開発現場における課題、そして企業の取り組み事例までをわかりやすく解説します。

アレルギーとは?

食物アレルギーは、食品に含まれる特定の成分に対して免疫系が過剰に反応することで発症する生体反応です。幅広い症状が出るのが特徴で、軽度の皮膚症状から、生命に関わるアナフィラキシーのような重度のものまであります。
食品開発に携わる企業にとっては、この免疫反応の仕組みを正しく理解することが、安全性の確保や適切な表示対応の前提となります。
アレルギーの表示制度
食物アレルギー対策の中核となるのが食品表示制度です。日本では食品表示法により、アレルゲンとなり得る原材料について、一定の基準に基づいた表示が義務付けられています。
この制度は単なる情報提供にとどまらず、消費者の健康被害を未然に防ぐための重要な仕組みです。そのため、食品開発の初期段階から、表示を見据えた原材料選定や製造設計が求められます。
特定原材料等の図
| 特定原材料の名称 | 表示 | |
|---|---|---|
| 特定原材料 | えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生 | 義務 |
| 特定原材料に準ずるもの | アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン | 推奨(任意) |
出典:消費者庁 食物アレルギー表示に関する情報「特定原材料等の図」2026年4月時点
上記の表のとおり、2026年4月からカシューナッツは「特定原材料(義務表示)」に、ピスタチオは「特定原材料(推奨表示)」に追加されました。ただし、2年間の経過措置があり、完全義務化は2028年4月1日からです(※)。
※参考:消費者庁「アレルゲンを含む食品に関する表示について」
アレルゲンフリー食品が支持される理由

アレルゲンフリー食品への関心は、食物アレルギーを持つ人の増加とともに高まっています。日本で食物アレルギー体質を持つ人は、全人口の1~2%(乳児の場合は10%)とされています(※)。
現時点では、食物アレルギーに対する有効な薬などはなく、アレルギーの原因となる物質を摂取しないことが主な対応策となっています。特に家庭や学校、外食といった日常の食事シーンにおいて、「同じものを食べられない」という状況は、心理的・社会的な負担につながります。
こうした背景から、アレルギーの有無に関わらず同じ食事を楽しめる「共食」の実現が求められていて、その手段としてアレルゲンフリー食品が支持を広げています。
※出典:愛知県衛星研究所「食品におけるアレルギー表示について」
最近の動向
近年のアレルゲン対応食品は、単なる除去食から進化し、おいしさや選択の幅を重視した商品開発が進んでいます。特定の原材料を使用しないことを明確にした商品や、プラントベース食品との融合も広がっています。
また、特定原材料および推奨表示品目という表示制度の枠組みは、商品設計やリスク評価の基準として、食品開発の現場に大きな影響を与えています。

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食品開発における課題と技術面の工夫
食物アレルギーに配慮した食品の開発には、大きく3つの課題があります。これらの課題はそれぞれ独立しているわけではなく、相互に影響し合っています。そのため、技術開発だけでなく、品質保証や調達、製造部門を含めた横断的な取り組みが求められます。
①原材料代替による品質設計
卵・乳・小麦といった主要原材料を使用しない場合、食感や風味、加工特性を維持するための代替設計が重要になります。たとえば、口当たりやふくらみを補うなど、従来の機能を代替する工夫が求められます。
②製造工程におけるコンタミネーション防止
製造現場では、意図しないアレルゲンの混入(コンタミネーション)を防ぐための管理が必要です。たとえば、専用ラインの使用や製造順序の工夫、設備の洗浄ルールの徹底など、微量でも混ざらないようにするための対策が求められます。
③表示対応とトレーサビリティの確保
原材料情報の管理や正確な表示に加え、どの原料がどの製品に使用されたかを追跡できる体制づくりも重要です。原材料規格書の整備やサプライヤーとの連携を通じて、万が一の際にも迅速に対応できる仕組みが求められます。
食品開発現場での取り組み事例「プロジェクトA」と各社の商品紹介

食物アレルギー配慮商品の開発は、企業単独の取り組みだけで完結するものではありません。近年では、消費者との対話や外部パートナーとの連携を通じて、実用性と安全性の両立を目指す動きが広がっています。
ここでは、食物アレルギー配慮商品を製造販売している6つの企業(エスエスケイフーズ株式会社、オタフクソース株式会社、ケンミン食品株式会社、株式会社永谷園、ハウス食品株式会社、日本ハム株式会社)で取り組む「プロジェクトA(プロジェクトエー)」を紹介します。
本プロジェクトの活動理念は「食物アレルギーの有無にかかわらず、みんなでおいしく楽しめる社会の実現」に貢献すること。食物アレルギー配慮商品の普及や、レシピの共同開発・情報発信・普及活動に取り組んでいます。食物アレルギーのある人だけでなく、学校や職場などを含めたその周囲の人たちにも食物アレルギーについて考えるきっかけを提供しています。
2025年2月には、6社の商品を使用し、協同して開発した特定原材8品目不使用の「夢のお子様ランチ」を発表しました。子どもに人気のメニューを見た目も可愛らしく盛り付けたもので、食物アレルギーがある子どもたちに向けて、喜びや楽しさを演出し、食物アレルギーに配慮したメニューのバリエーションを提供しています。
また、2026年2月には、東京の小学校で小学5・6年生約150人を対象に、初の5社合同で食物アレルギーに関する食育出前授業を実施しました。出前授業は2021年からスタートし、全国の小学校でオンラインでの授業を中心に行っており、今回で13回目。自発的により理解を深めてもらう授業を目指し、初めてゲーム性を持たせた「動きのある学び」となるようなワークも取り入れられました。
食物アレルギーに関する副読本も2021年より発行。食物アレルギーへの関心が深まるよう、企業が連携して取り組みを進めています。
ここからは、プロジェクトAに参画している企業6社の商品事例について紹介します(※)。
※2026年5月時点の情報です。今後変更になる可能性があります。
エスエスケイフーズ株式会社(アレルゲンフリーのドレッシング類)|日常使いできる調味料

アレルギー特定原材料8品目不使用ごまクリーミードレッシング、たまごを使っていないマヨネーズタイプ/画像提供:エスエスケイフーズ株式会社
食物アレルギーを持つ方でも安心して使えるよう、アレルギー特定原材料8品目を使用せずに仕上げたドレッシング類とマヨネーズタイプです。日常的に使う調味料だからこそ「みんなで同じ食事を楽しめる」ことを大切にしています。
また、こちらの商品は、子どもにも食べやすい味付けになっていて、学校給食でも使用されています。アレルギー特定原材料8品目については、毎回製造後に製品の検査を行っています。安心して使える調味料として支持を集めています。
※参考:エスエスケイフーズ| 商品情報「SSKアレルギー特定原料8品目不使用」
「SSK たまごを使っていないマヨネーズタイプ」を製品情報サーチで見る>
オタフクソース株式会社(お好みソース 野菜と果実)|ビーガンにも対応

お好みソース 野菜と果実/画像提供:オタフクソース株式会社
お好み焼きに欠かせないソースを、特定原材料8品目を使用せずにつくられた商品です。9種類の野菜と果実を全体重量の75%配合し、やわらかく濃厚な味わいに仕上げられています。
また、動物性由来の原料やアルコールは不使用で、日本ベジタリアン協会推奨品です。ビーガンの方や宗教上の食戒律がある方にも対応しており、お好み焼き以外にも、豆腐ハンバーグのソースやハヤシライスなどさまざまな料理に使えるのも大きな魅力です。
※参考:オタフクソース|お好みソース 野菜と果実
「お好みソース 野菜と果実」を製品情報サーチで見る>
ケンミン食品株式会社(お米のめんシリーズ)|主食の選択肢を広げる

お米100%ビーフン、ライスパスタ/画像提供:ケンミン食品株式会社
小麦を使用せず、米粉を主原料とした麺製品です。小麦アレルギーの方でも主食として取り入れやすく、食事の幅を広げる役割を担っています。
グルテンフリー商品である『ビーフン』、『ライスパスタ』や、グルテンフリー中華麺とスープがセットになった『グルテンフリーラーメン』シリーズなど、バリエーションも充実しています。
※参考:ケンミン食品|お米のめんシリーズ
「ライスパスタ」を製品情報サーチで見る>
株式会社永谷園(エー・ラベルふりかけ)|毎日の食事に取り入れやすい

「A-Label」のおかかふりかけ、鮭ふりかけ/画像提供:株式会社永谷園
ごはんにかけるだけで使えるふりかけを、「くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生・大豆」不使用、「香料・着色料」無添加で開発した商品です。おかかと鮭があり、シンプルな味付けで、日々の食事に無理なく取り入れやすい工夫がされています。
ここで重要なのは、手軽さと安心の両立です。これが、毎日の食卓での使いやすさにつながっています。
※参考:永谷園|エー・ラベルふりかけ
「エ-・ラベルふりかけ おかか」を製品情報サーチで見る>
ハウス食品株式会社(特定原材料8品目不使用 バーモントカレー)|定番メニューを食卓に

特定原材料8品目不使用 バーモントカレー/画像提供:ハウス食品株式会社
家庭料理の定番であるカレーを、特定原材料8品目不使用で実現した食物アレルギー配慮商品です。子どもから大人まで親しみのあるメニューを、安心して楽しめるようにしています。「中辛」と子ども向けの「甘口」があります。
ハウス食品のロングセラーブランドであるカレーを通常の味と変わらないように仕上げていて、特別な対応食としてではなく、みんなで一緒においしく食べられる商品です。
※参考:ハウス食品|特定原材料8品目不使用 バーモントカレー
「特定原材料8品目不使用 バーモントカレー中辛」を製品情報サーチで見る>
日本ハム(みんなの食卓® 小さなシャウエッセン)|人気商品がアレルギーケア製品に

みんなの食卓® 小さなシャウエッセン/画像提供:日本ハム株式会社
食物アレルギーに配慮し、特定原材料8品目を使用せずに開発されたウインナーです。定番商品である「シャウエッセン」のおいしさをベースにしながら、誰もが安心して食べられる形に仕上げられています。
サイズを小さくすることで使いやすさにも配慮されていて、朝食やお弁当など、日常のさまざまなシーンに取り入れやすい点も魅力です。
※参考:日本ハム|みんなの食卓® 小さなシャウエッセン
「みんなの食卓® 小さなシャウエッセン」を製品情報サーチで見る >
まとめ
アレルゲンフリー食品は、安全性の確保にとどまらず、新たな食の価値を創出する領域として注目されています。「共食」の実現という社会的意義と、商品としての魅力を両立することが求められています。
今後は、技術開発の進展に加え、企業間連携や消費者との共創が、アレルゲンフリー市場のさらなる発展において重要な要素になると考えられます。
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シェアシマ編集部
「大切な食資源を活かす」をパーパスに、食品業界に携わる方々に向けて日々の業務に役立つ情報を発信しています。食品業界の今と未来を示唆する連載や、経営者へのインタビュー、展示会の取材、製品・外食トレンドなど話題のトピックが満載!さらに、食品開発のスキルアップや人材育成に寄与するコンテンツも定期的にお届けしています。