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商品価値を高める「食品パッケージの工夫」 選ばれる商品に学ぶ5つの視点

商品価値を高める「食品パッケージの工夫」 選ばれる商品に学ぶ5つの視点

4月は人事異動や新入社員の配属など、新しい環境がスタートする季節です。食品メーカーの現場でも、新たに商品開発やマーケティングに関わる方が増える時期ではないでしょうか。

商品開発というと、味や品質の向上に目が向きがちですが、実は同じくらい重要なのが「パッケージ設計」です。 実際に、多くのメーカーがお客様の声をもとにパッケージの改善を重ねています。そしてリピートされる商品には、使いやすさ・保存性・環境配慮といった要素がしっかり設計されています。

日々の業務の中で見落とされがちな領域かもしれませんが、パッケージの工夫により、お客様の満足度が大きく変わることも少なくありません。これから商品づくりに関わる方は、ひとつの視点としてぜひ参考にしてみてください。

なぜ今、パッケージが食品の商品価値を左右するのか

食品の商品価値は、中身だけでなくパッケージによっても大きく左右されます。ここでは、その理由について解説します。

購買の決め手が「使いやすさ」にシフト

食品業界での商品づくりにおいて、味や品質だけでの差別化が年々難しくなっています。一定以上のクオリティが当たり前になった今、「どれを選ぶか」の基準は変わりつつあります。

そこで重要になるのが、「UX(ユーザー体験)」です。たとえば、 開けやすさ・取り出しやすさ・片付けやすさといったパッケージの工夫が、日常の小さなストレスを減らし、結果的に選ばれる理由になります。

リピート率を高める“使用後体験”

購入する瞬間だけでなく、使い終わるまでの一連の体験が商品のリピートにつながります。

たとえば、開けにくい・手が汚れる・保存や保管がしづらいなどの不満があると、「次は別の商品にしよう」という判断になりやすいです。 逆に、開封や保管がスムーズな商品は、無意識のうちにリピートされる存在になります。

環境対応がブランド価値に直結

近年は、環境配慮も重要な評価軸です。たとえば、プラスチック削減やリサイクル対応などは、単なる機能面の改善としてではなく、企業姿勢として受け取られます。

その意味では、パッケージの工夫は、ブランド価値そのものに影響する時代になっているといえるでしょう。

食品のパッケージ設計の5つの視点



商品価値を高めるパッケージには、共通する視点があります。これらは単なる機能面の話ではなく、お客様がどのように商品と関わるかを設計する要素でもあります。

① 保存性・保管性
商品において最も基本となるのが、品質を維持するための保存性です。それに加えて、家庭の冷蔵庫や棚への収まりやすさや、開封後の品質保持といった保管性まで求められるケースも多いです。

特に、単身世帯や共働き世帯が増えるなかで、一度で使い切らない前提の商品が増えていて、再封や小分けができることの重要性は年々高まっています。

② 使いやすさ(操作性)
使いやすさは、日々の小さなストレスを減らすために重要な要素のひとつです。「開けにくい」「量が調整しづらい」「中身が出しにくい」などの不便さは、味とは関係なく満足度を下げてしまいます。

特に調理中はなかなか余裕がないため、直感的に使えることやワンアクションで完結することが重要です。操作性の良し悪しは、リピートするかどうかにも直結します。

③ 楽しさ・体験価値
近年は、機能性だけでなく体験としての価値も重視されています。たとえば、開封時の音や形状の工夫、使う工程そのものが楽しくなる設計などです。

また、こうした要素はSNSでの共有や口コミにもつながりやすく、「話題性のある商品」や「記憶に残る商品」へのきっかけになります。その結果として、ブランドへの愛着や親しみが生まれる可能性もあります。

④ 衛生・ストレス軽減
食品において衛生面の配慮は欠かせませんが、それと同時に、ストレスを感じさせない工夫も重要です。

たとえば、「液だれしない」「粉が舞わない」「手がベタつかない」など、使用時の不快感を減らす工夫です。こうした細かな配慮は目立ちにくい一方で、日常的に使うほど差が実感されやすいポイントでもあります。

⑤ 環境配慮
環境への配慮は、企業姿勢として評価される時代です。たとえば、プラスチック使用量の削減やリサイクルしやすい素材の採用、分別のしやすさなどがあります。

また、消費者自身が「環境に配慮した選択をしたい」と考えるケースも増えていて、パッケージはその意思決定を後押しする役割も担っています。

パッケージの工夫を学ぶ商品事例5選

ここでは、食品のパッケージに工夫が施された商品事例を5つ紹介します。

日本ハム(クイックパック)|保存性・しまいやすさ

開封後の保存性にも優れた「クイックパック シャウスライス」/画像提供:日本ハム株式会社


「一度開けたら保存しにくい」「小分けして保存することが面倒」というお客様の声から、開封してすぐに閉じて保存できるパッケージになっています。小分け・再封・収納性に優れています。

また、蓋のつまみやすさや、開封したことがすぐわかるようなデザインだけでなく、ラップや小分け袋を使用しないため、環境にも配慮した商品になっています。

ここで重要なのは、パッケージの役割を、食べ始めてから使い切るまでを対象にしていることです。これが、日常的な使いやすさにつながっています。

※参考:日本ハム|ニュースリリース2021年「サッと閉じて、パッと保存!買い置きに便利!クイックパック 2品」

日清製粉ウェルナ(日清 クッキング フラワー®)150g|使いやすさ・コンパクト化

日清 クッキング フラワーⓇ/画像提供:株式会社日清製粉ウェルナ


顆粒状のため溶けやすくて食材にまぶしやすい、独自製法のサラサラな小麦粉で、保存にも便利な小容量のボトルタイプです。ボトルの一部にバイオマス素材を使用している他、詰め替え用製品も用意し、環境にも配慮しています。

一般的に、小麦粉は「出しにくい」「こぼれる」といった課題がよく見られます。この商品ではコンパクト設計により収納性を高めつつ、振り出しやすいキャップ形状で使いやすさにも工夫を凝らしています。

使用頻度が高い商品ほど、こうしたパッケージの改善が利用者の満足度に大きく影響します。

※参考:日清製粉ウェルナ |日清 クッキング フラワーⓇ

ミツカン(金のつぶ® パキッ!とたれ™️ とろっ豆™️)|便利・おいしい・楽しい

金のつぶ® パキッ!とたれ™️ とろっ豆™️/画像提供:株式会社 Mizkan


「たれの小袋が開けづらく、食卓や服を汚すことがある」というお客様の声から生まれた商品です。2008年にたれ小袋とフィルムをなくした最初の商品が生まれ、その後、2010年7月から改良を重ねて現在の商品に至りました。

「納豆とたれを混ぜやすく」「納豆が乾燥しないようにする」「楽しさ」という3つの課題を乗り越え生まれた商品は、幅広い年代から支持されています。使いやすさだけでなく、おいしさや楽しさまで含めて設計されている好例です。

※参考:ミツカン|簡単・便利、そして楽しさを追求した容器の革新「パキッ!とたれ」

日清オイリオ(BOSCOオリーブオイルシリーズ)|ラベル・開封性の最適化

BOSCOオリーブオイルシリーズ/画像提供:日清オイリオグループ株式会社


「ラベルがはがせなくて困っている」というお客様の声をもとに、商品ラベルを紙からフィルムに替えて、はがしやすいように改良しました。また、「オイルの注ぎ口から油がたれる」という声から、注ぎ口を高くして、油切れを向上させています。

ラベルのはがしやすさや注ぎやすさなど、細かな不満を丁寧に解消しています。こうした気づかれにくい改善こそが、商品を使い続ける理由になり、結果として強い差別化につながります。

※参考:日清オイリオ|お客様相談窓口「商品の改善事例」BOSCOエキストラバージンオリーブオイル・ BOSCOオリーブオイル日清純正ごま油/ごま香油/ボスコシリーズ注ぎ口

キユーピー(GREEN KEWPIE)|環境への配慮

“サステナブルな食”を展開するブランド「GREEN KEWPIE」のラインアップ/画像提供:キユーピー株式会社


キユーピー株式会社では、地球と人の双方が持続可能で、日々続けられる食生活を実現したいという思いで、「GREEN KEWPIE」を2023年に立ち上げました。プラントベースの調味料やパスタソース、卵を使わず植物性原材料で作った「HOBOTAMA」など、ラインアップは家庭用で8品に広がっています。

さらに、2025年には、第一弾として発売したドレッシング2品のパッケージをリニューアル。新容器は、180mlから200mlにサイズアップするとともに、容器全体のプラスチック使用量を従来比で20%削減しました。

日々の食生活に取り入れやすく、「おいしさ」「手軽さ」を実感しながら、健康にも地球環境にも配慮できる──。環境対応は単なるコストではなく、ブランド価値を高める重要な要素になっていることを示す好例です。

※参考:キユーピー|お客様の声を活かしました
地球も人も持続可能な食生活の実現へ。「GREEN KEWPIE」第一弾はプラントベースへの期待が高い“ドレッシング”
より価値が伝わるパッケージへ「GREEN KEWPIE 植物生まれのドレッシング」2品の容器・デザインを刷新

まとめ

選ばれる商品は、お客様の声をもとにパッケージの工夫を重ねています。そしてその工夫は、中身と同じレベルで丁寧に設計されています。

これからの商品開発においては、味や品質だけでなく、使い切るまでの体験をどう設計するか。この視点こそが、選ばれる商品を生み出すカギになります。これからの商品開発のヒントにしてみてください。

パッケージの改良や資材についてご検討中の方は、ぜひシェアシマにご相談ください。

 

執筆者プロフ シェアシマ編集部

「大切な食資源を活かす」をパーパスに、食品業界に携わる方々に向けて日々の業務に役立つ情報を発信しています。食品業界の今と未来を示唆する連載や、経営者へのインタビュー、展示会の取材、製品・外食トレンドなど話題のトピックが満載!さらに、食品開発のスキルアップや人材育成に寄与するコンテンツも定期的にお届けしています。

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