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食品OEMとは?メリット・デメリット、選び方のコツ、注意点を解説

食品の企画・開発に携わっていても自社で製品の要件を満たす製造工場を保有していなければ、生産することができません。その場合は、他社に製造を任せる「OEM」という手法を活用してみてはいかがでしょうか。

今回は、食品業界で広く実施されているOEMのメリット・デメリットを詳しく解説します。食品OEMの委託先の選び方や注意するべき点、委託の流れも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

★貴社の代わりに製造委託先を探します。あらゆる食品開発と工場探しをサポート!「シェアシマOEM」の詳細はこちらから

食品OEMとは?

OEMとは、Original Equipment Manufacturing(またはOriginal Equipment Manufacturer)の略語です。委託者のブランドで製品を生産すること(または生産するメーカーのこと)を指します。企画・設計・開発などは、委託者が自社で実施します。

食品業界でも広く実施されていて、食品に関するOEMは「食品OEM」と呼ばれます。

食品OEMのメリット

食品OEMを活用すれば、生産能力がない(または不足している)企業でも、自社で開発した食品を製造し、市場に商品を供給できます。

また、製造業務に社内のリソースを使うことなく、企画・開発・マーケティングなどを担当する部門により多くの人員を回せることも大きなメリットです。

食品OEMのデメリット

食品OEMのデメリットとしては、外部業者に生産プロセスを依存するため、製造に関するノウハウを蓄積しにくいことが挙げられます。

また、OEMの受託者が生産ノウハウを習得して成長すれば、将来的に委託者のライバルになる可能性もあります。

食品OEMの選び方

食品OEMを選ぶ際には、以下の要素をチェックしましょう。

  • 安全性
  • 技術力
  • 対応ロット数
  • コスト
  • 実績



製造工程を丸ごと任せるため、安全性や衛生面で信頼できるかどうかを確認する必要があります。また、イメージ通りの味に加工する技術力があるかどうかも重要な判断材料です。

加えて、対応ロット数も要チェックです。小ロットから製造してくれる業者であれば、在庫を抱えるリスクを低減できるでしょう。当然のことながら、製造にかかるコストも大切なポイントです。製造在庫を誰が保管するかについても確認しましょう。

最後に、実績も重要な要素です。過去に大手食品メーカーから製造を委託された実績があれば、優れた加工技術を有している可能性が高く、品質管理や衛生管理などトータルで信頼できるでしょう。

食品OEMの委託先を選ぶ際の注意点

食品は、消費者が口に入れるものなので、食中毒などが発生する事態は避けなければなりません。トラブルが発生すると、自社ブランドの信用が失われてしまいます。使用している製造設備や機器の確認だけでなく、どのような保管体制・検品体制なのかをチェックするようにしましょう。工場監査が必要な場合は、問い合わせ時に訪問監査が可能か合わせて確認しましょう。


また、サンプルの確認も欠かせません。見た目だけでは味を判断できないので、必ずサンプルを試食しましょう。実績豊富な業者が製造した食品であっても、実際に食べると自社のテスト品やイメージしていたものと異なる場合があります。サンプルチェックを数回行う必要も出てきますので、必ず抑えたい「MUST条件」と、協議も可能な「BETTER条件」を整理しておきましょう。

食品OEMを委託する流れ

以下は、打ち合わせから製造・出荷までの大まかな流れです。

  1. 打ち合わせ
  2. サンプルの製造・試食
  3. 契約締結・発注
  4. 本製造開始
  5. 検品・出荷


なお、打ち合わせの際に、開発商品の情報(味・におい・見た目・栄養成分・価格など)や、どのようなターゲット層(若者なのか中高年なのか)に販売するのかを伝えましょう。詳しい情報を提供すれば、イメージ通りの製品を製造するために、さまざまな提案をしてくれます。

食品OEM委託先メーカーの一部を紹介

ここからは、シェアシマに登録されている、OEM委託が可能な製品を紹介します。

【OEM対応】野菜ペースト



野菜を120マイクロメートルの大きさにカットし、滑らかに仕上げた野菜ペーストです。なお、最低ロット数は500個、希望取引価格は100,000円です。

詳細は、こちらのページでご確認ください。

【OEM対応】乾燥野菜



業務用の乾燥野菜を1ロットから製造可能です。なお、希望取引価格は5,000,000円です。

詳細は、こちらのページでご確認ください。

レトルト食品(カレー・スープ・パスタソース・おかゆなど)



カレー・各種スープ・パスタソース・おかゆなどのレトルト食品の製造が可能です。レトルト食品の製造に幅広く対応していて、ISO22000認証を取得している工場なのでご安心ください。

なお、小売用・業務用・通販用の製造が可能で、最低ロット数は10,000個、対応容器はレトルトパウチ、希望取引金額は1,000,000円です。

詳細は、こちらのページでご確認ください。

OEM(工場)をお探しなら、シェアシマOEMサービスもチェック!

上記以外にも、シェアシマOEMでは、オンライン上には公開していないOEM受託企業(工場)の情報を随時入手・更新しています。パウダー・調味料・農産物・水産物・調理済み食品など、あらゆる食品OEMに関してご依頼主の製造要件に沿う工場をご紹介していますので、お気軽にお問い合わせください。

以下は、シェアシマOEMでOEM受託企業(工場)を探す場合の大まかな流れです。

  1. 無料オンライン面談にてご依頼主様の製造希望商品内容をヒアリング(ご要望に合わせてNDAの締結も可能です)
  2. ご依頼内容に合わせたプランのご提案・見積もりの提示
  3. 申し込み
  4. OEM受託企業(工場)の紹介


★サービスの詳細を知りたい場合は、こちらのページをご参照ください。
★シェアシマに原料登録をしている商品のうち、OEM対応が可能な商品一覧は、こちらからご覧いただけます。

まとめ

新しい食品に関するアイデアがあって研究・開発に励んだとしても、製造設備(工場)を保有していなければ、自社で生産はできません。しかし、食品OEMを活用すれば、自社で設備を保有していなくても、委託先企業の工場で製造してもらうことが可能です。

設備投資に回す資金や、生産ラインに回す人員を用意せずに済み、企画・開発・マーケティングなどの部門に社内リソースを集中できるので、食品OEMを利用してみてはいかがでしょうか。

なお、シェアシマOEMでは、さまざまな食品の製造に対応したOEM受託企業(工場)の情報を保有しています。OEM工場の案内だけではなく、食品の企画・開発に関するご相談も承っているので、お気軽にお問い合わせください。

★あらゆる食品開発と工場探しをサポートします!「シェアシマOEM」の詳細はこちらから

執筆者プロフ
シェアシマ編集部

食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、累計記事執筆2,500以上の元新聞記者等々、30〜40代の編集メンバーを中心に運営中

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【2024年版】食品開発担当者必見!シェアシマ編集部注目の原料5選

毎年変わっていく食品業界でのトレンド。変化の激しい食の市場において、食品開発者のための専門メディア「シェアシマ」編集部では、2024年に注目したい最新の食品原料を5つ選定しました。社会背景や消費者のニーズ・動向を踏まえた本記事を活用することで、新たな食品の可能性を発見することができるでしょう。開発担当の方は必見です。1.ピープロテインピープロテインとは、主に黄えんどう豆から作られたプロテインを指します。ピープロテインは、タンパク質・ビタミンB・ビタミンEを豊富に含んでいます。また、筋肉のエネルギー源となる必須アミノ酸が多く含まれているのも特徴です。ピープロテインは、牛肉等の動物性たんぱく質と比較すると、生育に必要な水の量が少なく、環境面に優しい食材としても注目を集めています。環境に配慮したエシカルな食生活を目指す人に最適な食材のひとつです。※関連記事:ピープロテイン(えんどう豆プロテイン)とは|効果とデメリットを解説2.そばの実(そば米)そばの実は、収穫したそばの実から黒い殻を取り除いた薄緑の実です。そばは穀類の中で、タンパク質と食物繊維が豊富に含まれています。ニューヨークタイムズ紙も2024年の注目食品のひとつとして挙げています。そばの栄養価が高いのは実の皮の部分とされています。しかし、そば粉にされる過程で皮の部分は失われてしまいます。そばの実をまるごと摂取することで、栄養を取り逃しません。※1参考:The New York Times「9 Predictions for How We’ll Eat in 2024」3.アムラ(グーズベリーエキス)アムラとは、インドで食べられているライトグリーンの果物で、別名「若返りの果実」と呼ばれています。アムラの成分の約25%がポリフェノールだといわれています。ポリフェノールを摂取することで体内でコラーゲンが生成されやすくなります。これにより、肌の明るさや透明度、水分量・弾力のアップや、メラニン色素減少といった効果が期待されます。アムラエキスの全世界の市場規模は、2023年には39,500,000米ドル(約60億円)でした。それが10年後の2033年には、76,600,000米ドル(約115億円)にまで拡大するといった予想もあり、市場規模の拡大が期待されています。※関連記事:若返りの果実「アムラ」の効果とは|食べ方や注意点も解説

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FSSC22000とは?要求事項やver6日本語版の変更点を解説

食品の安全性を証明する規格のひとつである「FSSC22000」。名前は聞いたことがあっても、規格の概要や規格を取得するメリット、ISO22000との違いがよくわからないという人もいるかもしれません。そこで、今回はFSSC22000の特徴やメリットを詳しく解説します。ISO22000との違いやver6日本語版の変更についても紹介します。この記事を読むことでFSSC22000の全体像について理解できます。ぜひ参考にしてみてください。FSSC22000とはFSSC22000は「Food Safety System Certification 22000」の略称で、オランダのFSSC22000財団が開発した食品の安全性を証明するシステム規格です。ここでは、FSSC22000の特徴と取得するメリット、規格の対象事業者を解説します。FSSC22000の特徴FSSC22000の特徴として、高いレベルの食品管理が求められることと、国内の食品製造業者743事業者のうち5.3%が認証を取得していることが挙げられます。FSSC22000は、ISO22000をベースに、2つの食品関連事業向けの前提条件プログラムを統合した規格です。具体的な要求事項が明確でないHACCPや、要件基準の具体的な内容を認証取得予定の事業者に一任しているISO22000とは違い、FSSC22000は要件基準を明確に定めています。HACCPとISO22000の要件基準に加え、追加要求事項を定めていることから、認証を取得するのは容易ではありません。また、国内の食品製造業者が取得する食品管理規格の中で、FSSC22000は2番目に取得率が高くなっています。トップは地方公共団体によるHACCPの6.8%、FSSC22000は5.3%で2番目です。自社商品の安全性を証明するハイレベルなシステム規格を求める企業は多く、今後も増え続けることが予想されます。取得するメリット2つFSSC22000を取得するメリットは以下の通りです。社外の人に自社商品の安全性を証明できる業務の効率化が狙える一般的に、企業・消費者ともに、安全性が疑われる食品を進んで購入する人はいないでしょう。原材料の調達から食品の製造まで、各工程で高いレベルの食品管理を実施していると説明すれば、安全性を評価して購入につながる可能性が高まります。とはいえ、原材料の調達から製造までの流れを詳しく説明すると時間がかかってしまいます。製造工程の中に企業秘密が含まれている場合は、すべてを明かすこともできません。FSSC22000の認証を取得することにより、社外の人に自社食品の安全性の高さを証明できます。認証があることで、詳細な説明をしなくても、自社の食品管理について簡潔かつ明快に相手に示すことができます。また、FSSC22000は食品製造の工程を可視化するので、業務効率の向上が期待できます。一連の工程を可視化すれば、「無駄な工程がないか」「簡略化できる作業はないか」を確認することが可能です。無駄のないスムーズな工程を作り出せば、業務が円滑に進んで社員のモチベーションもアップするでしょう。FSSC22000の対象事業者認証を取得できる対象事業者は以下の通りです。食品製造業レストランやホテルなどへのケータリング業食品包装や包装材の事業畜産業水産業流通や輸送業化学製品の製造業規格取得のメインとなるのは食品製造業やケータリング業ですが、流通や輸送業、化学製品の製造業も取得可能です。このほか、食品を包む包装材を製造する事業も取得できます。食品の安全性が証明されていても、食品を包む包装材に不可解な点があれば、消費者は購入しづらくなります。安全な包装材を使っているとわかれば、食品への信頼性はより高まるでしょう。認証取得の難易度FSSC22000は厳しい要求事項が設定されているものの、必ずしも「難易度が高い」というわけではありません。取得に求められる要求事項には、食品を安全に作るための取り組みが記載されています。原材料の入手先から製造まで、安全面に配慮している企業であれば、すでに要求事項を満たしている可能性もあります。認証取得を検討している方は、まずは要求事項を確認することを推奨します。その上で、要求事項を満たしていない部分があれば、改善して申請を行いましょう。FSSCとは?ISOとの違いについてFSSC22000は、食品業界で注目を集めているシステム企画です。しかし、「そもそもFSSCとは何か」と疑問を持っている人もいるでしょう。同じ食品関連の規格であるISOとは何が違うのかや、どちらを取得すべきなのかを迷っているケースもあるかもしれません。ここでは、FSSCとISOは何が違うのかを解説します。FSSCとISOの違いFSSC とISO (International Organization for Standardizationn)は、どちらも食品の安全性を証明する国際規格です。FSSCはオランダの財団、ISOはスイスの民間機関が開発しています。ちなみに、食品安全基準として初めて誕生したのは、HACCPです。食品の製造過程における危険性や、危険を避けるための対策がガイドライン化され、食品の安全性は飛躍的に向上しました。しかし、HACCPは企業がどの国にあるのかによって基準が異なっていて、衛生管理部分が不明瞭であることが指摘されてきました。そこで、HACCPのマイナス部分を改善した国際規格として誕生したのが、ISO22000です。ISO22000は国際規格なので、国や認証団体によって要求事項が変わることはありません。ISO22000は安全面や衛生面のシステム規格として幅広く普及しましたが、一部の内容が原因で食品の事故が発生することもありました。こうした事故をなくし、さらに安全性を高めるために開発されたのがFSSC22000です。FSSC22000はISO22000要求事項よりも厳格ISO22000とFSSC22000を比べると、後者のほうが内容が厳しくなっています。ISO22000では、具体的な内容の認証を企業の判断に任せている面があり、企業によって取り組み内容に差異が生じていました。その点において、FSSC22000はISO22000のあいまいな部分を明確にしています。認証を取得する企業によって安全面・衛生面に差異が生じないため、消費者の信頼を獲得しやすくなると期待できます。FSSC22000ver6における要求事項の変更点FSSC22000は誕生してから数回バージョンアップしていて、2023年4月にはver6が発行されました。すでに認証を取得している企業は、変更内容を確認した上で、新しい内容に対応することが求められます。ver6の変更点は以下の項目についてです。容器包装にリサイクル原料を使用トレーニング・申告・検証・確認を含む全体的なアレルゲン管理製品ラベル・包装の情報管理デザイン管理と印刷管理食品防御・偽装の要求事項の供給者への要求輸送タンカーの清掃異物の管理品質管理の体系的なアプローチ設備管理食品ロスと廃棄物コミュニケーションに対する要求事項要求事項のバージョンアップに伴い、認証を取得している企業には監査が入ります。監査の時期までに変更点を確認し、食品管理体制を整えましょう。まとめFSSC22000は、ハイレベルな食品管理が求められる国際規格のひとつです。同じ国際規格であるISO22000よりも要求事項が厳格なため、どんな企業でも簡単に取得できるとはいえません。しかし、認証を取得すれば、国内だけでなく、海外にも食品の安全性をアピールできます。消費者からの信頼向上が期待できるので、企業とユーザーの双方にメリットがあります。今回の記事を参考に、認証の概要やメリットを知り、理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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