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アップサイクルとは?SDGs・食品ロスとの関係性を解説

SDGsや食品ロスの削減に関心が高まる中、「アップサイクル」という言葉を目にする機会が増えています。本来捨てられてしまうはずだったものを加工して、新たな価値あるものへと生まれ変わらせる「アップサイクル」ですが、そもそもリサイクルやリユースとはどう違うのでしょうか?この記事では、アップサイクルという言葉の意味や話題となっているその背景から、食品業界における実際の事例まで、アップサイクルの食品業界での主なポイントをおさえました。

アップサイクルとは

アップサイクルとは、本来捨てられてしまうようなものを加工して、新たな価値あるものへと生まれ変わらせること。特に食品を使ったアップサイクルについては、アップサイクルフード、アップサイクル食品と言われることもあります。ここでは、アップサイクルという言葉のそもそもの意味と由来について、深掘りしていきます。

リサイクル・リユースとの違い

持続可能な循環型社会を目指し、リサイクルやリユースが活発化しています。リユースは、使用済みの製品やその部品などを捨てずに、繰り返し長く使うことで、これに対しリサイクルは、ある製品を別の製品の原料にして別の製品を生み出すことを意味します。

リサイクルでは、古紙が再生紙になるように、どちらかと言えば価値の低い製品に変換されるケースが大半です。古いタオルやシャツを雑巾として再利用するのも同様で、これらは「ダウンサイクル」と呼ばれます。これに対し、産業から出る副産物や廃棄物などを新たな価値を持った製品に生まれ変わらせるのがアップサイクルです。「創造的再利用」とも呼ばれるアップサイクルは、これまではアートやファッション、インテリアの分野が主でしたが、今や食品の分野にもこのアップサイクルの波が来ています。

食品のアップサイクルの流れはアメリカから

アメリカでは、コーヒーの果実の皮を原料にした紅茶飲料や、ビール醸造の際に出る穀物廃棄物を原料としたプロテインバーなど、食品廃棄物を活用したアップサイクル食品への関心が高まっています。

米国企業を中心に70社ほどが参加して設立された業界団体「アップサイクル食品協会」(本部=コロラド州デンバー)は、こうしたアップサイクルの市場拡大を受け、2020年5月にアップサイクル食品の定義を定めました。「本来は人間の食用とならなかった食材を使用して、検証可能なサプライチェーンにより調達・生産され、環境に良い影響をもたらす食品」ということで、実際に食品廃棄物の削減につながるものだけを「アップサイクル食品」と定義しました。これには、アップサイクル食品という言葉の持つ良いイメージだけを利用して売り込む偽物との差別化を図り、フードロスを削減し持続可能な社会を実現したいという強い意図が感じられます。

世界では100兆円超す期待のマーケット

食品廃棄物による世界経済のロスは年間で100兆円を超えるという試算もあります。アップサイクル食品への取り組みにより、この膨大な経済損失を削減できる可能性があるのです。
日本には昔から「もったいない」という言葉がある通り、廃棄物削減の意識は比較的高いと言えるでしょう。しかし米国は廃棄物に寛容な風潮があり、供給された食料のうち3〜4割がロスとなっているとも言われているのです。

ただ、米国でも時代は動いてきているようで、ミレニアル世代(1980年代~1995年生まれ)やZ世代(1996年~2012年生まれ)は消費者としての意識が高く、芯のある理念やメッセージを発する企業・ブランドの商品を購入する傾向があるのだそう。今後、世代交代が進むにつれて、フードロス削減を掲げるアップサイクル食品市場はさらに拡大していくことが予想されます。

SDGs・食品ロスとの関係性

SDGs 12 「つくる責任 つかう責任」



日本語で「持続可能な開発目標」を意味するSDGsは、2015年の国連サミットで掲げられた、国際社会の環境問題、差別、貧困などのあらゆる問題と向き合い、解決していくための17の目標のことです。

2030年までの達成を目指しているSDGsですが、そのうちの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」には、作る人=生産者も、使う人=消費者も、未来の地球を守れるように行動に責任を持っていきましょうという狙いがあります。限りある地球の資源を無駄にすることのないよう、少ない原料からより多くのものを作り出せるよう持続可能なやり方を追求していくことが求められています。

食品ロスの削減の必要性

「つくる責任 つかう責任」を達成するために、より具体的な目標として「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」というターゲットが設定されています。

まだ食べられる食料が捨てられてしまう食品ロスは、日本をはじめとした先進国で重大な問題になっています。こうした食品を捨てることなく、新たな食品や工業製品へと価値あるものに加工するアップサイクルは、食品ロス削減につながるだけでなく、その先のSDGsへの貢献にもなるのです。

出典:農林水産省公式HP


まとめ

アップサイクル食品の開発と発展は、これまでの廃棄を前提とした大量生産・大量消費の社会から、持続可能な循環型社会へと変化が生じていることの兆しとも言えそうです。本来、日本はもったいないの精神からアップサイクル含めリサイクルの文化を大切に育んできた国です。地元から出る廃棄食品を使ったアップサイクルの取り組みは、地方創生などの付加価値もあり、これからの日本でますます盛り上がっていきそうです。

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食品ロス

食品ロスのアップサイクル支援を静岡県が開始。参加企業を募集中!

食品ロス削減対策で注目される、規格外品や製造工程で生じた端材などの「未利用食材」を活用して新たな商品を生む「アップサイクル」の取り組み。循環型社会を目指す社会的意義に加え、新たな商品開発や収益改善の機会としても注目されています。2024年度より、国内でもとりわけ食品産業が盛んな静岡県で、未利用食材を「供給したい/使いたい」企業をつなぐマッチング支援事業が始まりました。自治体ならではの支援体制が充実した内容をご紹介します。食材の宝庫・静岡県によるアップサイクル支援静岡県が2024年度より本格始動させた、未利用食材(食品ロス)のアップサイクル支援。静岡県産業振興財団のフーズ・ヘルスケア オープンイノベーションセンター(静岡県静岡市)を相談窓口として、未利用食材の供給企業と活用企業をつないで新たな価値を生み出すことや企業の収益改善、および食に関する社会課題の解決を目的としたマッチング支援事業です。食品ロス対策をビジネスの形で実現食品産業における「食品ロス削減」は、SDGsの観点から企業努力を求められる社会課題。加えて昨今では、原材料・燃料の価格高騰などにより、企業の収益改善という観点から未利用食材の有効活用に新たなビジネスチャンスも生まれています。社会的意義とビジネス創出という双方の観点から注目を浴びるのが、未利用食材を活用したアップサイクル事業なのです。静岡県の多彩な未利用食材今回アップサイクル支援を始めた静岡県は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、もともと食品産業が盛んな地域。県内の食品製造額と食品・飲料などの付加価値額は、いずれも全国トップクラスを誇ります。それゆえ静岡県で発生する未利用食材も種類豊富。たとえば日本茶の粉、魚のアラやウナギの骨、サツマイモ(静岡県は干し芋発祥の地)や果実(みかん等)の規格外品や端材などが挙げられます。まさに海の幸から山の幸まで揃う静岡県は、アップサイクルによる食品開発のポテンシャルが高い地域でもあるのです。静岡県の未利用食材を活用した食品開発例。左)バター製造時の副産物(バターミルク)を使った焼き菓子。右)摘果された青みかんを活用したドリンク。食材供給企業を「シェアシマ」がマッチングシェアシマは静岡県による支援事業に、未利用食材をもつ供給企業のマッチング登録という形で協力しています。「未利用食材を供給したい」とお考えの静岡県内の食品企業がシェアシマに食材を登録することで、食材の活用先となる製造企業との最適なマッチングを支援します。※静岡県内の企業様は、2025年3月まで原料登録を無料で受け付けております。こちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。食材の活用企業や一次加工企業も募集中また「未利用食材を活用したい」とお考えの食品製造企業は、静岡県外からも幅広く募集中とのこと。この他、食材を粉末状やペースト状などに一次加工できる企業や、食材の輸送・保管に関わる企業のニーズも高く、こちらも県内外から参画が可能です。まずは無料で!「シェアシマ」への会員登録はこちら>>自治体ならではの手厚いサポート体制本支援事業の特長のひとつが、自治体による取り組みならではの充実したサポート体制です。静岡県産業振興財団のフーズ・ヘルスケア オープンイノベーションセンター(静岡県静岡市)に相談窓口を設置し、Eメールや電話、オンライン会議ツールなどで幅広く問い合わせを受け付けています。製品開発から販路開拓までトータル支援また、食材の提供/活用企業のマッチングにとどまらず、その後の製品開発から販路開拓まで全行程を通じてコーディネーターが伴走して支援します。未利用食材の活用が初めての企業でも安心してトライできる体制が整っています。

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食品ロス

【イベントレポート】サステナブルな米粉パンを販売【リンネルクリスマスマーケット2023】

食品原料のプラットフォーム「シェアシマ」は、パン・菓子原材料卸・販売を行う株式会社丸富士(長野市)と共に、12月3日に開催されたリンネル「クリスマスマーケット2023」でサステナブルな米粉パン「アップサイクルフード 米粉ブレッド from 信州」を販売しました。当日は、ファミリー層や女性客を中心に、多くの来場者でにぎわいました。古米や規格外の食品でつくった米粉パン本イベントは、二子玉川ライズのイベントスペース「ガレリア」で行われた入場無料のオープン形式イベントです。「Get ready for Christmas!<そろそろ準備をしなくっちゃ!>」をテーマに、雪降る北欧のクリスマスをイメージに、スペシャルゲストを招いたトークショーやステージパフォーマンス、またリンネルのコンセプト“心地よい暮らしと装い”にちなんだ商品が多数出店されました。シェアシマと丸冨士とが会場で販売したのは、サステナブルな米粉パン「アップサイクルフード 米粉ブレッド from 信州」。こちらの商品は、リンネル監修のもと、シェアシマと丸冨士が共同で企画・開発したものです。長野県・木島平村産の古米を使った米粉の生地に、「美味しく食べられるが形や色が悪い」「食べられるが一般的な生産ラインでは販売していない」といった理由で、食品加工の途中で生じてしまった食品を具材をつかった商品です。フレーバーは全8種で、「恵み」セットと「実り」セットの2種(4個入り)に分けて販売しました。リンネル編集長お墨付きの「いぶりがっこチーズ」は老若男女を問わず大人気で、他にも「柿くるみ」や「いちじく」が好評でした。ご購入いただいたお客様からは、「余っている食品に、こういったものがあるとは知らなかった」「環境にいい取り組みだと思う」といった声をいただきました。今回の販売が、アップサイクル・フードの取り組みの意義を消費者の方々に広く届ける機会となったことを実感しています。当日の様子「サステナブルな米粉パン」の誕生ストーリーをクロストークイベント当日は、「アップサイクルフード 米粉ブレッド from 信州」の誕生ストーリーについて、リンネル・丸富士・シェアシマの3者によるクロストークの時間がありました。取り組みの背景から商品開発のプロセスまでを振り返り、フードロス削減の選択肢について、それぞれの視点からお話しました。以下、お話の中で、特に印象的だったコメントをご紹介します。■ リンネル編集長・西山千香子 様リンネルではかねてから「食品ロス」の問題に関心を持っていて、食品ロスの削減に役立てるような取り組みをしたいと思っていました。リンネル読者にはパン好きの方も多いと思うのですが、「アップサイクルフード 米粉ブレッド from信州」はおいしく食べながら、同時に環境に貢献することができます。それは自分の「心」も満たすことができる大変よい取り組みだと思います。米粉パン独自のもちもち感も非常においしいので、ぜひ味わっていただきたいです。■ 丸冨士社長・倉石匡啓 様リンネルさんのファッションやライフスタイルへのアプローチはとても素晴らしいので、それを「食」に結びつけることは非常に高度な挑戦でした。今回、未利用の食品原料を最大限に活用しながら、掛け合わせに適した素材を見つけ、味・食感を向上させるために、何度も試作を重ねました。結果として、性別・年齢問わず楽しんでいただけるような商品ができました。ぜひたくさんの方に味わって頂けたら幸いです。■ シェアシマ広報・ 山口幸穂日本は食料自給率が低いのに、先進国の中ではトップクラスで食べ物を捨てている国だと言われています。そうした状況下で、フードロスに対して特別な思いのある3社により、未利用の食品原料を活用したアップサイクル商品の開発ができたことをうれしく思います。”食べることを通じて、地球にちょっといいことを” そんな取り組みを、この米粉パンをきっかけに、多くの皆さまに知っていただけたら幸いです。<関連記事>米粉パンの商品開発舞台裏トーク:https://note.com/shareshima/n/n865fa0ff9646(シェアシマ公式noteに掲載中です)米粉パンをオンライン販売中丸冨士が運営するサイト「お米のミライ」(https://okomenomirai.stores.jp)にて、米粉パン(米粉プティパン4種セットなど)を販売中です。

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食品ロス

アップサイクルの米粉パンを共同開発、12月の都内イベントで限定販売へ【リンネル監修】

株式会社丸冨士(長野市)とICS-net株式会社(同)は、未利用の食品原料を生地に練り込んだ米粉パン「アップサイクルフード 米粉ブレッド from 信州」を共同開発しました。本企画を監修した人気女性誌リンネル主催のイベント「クリスマスマーケット2023」(12月3日午後12時〜同5時、二子玉川ライズ ガレリア)で限定販売します。\丸冨士様の公式オンラインストアで購入できます/国産古米の米粉パンを、アップサイクルでもっと美味しくシェアシマを運営するICS-net株式会社では、事業の拠り所となるパーパスとして、「大切な食資源を活かす」を掲げています。実際にはまだ食べられるけれど、事情があり廃棄されてしまう食品原料(以下、「未利用原料」)を再流通させる、アップサイクル・フード企画に取り組んでいます。今回は人気女性誌「リンネル」監修の下、国産の古米を活かした米粉で美味しいパンを作っている「丸富士」、そしてシェアシマが調達した未利用原料を具材に練り込んだパンを作りました。国産の古米を使ったもちもちの米粉生地に、「美味しく食べられるが形や色が悪い」「食べられるが一般的な生産ラインでは販売していない」といった理由から、食品加工の途中で生じてしまった規格外素材(端材・残渣など)を具材にしました。美味しさと「食」の持続可能性を実現させた米粉パン。この自然からの贈りものを、みんなで食べることで、食の未来を変える一歩につながると、私たちは信じています。シェアシマ・アップサイクル特集:アップサイクル商品のための原料情報をウェブサイトで探すことができます。「アップサイクルフード・米粉ブレッド from 信州」商品紹介米粉パンは全8種。価格はいずれも、税込1200円(税込)です。\丸冨士様の公式オンラインストアで購入できます/柿・くるみ南信州特産「市田柿」の柿皮エキスを使用した生地に、クルミを練り込みました。柿の風味が生地に広がり、くるみの食感がアクセントとなり、独特の甘さと香りが楽しめます。にんじん・シナモンにんじんパウダーの生地にアクセントとしてシナモンを加えました。優しいにんじんの風味とアクセントとしてシナモンの香りが広がり、独自の風味を楽しめます。ケール・ベーコン少し苦味のあるケール生地にベーコンを追加しました。ケールの苦味とベーコンの風味が絶妙に組み合わさり、クリスピーな食感とコクが楽しめます。いちじくいちじくのカットを練り込みました。ほんのりフルーティーな風味があり、独特の優しい甘さが感じられます。いぶりがっこ・チーズ塩気の強いいぶりがっこを刻んで練り込んだ生地にマイルドなチーズを合わせました。いぶりがっこの塩気とチーズのマイルドさが絶妙に調和し、お酒にも合う大人な味わいが楽しめます。レンコンレンコンパウダーを練り込みました。レンコンの風味がほのかに香ります。さつまいもさつまいもパウダーの生地に甘く煮たさつまいもダイスを練り込みました。さつまいもの自然な甘さが広がり、さつまいもの風味が豊かに感じられます。抹茶抹茶生地に大納言小豆を練り込みました。抹茶独特の苦味のある生地に甘く煮た大納言小豆を合わせ、和の相乗効果を楽しめます。​\丸冨士様の公式オンラインストアで購入できます/リンネル「クリスマスマーケット2023」概要イベント名:リンネル「クリスマスマーケット2023」日時:2023年12月3日(日)12:00~17:00場所:二子玉川ライズ ガレリア(東京都世田谷区玉川2-21-1)ステージ出演:「宝島社プレゼンツ|リンネル編集部監修のコラボパンのトークショー」 ※14:00開始予定入場:無料(出入り自由のオープン形式)イベント情報:https://liniere.jp/column/culture/38954/【リンネルについて】“自分らしく、心地よく、本当にくつろげる暮らしとおしゃれ”。ファッション&ライフスタイル雑誌の「リンネル」は、そんなアイデアを提案しています。当たり前だけど、見落としがちな日常を丁寧に暮らす大切さを伝えたいー。そんな思いから2010年に誕生し、20代~40代女性を中心に幅広い層から支持を受けています。雑誌コンテンツだけにとどまらず、「丁寧で心地よい暮らし」をコンセプトとして、さまざまな企業とコラボレーションしてきました。洋服や工芸品などのもの作りを通じて、リンネルの世界観を広げ続けています。

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食品ロス

賞味期限表示に「おいしいめやす」、食品事業者への拡大に期待【権現前営農組合】

食品パッケージにおいて、期限表示の意味を消費者に正しく伝えることは、食品ロス削減のための有効な手立てです。三重県松阪市嬉野で「旬前耕房ごん豆」を運営する株式会社権現前営農組合では、このほど、製造・販売する一部の商品の賞味期限表示に「おいしいめやすです」という言葉を併記し、食品ロス削減の一歩に繋げる取り組みを始めました。後述するニュースレター「パル通信」の記事を読んだことが表示改善に繋がったとのこと。同社にお勤めで、活動の中心となった管理栄養士の松井順子さんに、賞味期限表記の変更までの背景とその想いについてお聞きしました。食品ロス削減のための誰かの一歩に株式会社権現前営農組合では2023年10月、賞味期限の正しい意味を一般消費者により理解しやすく伝える工夫として、2023年9月に製造した「嬉野大豆のピクルス」一種において、商品ラベルの賞味期限表示に「おいしいめやすです」を併記しました。取り組みにあたっては、消費者庁の食品表示基準Q&A(※1)の情報を基に、保健所や県の担当者にも表示を見てもらうなど、周囲の理解も得ながら計画的に進めました。その上で、10月には、当月が食品ロス削減月間であることと共に、活動の経緯やラベル改変に込めた想いを書いたプレスリリースを作成するなど、広く情報発信することにも努めていらっしゃいます。松井さんは、かねてより、店のお客様が棚の奥の商品(賞味期限の長い)に手を伸ばしたり、賞味期限に敏感になるあまり食品ロスが生じてしまう現状に課題を感じていました。2021年頃からは、国が提案する「てまえどり」を促すPOPや、地域のキャラクターを添えた手描きPOPなどを使って消費者に食品ロス削減を呼びかけてきました。しかし、思うような反応は得られなかったそうです。その一因として、消費者の期限表示に関する正しい理解が進んでいないこと、また、それが食品ロスに繋がっているということを学ぶ機会がないためではないかと考えました。松井さんは、「この取り組みが、賞味期限の正しい理解に導く一助となってほしい。そして、食品ロス削減のための誰かの一歩に繋がれば嬉しい」と話します。※1:食品表示基準Q&A売り場で食品ロス削減を積極的に呼びかけている(ごん豆のインスタグラムより)「おいしいめやす」を選んだわけプレスリリースにもあるように、「おいしいめやす」は、2020年に消費者庁が実施した「賞味期限の愛称・通称コンテスト」で最優秀賞に選ばれた言葉です。松井さんは、賞味期限に併記する言葉にこれを選んだ理由について、次のポイントを挙げています。短い言葉でわかりやすい、伝わりやすいこと消費者庁が選んだ言葉ならば、間違った理解に繋がりにくいと思ったこと枠内にすっきりと収まる言葉であること買い物をする時には、裏面までじっくりと見てもらえることは少なく、長い文章を添えてもかえって伝わるハードルを上げてしまうと考え、賞味期限の横にすっきりと収まるこの言葉を選んだそうです。消費者庁では、期限表示の意味を正しく理解してもらうことを目的に、「おいしいめやす」を活用した普及啓発キャンペーンを2021年に実施しています(※2)。松井さんが参考にされた消費者庁の「食品表示基準Q&A」でも、消費期限や賞味期限の意味について分かりやすく表示することを推奨しています。しかし、未だ普及には至っていません。こうした状況の中、松井さんの取り組みは、食品事業者が実践できる賞味期限表記の具体的な事例を示してくれています。松井さんが参考にされた「食品表示基準Q&A」。プレスリリースより※2 参考:https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_education_cms201_210129_01.pdfもっと多くの事業者に広がってほしい権現前集落の村づくりの拠点ともなっている「旬前耕房ごん豆」では、その土地の恵みを無駄なく美味しく食べてもらえるように商品化して販売しています。松井さんは、食品の生産から販売までに携わる立場として、自らが担う責任の重要性を感じています。「私たちは、生産者と消費者の橋渡しをし、消費者と直接コミュニケーションを取れる立場にあります。消費者に対して、実生活で取り組めるような提案をしていきたい。そういう役割が食品事業者にはあると思っています。食品ロスが環境問題につながっていること、目先のことだけでなくその先のことにも目を向けられる人が増えたらいい。このような取り組みがもっと多くの事業者に広がっていくことを願っています」(松井さん)食品ロス削減のための消費者啓発は、食品事業者に求められている重要な役割です。自社の商品でも期限表記の工夫を取り入れたいとお考えの方は、松井さんも参考にされた消費者庁の「食品表示基準Q&A」が役立ちます。ぜひ、一緒に取り組みを広めていきませんか。デンマークでは、5年間で25%もの食品ロスを削減松井さんは取材の中で、今回の取り組みのきっかけとなった、井出留美さんの『パル通信』の記事についても紹介してくれました。記事では、デンマークでの取り組みを例に、牛乳パックの側面に、「賞味期限はめやす」であること、「目で見て、鼻でにおいを嗅いで、舌で味わって、大丈夫なら飲食可能」であることが表記されていること、賞味期限表示の横に「過ぎてもたいていの場合は飲食可能」と書かれていることなどを取り上げています。そして、このような取り組みを含めさまざまな施策により、5年間で25%もの食品ロスを減らしていることを伝えています。井出留美さんの「パル通信」では、ごん豆の事例も紹介しています「賞味期限の工夫!食品企業が見習うべき事例とは」シェアシマが松井さんへ取材をするきっかけとなった記事です。こちらも、ぜひご覧ください。井出留美さんの「パル通信」とは世界180カ国で展開するグローバル食品企業と日本初のフードバンクの双方で広報責任者として勤務し、独立したジャーナリストの井出留美さんが、食品ロスや食関連のSDGs・サステナビリティに関する世界の最新情報から本質的なものを選りすぐり、本や映画も含めたここだけの情報をお伝えするニュースレターです。<おすすめのポイント>食品ロスの正しい知識がつくサステナビリティ情報も配信中過去の記事も読み放題毎週届き、いつでも配信停止可能読みやすいデザイン井出さんには、シェアシマの活動も応援していただいています。ご興味のある方は、以下のURLより他の記事もご覧ください。https://iderumi.theletter.jp/

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食品ロス

スイカ果汁のポテンシャルを引き出す!パワーサラダ専門店HIGH FIVE SALADの挑戦

夏と言えば「スイカ」。2023年夏は、飲食店の各所でスイカ果汁を扱った商品が陳列するさまを目にした方も多いはず。しかし一方、市場に流通する前段階でさまざまな理由で品質には問題ないにもかかわらず、廃棄の一歩手前のものが存在していました。今回は、シェアシマが食品ロス削減プロジェクトの一環で掲載した商品「すいかストレート果汁」を使い、商品化していただいた企業様の事例をご紹介します。(聞き手:シェアシマ編集部)

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FOOD展2023|シェアシマで原料のアップサイクルを、食ロスセミナーで呼び掛け

食品業界向けの複合展示会「FOOD展2023」が、東京ビッグサイトにて、9月20日(水)〜22日(金)の日程で開催されました。その初日、当社代表の小池祥悟が「食品ロス・リサイクルゾーンリレーセミナー」に登壇し、未利用の食品原料を発掘し、活路を見出すシェアシマのアップサイクルの取り組みを紹介しました。こちらの記事では、セミナーで登壇した内容を、一部を再構成の上、お伝えします。原料段階で廃棄される食品を救いたい、その思いを形に私たちは「シェアシマ」という食品製造業のウェブプラットフォームを運営しており、本日は、「アップサイクル」を活用した新商品開発と販路拡大についてご説明させていただきます。日本の食料自給率が40%にも満たないことは、多くの方がご存知かと思います。一方で、日本の食品ロスの全量は523万トンとされており、そのうち食品製造業が約24〜25%、つまり約125万トンを占めています。こうして食品ロスが発生する理由として、多くのメーカーが関与する中で、加工ないしは原料の各段階で廃棄されてしまうという現状があります。私たちが目指しているのは、食品を無駄にしない社会を作ることです。具体的には、使われない食品原料を他の会社が活用できるようなセカンダリーマーケットを作ることです。そのために、この「シェアシマ」というプラットフォームを展開しています。現在、3,000社以上のメーカーが登録しており、このような流通が普及することを期待しています。ぜひ、多くの方に「シェアシマ」に会員登録していただき、多様な食品メーカーとのつながりを広げていただきたいと考えています。皆さんがよくご存知の「リサイクル」は製品を資源に戻し、そこから新しいものを作ることです。対して、私たちが普及を目指す「アップサイクル」は元の素材の特徴を生かしながら新商品へと生まれ変わらせます。私たちは2022年度、長野市と協力して「長野アップサイクル・フード」という名前で商品開発プロジェクトに取り組みました。このプロジェクトでは、食品製造の上流から下流までのステークホルダーを繋ぎ、未利用の食品原料の情報を集約するところから始めました。消費者の皆さんの知らないところで食品原料のロスが発生しているわけですが、その情報をどうやって集め、世の中に発信していくかについては最も難しい部分です。私たちの調査により明らかになったのは、何らかの理由で使用されずに冷蔵庫や冷凍庫に保管されたままになっている未利用の原材料だけが問題ではないということでした。実際には、製造過程で出る切れ端や、果実の搾りかすなどもアップサイクルの可能性を秘めています。例えば、ウエハースを作る際に出る端材や、野菜ジュースを製造する大きな工場で出る残渣などがそれに該当します。未利用原料を商品化、端材や残渣に付加価値を乗せて私たちは「シェアシマ」プラットフォームも活用して、未利用原料や食品残渣の情報を集めました。最終的には、そうして見つかった素材をアップサイクルし、付加価値の高い新商品を作るという流れを描いていました。ところが、次にぶつかったのは、多くの食品メーカーが自社の名前を公にしたくないという事態でした。そこで、私たちが自ら「シェアシマ食品ロス削減プロジェクト」というアカウントを発行し、食品メーカーの名前を出さずに、在庫を代行して取り扱える仕組みを考えました。1年間の実証実験の結果、約2トンの原料が廃棄されずに済みました。理想としては、10トン、100トンといった規模で行いたかったのですが、食品メーカーも余剰在庫に対して簡単には手を出せない現実がありました。今後は少量でも未利用原料を出せるような環境を整え、購入する側にもそうした事情を理解していただくことで、参画企業を増やしていきたいと考えています。プロジェクトの成果としては、廃棄されていた鶏のレバーとハツを使った缶詰を「長野アップサイクル・フード」ブランドの第一弾商品として発売したことです。レバーもハツも、皆さん焼き鳥や焼肉で食べていらっしゃるでしょうが、実際には需給バランスが取れていないそうです。というのも、モモやムネといった他の部位と比べた時に、レバーなどは余剰になってしまうのが現実です。経過としては、長野県農協直販株式会社(長野市)から、レバーなどの部位が市場に出回らないという情報を得ました。それを基に、長野市や地元企業と協力して商品アイデアを練り、缶詰の試作を行いました。最終的には、長野と東京で記者発表を行いました。さらに、第二弾として、ウエハースの端材を活用したクラフトビール商品を長野県の土産品としてプロデュースし、第三弾として、高知県で余っていた冷凍トマトペーストを使ったカレーを長野市内のスキー場のレストランで期間限定で販売しました。当社としては、アップサイクルの敷居を下げるために、OEMの支援事業にも力を入れており、おかげさまで多くの問い合わせをいただいています。食品原料の紹介から商品開発までを支援し、時にはOEM先のご案内を含む一気通貫したサポートを実現しています。2023年秋からは「未利用ホエー活用プロジェクト」という新しい実証実験に取り組む予定です。これは、チーズ生産が増える中で、副産物である「ホエー」が大量に余ってしまう問題に対処するためのプロジェクトです。最後に、食品産業や食品原料に関わるすべての方々に、私たちの「シェアシマ」というサービスをご利用いただきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。