未来を創る!フードテックビジネスコンテスト|令和7年度 最優秀賞受賞者のアイデアをご紹介
フードテックの認知度向上と新たなビジネスの創出を目指す「未来を創る!フードテックビジネスコンテスト」(主催:フードテック官民協議会)の本選大会が、2026年2月13日(金)都内で開催されました。4回目の開催となる本大会には、一次・二次審査を通過した15組が出場。審査員が見守るなか、食に関する社会課題を解決するさまざまなアイデアが発表されました。
本記事では、ビジネス部門で最優秀賞に輝いたディーツフードプランニング株式会社の香取さんと、個人部門で最優秀賞を受賞した三重県四日市農芸高等学校の家﨑さん、濱内さんにインタビュー。プロダクトにかける思いと今後の展望についてお聞きしました。

【ビジネス部門・最優秀賞】肉・魚に次ぐ第3の選択肢「Deats(ディーツ)」:おから×こんにゃくで実現するアップサイクルフードの社会実装
ディーツフードプランニング株式会社 香取 惟さん
「Deats(ディーツ)」は、日本の伝統的な食材である“おから”と“こんにゃく”を、独自技術「HUG製法」によって新たな価値を生み出したアップサイクル食品です。
日本では、豆腐の副産物として年間約70万トンのおからが発生していますが、食用として利用されているのは、わずか1〜2%と言われています。ディーツは、このおからを原材料の一部として使用することで、おいしさと健康を両立しながら食品ロス削減に貢献します。
メニューに合わせて物性・形態を自在にコントロールすることができる特性を活かし、肉や魚、海老、卵、スイーツなど、すでに10品目以上が製品化。代替食品の枠を超え、国内外問わず活用の幅が広がっています。
健康・環境・価格の改善を実現する「Deats(ディーツ)」の特長

ディーツを使用したメニュー例
1.おいしさ:ディーツを使ったメニューは、大豆やこんにゃくの “臭い”がなく、添加物によるマスキングが不要なため、繊細な味付けが可能。メニューに合わせて理想の食感、形状を再現できる。
2.ヘルシー:現代人に不足しがちな食物繊維を摂取でき、腸内環境の改善に貢献。肉・魚と比較して低カロリー・低脂質。
3.環境にやさしい:未利用原料のおからを活用することで食品ロス削減に貢献。肉や魚の代替として限られた資源の枯渇対策を担う。
4.コスト:ディーツ100%使用はもちろんのこと、肉や魚など高騰する原料の一部をディーツに置き換えて(ハイブリッドディーツ)製造することで、安定した価格での販売が期待できる。
植物性100%から、動物性原料の一部置き換えまで。健康や環境、食の多様性に配慮しながら、消費者に肉・魚に次ぐ第3の選択肢を提供することができる、革新的な素材がディーツです。
インタビュー
ディーツフードプランニング株式会社 香取 惟さん
── 最優秀賞受賞おめでとうございます。受賞後の反響はいかがですか。
コンテストをご覧になった企業様から「社員食堂で採用したい」などの多くのオファーをいただき、商談が埋まってきている状況です。受賞後に出展した展示会では、“日本のフードテックビジネスコンテストで最優秀賞を受賞した製品”ということで、ブースに人が殺到し驚きました。アメリカ、ドイツ、フランス、インドなど、さまざまな国のお客様からも注目していただき、反響の大きさを感じています。
── 改めて、ディーツの魅力を教えてください。
弊社は、食品は「おいしいことが第一」だと考えています。ディーツの魅力は、いろいろな食材と組み合わせられる点です。さらに、組み合わせた食材の臭い(獣臭や大豆臭、生臭さなど)を抑える働きがあるので、食感やおいしさを損なわずにさまざまな製品に応用が可能です。すでに、餃子、牛肉のしぐれ煮、明太子が商品化されていますが、一度食べたら、植物性食品のイメージがきっと変わるはずです。
── 現在、どのような企業と取り組みが進んでいますか?
現在は、大手航空会社の国際線機内食・ラウンジと、大手外資系企業の社員食堂で採用いただいています。また、愛知県日進市の学校給食では、食育の一環としてディーツを使用したソースカツと明太子風スパゲッティサラダが採用されました。子どもたちからは「ディーツでできているとは気づかなかった」と大変喜んでいただきました。
ほかにも、インバウンド需要の増加でホテルやカフェで採用されたり、食の多様性への対応、コスト対策など、企業様のご要望に応えるかたちで新商品の開発が進んでいます。
── 今後の展望をお聞かせください。
今年から海外展開にも力を入れていく方針で、イギリスにすでに出荷が始まっています。プラントベースフードの需要が多い海外に販路を拡大しつつ、日本でも、さらにディーツの魅力を発信していく予定です。
食事に制限がない人も、ヴィーガン・ベジタリアンやアレルギーの人も、同じ食卓で同じものを「美味しいね」と笑って食べることができる。それが、私たちが目指す未来です。ディーツが広がることで喜ぶ人が必ず増える。そう信じて、今後も取り組んでまいります。
── 最後に、食品業界の方へメッセージをお願いします。
ディーツを使った商品を、ぜひ一緒に開発していただけたら嬉しいです。新商品を開発する際や、既存商品の原料コスト抑制や品位向上などに関する課題がございましたら、お気軽にお声がけください。
▽ディーツフードプランニング株式会社 公式サイト
https://deats.co.jp/
【個人部門・最優秀賞】竹間伐材を用いた持続可能な養鶏飼料の開発 〜竹に命を!鶏に力を!地域にみのりを!〜
三重県立四日市農芸高等学校 家﨑 諒さん 濱内 優衣さん
「飼料価格の高騰」と「放置竹林の整備」。この二つの社会課題を同時に解決しようと、三重県立四日市農芸高等学校が取り組んでいるのが「竹間伐材を用いた持続可能な養鶏飼料の開発」です。
同プロジェクトは、本大会の個人部門 最優秀賞、および、オーディエンス賞のダブル受賞を果たしました。
朝日町役場の皆さんと放置竹林を整備する「みのりのプロジェクト」。
三重県の採卵養鶏は飼養戸数全国5位を誇る重要産業ですが、近年、飼料価格の高騰が農家の経営を直撃しています。一方で、地域では放置竹林の増加による災害リスクや生活環境への影響が深刻な課題となっていました。
そこで同校は、県内最大の竹林面積を持つ朝日町と連携して放置竹林を整備。牧草などの保存技術として普及している「サイレージ化」を竹間伐材に応用し、竹粉の長期保存と飼料化に成功しました。さらに、現場の養鶏農家の要望を受け、既存の給餌ラインでも利便性の高い「ペレット化」を実現。竹林整備と畜産をつなぐ地域循環型の国産飼料モデルを構築しました。
高品質化とコスト削減を両立する「竹粉飼料」のポイント
1. 長期保存と高い利便性
・サイレージ化によりpH4.2以下を維持。カビや腐敗を抑え、一年を通じて安定した飼料供給が可能
・詰まりの原因となる形状を改善。高温圧縮によるペレット化により、既存の自動給餌システムをそのまま活用できる利便性を実現
2. 生産性を維持しつつ品質を向上
・産卵率・卵重・卵殻強度は従来飼料と同等で、生産現場へのスムーズな導入が可能
・卵黄中の不飽和脂肪酸が微増し、ブランド卵として付加価値が期待できる
3. 年間約210万円のコスト削減
・飼料の10%を代替することで、一羽あたり年間35円の飼料コストをカット
・数万羽規模の農家では、年間約210万円ものコストを削減。農家の所得向上に寄与
2025年3月には、連携企業とともに『株式会社鷲竹アグリ』を設立。本事業は、農林水産省の支援事業にも採択されていて、地域にみのりをもたらす持続可能な国産飼料モデルの社会実装は目前です。
インタビュー

三重県立四日市農芸高等学校3年 家﨑 諒さん(左)と濱内 優衣さん(右)
── 最優秀賞、および、オーディエンス賞のダブル受賞おめでとうございます。受賞後の反響はいかがですか?
濱内さん(以下敬称略):大会に出場した企業様から、私たちの飼料で育てた卵で「スイーツを作れたら面白いね」というようなコメントをいただき心に残っています。
家﨑さん(以下敬称略):大会後、「発表のここが良かったよ」とか、「ほかにどんな研究をしているの?もっと詳しく聞かせて」など、たくさんの方からお声がけいただき、私たちの研究についてご紹介できる機会が増えました。また、エコな育て方をした卵や野菜をそのまま売るのではなく、スイーツにしたり、「よかったら一緒にやろうよ」と言ってくれる企業様が増え、商品化のきっかけになると良いなと感じています。
── 現在、どのような企業と連携が進んでいますか?
家﨑:私たちが進める「みのりのプロジェクト」は今年で3年目になりますが、1年目は、三重県津市の井村屋株式会社様で食品廃棄物となっていた規格外のカステラを使って、鶏の餌を作るところから始まりました。
濱内:2年目からは、放置竹林の間伐材をサイレージ化して飼料と混ぜて鶏に与えるという研究を行っていたのですが、私たち高校生だけだと、その工程をシステム化するのが難しかったため、現在は、三重県尾鷲市にある濱周商事様と協力し、竹粉のサイレージ化からペレット化、そして、それを飼料に混ぜて販売するところまで一緒に取り組んでいます。また、今年3月からは、三重県津市の鳥鹿養鶏園様と協力して、実証試験を進めていく予定です。
家﨑:こうした企業様とは、三重県主催のエコフィード等利活用研究会などへの参加したことをきっかけに連携が始まりました。色々な幸運なことに巡り会えて、今につながっています。
── 今回のプロジェクトで苦労した点、またそれをどのように克服したのでしょうか。
家﨑:真夏の鶏舎ってすごく暑いんですよ。鶏が卵をちゃんと産んでいるかチェックしたり、卵の重さを測ったり……真夏の暑さに耐えながらの研究はとても大変でした。また、この研究を始めた頃は、“プレゼン力”がなく、自分たちの研究についてうまく説明することができませんでした。けれども、さまざまなイベントに参加させていただく中で経験を積み、今では自分たちの活動についてうまく伝える力がつき、克服できたと感じています。
濱内:夏場は竹の水分が多く、うまくサイレージ化できたのですが、冬場は竹が乾燥していてなかなかうまくいかず苦労しました。そこで、先生やメンバーと協力し、1年目に「規格外カステラ」で飼料を作った経験を活かし、乳酸菌の餌になるカステラを冬期のサイレージ化に活用することで、通年での安定生産を実現させました。

PRイベントでの普及活動
── 「みのりのプロジェクト」の今後の展望をお聞かせください。
濱内:今後は、一緒に活動を行ってきた後輩たちに私たちの取り組みを託しつつ、牛や豚など新たな畜種への飼料の給与にも挑戦してほしいです。また放置竹林は、全国的にも問題になっていますので、飼料だけでなく畜舎の敷料として活用したり、堆肥化したりして活用の幅を広げ、全国的な放置竹林の問題を解消していってほしいなと思います。
── 最後に、食品業界の方へメッセージをお願いします。
家﨑:食品企業にとって、製造過程で生じる食品廃棄物や残渣の扱いは大きな課題かと思います。普段と違う餌を家畜にあげるのはリスクが伴うものですが、私たちが検証を重ね、安全な活用法を確立できれば、新たなビジネスチャンスにもつながります。もし、「これは餌になるのでは?」というアイデアがあれば、ぜひ一緒にチャレンジしませんか。ご連絡お待ちしています!
▽三重県四日市農芸高等学校 公式サイト
https://www.mie-c.ed.jp/ayokka/wp/
以上、最優秀賞に輝いた2組のビジネスプランのご紹介でした。この革新的な取り組みは、食品業界の未来を大きく変える可能性を秘めています。今後のさらなる発展に期待が高まります。
フードテック官民協議会の最新情報
フードテック官民協議会の最新情報は、公式サイトをご覧ください。
https://food-tech.maff.go.jp/

シェアシマ編集部
食品業界に携わる方々に向けて、日々の業務に役立つ情報を発信しています。食品業界の今と未来を示唆する連載や、経営者へのインタビュー、展示会の取材、製品・外食トレンドなど話題のトピックが満載!さらに、食品開発のスキルアップや人材育成に寄与するコンテンツも定期的にお届けしています。