酒税法改正で何が変わる?食品業界への影響と商品開発のヒントを解説
2026年10月1日、酒税法改正に伴い、ビール・発泡酒・いわゆる新ジャンルの税率が一本化されました。チューハイなどのその他の発泡性酒類も税率が変更され、酒類メーカーの商品戦略や消費者の購買行動にも影響が及ぶ可能性があります。
酒類を直接扱わない食品メーカーにとっても、酒類市場の変化や、酒類を原料に使用する商品の原価・品質への影響を把握しておくことは重要です。
本記事では、酒税法の基本と2026年10月の改正ポイントを整理し、食品業界への影響や商品開発に活かすための視点を解説します。

酒税法とは?基本の仕組みを解説
.png?fm=webp&q=50&w=1440&fit=max)
税法は、酒類にかかる税金や、酒類の製造・販売などに関するルールを定めた法律です。酒税は酒類の消費に着目した間接税で、原則として酒類の数量を基準に課税されます。
酒税法では、酒類を製造方法や性状などに応じて、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類の4種類に分類しています。ビールや発泡酒、清酒、果実酒、焼酎、ウイスキー、リキュールなどが含まれ、品目によって税率が異なります。
また、酒類の製造には原則として製造免許が必要で、販売にも事業形態に応じた免許制度があります。酒類を扱う企業は、税率だけでなく、こうした法令上のルールも理解しておく必要があります。
酒税の仕組みと製造・販売に関するルール
.png?fm=webp&q=50&w=1440&fit=max)
酒税は、原則として酒類の数量に応じて課税されます。アルコール度数や品目などによって税率が異なる場合があるため、同じ容量の商品でも、酒類の分類によって酒税額が変わります。
また、酒類を製造するには、原則として製造する酒類の品目ごとに製造免許が必要です。販売についても、酒類の販売業免許など、事業形態に応じたルールがあります。
食品メーカーが新商品を開発する際も、商品が酒税法上の「酒類」に該当するかどうかは重要な確認事項です。酒類を原料に使用しているからといって、完成した食品そのものが酒類に該当するとは限りません。
一方、商品設計や製造方法によっては、酒類としての取り扱いが関係する可能性もあります。商品を企画する段階から、原料やアルコール分、製造工程などを踏まえて確認しておくことが大切です。
※参考:財務省「酒税に関する資料」
※参考:国税庁「お酒に関するQ&A(総則)」

★原料商品の掲載を希望される企業様は、会員登録(無料)で10品まで掲載可能です。
酒税法改正で何が変わる?
.png?fm=webp&q=50&w=1440&fit=max)
2026年10月の酒税法改正は、2017年の税制改正で決められた段階的な税率見直しの最終段階にあたります。ここでは、今回の改正で何が変わるのかを簡潔に解説します。
酒税法改正の背景と目的
2017年の税制改正では、類似する酒類間の税率格差を縮小し、税負担の公平性を図ることなどを目的に、段階的な酒税の見直しが決まりました。
これまでビール、発泡酒、いわゆる新ジャンルなどは、酒税法上の分類によって税率が異なっていました。こうした税率の違いは、メーカーの商品開発や価格設定にも関係してきました。2026年10月の改正は、2020年、2023年に続く段階的な見直しの最終段階にあたります。
2026年10月の酒税改正のポイント
主な変更点は次のとおりです。
- ビール系飲料: ビール、発泡酒、いわゆる新ジャンルの税率が1キロリットルあたり15万5,000円に一本化。350mL換算では54.25円です。
- その他の発泡性酒類: チューハイなどの税率が1キロリットルあたり10万円に引き上げ。350mL換算では35円です。
- 一部の蒸留酒類・リキュール: 低アルコール分の蒸留酒類やリキュールなどに適用されていた特例税率も見直されました。
この改正により、ビール系飲料では従来の税率差がなくなりました。ただし、税率の変更が店頭価格にそのまま反映されるとは限りません。原材料費や製造・物流コスト、メーカーの価格戦略なども販売価格に影響するためです。
今後は、税負担の差が縮まることで、消費者の商品選択やメーカーの商品構成に変化が生じる可能性があります。
酒税法改正が食品業界に与える影響
.png?fm=webp&q=50&w=1440&fit=max)
酒税法改正は、食品業界にどのような影響を与えるのでしょうか。ここでは消費者と酒類メーカー、酒類以外のメーカーにわけてそれぞれに及ぼす影響を解説します。
消費者への影響|酒類の価格や購買行動の変化
ビール系飲料の税率が一本化されたことで、これまで価格を重視して新ジャンルなどを選んでいた消費者が、ビールを選ぶようになる可能性も考えられます。
一方、商品選びの基準は価格だけではありません。味わいやアルコール度数、飲用シーン、ブランドへの信頼なども購買行動に関係します。メーカーにとっては、税率変更だけでなく、消費者が商品に求める価値を把握することが重要です。
酒類メーカーへの影響|価格設定や商品戦略の変化
酒類メーカーでは、税負担の変化を踏まえ、価格設定や商品構成を見直すことが考えられます。税率差を前提としていた商品について、原料や製法、品質、価格のバランスを再検討する動きも想定されます。ただし、酒税法上の品目を変更するには、それぞれの定義や要件を満たす必要があり、税率だけで判断できるものではありません。
価格競争に加えて、味わいや原料、製法、ブランド独自の魅力をどう伝えるかも、商品戦略を考えるうえで重要になります。
酒類以外の食品メーカーへの影響は?
酒類を直接製造・販売していない食品メーカーへの影響は、事業内容によって異なります。たとえば、酒類を原料として使用する菓子や調味料、加工食品では、仕入れ価格や取引条件が変われば、原価に影響する可能性があります。ただし、税率の変更が原料価格にそのまま反映されるわけではないため、仕入先への確認が必要です。
また、酒類を原料に使用しているからといって、完成した食品そのものが酒税法上の酒類に該当するとは限りません。原料と完成品を区別し、商品ごとの法令上の取り扱いを確認することが大切です。
酒税法改正は食品メーカーの商品開発にどう関係する?
.png?fm=webp&q=50&w=1440&fit=max)
今回の酒税法改正は、食品メーカーの商品開発にどう影響するのでしょうか。ここでは、商品開発を行う際の視点を3つにわけて解説します。
酒類を使用した食品への影響を考える
酒類を原料に使用する食品メーカーは、原料メーカーや卸などの仕入先から、価格改定の案内が届くことが想定されます。たとえば、調味料や加工食品に使われるみりんや料理酒、保存性のための酒精などは、商品原価に影響する可能性があります。
ただ、本みりんの酒税率は、2026年10月の改正による変更対象ではありません。一方、料理酒は塩分や糖を含まない純粋な「清酒」を原料にしている場合、価格変動の影響を受けることがあり、名称だけで改正の影響を判断することはできません。
原料の変更を検討する場合は、コストだけでなく、酒類がもたらす香りやうま味、風味への影響も考慮する必要があります。原価と品質の両面から検討することが、商品設計を見直す際のポイントです。
※参考:国税庁「酒税率一覧表」
酒類の分類や原料・製法を理解する
商品開発では、使用する酒類の分類や、酒税法上の定義を理解しておくことも重要です。酒類の品目は、原料や製法、アルコール分などの条件によって決まります。
食品に酒類を使用する場合も、完成品が酒税法上の酒類に該当するかどうかは、商品設計や製造方法などを踏まえて判断します。判断が難しい場合は、所轄の税務署などに確認し、開発の初期段階から法令面のリスクを把握しておくと安心です。
市場や消費者ニーズの変化を商品企画に活かす
制度改正は、市場や消費者の動向を見直す機会にもなります。酒類市場で価格や商品選択に変化が生じれば、酒類を使用した食品の企画を考える際にも参考となる情報が得られるかもしれません。
販売データや市場調査、消費者の声をもとに、価格・品質・味わいなど、何が商品選びの決め手になっているのかを分析しましょう。制度改正を単なるコスト変動として捉えるのではなく、市場の変化や消費者ニーズを読み解く材料として活用することが、新たな商品開発のヒントにつながります。
まとめ
2026年10月の酒税改正では、ビール系飲料の税率が一本化され、その他の発泡性酒類などの税率も変更されました。酒類メーカーには価格設定や商品戦略の見直しが求められる一方、食品メーカーも、酒類を原料に使用する商品の原価や品質、法令上の取り扱いを確認することが大切です。
制度の変更を正しく理解し、市場や消費者ニーズの変化を捉えることが、今後の商品企画・開発をしていく上での大きなヒントになります。
シェアシマでは酒原料をはじめ、商品開発に役立つ原料を多数掲載しています。
気になる製品があれば、ぜひシェアシマ(info@ics-net.com)にお問い合わせください。

シェアシマ編集部
「大切な食資源を活かす」をパーパスに、食品業界に携わる方々に向けて日々の業務に役立つ情報を発信しています。食品業界の今と未来を示唆する連載や、経営者へのインタビュー、展示会の取材、製品・外食トレンドなど話題のトピックが満載!さらに、食品開発のスキルアップや人材育成に寄与するコンテンツも定期的にお届けしています。