
シェアシマ小池、コラムはじめます【社長コラム#1】
ICS-net株式会社を創業して8年。長くもあり、短かったような8年が経過しました。
私がシェアシマを立ち上げようと思ったのは、今から遡る事10年前の2014年の出来事です。まだ、その頃の想像していた未来には辿り着いていませんが、シェアシマに会員登録されている会社数は2000社を超え、多くの商品開発者の方々にご利用いただき、これからますます広がっていくサービスであると確信しています。
このコラムでは、私の感じた事、思っている事をできるだけ多くの皆さまに知っていただけるように書いていければと思っております。よろしくお願いします。
食品メーカー勤務から「シェアシマ」起業へ
皆さま、初めまして。ICS-net株式会社ファウンダーの小池祥悟です。
私は、長野県長野市出身。農家の跡継ぎで、現在も10反近くの農地があり、稲作、栗、野菜を年老いた両親と共に栽培する、地方の農地を守る一人です。
1998年にマルコメ株式会社に入社。食品メーカー勤務からキャリアをスタートさせました。
食品メーカーというのは、仕入⇒加工⇒製造⇒販売という一連のサプライチェーンを自社内に備え、一つの商品がユーザーの手元に届くまでを「会社」という組織体が実現させています。当然ですが、一連のサプライチェーンのみでは商品にはならず、
- 新商品開発をするための商品開発
- 多くのユーザーに自社、商品を知っていただくためのマーケティング
- 品質を保証し、再購入していただくための品質管理
- 総務・経理・財務・情報システムなどの経営機能
- 出来上がった商品をユーザーにお届けするための物流
これらの多くの機能と雇用によって、今も私たちの口に入る食品が作られています。一つの会社には多くの役割と雇用があり、食品を届けるために日夜努力している方々が全国にいるのです。
私は、その食品メーカーに約20年間勤務する中で、多く事を経験させていただき、今があります。
なぜ、「シェアシマ」をローンチしようと思ったのか
きっかけは食品メーカー勤務時代の苦い経験から
前述の通り、食品メーカーは多くの業務があり、一人ひとりが、お客様の満足のいく商品を作るために、努力しています。
メーカー勤務当時、即席みそ汁をより多くのお客様に安価で提供するために、即席みそ汁の具材でもある「乾燥ネギ」の調達を新しい産地で試みました(原価の中で「乾燥ネギ」は高価という事もあり)。それが、タイです。
2カ月に1〜2回訪問し、自社商品を説明し、協力いただける会社を一社ずつ当たりました。結果、計画してから1年半後に、日本への輸入を成功させ、いよいよ製品に使う算段になった際に問題が起こります。
それまでに何度も試験を繰り返し、異物除去や目視検査、フリーズドライ工程での温度や乾燥時間の調整試験などを経て、ようやく製品化し日本へ輸入しました。しかし、いざ使用する段階になった際、生産工場から連絡が入りました。
「いくつかのケースの中に茶色く褐変したネギが混入している」
の一報でした。
乾燥ネギはどうなったのか
私は、この連絡を品質管理責任者から聞くなり、すぐに生産工場へ向かいました。そこから長い会議を行いますが、結果的には、使う事を断念。
現地タイ工場の皆さん、ネギを生産している農業法人の皆さん、また、輸出の手配をしていただいた方々の事を思い浮かべながら、当社の為に作ってくれたこの商品を使えないという現実が突きつけられます。
当然ですが、この原料を使えないという事は、生産計画に穴が空いてしまうため、すぐに代替の乾燥ネギを用意するのも当時の私の仕事でした。
使用を断念した乾燥ネギは、正味2t。生鮮原料でいうと、約200tのネギに相当します。原価の問題もさることながら、これをどのように再活用するのかについて、社内で検討を重ね、検品・選別をして多くを利活用しましたが、一部廃棄が出たことも事実です。
原料を有効活用し、必要とする企業へ届けたい
これは、一例ではあるものの、今の日本において食料自給率が下降線をたどっている中で、他にも廃棄せざるを得ない原料はいくつもあります。
- 発注ミスにより、使用期限が迫ってしまった在庫品
- 最終商品の終売に伴う、使用できなかった在庫品の処分
- 店頭回収により、使用予定だった原料が使用不可になるケース
などなどです。
私は、この一連の出来事を通じて、食品加工における原料廃棄というのは、日本国内の企業間のネットワークが構築されれば、必ずしも避けられないものではないと考えるようになりました。廃棄せざるを得ない原料でも、必要としている企業へ融通する事で、有効活用の道があるのではないか、と考えるようになります。
原料プラットフォーム「シェアシマ」の誕生
2019年にローンチし、2023年にリニューアルしたシェアシマのロゴ
食品メーカーにおいて、原料、副原料は命綱です。その品質や価格によって、末端ユーザーの満足のいく品質・味・価格が決まると言っても過言ではありません。そのため各社、自社の専用仕入ルートを作ったり、他社との差別化を図るためにも、契約農家との年間契約を行ったりと、経営判断をされている会社も多くあります。
その中で、致し方なく廃棄をせざるを得ない原料に関しては、当時、販売するルートも仕入れるルートも存在しませんでした。
そこで考えたのが「その原料をシェアしませんか?」というアイデアです。食品メーカーのネットワークを構築し、その中で、各社が困っている事、特に原料について特化したプラットフォームを作ろうというのが、このICS-net株式会社が始まるきっかけになります。
時は2014年。まだおぼろげながら、イメージのみ先行していた頃でした。
小池祥悟プロフィール
食品メーカーに約20年勤務し、商品企画、開発、営業、品質管理、原料調達、新規事業、海外取引に至るまで、食品開発に関わるあらゆる業務を経験。労働生産性の低い食品開発のスキームは、深刻な問題であり、進まない業界の構造変革には、デジタル化、情報のオープン化と一元化が必要であると考え、 ICS-net株式会社(シェアシマ事業運営)を創業。食品開発にフォーカスしたWebプラットフォームの構築に邁進している。
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食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、栄養指導やセミナー講師も務める管理栄養士、デザイナーと二足のわらじの元雑誌編集者など、30〜40代の食に関心の高いメンバーを中心に運営中