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新技術を活用した食品ロス削減ビジネス交流会にシェアシマが登壇【報告レポート】

新技術を活用した食品ロス削減ビジネス交流会にシェアシマが登壇【報告レポート】

一般財団法人食品産業センターが3月14、15日の日程でオンライン開催した「新技術を活用した食品ロス削減ビジネス交流」では、食品ロスの解決に取り組むスタートアップ企業など計10社が、自社の取り組みについてプレゼンしました。当社代表の小池祥悟は、食品原料の在庫や端材などの情報が載っている「シェアシマ」に加え、地元・長野市と共にアップサイクル商品の企画・開発などに当たった最新の取り組みについて話しました。

食品製造の課題をシェアシマが解決!
原料検索をウェブで効率化

私たちは、食品メーカーが原料を検索できる「シェアシマ」というウェブサービスを運営しています。これは、食品製造業の抱える課題をウェブで解決できないかと考えたからです。まず、売り手側は人手が少ない中、マンパワーで非効率な営業活動をしています。もう一つは、商品情報を変更するたびに、カタログを作り直さなければならない。こうした問題は、食品原料の商品情報がウェブでいつでも検索できるようになっていれば解決できるわけです。加えて、原料在庫の賞味期限が近くなって廃棄してしまうといったことも、大きな問題だと思います。

買い手側の課題としては、ウェブサイトで食品原料を探しても商品情報が手に入らないことです。付き合いのある卸問屋や商社にお願いするわけですが、新商品を開発する場合などメーカーにとっては話しづらいこともあるので、情報収集がウェブで完結できればこうした課題も一気に解消されます。その際に小ロットでの対応が可能かどうかなど、商品の詳細情報も確かめられるとミスマッチが減り、売り手と買い手の双方にとってメリットがあるサービスになると考えました。シェアシマでは、商品を軸にコミュニケーションを取っていただきます。商品ページから担当者に問い合わせを入れたり、ユーザーを対象とした商品開発に役立つオンラインセミナーを月に1回開催しています。ユーザー数は現在、売り手と買い手を合わせて2600名を超えました。


最新パッケージ情報をオフィスで確認

食品メーカーの開発担当者は、他社の類似商品の表示がどうなっているかが気になります。栄養成分の強調表示がどうなっているか、お客様相談室の書き方はどうしているか等々、私も実際に開発担当者の立場でこうした経験をしています。そこで私たちは、日本全国の加工食品の製品パッケージの写真を撮って、それをデータベース化しました。それが「製品情報サーチ」です。すでに計14,000件(220分類)の商品データが登録されていて、裏面の栄養成分等の表示だけでなく表面のデザインやキャッチコピーといった情報も見られます。法改正に伴い、同じ商品でもパッケージが変わることがあるので、こちらは最新版へのアップデートを継続して行っていきます。また、原材料検索サービスの「シェアシマ」とも連携しており、「あなたにおすすめの原料」としてAIがリコメンドしてくれる仕様になっています。


食品原料のロスをシェアシマが減らす!

アップサイクル食品の原料情報はシェアシマで

私たちがこうしたテクノロジーを使って実現しようとしているのは、「食品を捨てない社会」です。シェアシマは、欲しい原料の情報にアクセスできるウェブ検索サービスですが、製造されたものの事情により行き場を失ってしまった原料の特集ページを設けました。それが「アップサイクル特集」です。

実は私たちとしては、当初は未利用の原料だけを想定していました。ところが長野市と協力して「長野アップサイクル・フード」を商品化しようと県内の食品事業者を聞き取り調査したところ、活用できる原料は他にもまだあることが分かりました。一つは残渣です。野菜の皮や果実の搾りかすなどがこれに当たります。もう一つは商品として食品を成形する際に出る端材です。実際に当社プロデュースでウエハースの端材を活用してクラフトビールを商品化することができました。これまでだったら捨てるしかなかったものですが、こうして情報を「シェア」することで新しい商品に生まれ変わらせることが、当社の役割なのではないかと思っています。

原料調達から商品化のプロデュースまで

アップサイクル商品の主役は原料です。私たちがいろいろと話を聞いて回っていた中で、「信州福味鶏」という長野のご当地のブランド鶏のレバーとハツが消費しきれず余ってしまっていることを知りました。実のところ、鶏のもも肉やむね肉と比べると、レバーやハツなどはどうしても余りがちだというのです。そこで私たちは、レバーとハツを使用した缶詰を「ふくふくレバー」の名称で商品化し、インターネットなどで販売しています。こちら原料は長野県産のものを使っているので、「長野アップサイクル・フード」としてブランドを立ち上げました。ウエハースの端材を使ったクラフトビールも、こちらのブランドの商品として展開しています。ぜひ多くの皆さんにおいしく楽しんでいただきたいと思っています。



(3月14日、新技術を活用した食品ロス削減ビジネス交流会にて)

※発表資料は、一般財団法人食品産業センターの公式サイトからご覧いただけます。
こちらより、ご確認ください:食品ロスの発生状況と削減対策に関する情報

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