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UMAMI EGGの開発秘話と今後の展望【代表インタビュー】

さまざまなメディアで取り上げられ、注目を集めている植物性卵「UMAMI EGG」。こんにゃく粉を使って卵らしさを出すことに成功し、急速に販路が拡大しています。しかし、最初から順調に進んでいたのかといえば、決してそうではありませんでした。UMAMI UNITED JAPAN株式会社(以下「UMAMI UNITED JAPAN」)の代表取締役である山﨑寛斗(やまざき ひろと)さんに、開発の経緯や苦労したエピソード、こんにゃくに見る可能性を聞きました。食品開発に従事する人へのメッセージもお届けします。

「ONE TABLE」を実現すべく、こんにゃく粉を使った植物性卵の開発へ



――UMAMI UNITED JAPANの設立に至るまでの、山﨑さんのご経歴を教えてください。
学生時代にインターンで関わった活動を通して、食の多様性を学びました。同時に外国人へのボランティアガイドをしていましたが、海外の国に比べて日本は食の選択肢が少ないことを痛感しました。こうした課題に取り組みたいと考え始めたのは学生の頃です。卒業後、食の多様性(フードダイバーシティ)に特化した会社で業務に携わりました。現在の開発担当者との出会いにより、2022年にUMAMI UNITED JAPANを設立。その前後で、UMAMI EGG2.0の開発を進めました。

――植物性卵の開発に取り組もうと思ったきっかけはどんなことでしたか。また、植物性卵にこんにゃく粉を使おうと考えた理由は。
私たちの会社のミッション「ONE TABLEで未来を創る」を実現しようと考えたときに、卵にニーズがありそうだという話になりました。そこで、植物性卵に取り組んでいる海外の競合会社や類似商品をリサーチし、プロトタイプ(試作品)を作りました。そのプロトタイプをレストランなどに提供し、実際に使ってもらい感想を集めました。そこで見えてきたのは「味はおいしいけれど、通常の卵と比べて使い勝手があまりに違う」ということ。具体的には、加熱すると固まるという卵の特性が上手く表現できていませんでした。そこで、卵の特性を出すために「こんにゃく粉を使ってはどうか」という話になりました。

――こんにゃく粉以外に、検討した材料はありましたか。
他の素材としては、加熱で固まる特性を持つ「水溶性タンパク質」を使うことを考えました。海外の植物性卵では、植物性のタンパク質を使うケースが多いです。他の国から素材を取り寄せて試作しましたが、なかなか思うように進みませんでした。そこで、「自分たちの身近にあるもので何ができるか」をもう一度考えたのです。その結果、日本にふさわしい素材のこんにゃく粉にたどり着きました。

マーケティングとの連携やニーズの選定に苦労することも



――商品開発、そして販売へと動くなかで、特に苦労したことは何でしたか。
1~2カ月かけて試作品を作った後、同じくらいの時間をかけていろいろな人に使ってもらいながら改良を重ねました。開発にはトータルで半年程度の時間がかかりました。

「開発とマーケティングをどう連携させていくのか」については、社内でいつも議論しています。どこの市場に、どんな価格帯でどんなポジションとして打ち出していくのか。これまで世になかったものを提案する立場なので、ニーズの選定に難しさを感じることが多いです。国によっては使用できない原料がある場合も多く、最初はとても苦労しました。

今は国内での受注が8~9割を占めていて、残りの1~2割が海外です。しかし、海外での市場のほうが圧倒的に大きいので、今後はこの比率を逆転させたいと考えています。そのために、「卵のどういう部分や機能を求めているのか」を徹底的にリサーチして、ニーズの掘り起こしや細分化をしています。

――マーケティングのポイントは、どこに重きを置いているのでしょうか。
特別に決まったスタイルがあるのではなく、「やりながら考える」ということを大切にしています。定量的なデータだけでなく、定性的なデータも集めています。誰もが知っているようなことであれば、ベンチャーがあえて取り組む意味はないのではと。「掘ってみたら、偶然にも温泉が出てきた」というような意外性のあるニーズを探しています。

その上で、基準は大きく2つあります。会社のミッションに合っているのかどうかと、ある程度の市場規模があるのかということです。市場規模は大きくても、会社のミッションに合わないものであれば、選択しないこともあります。

こんにゃくや海外市場への可能性に向けて



――国内外問わず、こんにゃくへの注目が高まっています。こんにゃくの可能性について、感じていることがあれば教えてください。
海外ではこんにゃくを使ったパスタが人気を集めていて、大手企業もこんにゃくに注目しています。こんにゃくは日本の伝統食材であり、日本らしさを前面に出した海外市場への展開にも向いていると思います。

特に、こんにゃくとプラントベースの組み合わせは相性が良いと感じています。たとえば、こんにゃくとおからを組み合わせた「おからこんにゃく」を揚げてトンカツ風にすると、とてもおいしいです。新しい食の選択肢として、こんにゃくにはさまざまな可能性を感じています。茨城県の伝統食材に「凍みこんにゃく」というものがあり、作るのに大変手間がかかることから、生産者が減少しているそうです。そうした食材をどう活用するのかを考えるのも、面白いのではと思っています。

――食品業界で開発に携わっている方々に向けて、メッセージがあればお聞かせください。
日本の市場が縮小化するなかで、海外に目を向けるとニーズが大幅に拡大します。特に、プラントベースではその傾向が強いと感じます。日本には素晴らしい開発者がたくさんいるので、国を超えて展開していくとよいのではないでしょうか。海外市場を見据えて、クオリティーの高い商品を一緒に作っていきたい。同じ気持ちを持つ方がいれば、ぜひとも声を掛けてください!

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