
原料高騰を乗り切るマスキング調味料の活用【宝酒造】
マスキング調味料のご紹介
昨今、さまざまな原料の価格が上昇しています。そのため、「代替原料を調達する」という決断を余儀なくされ、従来よりも品質が劣る原料(不快臭のある原料)を用いるケースがあるかもしれません。
このような状況で心強い味方になるのが、素材本来の風味を生かしつつ、不快臭を抑制できる「マスキング調味料」です。科学的な視点に基づいて「おいしさの見える化」を追求した結果、素材の風味は活かしつつ、不快臭だけを減らせるようになりました。
今回は、宝酒造株式会社(京都市)が開発・製造・販売しているマスキング調味料をご紹介します。原料の価格高騰に悩んでいる人や不快臭を改善したいという人は、ぜひ参考にしてみてください。
マスキング調味料のシェアシマ掲載ページは、こちらよりご覧いただけます。
「おいしさの見える化」を活用して香りの課題に取り組む
宝酒造は、江戸時代後期の1842年から180年以上にわたって酒造りを営んできた酒類製造メーカーです。本みりんのトップメーカーとして長年培った醸造技術に基づいて、調味料も開発・製造・販売。「調味料カスタマーセンター」を東京と京都に設置し、お客様である食品加工業者が抱える課題に対して、科学的な視点から解決策を提示しています。
宝酒造では味覚センサーやテクスチャー測定装置を用いて、甘み・酸味といった味のほか、こくや広がり、香り、食感など、多様な要素を科学的・客観的に分析することにより、数値化して「おいしさの見える化」に取り組んでいます。その中で今回は「香り」にフォーカスして解説します。
まず、食品の不快臭は「原料」に由来するものと、「調理過程」で発生するものに大別されます。
- 原料由来の不快臭:魚の生臭み、食肉の特異臭、脂質酸化臭、大豆たんぱく臭など
- 調理過程で発生する不快臭:含硫化合物のにおい、脂質酸化臭など
不快臭を抑制するためには、原因を正しく見極めた上で、それぞれに応じた対策を講じなければなりません。宝酒造では、食品開発企業の「香りに関する課題」の解決に向けて、さまざまな原因に対応したマスキング調味料を開発しています。この記事では、不快臭に関する課題にフォーカスしますが、調理過程で減少してしまう香り(例えば、だしの香り)に関する課題の場合は、減少しにくい香りを持つ商品で補うといった提案を行います。
マスキング調味料の特徴とメリット
ここでは、マスキング調味料の「特徴・メカニズム」および「メリット」について解説します。
マスキング調味料の特徴・メカニズム
以下は、マスキング調味料の不快臭を抑制するメカニズムです。
- アルコールによる共沸効果(不快臭の原因物質がアルコールと一緒に食材から抜けていく)
- 固形分への臭い成分の吸着
- 醸造成分による臭い成分(アミン類)の化学変化
- 醸造成分による脂質の酸化抑制(脂質酸化臭の低減)
- 調味料(醸造成分)のよい香りによるマスキング
主にこの5つの作用によって、食品(具材)のおいしさは維持しつつ、不快臭だけを低減することができます。不快なにおいの発生要因は食材ごとに異なるため、原因に応じた対策を講じなければなりません。
例えば、魚に「生臭さ」がある場合は、原因物質の「トリメチルアミン」がアルカリ性であるため、酸との中和によって不快臭がしない物質に化学変化させることが可能です。魚に「泥臭さ」がある場合は、固形分に原因物質(ジオスミンなど)を吸着させる方法が適しています。
脂質酸化臭がある食材(肉や魚)に関しては、醸造成分の効果で酸化作用を抑制できます。また、肉(モツ、レバーなど)に関しては、特異臭を感じるケースもあるでしょう。その場合は、調味料の香気成分によるマスキングによって不快臭を抑制する手法が有効です。
宝酒造のマスキング調味料の特長は、さまざまな機器による分析結果に基づいて香りを数値化し、酒造メーカーならではの知見と科学的な根拠に基づいて開発されていること。強い香りでただ誤魔化すのではなく、本来素材のもっている香り・風味は生かしつつも、不快な臭いは低減させておいしさを引き立ててくれます。
上記作用の組み合わせにより、食材や料理に合わせた商品をラインナップから選ぶことができます。
マスキング調味料のメリット
マスキング調味料を使用するメリットとしては、不快臭を抑制し、よい香りによるマスキング効果を得られることが挙げられます。
以前であれば、「不快臭がする原料を回避し、コストが多少かかっても高品質な原料を仕入れた」という事業者が多かったかもしれません。
しかし、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う供給不安や原油価格などの上昇、円安の進行によって、「安定的に調達できる原料でないと使用できない」「少しでも価格が低い原料を仕入れなければ、ビジネスとして成り立たない」という状況に置かれている事業者も存在するのではないでしょうか。
このような状況で心強い味方になるのが、マスキング調味料という選択肢です。原料の供給不安や原料価格が高騰している今だからこそ、マスキング調味料を上手に活用することをおすすめします。
マスキング調味料の商品ラインナップ
宝酒造が製造・販売している主なマスキング調味料として、酒類調味料の清酒、焼酎に加えて、醗酵調味料の味しるべシリーズの3つのカテゴリーがあります。以下に、各カテゴリーの商品ラインナップを示します。
- 料理用清酒:本料理清酒濃醇、料理用白麹清酒
- 料理用焼酎:料理用マスキング焼酎、料理用マスキング焼酎〈玉ねぎ〉、料理用マスキング焼酎〈クローブ〉
- 味しるべシリーズ:味しるべマスキングーⅠ、味しるべマスキングーⅡ〈しょうが〉、味しるべマスキングーⅢ〈玉ねぎ〉、味しるべマスキング-4〈白麹〉
1つ目の 「料理用清酒」は、清酒由来の醸造香や有機酸が特長です。特に白麹清酒は、白麹由来の有機酸(クエン酸)を豊富に含み、クエン酸のキレート効果で金属イオンの酸化作用を抑制し、高い消臭効果を発揮する料理専用の清酒です。臭みの強い肉や魚介類の消臭に効果があるので、活用してみてはいかがでしょうか。
2つ目の「料理用マスキング焼酎」は、食品の不快臭改善に特化した焼酎です。独自の蒸留技術で製造されていて、しょうがや玉ねぎの風味による上乗せや、化学反応によって素材の臭みをマスキングします。
3つ目の「味しるべマスキングシリーズ」は、料理用清酒や料理用焼酎の機能を有し、消臭効果に特化した醗酵調味料です。また酒類では、実現できない固形分などを含む商品もラインアップしています。
マスキング調味料の活用例
ここからは、宝酒造のマスキング調味料の具体的な活用事例を4つ紹介します。いずれの事例も、マスキング調味料を使うことで、素材のおいしさを活かしながら不快な臭いだけを抑制できます。
「料理用白麹清酒」はえびしんじょの調味液に
えびは、原料によって不快な臭いが発生する場合があります。えびしんじょを作る際に、原材料の一部に「料理用白麹清酒」を混ぜることで、特有の臭みを抑えられます。
「料理用マスキング焼酎」はレバーの下漬けに
畜肉(牛肉、豚肉、鶏肉)は、それぞれ特有の不快臭が課題になります。料理用マスキング焼酎は、原料のしょうが由来の醸造成分で、畜肉の不快臭をマスキングします。特に、臭いの強いもつやレバーなどの内臓肉には、料理用マスキング焼酎を肉重量の5%添加し、1時間下漬けをすることで、畜肉由来の不快臭を抑制できます。
「料理用マスキング焼酎〈玉ねぎ〉」はレトルト鍋つゆに
レトルト食品を加熱すると発生する独特の臭いは「レトルト臭」と呼ばれています。レトルト鍋つゆにマスキング焼酎〈玉ねぎ〉を配合することで、レトルト臭を抑えることができます。
「料理用マスキング焼酎〈玉ねぎ〉」は卵焼き・茶碗蒸しに
卵を焼成すると、硫化水素による不快臭が発生します。卵焼きや茶碗蒸しを作る際に、卵に料理用マスキング焼酎〈玉ねぎ〉を混ぜて焼成することで、硫化水素の生成を抑制し不快臭を抑えることができます。
そのほか、宝酒造ではチーズ風味、炭火焼風味、かつお節風味など、「よい香り付けをするための調味料」も数多く製造・販売しています。詳細は、こちらをご覧ください。
食品の開発現場では、味や見た目だけではなく、香りも重要なポイントです。どれほど味や見た目がよい商品であっても、不快臭が漂う場合、リピーターを獲得できず、売上が伸び悩む可能性があります。今回紹介したマスキング調味料を活用すれば、素材のおいしさをキープしながら不快臭だけを抑制できます。
本みりんのトップメーカーである宝酒造の特長は、さまざまな分析機器を用いて香りを数値化し、「おいしさの見える化」に取り組んでいること。そして、長年培った醸造技術とお客様サポートの経験に基づいて、多種多様なマスキング調味料を開発・製造・販売しています。
各企業が抱える課題の解決に向けて、レシピ提案や食品分析、調理効果検証を通じて協力できます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

宝酒造株式会社
<会社説明>
本みりんのトップメーカーである宝酒造が永年培った醸造技術とお客様サポートの経験に基づいて開発した、調理効果に優れた特色のある各種調味料をご提案しています。お客様個々の課題に対して、レシピ提案や食品分析、調理効果検証を通じてご協力して参りますので、是非お気軽にお問合わせください。
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