
規格外野菜を売る「闇市」とは。社会を動かした仏スーパーの好事例
規格外野菜の活用方法について、世界中でさまざまな取り組みが行われています。ヨーロッパ最大手のスーパー「カルフール」は、規格外野菜が欧州で「違法」に当たることを逆手にとって、これらの野菜を販売する「ブラックマーケット(闇市)」を開催して注目を集めました。スーパーが社会を動かした好事例を紹介します。
97%の野菜が規格外、厳格な基準の欧州
規格外野菜とは、傷があったり曲がっていたりして、大きさや形、色、品質が規格に適合しない野菜のことです。生産される過程で一定数発生し、そうした野菜の多くは廃棄されているという現実があります。
農作物の規格は、日本だけなく他の国にも存在します。ヨーロッパの厳格な規格「GAP(Good Agricultural Practice)」では、生産された97%の青果が違法扱いとなっていて、深刻なフードロスが生じている現実がありました。
こうした現状を改善しようと、2017年9月、パリ近郊に本社を置きヨーロッパ各地に進出している大手スーパーマーケット「カルフール」は、規格外野菜を販売するブラックマーケット(闇市)を開催すると発表しました。
スーパーのキャンペーンで議会が動いた
カルフールが仕掛けたブラックマーケットでは、過激とも思われるプロモーションが注目を集めました。白を基調としたスーパーの一角が黒一色に変わり、黒い棚に当時「違法」とされていた品種の青果やシリアルが陳列。どれも通常のスーパーでは見かけることの少ない、ふぞろいながらおいしそうな食材ばかり。このほか、農家が採取した600種類の伝統的な品種の種や、笑みを浮かべる農家の人たちのポスターが展示されました。
ブラックマーケットの店員は、スーパーの利用者にこれらの食材の試食を促し、そのおいしさだけでなく、伝統的な農業を守る意味を説明しました。この試みは数多くのテレビやラジオ、新聞で取り上げられ、大きな話題を呼びました。
併せて、法律改正呼び掛ける署名活動を行ったところ、短期間で8万5千人以上の署名が集まりました。こうした一連の動きによって、EUの法律改正に至りました。
大手スーパーの大規模なキャンペーンによって農家とスーパー、消費者のつながりができ、多くの人たちの情熱が議会を動かしました。規格外野菜の活用という視点だけでなく、さまざまな主体が共感・協力し合うことで大きな成果に結びつくことを示したという意味でも、注目すべき事例と言えそうです。

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