
初期コスト不要で食品残渣を削減するバイオマス発電【丸紅ケミックス】
カーボンニュートラルな発電方法として注目されるバイオマス発電。この発電の仕組みに、食産業の食品ロス対策を結びつける取り組みが始まっています。今回は丸紅ケミックス株式会社が手がける、食品企業向けのバイオマス発電事業をご紹介します。
※こちらの記事は、同社の提供でシェアシマ編集部が制作しています。
バイオマス発電とは何か?
「バイオマス」とは、動植物などから生じた生物資源(化石資源を除く)を指します。具体的には廃木材や食品廃棄物、家畜の糞尿などが含まれ、こうした生物資源を利用して電気を生む仕組みが「バイオマス発電」です。化石燃料に依存しない再生可能エネルギーのひとつとして、国内外で注目される発電方式でもあります。
バイオマス発電は、生物資源を直接燃焼させて生じた熱を利用する、あるいは生物資源を熱分解・もしくは微生物により発酵させて生じたメタンなどの可燃ガスを燃料にする、といった方法でタービンを回して発電します。なかでも食品廃棄物や畜産排せつ物といった水分を多く含む生物資源は、発酵によるガス化方式に適しているとされています。
丸紅ケミックスが展開するバイオマス発電
このバイオマス発電の仕組みを、主に食品企業向けに提供しているのが丸紅ケミックス株式会社です。総合商社「丸紅」のグループ会社として、食品・メディカル分野などで幅広い化学品を取り扱う同社ですが、商社の基軸となる「モノを売る」活動をさらに発展させる施策として、2025年4月よりバイオマス発電事業を展開しています。
食品残渣を活用した発電に着目
同社のバイオマス発電事業で特筆すべきは、「対企業向けに特化」している点と「食品残渣を資源として活用する」点。食品残渣の発酵により生じたメタンを燃料とする「メタン発酵」方式の発電により、食産業の現場が抱える食品ロス問題にバイオマス発電で応えるユニークな取り組みといえます。
「初期費用ゼロ」でバイオマス発電所を建設
丸紅ケミックスのバイオマス発電事業は、まず同社の費用負担で依頼企業の敷地内にバイオマス発電所を設置し、その後、企業が丸紅ケミックスに設備利用料を継続的に支払うというスキームを採用しています。
その主な流れをご紹介すると、
- 丸紅ケミックスの費用負担で、依頼企業の敷地内にバイオマス発電所を設置。
- 食品残渣を活用して発電を行い、依頼企業の自主電力として活用。
- メタン発酵後の残渣は、丸紅ケミックスを通じて処理。
- 依頼企業は、設備利用料を丸紅ケミックスに支払う。
設備利用料は発電所の規模により異なりますが、一定以上の食品残渣を産業廃棄物として処理する費用と比べれば安価に抑えられているとのこと。何より、数億円規模といわれるバイオマス発電所建設の費用負担がゼロという点は、企業にとってメリットといえるでしょう。
発電所の稼働オペレーションに必要なマンパワーは一基につき1~2名(常駐は不要)で、日常的な保守点検には1日30分~1時間を要します。こうしたランニングコストも考慮の上、発電所の設備利用料が提示されます。
食品残渣物を年間で最大10分の1に削減
同社が取り扱うメタン発酵方式のバイオマス発電の主な流れは、次の通りです。
- 食品残渣物を粉砕し、メタン発酵槽へ投入。
- 約30日間の発酵の後、生じたガスを燃料にして発電。
- 不要な水分を排水。発酵残渣物は産業廃棄物として処理、もしくは肥料に活用。
1日5トンの食品残渣で、年間約52世帯分の電力を供給
同社が採用する25kWの発電機では、1日あたり約5トンの食品残渣を発電に活用できます。これにより年間約52世帯分にあたる電力を供給すると共に、年間の食品廃棄物量を最大10分の1に削減できる計算になります。また、火力発電と比べて年間のCO2発生量を約180トン削減できます。
逆に言えば、継続的な発電のためには1日最低約5トンの食品残渣が必要になります。また、発電所の設置には最低20m×20mの広さの土地を要するとのこと。食品残渣物が複数拠点で生じる場合、それを収集して発電所へ運搬する体制も必要です。一定量以上の発電量を維持するため、導入側にも相応の規模は求められるようです。
再生可能エネルギーの一端として日本政府も推進するバイオマス発電。すでに複数の大手企業が発電所設置に参入していますが、個別の企業や団体に向けた規模で事業展開しているのは丸紅ケミックスの特色といえます。すでに地方自治体などからの問い合わせがあるとのこと。食品ロス対策の新たな選択肢として、ご興味のある企業はぜひお問い合わせをしてはいかがでしょうか。
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同社のバイオマス発電についてのお問い合わせ先はこちら
※お問い合わせフォーム内の「該当する事業部」は「脂肪酸・アルコール部」をご選択ください。
丸紅ケミックス株式会社
<会社説明>
総合商社丸紅における化学品分野の中核事業会社として、業界トップクラスの専門性を有しながら、丸紅のグローバルネットワークを最大限に活かし、お客様の多様なニーズにお応えしております。当社の事業領域は、設立当初の有機溶剤・化成品・医薬中間体に始まり、現在はウレタン原料・工業用ガス・プリンティング材料・合成脂肪酸と各種アルコール・感熱感圧紙コート剤・メディカル分野でのサポート業務・半導体関連洗浄や材料研究開発の受託合成請負・ウィルス安全性評価試験受託・GHG算定サービス・保守点検DXといったサービスビジネスに至るまで、市場環境やお客様のニーズに合わせ拡大しております。
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