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【開催レポート】シェアシマ特別セミナー「食品企業のためのサステナブル経営入門」(1/30)

食品原料のWebプラットフォーム「シェアシマ」を運営するICS-net株式会社(長野市)は、日本の食品製造業の未来に焦点を当て、グローバルな視点での展望と対応策を探る特別セミナー「食品企業のためのサステナブル経営入門」を、1月30日に開催しました。

本記事では、登壇者様の講演内容の一部をご紹介します。

農林水産省から情報提供|「食品企業のためのサステナブル経営ガイダンス」とは



まずはじめに、農林水産省の中世古昌史様より「食品企業のためのサステナブル経営に関するガイダンスについて」と題して、情報提供をいただきました。

中世古様は、環境問題の深刻化やESG(※)課題への投資が拡大している中、「今こそ各企業はサステナブルな経営への対応が求められている」と述べました。

気候変動の影響や環境問題への対処の必要性、ESG投資に関する詳しい内容の紹介があったほか、企業がサステナビリティに取り組む際の背景や動機、具体的な取り組み方についても説明がありました。

データや事例を交えながら、参加者に対して「サステナビリティに対するより深い理解が求められる」と促しました。その上で、今後は、サステナビリティに関する取り組み自体が「企業の経営戦略において必要不可欠である」と強調していました。

※ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の略で、これらを考慮した投資活動や経営・事業活動のこと

日本の食品産業の未来像|食品業界におけるサステナビリティの可能性


次に、サステナブル経営アドバイザーの足立直樹様(株式会社レスポンスアビリティ代表取締役)より、基調講演をいただきました。

冒頭、足立様は「私たちの今の経済活動は地球に大きな負荷をかけており、このままのやり方を続けることはもはやできない」と、経済活動優先の現状に警鐘を鳴らしました。

その上で、食品業界は特に「気候変動」「資源循環」「生物多様性」において、多大な影響を及ぼしていると指摘しました。具体的な事例として、パーム油のための大規模なアブラヤシのプランテーション開発が、森林破壊・森林火災・地球温暖化を引き起こす大きな要因になっていることを挙げました。

ほかにも、ミツバチの世界的な減少が農作物の生産を苦境に追いやっていることについても言及。こうした課題が顕在化し、対策に積極的な企業が増えつつある一方で、認証原料の供給が追いつかずに逼迫している問題を取り上げました。こうした複合的な課題には、「企業と個人、そして国際的な協力が必要とされている」としました。

異常気象や自然災害については、その影響で食品産業においても深刻な経済損失が起きつつあることを強調した上で、事業者も調達先に働きかける必要性を訴えました。その上で、温室効果ガスの排出について、肉生産が大きな原因になっていることを指摘し、「代替肉の活用を含む食品システムの変革が求められている」と述べました。

最後に、日本の食品産業に向けて、「国際的なトレンドや変化に敏感であることが必要。
輸出先や海外からの訪問者に選んでもらうためには、サステナビリティや環境への配慮、持続可能な原材料の確保が求められる」と指摘。今後は現行のビジネスモデルでは立ち行かなくなる可能性が高く、「サステナビリティへの取り組みや柔軟性が一層求められている」と言います。

加えて、重要なこととして、「持続可能な経営には企業と顧客の共同作業が必要であり、顧客に対する働きかけ、意識強化が必要である」とも言及。「解決策は既にある。伝統的な知恵を守りつつも、それらを新しいアイディアと融合させることこそが不可欠であり、そうすることで食品産業を持続可能なビジネスにすることができる」と述べました。

マクドナルドのサステナビリティ戦略|環境保護とビジネスの調和


日本マクドナルド株式会社の牧陽子様からは、同社のサステナビリティへの取り組みが紹介されました。

牧様は、マクドナルドでは、サステナビリティを「食」「環境」「社会」「人」の4つの柱で捉えていると説明しました。「環境」については、2050年までのネット・ゼロ・エミッションを目指し、店舗やオフィスでのCO2削減やサプライチェーンにおける改善を進めているそうです。例えば、再生エネルギー導入・省エネルギー対策、食品リサイクルの積極的推進など多岐にわたる取り組みを行っていて、併せてプラスチック削減も進行中ということです。

牧様によると、同社では、2025年末までに、すべてのお客様提供用パッケージを再生可能な素材、リサイクル素材または認証された素材に変更することが計画され、すでに木製カトラリーや紙製ストロー、紙製サラダボックスの提供が始まっています。加えて、ドライブスルーではレジ袋の提供を抑制。食品ロス削減にも力を入れており、2023年における食品ロス率は2.3 %に止まったそうです。

ほかにも、持続可能な食材の調達、地域貢献活動や人材育成などに力を入れていて、「おいしさとFeel-Goodなモーメントを、いつでもどこでもすべての人に」というミッションを達成するため、サステナビリティを追求していく意欲を示していました。

当日は、190名を超える方々にお申し込みいただきました。講演後に寄せられた感想では、

  • 「行政の動き、社会課題やSDGsに関する豊富な事例紹介、大手企業の取組みと多彩な内容で貴重な学びを得られた。」
  • 「弊行でもSDGs推進に関する相談を受け対応する事例が出ているので参考にしたい。」
  • 「これまでサステナビリティの機運への高まりを感じていたが、自分事として捉え切れていなかったと再認識した。自分たちがこれからも生きていくためにも、大切な変革の時期だと感じた。」


などの声が寄せられました。

なお、今後もシェアシマでは「サステナブル経営」に関する継続的な情報発信をしてまいります。

「食品企業のためのサステナブル経営」好評連載中

足立直樹氏が、食品企業のサステナブル経営をいろいろな角度から解説する「食品企業のためのサステナブル経営」が、シェアシマinfoで好評連載中です。
#食品企業のためのサステナブル経営のタグから、連載中のすべての記事をご覧いただけます。

執筆者プロフ
シェアシマ編集部

食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、累計記事執筆2,500以上の元新聞記者等々、30〜40代の編集メンバーを中心に運営中

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食品開発展2024|シェアシマ合同ブースの取り組みと成果

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