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食品ロス削減月間に考える「捨てない食品」づくり――食品ロスはどこまで減らせる?

食品ロス削減月間に考える「捨てない食品」づくり――食品ロスはどこまで減らせる?

10月は「食品ロス削減月間」です。食品ロスは家庭だけでなく、食品の製造・流通・販売・外食など、食のサプライチェーンのさまざまな場面で発生しています。

こうした状況下で、2026年6月30日に2024年度の食品ロス量の最新推計が公表されました。前年度と比べると全体では3万トン減少しましたが、事業系は6万トン増加しています。

賞味期限の延長や食品寄付、DX活用など、食品ロス削減の取り組みが広がるなか、食品開発の現場では今後どのような対応が求められるのでしょうか。

本記事では、食品ロスをめぐる現状と社会の変化を整理しながら、食品開発者が考えたい「捨てない食品」づくりについて考えます。商品開発を進める上でのひとつの視点として、ぜひ参考にしてみてください。

食品ロスをめぐる現状といま起きている変化

引用:農林水産省「1.事業系食品ロス量(2024年度推計値)」


2024年度の食品ロス461万トンの内訳は、家庭系224万トン、事業系237万トン。事業系では、食品製造業110万トン、卸売業9万トン、小売業48万トン、外食産業70万トンとなっています。

注目したいのは、事業系食品ロスが2000年度比で57%削減されていることです。これまで、食品業界では商慣習の見直しや賞味期限の延長など、さまざまな取り組みが進められてきました。

一方、事業系食品ロスは2024年度に前年度より増加していて、削減の取り組みをさらに進める必要があります。食品ロスを「どこかひとつの業界の問題」として捉えるのではなく、食品の開発から消費まで、サプライチェーン全体で考えることが重要になっています。

※参考:農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」

2030年の削減目標に向けて

事業系食品ロスについて、政府は2000年度比で2030年度までに60%削減する新たな目標を設定しています。2024年度時点ですでに57%削減されているため、目標達成まであと3ポイントというところまで来ています。

ただし、ここからの削減は、これまでと同じ方法を繰り返すだけでは難しいかもしれません。

これまで進めてきた「売れ残った食品をどうするか」「期限が近づいた食品をどう販売するか」という対策に加えて、今後は食品ロスが発生する前の段階に目を向けることが求められます。

※参考:消費者庁「第10回食品ロス削減推進会議(2024年12月24日)」

▽関連記事
食品ロス削減の動向についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。
今こそ取り組むべき「食品ロス削減」とは?2025年最新対策まとめ

賞味期限の延長と年月表示への変更

食品ロス削減の取り組みとして進められてきたのが、賞味期限の延長や表示方法の見直しです。

たとえば、賞味期限が3か月を超える食品では「年月日」ではなく「年月」で表示することが可能です。年月表示にすることで、サプライチェーン上の日付逆転を防ぎ、在庫を効率的に扱えるなどのメリットがあります。

また、容器包装や製造方法の改良によって、賞味期間を延長する取り組みも進められています。2025年に改訂された食品期限表示の設定に関するガイドラインでは、賞味期限を設定する際、食品の特性などを踏まえて「安全係数」を適切に設定することが示されています。

安全係数とは、食品の安全性や品質を考慮して、試験などで得られた期限に一定の余裕を持たせるための係数です。ガイドラインでは、その余裕を必要以上に大きくせず、安全性を確保したうえで、できるだけ「1」に近づけることが望ましいとされています。 

なぜ家庭の食品ロスは減少したのか



2024年度の家庭系食品ロスは224万トン。食品ロス全体が減少する中で、家庭から出る食品ロスについても削減が進んでいます。

その背景には、食品そのものの変化だけでなく、消費者の意識や社会の仕組みの変化があります。

物価上昇と「食品を捨てない」意識の広がり

食品価格の上昇も、家庭での食品ロス削減意識に影響していると考えられます。

「買ったものを無駄にしたくない」「食べきれる量だけ買いたい」という意識は、家計を守る行動であると同時に、食品ロス削減にもつながります。

また、「賞味期限」と「消費期限」の違いなど、食品ロスに関する情報が広がってきたことも重要です。賞味期限は、定められた保存方法・未開封の状態で「おいしく食べられる目安」であり、期限を超えたら直ちに食べられなくなるものではありません。

AIによる需要予測

食品ロス削減は、消費者の意識だけでなく、AIやデータ活用によっても進められています。

たとえば、気象や人流などのデータを活用して需要を予測し、発注量や生産量を調整する仕組みです。農林水産省が紹介する岐阜県の食品開発業者の事例(※)でも、AIによる需要予測を活用した発注・管理によって、食品ロス削減につなげる取り組みが進められています。

※参考:農林水産省「食料・農業・農村白書にビジネスチャンスあり!」

★原料商品の掲載を希望される企業様は、会員登録(無料)で10品まで掲載可能です。

食品ロス削減に向けて社会の仕組みも変化している



食品ロスを減らすための取り組みは、商品そのものだけでなく、流通や販売、寄付、再流通などにも広がっています。 

商習慣を見直して食品を廃棄しない流通へ

代表的なのが「3分の1ルール」の見直しです。

従来、賞味期限までの期間を3等分し、最初の3分の1を納品期限とする商慣習がありました。現在は、納品期限の緩和や賞味期限の年月表示化、賞味期限の延長を組み合わせた取り組みが進められています。

こうした商慣習の見直しは、製造業だけで完結するものではありません。メーカー、卸、小売が連携して取り組むことで、流通段階での廃棄を減らすことにつながります。

食品寄付の仕組化とフードバンク団体認証

まだ食べられる食品を必要とする人につなぐ「食品寄付」も、食品ロス削減の重要な手段です。

2024年12月には「食品寄附ガイドライン(※)」が策定され、食品寄付の信頼性を高めるための仕組みづくりが進められています。さらに2026年4月からはフードバンク認証制度の運用が始まり、2026年7月には初めて4団体が認証されました。

食品を寄付したい企業にとっても、信頼できる寄付先につながりやすくなることが期待されます。

※参考:消費者庁「食品寄附ガイドライン~食品寄附の信頼性向上に向けて ~」

外食の食べ残しを「持ち帰る」選択へ

外食産業でも、食べ残しを減らすだけでなく、「食べきれなかったものを持ち帰る」という選択肢が広がっています。

消費者庁は2024年度に「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」を策定し、飲食店での食べ残し持ち帰りを促進するための基本的な考え方を示しています。

食べ残しを「廃棄するもの」と位置づけるのではなく、安全面に配慮しながら、消費者自身が持ち帰るという選択をできる環境を整えることも、食品ロス削減につながります。

DX活用で、余った食品を再利用

さらに、DXを活用して「余った食品を別の販路につなぐ」取り組みも進んでいます。

たとえば、「Kuradashi」(※)では、賞味期限が近い商品や通常の流通では販売しにくい商品などを買い取り、別の販売機会につなげる仕組みを展開しています。2026年には、在庫の滞留を事前に予測する「滞留予測AI」を活用したサービスも開始し、同年7月に開催された「日本DX大賞2026サミット&アワード」(主催:日本DX大賞実行委員会)では、サステナビリティ部門の優秀賞を受賞。食品ロスの原因療法型DXとして注目されています。

つまり、食品ロス対策は「捨てる前に売る」から、さらに「滞留する前に予測する」段階へと進みつつあります。

※参考:株式会社クラダシ「Kuradashi」

▽関連記事
食品アップサイクルの最新動向については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
【2026年版】食品アップサイクルの動向①|欧米の業界団体から見る商品開発のヒント

食品開発の現場でできる食品ロス削減の視点



ここまで見てきたように、食品ロス削減の仕組みは大きく変化しています。その中で食品開発者に求められるのは、完成した商品を「どう売り切るか」だけではありません。

商品をつくる段階から、食品ロスが発生する可能性を減らしておく。この視点が、これからますます重要になります。

賞味期限の再検討

食品ロス削減という視点から、商品開発の際に見直してみたいのが賞味期限です。

保存試験や品質評価の結果をあらためて確認したり、保存技術や包装資材、製造工程を工夫したりすることで、賞味期間を延ばせる可能性があります。

原料の活かし方と売れ残った場合の出口の検討

原料についても、商品開発の段階からできることがあります。規格外原料や加工時に発生する端材、副産物などを、別の商品や原料として活かせないか検討することもその一つです。

また、「もし売れ残ったら、どこへつなげられるか」という視点も大切です。食品寄付や二次流通など、通常とは異なる販売・提供先をあらかじめ考えておくことで、廃棄を避けられる可能性があります。

「食品ロス削減を意識した商品開発に取り組みたい」

そんな食品メーカー・食品開発担当者の方は、食品原料の調達から商品開発、販路開拓までをサポートするシェアシマへ、ぜひご相談ください。


まとめ

食品ロス削減に向けてさまざまな取り組みが進むなかで、食品開発の現場では「そもそも食品ロスが生まれにくい商品をどうつくるか」という視点が重要になっています。

賞味期限の設定や、商品が売れ残ったときの再流通先などを商品開発の段階から考えることで、食品ロス削減は「廃棄対策」から「商品設計」へと変わっていくでしょう。

 

執筆者プロフ シェアシマ編集部

「大切な食資源を活かす」をパーパスに、食品業界に携わる方々に向けて日々の業務に役立つ情報を発信しています。食品業界の今と未来を示唆する連載や、経営者へのインタビュー、展示会の取材、製品・外食トレンドなど話題のトピックが満載!さらに、食品開発のスキルアップや人材育成に寄与するコンテンツも定期的にお届けしています。

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