「米麦二毛作」が鍵を握る? 食品企業にできるネイチャーポジティブ×食料自給率の向上
円安、原料価格の高騰、そして深刻化する生物多様性の損失。食品業界は今、かつてない岐路に立たされています。これらの課題に共通する根底の要因は、日本の食料・エネルギーの海外依存と、大量廃棄を前提とした不均衡な社会構造にあります。
この構造的課題を打破し、持続可能な循環型社会へ移行するためのひとつの解決策として挙げられるのが、日本古来の知恵である「米麦二毛作」です。
本記事では、食料自給率の向上とネイチャーポジティブ(自然再興)を同時に実現する、米麦二毛作の可能性についてご紹介します。
※本記事は、アミタ株式会社の許諾を受け、同社運営メディア「おしえて!アミタさん」掲載記事「企業の食料・エネルギー自給率向上のネイチャーポジティブな取り組み」の内容をシェアシマ読者向けにまとめ直した上で掲載しています。

小麦の国産化が、食料自給率を50%へ引き上げる

かつて日本は小麦の輸出国であり、水田を活用した米麦二毛作は「日本の原風景」とも呼べるほど盛んでした。しかし、戦後、安価な小麦が輸入されるようになると、国産小麦の価格が暴落し、農家は撤退を余儀なくされました。
現在、日本の食料自給率(2023年度・カロリーベース)は38%にとどまり、残りの60%以上を海外に依存しています。特筆すべきは、日本人の摂取エネルギーの11.5%を「輸入小麦」が占めている点です。つまり、この小麦を国産へ切り替えることができれば、自給率は一気に約50%まで跳ね上がります。
停滞する自給率を改善し、ネイチャーポジティブへの第一歩を踏み出すための鍵となるのが「米麦二毛作」の復活なのです。
多層的な価値を生む、米麦二毛作の環境・生態系・経済へのメリット

米麦二毛作の推進は、単なる食料確保ではない多面的な効果をもたらします。
- 自然の回復(ネイチャーポジティブ):年間を通じた光合成による酸素供給量の増加、多様な生物の生息環境の創出、里山の保全
- ビジネスの安定と成長:輸入価格の高騰に左右されない調達リスクの回避、農地の生産性最大化、エシカルブランドとしての差別化
- グローバルな責任:国産化による国際需給の緩和。間接的に、海外での過度な森林破壊や乱獲の抑止に貢献
さらに、バイオガスプラントによる食品残渣の肥料化や、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を組み合わせることで、エネルギーも含めた「完全循環型モデル」の構築が可能となります。
米麦二毛作の歴史や具体的な効果、食品業界での取り組み事例について、もっと詳しく知りたい方は、アミタ株式会社様の「企業の食料・エネルギー自給率向上のネイチャーポジティブな取り組み」(外部リンク)の記事が参考になります。こちらもぜひご覧ください。
サプライチェーンを「自然再興」の原動力へ
今、国内の食品メーカーでは、輸入小麦から国産への切り替えが急速に進んでいます。
食品企業に求められているのは、単に原料を調達するだけでなく、一次産業との連携やバイオガス活用を軸とした「地域循環型の生産システム」そのものを支援し、設計することです。
自社のサプライチェーンを、消費のプロセスから「自然を再興する装置」へと変えていく。その決断と選択こそが、持続可能な社会を実現する真の原動力となり、ネイチャーポジティブへの直接的な貢献へと繋がっていくはずです。

シェアシマ編集部
食品業界に携わる方々に向けて、日々の業務に役立つ情報を発信しています。食品業界の今と未来を示唆する連載や、経営者へのインタビュー、展示会の取材、製品・外食トレンドなど話題のトピックが満載!さらに、食品開発のスキルアップや人材育成に寄与するコンテンツも定期的にお届けしています。