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食品事業者必見!カシューナッツ、まつたけ等アレルギー表示改正のポイントと注意点

食品事業者必見!カシューナッツ、まつたけ等アレルギー表示改正のポイントと注意点

近年、食物アレルギーを持つ人が増加傾向にあり、食品表示に対する消費者の関心も高まっています。

今回は、食物アレルギーの表示制度において、消費者庁が新たに変更を発表した「くるみ」「カシューナッツ」などナッツ類の追加と、「まつたけ」の削除について解説します。

くるみ・カシューナッツ等、ナッツ類のアレルギー表示追加とその背景

引用:第6回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議資料「マカダミアナッツ等の症例数および輸入量の推移」より


近年、「くるみ」「マカダミアナッツ」「カシューナッツ」「ピスタチオ」において、国内外でのアレルギー症例の増加が報告されています。特にくるみは、日本国内においてもアナフィラキシーを引き起こすケースが増えており、2023年より「特定原材料」として表示義務の対象となりました(※1)。2025年3月31日をもって経過措置期間が終了し、2025年4月より正しく表示されていないと違反となります。

マカダミアナッツ、カシューナッツについても、一定数の重篤なアレルギー報告があり、消費者庁はこれらを「特定原材料に準ずるもの」として、2023年に表示推奨の対象としましたが(※2)、このほどカシューナッツについては2025年度中に義務表示への移行が示されました。

そして、ピスタチオも、カシューナッツ同様に症例数が増加傾向にあるため、2025年度中に「特定原材料に準ずるもの」としてリストに入る予定です。これから新商品やパッケージ変更が予定されているものには、義務表示と同様に扱うようにしましょう。

ナッツ類のアレルギー表示スケジュール

くるみ 2023年に義務表示に。経過措置が終わり2025年4月より施行
カシューナッツ 2023年に推奨表示に。2025年度中に義務表示へ施行予定
マカダミアナッツ 2023年に推奨表示に
ピスタチオ 2025年度中に推奨表示に加えられる予定

シェアシマ編集部まとめ

※1参考:日本アレルギー学会「食物アレルギーの疫学と対策」2023年
※2参考:「食品アレルギー表示の最新動向」2024年

諸外国における表示対象品目とその範囲

日本と諸外国におけるナッツ類の表示対象品目と範囲は、以下のとおりです。(2025年1月時点)

引用:第7回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議資料「日本と諸外国における表示対象品目とその範囲(概要)」より抜粋


まつたけが表示義務から除外された理由

これまで、「まつたけ」は特定原材料に準ずるものとして表示が推奨されていました。しかし、最新の科学的知見を踏まえ、まつたけによる重篤なアレルギー症例が極めて少ないことが確認されています。そのため消費者庁は、2024年に改正された食品表示基準において、まつたけをアレルギー表示の対象から消除しました。

※参考:消費者庁「食品表示基準について」2024年版

今後の対応と影響

この度の変更により、食品業界は原材料表示の見直しを迫られます。特にナッツ類を含む加工食品を扱うメーカーは、アレルギー表示について慎重に確認する必要があります。

また、消費者にとっても、食品パッケージの表示を確認する習慣がより重要になります。アレルギーを持つ方々は、新たな表示の導入状況を把握し、誤食を防ぐために十分な注意を払う必要があります。

食物アレルギーのリスクを軽減し、安全な食環境を実現するため、今後も消費者庁の動向や科学的研究の進展に注目していくことが求められます。

食品関連事業者が注意すべき点

原材料の確認|回収理由の上位に「アレルギー物質の表示漏れ」

ナッツ類は、菓子類・パン類・チョコレート・調味料など、原形のままやパウダー・ペーストなど、さまざまな形で食品に使用されています。原材料の確認を徹底し、表示漏れがないように注意しましょう。

国内の加工食品の回収事例では、「アレルギー物質の表示漏れ」が上位に挙げられています。アレルギーを持つ消費者にとって重大な健康被害を引き起こす可能性があるため、食品自体の品質に問題がなく、アレルギーを持たない人がおいしく食べることができても回収対象となってしまいます。信頼できる情報提供元から常に最新の情報を仕入れ、迅速かつ正確に対応できるようにしておきましょう。

情報収集に役立つウェブサイト


表示方法

食物アレルギー表示は、特定原材料等を原材料として含む旨、または、食品に含まれる添加物が特定原材料等に由来する旨を、原則、原材料名又は添加物の物質名の直後に括弧を付して表示します。

例)

  • 「くるみ」「カシューナッツ」などそのものを記載
  • 「ミックスナッツペースト(落花生、くるみ)」など


同じ工場内や製造ラインで該当する原材料を使用している場合は、一括表示枠外への注意表示が必要であるか慎重に検討しましょう。
※参考:消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」

従業員教育

従業員に対して、アレルギーに関する知識を共有したり、食品表示に関する研修を実施するなど、意識の向上を図ることも食品事業者の重要な役割です。

まとめ

ナッツ類の表示義務化は、食品関連事業者にとって重要な変更点であり、コスト面や確認事項の増加など実務的な負担が多くなります。消費者の安全の確保はもちろんのこと、食品ロスや包材の無駄を出さないようにするためにも、各事業者が責任をもって対応できる体制を築くことが大切です。

執筆者プロフ シェアシマ編集部

食品業界に携わる方々に向けて、日々の業務に役立つ情報を発信しています。食品業界の今と未来を示唆する連載や、経営者へのインタビュー、展示会の取材、製品・外食トレンドなど話題のトピックが満載!さらに、食品開発のスキルアップや人材育成に寄与するコンテンツも定期的にお届けしています。

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