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注目の代替食材が集まるPLANT BASED MARKET、おいしい見所を“つまみ食い”【展示会レポ】

注目の代替食材が集まるPLANT BASED MARKET、おいしい見所を“つまみ食い”【展示会レポ】

植物性商材専門の展示会「PLANT BASED MARKET」(朝日新聞社と日本プラントベースフード市場協会の共催)が2023年9月1日から3日までの3日間、東京ビッグサイトで開催されました。SDGsに根ざした良き暮らしのヒントが見つかる体験型イベント「GOOD LIFEフェア」(朝日新聞社主催)の食フェスエリアに、植物由来のグルメやコスメを扱うメーカーなど25社ほどがブースを展開。動物性素材を一切使用していないバターや小えびといった目新しい代替食品素材が注目を集めていました。
(シェアシマ編集部)

もはや代替ではない、おいしい植物性バター(不二製油)


食用油脂など製造の不二製油(東京)が、試食提供していた「ソイレブール」。製菓・製パン材料のECサイト「cotta(コッタ)」で売れ行き急上昇の商品だといい、ブース前で同社広報課主任の岡本渉さんに推しポイントを聞くと「世界初の特許技術で製造した自信作」とのこと。

スプーンで一欠片食べると、軽い食感が印象的で、すっと溶けてしまいました。やや塩味があり、高級感のあるクリームバターを食べた後のような感覚です。ただ、口の中はスッキリとしていて、それが植物性素材ならではの魅力に感じます。

むしろ、乳製品の代替というより、これぞ「本物の豆乳クリームバター」という印象でした。「Soy lait Beurre」と書かれた、欧州風のパッケージも好印象で、高級感が漂います。

製菓・製パンの原料としての需要も高そうですが、一般消費者にウケていることも納得です。「もちろん代替素材としての出番もありますが、それを超えて『おいしいから食べたい』と言っていただける商品です」と岡本さん。「確かにその通り」と、納得のおいしさでした。

大豆生まれの豆乳クリームバターソイレブール | お菓子・パン材料・ラッピングの通販【cotta(コッタ)】

誰もが食べられるえびを、プリプリ感を見事に再現(イビデン物産)


食品原料の中で特に気になったのが、小えびの代わりに使える商品を紹介していた「イビデン物産」(岐阜県)。「アレルゲンフリー」「プリン体ゼロ」「食物繊維豊富」の3拍子揃った植物性の「えび」が何からできているのかを尋ねると、えんどう豆とこんにゃくの成分によって作られているのだそう。

こちらも試食用に用意されていたアヒージョをいただくと、プリップリの食感が見事に再現されていて、本当に驚きました。

こちらは、どんな料理にも合わせやすいようにと、薄い塩味がついています。本物のえびではないため、下処理も不要で、使いやすさも評価ポイントになっています。会場では私が口にした冷凍の商品のほか、繊維感が感じられる歯ごたえにこだわったフリーズドライの商品も、提供されていました。

同社営業部次長の高橋祐輝さんに話を聞いたところ、こちらの商品が生まれたのは「甲殻類アレルギーがある社長の奥様でも食べられるえびを作れないか」と、開発に着手したことがきっかけだったとのこと。「日本人はみんなえびが大好きですからね。アレルギーの人も食べられる『えび』は、必要とされていると思います」と話していました。

キユーピーの本気に驚く、マヨネーズ好きもため息(キユーピー)


ブース前に人だかりができていたのは、3月に発表したサステナブル新ブランド「GREEN KEWPIE」のドレッシングをずらり並べたキユーピー(東京)のブースでした。

来場者対応に当たっていた同社のスタッフに聞くと、初日から試食用のサラダが一時品薄になるほどの盛況ぶりとのこと。「まだ新しいブランドですが、注目の高さを感じます」

シェアシマinfoでも記事で紹介したことがあり、ぜひ試食をと思っていましたが・・・訪れたタイミングが悪く、ちょうど試食が品切れ状態!シーザーサラダドレッシングを試食した来場者の女性は「私、マヨネーズが大好きなんですけれど、え!これ本当にすごい技術ですね」と、驚きの声を上げた後、思わずため息を漏らしてました。

ブースでは、卵の供給不足で話題となった「HOBOTAMA(ほぼたま)」の試食品も提供。こちらも「本当に卵みたい」と、訪れた人を驚かせていました。

関連記事:シェアシマinfo | キユーピー、新ブランド「GREEN KEWPIE」で、“サステナブルな食”を打ち出す

「おいしい+α」の魅力のプラントベースミート(オザックス)


プラントベースフードの代名詞とも言える代替肉のブース出展もありました。

その中で、オザックス(東京)のブースは、子供連れに好評。オーストラリアで人気のプラントベースミート「v2」を、肉まんや餃子、キーマカレー、トマトソースなどに調理して振る舞っていました。

こちらの商品は、オーストラリアの国立科学研究機関のCSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)が開発に携わっていることもあり、オーストラリアでは抜群の信頼性と人気を誇る商品です。

ひき肉のような形状をしていて加工特性が高いことも強み。「いろんな料理に使いやすいですよ」と、同社ライフサイクルソリューション本部副本部長の田中文明さんが勧めていました。

ラーメン店まで「お肉なし」の徹底ぶり(博多一風堂)


PLANT BASED MARKETのブースを一巡した後、会場の一角に並んだキッチンカーをのぞいてみると、ここにもプラントベースフードが!

博多発祥のラーメンチェーンの一風堂が、植物由来の食材のみで作った「次世代ヌードル」として、トリュフオイルを使った「プラント白丸」と特製醤油&辛味噌の「プラント赤丸」の2種類を提供していました。

プラントベースなのに「まるでとんこつ!」という看板のキャッチコピーに興味を惹かれて、取材後の「締めの一杯」として、「プラント白丸」を一杯注文しました。



動物性の食材を一切使用していないのに、スープは濃厚なとんこつ風の味わいで、大満足!

プラントベースフードは食品業界で高い関心が寄せられているものの、日本ではこれから市場の拡大が期待される段階です。ただ、「既存食材の置き換え」という発想から、「新しい食の選択肢」に十分なりうることが、「PLANT BASED MARKET」を通してしっかりと体感できました。

ちなみに一風堂のこの2種類のメニューは、「ルミネエスト新宿店」でレギュラーメニューとして常時販売中とのことです。

【7/9(土)】「プラントベース」が選べる「一風堂 ルミネエスト新宿店」8階にOPEN!

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