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今こそ取り組むべき「食品ロス削減」とは?2025年最新対策まとめ

今こそ取り組むべき「食品ロス削減」とは?2025年最新対策まとめ

ICS-net(シェアシマ編集部)は、消費者庁 消費者教育推進課 食品ロス削減推進室の田中誠(たなか・まこと)氏に独自取材を実施。2025年3月に閣議決定された「第2次 食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(第2次基本方針)」の内容や背景、最新の重点施策について詳しく話をうかがいました。

年間約472万トンにも及ぶ日本の食品ロス。この問題にどう向き合い、企業や家庭でどのような行動が求められるのか?──国の方針を読み解きながら、2025年現在の“食品ロス削減のリアル”をお届けします。

お話しを伺った方


消費者庁 消費者教育推進課
食品ロス削減推進室長
田中誠(たなかまこと)さん

目次

  • なぜいま「食品ロス削減」なのか?
  • 日本の食品ロス、どれくらい?
  • 「第2次基本方針」とは?
  • 注目の新しい取り組み「3つの重点施策」
  • 家庭でもできる「フードドライブ」活動とは?
  • 食品ロス削減がもたらすメリット
  • 私たちの行動が未来を変える
  • シェアシマで行ったアップサイクルの取り組み


なぜいま「食品ロス削減」なのか?

2025年3月、政府は「第2次 食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(第2次基本方針)」を閣議決定しました。これは、2030年のSDGs目標12.3の食品ロスの半減目標の達成に向けて、食品ロスの削減を“国民全体の取り組み”として進めるための指針です。食料資源のムダをなくすことは、地球環境や社会への貢献にもつながります。

日本の食品ロス、どれくらい?

日本では約472万トン(2022年度推計)の食品ロスが発生しています。

事業系(食品製造、食品卸売、飲食店やスーパーなど):約236万トン
家庭系:約236万トン

本来食べられるはずだった食材(可食部)が捨てられることによる経済損失は年間約4兆円、CO₂排出量は年間約1,046万トン-CO₂と換算されています。

引用:消費者庁「第2次食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針 (概要)
消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(令和7年3月25日閣議決定)

「第2次基本方針」とは?

2020年3月に第1次基本方針が策定されてから5年が経ち、2025年3月に、新たな目標設定や施策を追加した「第2次食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(第2次基本方針)」が閣議決定されました。主なポイントは以下の3つです。
 

  1. 事業系ロスの削減目標を50%→60%に引き上げ
  2. 家庭系ロスの早期削減を目指す
  3. より実効性のある施策を具体化


 注目の新しい取り組み「3つの重点施策」

1. 食品寄附を広げる

食品事業者から、様々な理由でまだ食べられる賞味期限内の食品に関して廃棄されるものは年間20万トン以上。これをフードバンク団体などへ寄附することで、食品ロス削減が見込まれています。この動きを広げるため、消費者庁は、民間団体等の協力を得ながら「食品寄附ガイドライン~食品寄附の信頼性向上に向けて~」を2024年12月に公表。今後は、本ガイドラインも踏まえた「フードバンク認証制度」を開始できるよう実証事業も行う予定です。
 

2. 外食時の食べ残しの持ち帰りの検討

外食事業者から発生する食品ロスの要因の1つは「食べ残し」。これを減らすため、ドギーバッグ文化(持ち帰り)の普及を目指すべく、消費者庁は事業者や団体等の意見も踏まえて、「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン~SDGs目標達成に向けて~」を2024年12月に公表しました。
 

3. 賞味期限の見直し

これまで“安全マージン”を見て、余裕をもって設定されていた賞味期限(係数0.8)をより科学的・合理的に設定し直すといった「食品期限表示の設定のためのガイドライン」の改正が2025年3月に行われました。このガイドラインには、食品関連事業者が取り組むべき内容として、安全係数について、食品の特性等に応じてできるだけ1に近い適切な設定を促すことなどが盛り込まれています。

家庭でもできる「フードドライブ」活動とは?

家庭で余った未開封の食品を回収する自治体や店舗などを経由してフードバンク団体等へ寄附する「フードドライブ」活動。
   

  1. 許可不要で気軽に実施可能
  2. 環境省がマニュアルを公開
  3. 多数の有名企業が活動中


家庭系食品ロス、特に「直接廃棄(未利用のまま廃棄される食品)」を減らす効果が期待されており、活動参加のハードルも低いため、誰でもすぐに始められます。

食品ロス削減がもたらすメリット

食品ロス削減は、環境にも経済にも多くのプラス効果をもたらします。
  

  • 食品ロスによる経済的損失(年間約4兆円換算)の縮小
  • 食品ロスによるCO₂排出(年間約1,046万トン-CO₂換算)の削減
  • フードバンクを通じた生活困窮者支援


企業・自治体・消費者すべてにとってプラスになる「三方よし」の取り組みです。

私たちの行動が未来を変える

食品ロスの問題は、数字だけでなく「価値観」にも関わる課題です。
  

  • 企業の仕組み改革
  • 家庭での小さな心がけ


どちらも「もったいない」という気持ちから始まります。

政府が示す「第2次基本方針」を一人ひとりが理解し、社会全体で連携して進めていくことが、持続可能な未来への第一歩となります。

シェアシマで行ったアップサイクルの取り組み

シェアシマでは、本来は食品ロスとして廃棄されてしまう食材に付加価値を付けて生まれ変わらせる「アップサイクル」によって、地域ブランディング・企業商品開発のお手伝いをしています。
関連:食品を捨てない社会へ:シェアシマだからできるアップサイクル事業とは

長野アップサイクル・フード
『長野アップサイクル・フード』は、長野に眠る未利用の食品原料からオリジナル商品を開発するブランド。シェアシマと長野市のNAGANOスマートシティコミッション(略称:NASC)が共同でスタートし、食品企業や農協が抱える未利用原料を活かした商品開発を行いました。

福味鶏 ふくふくレバー
長野県の信州福味鶏のレバー・ハツをアップサイクルした缶詰。鶏肉のレバーやハツの一部は、消費量と供給量のバランスが合わずに余剰原料になっていました。そこで、パテや時雨煮、アヒージョ、唐辛子の効いた「旨辛ッヤンニョム」などにして缶詰に。にんにくや生姜、ハーブなどで臭みを取り、ご飯やお酒の進むおかずへ生まれ変わらせました。

信都ご縁エール
ビール製造の原料である麦。そのうちの10%を、本来であれば廃棄されている長野県のお土産ウエハースの端材で代用し、優しい甘さが特徴のビールへと生まれ変わらせました。苦味控えめで軽やかな味わいのペールエール、やさしい甘さとコクが心地よいアルトの2種類のラインナップです。
『長野アップサイクル・フード』誕生秘話を見る >

女性雑誌「リンネル」(宝島社)とコラボ
人気女性雑誌「リンネル」が立ち上げた食品ブランド「リンネルパントリー」の商品企画・開発に携わっています。古米で作った米粉を生地にしたグルテンフリーの「米粉ブレッド」、チーズの製造過程で生まれるホエイ液をパン生地に練り込んだやさしい甘味が楽しめる「ホエイブレッド」が第一弾として発売されました。
そのほかのアップサイクル原料の事例を見る >

このほかにも、シェアシマでは未利用の食資源データを公開しています。企業のコストダウン・イメージアップにつながるアップサイクル。シェアシマに会員登録(無料)すると、商品ページの【規格書・商品情報をダウンロード】

【サンプル依頼・問い合わせ】機能がご利用いただけます。
シェアシマで「アップサイクル」の原料を見る >
ご希望のアップサイクル原料が見つからない方は、シェアシマ事務局までお問い合わせください。

執筆者プロフ シェアシマ編集部

食品業界に携わる方々に向けて、日々の業務に役立つ情報を発信しています。食品業界の今と未来を示唆する連載や、経営者へのインタビュー、展示会の取材、製品・外食トレンドなど話題のトピックが満載!さらに、食品開発のスキルアップや人材育成に寄与するコンテンツも定期的にお届けしています。

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