機能性表示食品とは〜特定保健用食品(トクホ)との違いとメリットも解説!
消費者の健康志向の高まりから、健康増進に役立つ食品の需要拡大が続く中、特に注目の的となっているのが「機能性表示食品」です。
この記事では、機能性表示食品の概要から、特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品との違い、国内の市場規模、機能性表示食品を開発するメリットまでをわかりやすく解説します。
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機能性表示食品とは
「機能性表示食品」は、事業者の責任で科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届出された食品のことです。
従来の食品表示制度では、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」がありましたが、これらは制度の利用に厳しい基準や高いコストがかかり、中小企業が参入するのが難しいものでした。そこで、より簡便な制度として2015年4月に導入されたのが「機能性表示食品」制度です。
「機能性表示食品」制度の目的は、消費者に多様な選択肢を提供し、健康増進の一助となることです。「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、健康の維持及び増進に役立つ機能性を商品パッケージにわかりやすく表示することで、消費者が食品の機能性を誤認することなく正しい情報を得て商品を選択できる手助けとなります。
制度導入以降、届出件数は9000件(2024年12月時点)を超え、食品市場の活性化に寄与しています。
※参考:消費者庁「『機能性表示食品』制度が始まります!商品の開発・販売を考える前に」
機能性表示食品と特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品との違い
食品の機能が表示できる食品には、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品の3つがあります。これらを総称して「保健機能食品」といいます。
この3つの制度には、次のような違いがあります。
特定保健用食品(トクホ)
- 健康に維持増進に役立つ効果が科学的根拠に基づいて認められ、表示が許可された食品
- 審査:表示されている効果や安全性について国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可する
- 特定保健用食品の許可品目一覧はこちら(外部リンク)
栄養機能食品
- 特定の栄養素(ビタミン、ミネラル)の補給・補完のために利用できる食品
- 審査:すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届出などをしなくても、国が定めた表現によって機能性を表示することができる
機能性表示食品
- 事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。生鮮食品を含むすべての食品が対象(一部対象外あり)
- 審査:販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などを消費者庁長官へ届け出る
- 機能性表示食品の届出データベースはこちら(外部リンク)
機能性表示食品の国内市場
新型コロナの蔓延や高齢化による消費者の健康意識の高まりを背景に、機能性表示食品の市場は急速に拡大しました。
株式会社富士経済の調査(※1)によれば、2024年の市場規模は2022年比27.7%増の7,350億円と予測されており、中でも、明らか食品(※2)・ドリンク類が市場拡大をけん引しています。
訴求効能別では、脂肪・コレステロール値改善、睡眠サポートの商品数が増加。成分別では、乳酸菌が消費者からの認知度が高いことや、脂肪(低減)、免疫機能維持、睡眠、ストレス緩和など幅広い機能を表示できるGABAが好調です。さらに、無糖茶飲料が女性の支持を集めてカテキンの需要も伸びています。
特定保健用食品の国内市場
一方、特定保健用食品(トクホ)の国内市場は2019年以降縮小が続いており、2023年は前年比4.4%減の2,690億円が見込まれています。これは、機能性表示食品の商品数増加、および、ヒット商品の登場で需要が流出しているためと考えられています。
機能性表示食品において表示できるヘルスクレームが多様化しているのに対し、特定保健用食品では表示できる機能が少なく、また、商品化までに時間やコストがかかることから、今後も新商品の発売は限定的になると予測されています。
※1 参考:株式会社富士経済「機能性表示食品、特定保健用食品などの国内市場を調査」
※2:明らか食品とは、野菜、果物、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識されるもののことです
機能性表示食品を開発するメリット
機能性表示食品は、消費者が商品を選びやすくなるだけでなく、開発・販売する事業者にとっても多くのメリットがあります。
他製品との差別化
機能性表示食品の表示を利用することで、競合製品との差別化を図ることができます。
市場投入の迅速化
商品化までに時間やコストがかかる特定保健用食品(トクホ)と比較して、迅速に市場に投入できるため、事業者は消費者ニーズを捉えた商品を迅速に提供できます。
科学的根拠の活用
科学的データを活用した説得力のあるマーケティングが可能であり、消費者からの信頼を得やすくなります。
多様な市場へのアプローチ
高齢者市場や健康志向の若年層市場、女性特有の健康課題を解決するフェムケア市場など、多様な消費者層へのアプローチが可能です。
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機能性表示食品の開発は、商品の健康機能性を消費者にわかりやすく訴求できるだけでなく、食品メーカーにとっても競争力を高める有効な手立てです。
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【2024年版】食品開発担当者必見!シェアシマ編集部注目の原料5選
毎年変わっていく食品業界でのトレンド。変化の激しい食の市場において、食品開発者のための専門メディア「シェアシマ」編集部では、2024年に注目したい最新の食品原料を5つ選定しました。社会背景や消費者のニーズ・動向を踏まえた本記事を活用することで、新たな食品の可能性を発見することができるでしょう。開発担当の方は必見です。1.ピープロテインピープロテインとは、主に黄えんどう豆から作られたプロテインを指します。ピープロテインは、タンパク質・ビタミンB・ビタミンEを豊富に含んでいます。また、筋肉のエネルギー源となる必須アミノ酸が多く含まれているのも特徴です。ピープロテインは、牛肉等の動物性たんぱく質と比較すると、生育に必要な水の量が少なく、環境面に優しい食材としても注目を集めています。環境に配慮したエシカルな食生活を目指す人に最適な食材のひとつです。※関連記事:ピープロテイン(えんどう豆プロテイン)とは|効果とデメリットを解説2.そばの実(そば米)そばの実は、収穫したそばの実から黒い殻を取り除いた薄緑の実です。そばは穀類の中で、タンパク質と食物繊維が豊富に含まれています。ニューヨークタイムズ紙も2024年の注目食品のひとつとして挙げています。そばの栄養価が高いのは実の皮の部分とされています。しかし、そば粉にされる過程で皮の部分は失われてしまいます。そばの実をまるごと摂取することで、栄養を取り逃しません。※1参考:The New York Times「9 Predictions for How We’ll Eat in 2024」3.アムラ(グーズベリーエキス)アムラとは、インドで食べられているライトグリーンの果物で、別名「若返りの果実」と呼ばれています。アムラの成分の約25%がポリフェノールだといわれています。ポリフェノールを摂取することで体内でコラーゲンが生成されやすくなります。これにより、肌の明るさや透明度、水分量・弾力のアップや、メラニン色素減少といった効果が期待されます。アムラエキスの全世界の市場規模は、2023年には39,500,000米ドル(約60億円)でした。それが10年後の2033年には、76,600,000米ドル(約115億円)にまで拡大するといった予想もあり、市場規模の拡大が期待されています。※関連記事:若返りの果実「アムラ」の効果とは|食べ方や注意点も解説
FSSC22000とは?要求事項やver6日本語版の変更点を解説
食品の安全性を証明する規格のひとつである「FSSC22000」。名前は聞いたことがあっても、規格の概要や規格を取得するメリット、ISO22000との違いがよくわからないという人もいるかもしれません。そこで、今回はFSSC22000の特徴やメリットを詳しく解説します。ISO22000との違いやver6日本語版の変更についても紹介します。この記事を読むことでFSSC22000の全体像について理解できます。ぜひ参考にしてみてください。FSSC22000とはFSSC22000は「Food Safety System Certification 22000」の略称で、オランダのFSSC22000財団が開発した食品の安全性を証明するシステム規格です。ここでは、FSSC22000の特徴と取得するメリット、規格の対象事業者を解説します。FSSC22000の特徴FSSC22000の特徴として、高いレベルの食品管理が求められることと、国内の食品製造業者743事業者のうち5.3%が認証を取得していることが挙げられます。FSSC22000は、ISO22000をベースに、2つの食品関連事業向けの前提条件プログラムを統合した規格です。具体的な要求事項が明確でないHACCPや、要件基準の具体的な内容を認証取得予定の事業者に一任しているISO22000とは違い、FSSC22000は要件基準を明確に定めています。HACCPとISO22000の要件基準に加え、追加要求事項を定めていることから、認証を取得するのは容易ではありません。また、国内の食品製造業者が取得する食品管理規格の中で、FSSC22000は2番目に取得率が高くなっています。トップは地方公共団体によるHACCPの6.8%、FSSC22000は5.3%で2番目です。自社商品の安全性を証明するハイレベルなシステム規格を求める企業は多く、今後も増え続けることが予想されます。取得するメリット2つFSSC22000を取得するメリットは以下の通りです。社外の人に自社商品の安全性を証明できる業務の効率化が狙える一般的に、企業・消費者ともに、安全性が疑われる食品を進んで購入する人はいないでしょう。原材料の調達から食品の製造まで、各工程で高いレベルの食品管理を実施していると説明すれば、安全性を評価して購入につながる可能性が高まります。とはいえ、原材料の調達から製造までの流れを詳しく説明すると時間がかかってしまいます。製造工程の中に企業秘密が含まれている場合は、すべてを明かすこともできません。FSSC22000の認証を取得することにより、社外の人に自社食品の安全性の高さを証明できます。認証があることで、詳細な説明をしなくても、自社の食品管理について簡潔かつ明快に相手に示すことができます。また、FSSC22000は食品製造の工程を可視化するので、業務効率の向上が期待できます。一連の工程を可視化すれば、「無駄な工程がないか」「簡略化できる作業はないか」を確認することが可能です。無駄のないスムーズな工程を作り出せば、業務が円滑に進んで社員のモチベーションもアップするでしょう。FSSC22000の対象事業者認証を取得できる対象事業者は以下の通りです。食品製造業レストランやホテルなどへのケータリング業食品包装や包装材の事業畜産業水産業流通や輸送業化学製品の製造業規格取得のメインとなるのは食品製造業やケータリング業ですが、流通や輸送業、化学製品の製造業も取得可能です。このほか、食品を包む包装材を製造する事業も取得できます。食品の安全性が証明されていても、食品を包む包装材に不可解な点があれば、消費者は購入しづらくなります。安全な包装材を使っているとわかれば、食品への信頼性はより高まるでしょう。認証取得の難易度FSSC22000は厳しい要求事項が設定されているものの、必ずしも「難易度が高い」というわけではありません。取得に求められる要求事項には、食品を安全に作るための取り組みが記載されています。原材料の入手先から製造まで、安全面に配慮している企業であれば、すでに要求事項を満たしている可能性もあります。認証取得を検討している方は、まずは要求事項を確認することを推奨します。その上で、要求事項を満たしていない部分があれば、改善して申請を行いましょう。FSSCとは?ISOとの違いについてFSSC22000は、食品業界で注目を集めているシステム企画です。しかし、「そもそもFSSCとは何か」と疑問を持っている人もいるでしょう。同じ食品関連の規格であるISOとは何が違うのかや、どちらを取得すべきなのかを迷っているケースもあるかもしれません。ここでは、FSSCとISOは何が違うのかを解説します。FSSCとISOの違いFSSC とISO (International Organization for Standardizationn)は、どちらも食品の安全性を証明する国際規格です。FSSCはオランダの財団、ISOはスイスの民間機関が開発しています。ちなみに、食品安全基準として初めて誕生したのは、HACCPです。食品の製造過程における危険性や、危険を避けるための対策がガイドライン化され、食品の安全性は飛躍的に向上しました。しかし、HACCPは企業がどの国にあるのかによって基準が異なっていて、衛生管理部分が不明瞭であることが指摘されてきました。そこで、HACCPのマイナス部分を改善した国際規格として誕生したのが、ISO22000です。ISO22000は国際規格なので、国や認証団体によって要求事項が変わることはありません。ISO22000は安全面や衛生面のシステム規格として幅広く普及しましたが、一部の内容が原因で食品の事故が発生することもありました。こうした事故をなくし、さらに安全性を高めるために開発されたのがFSSC22000です。FSSC22000はISO22000要求事項よりも厳格ISO22000とFSSC22000を比べると、後者のほうが内容が厳しくなっています。ISO22000では、具体的な内容の認証を企業の判断に任せている面があり、企業によって取り組み内容に差異が生じていました。その点において、FSSC22000はISO22000のあいまいな部分を明確にしています。認証を取得する企業によって安全面・衛生面に差異が生じないため、消費者の信頼を獲得しやすくなると期待できます。FSSC22000ver6における要求事項の変更点FSSC22000は誕生してから数回バージョンアップしていて、2023年4月にはver6が発行されました。すでに認証を取得している企業は、変更内容を確認した上で、新しい内容に対応することが求められます。ver6の変更点は以下の項目についてです。容器包装にリサイクル原料を使用トレーニング・申告・検証・確認を含む全体的なアレルゲン管理製品ラベル・包装の情報管理デザイン管理と印刷管理食品防御・偽装の要求事項の供給者への要求輸送タンカーの清掃異物の管理品質管理の体系的なアプローチ設備管理食品ロスと廃棄物コミュニケーションに対する要求事項要求事項のバージョンアップに伴い、認証を取得している企業には監査が入ります。監査の時期までに変更点を確認し、食品管理体制を整えましょう。まとめFSSC22000は、ハイレベルな食品管理が求められる国際規格のひとつです。同じ国際規格であるISO22000よりも要求事項が厳格なため、どんな企業でも簡単に取得できるとはいえません。しかし、認証を取得すれば、国内だけでなく、海外にも食品の安全性をアピールできます。消費者からの信頼向上が期待できるので、企業とユーザーの双方にメリットがあります。今回の記事を参考に、認証の概要やメリットを知り、理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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