記事アイキャッチ

若返りの果実「アムラ」の効果とは|食べ方や注意点も解説

アムラは、インドの伝統医療アーユルヴェーダにおいて「若返りの果実」と呼ばれ、3500年以上も親しまれてきたフルーツです。

日本ではあまり馴染みがないフルーツかもしれませんが、ビタミンCやポリフェノール、ペクチンなどが豊富に含まれており、さまざまな効果を有します。この記事では、アムラの8つの効果や摂取方法をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

アムラとは、アーユルヴェーダの「若返りの果実」

アムラとは、ピンポン玉くらいの大きさのライトグリーンの果物で、高さ8mほどの木に実ります。

アーユルヴェーダにおいて「若返りの果実」と呼ばれ、インドでは昔から親しまれてきたフルーツです。日本における「梅」のような存在であり、各家庭でアムラの漬物が作られてきました。

ビタミンCやポリフェノール、ペクチンなどを豊富に含み、健康に良い効果があるとされているので、摂取を検討してはいかがでしょうか。

アムラの8つの効果



以下、アムラの8つの効果をご紹介します。

ポリフェノールが活性酸素の害を緩和する

アムラの成分の約25%はポリフェノールです(水分を除去した乾物換算)。ポリフェノールにはさまざまな種類がありますが、アムラに含まれるポリフェノールは「エラジタンニン」と呼ばれる化合物群です。具体的には、「コリラギン」「ゲラニイン」「ケブラジン酸」「エラエオカルプシン」などが含まれていることが判明しています。

ポリフェノールには抗酸化作用があり、動脈硬化やがんなどの病気や老化の原因となる「活性酸素」の害を緩和する効果を期待できます。

体内でコラーゲンを生成する力を高める

アムラに含まれるポリフェノールは、線維芽細胞に作用し、体内でコラーゲンが生成されやすくなります。

アムラを摂取すれば、コラーゲンの生成が増えることにより、「肌の明るさや透明度、水分量、弾力が増す」「メラニン色素の量が減少する」といった効果を期待できるでしょう。

髪の成長サイクルを乱す酵素の働きを阻害する

男性型脱毛症(AGA)は、「5αリダクターゼ」という酵素の働きで男性ホルモン「テストステロン」が「ジヒドロテストステロン」(DHT)になり、DHTが毛乳頭にある男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)と結合して毛母細胞の活動が弱まり、ヘアサイクルにおける成長期が短縮することで発症します。

最近、アムラには、5αリダクターゼの働きを阻害する作用があることが判明しました。薄毛を抑制したいのであれば、アムラを摂取することも検討してはいかかでしょうか。

肌状態を改善する

コラーゲンは、「若々しく弾力のある肌」に欠かせない成分ですが、年齢とともに減少していきます。

上述したように、アムラにはコラーゲンを生成する力を高める効果があるので、肌の状態を改善したい方は積極的に摂取しましょう。

糖化を抑える

糖質は、エネルギー源として重要な栄養素です。しかし、過剰に摂取すると、細胞内のタンパク分子が糖と結合して(糖化して)変性し、蛋白糖化最終生成物(AGEs)という物質が生成されます。AGEsは分解されにくい性質があり、細胞にダメージを与え、老化と関係があると考えられているので、糖質の過剰摂取は避けましょう。

なお、ポリフェノールには糖化を抑える作用があるので、アムラを摂取することでアンチエイジングの効果を期待できます。

血流を改善する

アムラに含まれるポリフェノール(エラジタンニン)は、消化吸収される過程で血管を拡張させる作用を有する成分(エラグ酸)に変わり、血流を改善させることが報告されています。

血流が滞ると手足の冷えなどを引き起こし、慢性的な体調不良の原因になると指摘されているので、アムラの摂取を検討してはいかがでしょうか。

ミトコンドリアを増やす

アムラには、「細胞内のミトコンドリアを増やす働き」があることが判明しています。ミトコンドリアとは、細胞が活動するためのエネルギーを生み出す役割を担っている細胞内小器官です。

若く健康な方の場合、細胞内に充分な数のミトコンドリアが存在しますが、加齢によって数が減少するとエネルギーを生み出す働きが弱まり、慢性的な疲労との関連性も指摘されています。

免疫機能を守る

免疫細胞の一種である「リンパ球」には、いくつかの種類があります。リンパ球は、伝達物質を放出することで、ほかの種類のリンパ球に情報を送り、協力して免疫機能を担っています。

アムラから抽出されたエキスには、リンパ球が活性酸素によって死滅するのを防ぐ作用や、伝達物質の量が活性酸素によって低下するのを抑える働きがあることが確認されており、免疫機能の維持にとってアムラは有用といえるでしょう。

アムラの摂取方法



ここからは、アムラの摂取方法をご紹介します。

果実の食べ方

アムラの果実にはポリフェノールが大量に含まれています。強烈な酸味や苦味、渋味があり、そのままでは食べにくいのでご注意ください。

インドでは、ピクルスや糖漬け食品、ジュース、砂糖漬け、チャツネ(野菜や果物に香辛料を加えて、漬けたり煮込んだりして作った調味料)、チャワンプラシュ(ペースト状のジャム)の形に加工して食されています。

サプリメントでの摂取

アムラは生のままでは食べにくく、日本では流通量も限られるため、サプリメントの形で摂取するのも良いでしょう。

アムラパウダー(アムラの果実のエキスを濃縮し、粉末状にしたもの)をカプセルに詰めたサプリメントを販売している企業もあるので、購入を検討してはいかがでしょうか。

アムラパウダーでの摂取

カプセルに詰めずに、アムラパウダーのまま販売している業者も存在します。パウダー状のアムラなら、スムージーやヨーグルトにミックスしたり、家庭料理に加えたりして、簡単に美味しく食べることが可能です。1日の摂取量は小さじ1杯(3g程度)を推奨します。

アムラパウダーの購入を検討している方は、こちらのページもご覧ください。

浸出液やアムラパウダーを髪や肌のケアに

アムラの浸出液やアムラパウダーを水に溶かしたものを、口から食べるのではなく、肌や髪の毛に塗ってケアをする方法もあります。

なお、アムラに対してアレルギーがある方は、じんましんや炎症が起こる可能性があるのでご注意ください。使用する前に必ずパッチテストを行いましょう。

まとめ

アムラは、インドの伝統医療において「若返りの果実」と呼ばれ、3500年以上も親しまれてきたフルーツです。

さまざまな効果があるので、購入を検討してはいかがでしょうか。ただし、生のままでは酸味や苦味、渋みがあって食べにくく、流通量も少ないので、サプリメントやパウダーの形に加工されたものを購入するほうが良いでしょう。

口から食べるのではなく、浸出液やパウダーを肌や髪の毛に塗ってケアするという利用方法もあるので、ぜひご活用ください。


関連商品を【シェアシマ】でチェック!
シェアシマでは、以下のような商品を取り扱っています。


>> 【シェアシマ】で商品と取扱企業を見る

x
facebook

おすすめ記事

記事サムネイル
食品原料

抗酸化素材のご紹介〜アンチエイジングを意識した食品開発のヒント〜

人生100年時代と言われる今、年齢や性別を超えたテーマとなっているのが「アンチエイジング」です。アンチエイジングとは、加齢による身体の老化を可能な限り小さくすること。そのために効果が期待されているのが「抗酸化素材」です。そこで今回は、身体の酸化を抑制して老化を防ぐ「抗酸化素材」をご紹介するとともに、代表的な抗酸化物質とそれを含む食品、抗酸化力を高める食品開発のヒントをご紹介します。本記事を参考に、開発テーマや条件にあった原料をぜひ見つけてください“サビない身体”をつくる「抗酸化」とは私たちの身体は年齢とともに老化していきますが、それは細胞の「酸化」、つまり“身体がサビていく”ことに起因しています。この、身体の酸化を抑制する働きのことを「抗酸化」といいます。身体の酸化は、体内に生成される「活性酸素」によって起こります。私たちは、生きるために呼吸をして酸素を体内に取り込んでいますが、そのうち数パーセントが活性酸素に変化するとされています。活性酸素は、細胞内での情報伝達や免疫、代謝の調節など重要な役割を果たす一方で、過剰に産生されると細胞を傷つけて、疲労や老化、動脈硬化、ガンなどの原因になります。活性酸素から身体を守る「抗酸化酵素」と「抗酸化物質」身体には本来、活性酸素から身体を守る「抗酸化防御機構」が備わっています。抗酸化防御機構というのは、体内で合成される内因性の「抗酸化酵素」と、食事から取り入れられる外因性の「抗酸化物質」の働きにより、活性酸素のバランスが保たれる仕組みのこと。抗酸化酵素にはスーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼ、抗酸化物質はビタミン類、ポリフェノール類などがあります。抗酸化酵素と抗酸化物質の作用によって、無害化するのを助けたり、活性酸素によって受けたダメージの修復をサポートしたりしています。体内で合成される抗酸化酵素は、加齢によって次第に減少してしまいます。そのため、食事によって抗酸化物質を補うことがアンチエイジングに役立つといわれています。※参考 健康長寿ネット「抗酸化による老化防止の効果」代表的な抗酸化物質と食品例“サビない身体”をつくるための抗酸化物質には次のような役目があります。活性酸素の発生を抑えるもの活性酸素の酸化力を抑えるもの活性酸素で受けた被害を修復するもの体内で合成される抗酸化酵素の働きを補助するためにも、日々の食事から複数の抗酸化物質を取り入れる必要があります。ここでは、代表的な抗酸化物質の特徴と、その物質が含まれる食品例をご紹介します。

記事サムネイル
食品原料

睡眠の質を改善する原料のご紹介〜健康な毎日を左右する要として

健康づくりにおいて、睡眠の質を高めることの重要性が再認識されてきています。睡眠不足は、心身の不調や作業効率の低下などの影響があるほか、慢性化することで肥満や高血圧、心疾患などにつながるリスクも明らかになっています。健やかな成長と健康寿命を延伸して心身ともに豊かな生活を送るために、厚生労働省は、2032年までに「睡眠で休養がとれている人の割合」を80%まで増やすことを目指し、推進していく方針を示しています。この記事では、健康づくりにおける睡眠の重要性について解説するとともに、良質な睡眠のために役立つ栄養素や食習慣、関連商品をまとめてご紹介します。本記事を参考に、開発テーマや条件にあった原料探しの参考にしてください。健康づくりにおける「眠り」の重要性私たちの健康を保つ上で、十分な睡眠をとることは極めて重要です。睡眠不足が身体に及ぼす影響と、年代別の適切な睡眠時間、睡眠時間の現状について解説します。睡眠不足が身体に及ぼす影響睡眠が不足すると、日中の眠気や疲労感だけでなく、頭痛などの心身愁訴の増加、情動不安定、注意力や判断力の低下にもつながります。また、作業効率や学業成績の低下、うつ病など多岐にわたる悪影響が懸念されていて、場合によっては、事故などを引き起こすリスクもあります。また、睡眠不足には、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠の質の低下による睡眠障害も含まれます。こうした睡眠の問題が慢性化すると、肥満や高血圧、2型糖尿病、心疾患や脳血管障害の発症リスクの上昇や症状の悪化に関連し、死亡率の上昇にも関与することが明らかになっています。ライフステージに合わせた「適正な睡眠」とは適正な睡眠時間は、ライフステージ(こども・成人・高齢者)によって異なり、生活習慣などによる個人差もあります。たとえば、高齢者の場合、長い睡眠時間は健康リスクにつながる場合があるので、8時間以内におさえる必要があります。一方で、こどもの場合、小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間を目安に睡眠時間を確保するのが理想です。また、適切な睡眠時間の確保だけでなく、日頃の生活習慣や睡眠環境を整えることも大切です。<睡眠の推奨事項一覧>全体の方向性:個人差を踏まえつつ、日常的に質・量ともに十分な睡眠を確保し、心身の健康を保持する

記事サムネイル
食品原料

特集|食品ロス削減に貢献する原料〜フードサプライチェーンでできること〜

10月は「食品ロス削減月間」、そして、10月30日は「食品ロス削減の日」です。本来食べられるはずの食品がさまざまな理由で捨てられてしまうことを「食品ロス」といいます。日本では、2022年度の推計で472万トンもの食品ロスが発生しており、そのうち半分は事業系食品ロスが占めています。飲食店での食べ残しやスーパー・コンビニでの売れ残り、製造・流通段階での廃棄、家庭での賞味期限切れなど、食品ロス削減には、一人ひとりの理解と心がけが必要不可欠です。この記事では、食品ロス削減に貢献する原料と関連記事をご紹介するとともに、日本の食品ロスの発生状況と、フードサプライチェーンの各段階で実践できる具体策をご紹介します。食品ロス削減に貢献する原料のご紹介アップサイクル原料本来廃棄されていた食材や食料を加工して、新たな価値ある商品へと生まれ変わらせた「アップサイクル原料」は、こちらの記事でご紹介しています。

記事サムネイル
食品原料

【9月度】注目の原料商品のご紹介|シェアシマ編集部まとめ

シェアシマの原料ページに登録されている942点(9月末日時点)のうち、2024年9月に閲覧数の多かった商品をまとめてご紹介します。

記事サムネイル
食品原料

サプリ市場への新規参入をオーガニック原料×小ロットOEMで支援【ナチュラリンク】

世界的に成長が続くサプリメント市場。今回は「オーガニック原料×小ロットOEM製造」のサプリメント開発を得意とし、近年はペット用サプリや海外輸出向けのOEM製造に力を入れる株式会社ナチュラリンクの取り組みをご紹介します。「オーガニック原料×小ロットOEM」で広げる提案力福岡市に本社を置く株式会社ナチュラリンク。創業者が高栄養価の植物モリンガに魅せられて2014年に設立した、健康食品や化粧品などのナチュラル&オーガニック原料を幅広く取り扱う企業です。オーガニック原料への強いこだわりと目利き力、そしてフットワークの軽い提案力を発揮して、サプリメント業界の中で独自の価値を提供しています。世界中から良質なオーガニック原料を調達同社の大きな強みは、国内外のネットワークを駆使したオーガニック原料の調達力。サプリメントなどの健康食品から化粧品まで、幅広い用途に向けた良質なオーガニック原料を、業界のトレンドを注視しながら常時調達しています。また顧客のニッチなニーズに応えて、市場に出回りにくい希少な原料の仕入れも得意としています。小ロットOEM対応で、商品企画から製造まで一貫サポート一般的なサプリメントの製造工程では、成形などの際にどうしても食品添加物の使用が生じてしまいます。ナチュラリンクでは「添加物は極力避けたい」などのメーカー側のこだわりに寄り添いながら、知識豊富なNR・サプリメントアドバイザー(※)が商品コンセプトの立案から試作、製造まで一貫してサポートします。これもオーガニック原料に精通している同社ならではの商品企画力といえます。また小ロットのOEM製造に対応し、サプリメントは剤型によって最低1個の極小ロットから製造が可能。柔軟で小回りのきくOEM体制も同社の特色といえます。(※)日本臨床栄養協会に認定された、保健機能食品やサプリメントについて適切にアドバイスできる資格者のこと。注目の「ヤギミルク」を使ったサプリも開発最近注目を浴びるオーガニック原料の一例では「ヤギミルク」が挙げられます。栄養価が高くアレルギーが生じにくい、とペット用にもヒト用にも注目されているサプリ原料です。ナチュラリンクではホルモン剤や化学的な飼料を一切使用せず、徹底的に管理飼育されたオランダ産のヤギミルクパウダーを輸入し、全脂粉乳・脱脂粉乳・ホエイプロテインなど種類豊富なヤギミルクが揃います。>>【シェアシマ】でナチュラリンクが扱う原料を見るサプリ開発のトレンドは「ペット向け」と「海外輸出」同社宛に近年問い合わせが増えているのが、ペット人気によって需要が高まるペット用サプリの開発と、サプリの海外輸出事業だといいます。ここでも同社がもつ「オーガニック原料×小ロットOEM対応」の強みが活かされています。市場拡大中のペット用サプリにも小ロットで対応ここ数年で成長が著しいペット用サプリ市場。しかしヒト用サプリとは勝手が異なり、新規参入の敷居が高いと感じる企業も少なくありません。ナチュラリンクはペット用サプリの開発実績も多く、この分野ならではの特性やトレンドに関する知識を生かしてゼロベースから商品企画に対応。愛玩動物用飼料の製造許可を取得した専門工場で、試作品を含めて小ロットからOEM製造に対応しています。サプリの海外輸出を広範囲でサポートサプリメントのマーケットでもうひとつ注目される傾向が、海外輸出事業です。特に経済成長と人口増加が著しいアジア圏やイスラム圏への輸出事業には、多くのビジネスチャンスが潜んでいます。イスラム圏への輸出の場合、欠かせないのがイスラム教の教義に則った「ハラル認証」の取得。ナチュラリンクでは、企業からの要望を機にハラル認証への対応を開始し、UAEなど中東エリアでの輸出実績があります。アジア輸出の複雑な申請作業を代行アジア圏も魅力的な輸出マーケットですが、国によっては複雑な申請手続きが必要です。たとえば東南アジアのタイは健康食品の輸入に関して、食品医薬品局(FDA)の認可基準が非常に厳しいことで知られており、日本の大手商社でも年単位の年月を要した例があるほどです。ナチュラリンクでは、タイへのサプリメントや化粧品輸出を目指す企業に向けて、必要な申請作業を代行しています。すでに化粧品では、申請を通過して輸出実現に至った事例も複数あり、今後も同社が強化していく事業分野となっています。オーガニック原料に関する深い知見と、小規模なOEM体制が強みのナチュラリンクには「他社の工場で断られた」という商品企画を持ち込むメーカーも少なくないとのこと。最近では、新たなトレンドになりつつあるCBDオイルの製造も受け入れています。商品企画から試作、製造、その後のサポートまで二人三脚で伴走する同社は、健康食品で新規参入を目指す企業の頼もしいパートナーになりそうです。

記事サムネイル
食品原料

食品アップサイクル原料のご紹介〜市場拡大の背景と食品企業が取り組む意義とは

食品分野におけるアップサイクルとは、本来廃棄されていた食材や食料を加工して、新たな価値ある商品へと生まれ変わらせること。SDGsや食品ロスの削減への関心が高まる中で浸透してきた考え方のひとつです。この記事では、アップサイクルの市場拡大の背景と、食品業界が取り組むメリットや課題、関連商品をまとめてご紹介します。本記事を参考に、開発テーマや条件にあった原料をぜひ見つけてください。シェアシマでは「大切な食資源を活かす」ため、未利用の原料情報も公開しています。こちらもぜひご覧ください。>>【シェアシマ】でアップサイクルプロジェクトの原料を見るアップサイクル食品の定義2019年に設立された業界団体「アップサイクル食品協会」(本部=コロラド州デンバー)は、世界自然保護基金や自然資源防衛協議会などの専門家チームによる共同作業を経て、2020年5月にアップサイクル食品の定義を定めました。その定義では「アップサイクル食品とは、本来であれば人間の消費にまわらない材料を使い、検証可能なサプライチェーンで調達し、生産された、環境に対して良い影響を与えるもの」とされています。また、アップサイクル食品の要件として「そのままであれば食品廃棄されてしまう材料から作られること」「付加価値が与えられた製品であること」としています。リサイクルとの違いアップサイクルと混同されやすい言葉として「リサイクル」があります。リサイクルは、ある製品を別の製品の原料にして別の製品を生み出すことを意味します。リサイクルは「古紙が再生紙になる」など、どちらかといえば価値の低い製品に変換されるケースが多く、これは「ダウンサイクル」と呼ばれます。この点において、価値を持った製品に生まれ変わるアップサイクルとは大きく異なります。アップサイクル食品市場が拡大する背景・理由世界のアップサイクル食品市場は、2021年に約537億米ドルと評価。2022年~2029年には6.2%以上の健全な成長率で成長すると予測されています(※)。世界のアップサイクル食品市場が拡大する背景には、大きく3つの理由があると考えられています。※参考:株式会社グローバルインフォメーション「アップサイクル食品の世界市場規模調査&予測、製品タイプ別、供給元別、流通チャネル別、地域別分析、2022-2029年」理由1:健康意識の高まり新型コロナウィルスの大流行をきっかけとした健康意識の高まりから、栄養価の高い食品の需要が急増しています。アップサイクル食品は、廃棄予定だった原材料を利用しながらも栄養価が高いことが多いです。食品の「無駄を減らす」だけでなく、健康をサポートする食品としても注目されています。理由2:環境意識の高まり食品廃棄物の問題が世界的に注目される中で、消費者の購買行動にも大きな影響を与えています。環境意識の高い消費者の間ではサステナブルな商品を選ぶ傾向が高まっていて、アップサイクル食品も支持を集めています。理由3:企業の社会的責任(CSR)の取り組み食品業界では、企業の社会的責任を果たすためにサステナブルな取り組みが進んでいます。企業が環境や社会に対して貢献する方法として、アップサイクルが関心を集めています。また、政府の施策や支援、中小規模の食品廃棄物アップサイクル事業の成長により、今後数年間の市場成長が期待されています。食品企業がアップサイクルに取り組むメリット3つ食品企業がアップサイクルに取り組むメリットは大きく3つあります。メリット1:仕入れコストの削減本来捨てられるはずの食品を使うことで、新しく原材料を仕入れる必要がなくなるため、原材料の購入コストを削減できます。メリット2:リサイクルによるコストやエネルギーの削減アップサイクルは、廃棄物のリサイクル(分解・溶解)に比べて、発生する処理コストやエネルギー消費の削減にも寄与します。不要な廃棄物を有効利用することで、リサイクルにかかる費用や物流のコストの削減にもつながります。メリット3:企業のイメージ向上アップサイクルの取り組みを進めることで環境問題に対する積極的な姿勢が評価されれば、消費者の信頼獲得や企業イメージの向上にもつながります。特に、サステナビリティを重視する消費者層に対して、企業のブランド価値を高める効果も期待できます。食品企業がアップサイクルに取り組む課題アップサイクルは、持続可能な未来を目指す食品業界にとって重要な取り組みです。ただし、食品企業が取り組む上で、その実現には大きく2つの課題があります。原材料の確保が不安定アップサイクルでは廃棄物を再利用しますが、これらの供給量が常に安定しているわけではありません。季節や生産の変動により、必要な原材料が不足する場合や、逆に過剰に発生することがあるため、安定した供給を維持することが困難です。こうした課題を解決するためには、原材料の確保の不安定さを考慮した上で、アップサイクル製品の生産計画やビジネスモデルを検討する必要があります。廃棄物抑制と安定供給の両立の難しさ廃棄物を削減するための取り組みと、アップサイクル製品を製造するための原材料の確保にはジレンマが存在します。たとえば、廃棄物削減を進めるほど、アップサイクルに必要な副産物の量が減少し、製品の製造が難しくなるという逆説的な状況が生まれます。適切なバランスを保つためには、製造プロセス全体の検討や、廃棄物の利用可能性を予測した戦略的な計画が求められます。自治体による充実した支援事業も始動食品のアップサイクルは、循環型社会を目指す社会的意義に加え、新たな商品開発や収益改善の機会としても注目されています。2024年度より、国内でもとりわけ食品産業が盛んな静岡県で、未利用食材を「供給したい/使いたい」企業をつなぐマッチング支援事業が始まりました。