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リンネルが挑む食品開発:シェアシマとのコラボレーションが生み出す未来像

「リンネルパントリー」は、宝島社が創設したサステナブルな食品ブランドです。今回シェアシマは、同ブランドの新商品開発を通じて、未利用原料の有効活用と食の持続可能性をともに体現しました。本記事では、ブランド誕生の背景から、開発プロセス、商品に込められた思いまで、詳しく紐解きます。株式会社宝島社 広告局開発チーム課長 横山裕司氏と、シェアシマを運営するICS-net株式会社 代表取締役 小池祥悟に話を聞きました。ぜひご一読ください。(聞き手・シェアシマ編集部)


雑誌「リンネル」が食品ブランドを立ち上げた理由

―「リンネルパントリー」の立ち上げは、どのような背景があったのでしょうか?

横山:リンネルは2010年の創刊以来、ファッションやライフスタイルを軸にさまざまなテーマを扱ってきました。その中でも、過剰な生産と消費を見直し「身の丈にあった暮らし」の大切さを提案してきました。読者層も環境に配慮した暮らしを意識する方が多く、時代の流れもあって我々の考えに共感してくれる方が増えていきました。そして今回、この想いを体現した食品ブランドを作れないか?と考え、「リンネルパントリー」を立ち上げるに至りました。

―今回、初めて食品開発に取り組まれたとお聞きしました。

横山:これまでファッションや雑貨などのコラボレーションはありましたが、食品開発にここまで深く携わったことははじめてでした。わからないことが多かったものの、我々の想いを丁寧に汲み取り、商品化へと導いてくれたのがシェアシマさんです。シェアシマさんのおかげで、新たな挑戦ができたことに感謝しています。

小池:導いて頂いたのは、我々のほうですよ。シェアシマとしても、リンネルのコンセプトに共感し、一緒においしいものを作りたいという思いが強くありました。だからこそ、ブランド創設を通じてカタチにできたことに喜びを感じています。

画像ホエイブレッド(画像はリンネル提供)


米粉とホエイが新たな価値を生むまでの道のり

―米粉やホエイを使ったパンの開発背景について教えてください。

横山:まず米粉に関しては、昨年イベントでの限定販売という形で一緒に作らせていただき、それが非常に好評でしたので、今回商品化するに至りました。お米は日本人の主食ですが、最近の米不足問題や古米の市場価値の低下に以前から課題感を抱いていました。そこで、米粉を使ってパンを作ることは、マーケットの歪みを正す一つの手段だと考えました。パンにすることで、美味しく食べられるし新たな商品価値も生まれます。ホエイに関しては、編集部のほうで元々着目していました。ホエイが大量に廃棄されていることを耳にして、何か有効活用できないかと考えていました。

小池:昨年シェアシマでは、農水省による「中小規模のチーズ工房等で排出されるホエイの活用推進の実証事業」に採択され、未利用ホエイを活用するためのサプライチェーン構築を検討しました。未利用ホエイのさまざまな活路を模索する中で、リンネルと共通課題を抱いていたことに気づき、ホエイを活用した商品開発を提案させていただきました。ホエイは、チーズを作る際に余る副産物ですが、そのほとんどが排水処理されてしまいます。今回は、長野県にある長門牧場の未利用ホエイを活用しました。

横山:パンの製造元も、昨年と同様で丸冨士さんに担っていただきました。原料供給元と製造先を同じ長野県内にすることで、輸送・品質保持の問題が最小限に抑えられ、低コストで商品化が実現できました。

シェアシマ代表・小池(左)と、宝島社・横山氏(右)


毎日食べたくなるパン、その魅力の秘密とは?

―ホエイを活用したパンの特長や商品作りについて、もっと詳しく伺いたいです。

小池:まず商品のポイントは、パン作りに使う水を全てホエイに置き換えたことで、独特の風味と軽い食感を実現したことです。そうすることで、毎日食べても飽きない、しっとりしているのに口当たりの軽いパンに仕上げました。

横山:バターリッチな味わいとは違いますが、シンプルで飽きないパンです。この引き算のアプローチが、毎日食べたくなる秘訣ですね。ほかではなかなか食べられないパンです。商品作りの過程では、私たちのリクエストにも柔軟に対応してもらいました。

ー具体的に、どういったリクエストがあったのでしょうか?

横山:たとえば、「もうちょっとしっとりさせたい」というリクエストがあった際に、我々はそれを製造元に上手く伝える術は持ち合わせていません。シェアシマさんには、そこを上手に言語化していただきました。

小池:シェアシマでは、いままで数々の商品開発に携わった経験とノウハウがあります。それらを組み合わせて、リンネルさんと製造元の丸冨士さんをつなぐパイプ役として、具体的な解決策を提示させていただきました。またシェアシマでは、食品業界に携わるさまざまなネットワークがあります。今回は、大手製パン企業に勤務し、数々のヒット商品を生み出した商品開発者にアドバイスをいただく場面もありました。このように、シェアシマのプラットフォーム内にいるプロフェッショナルの協力を得て、今回の商品が出来ました。

シェアシマ商品開発のスキーム図


コラボレーションがもたらす新たな展望

―この商品を、どんな方に手に取っていただきたいですか?

横山:リンネル読者と、その周りにいる方々に広がっていけばいいですね。シンプルながら、さまざまな食べ方が可能なパンです。例えば、スライスしてサンドイッチにしたり、バターやジャムを塗って楽しんだり、毎日の食事にぴったりです。

小池:私たちも、このパンをお客様にどう楽しんでいただけるか非常に期待しています。

ホエイ&米粉ブレッド(リンネル提供)


ー今後の展望について教えてください。

横山:リンネルとしては、ラインナップをさらに広げていきたいです。ECサイトだけでなく、外部の幅広いチャネルにも展開していきたいですね。またシェアシマとのコラボレーションを通じて、さらにダイナミックな展開を目指しています。食品業界のプロフェッショナルとしての彼らの知見と、私たちのメディア力を掛け合わせて、更なる展望を見据えていきたいです。

小池:私たちも、リンネルパントリーがブランドとして定着するまで全力でサポートしていきます。そして、その先にさらに新しいプロジェクトが広がることを期待しています。また今後は、今回の丸冨士様のような受託生産可能な会社様とマッチングするOEMサービスをシステム化することで、より多くの企業様にも同様の価値を届けられるようにしたいと考えています。

リンネルとシェアシマの共創によって生まれた「ホエイ&米粉ブレッド」は、サステナブルで持続可能な食品開発の在り方として、大きな意義を持ちます。今後もリンネルパントリーのさらなる展開が期待されます。またシェアシマのプラットフォームが、次なる挑戦を支えられることも楽しみです。


※『リンネルパントリー』商品ご購入は、下記URLから
https://liniere.jp/column/lifestyle/57134 

執筆者プロフ
シェアシマ編集部

食品業界で働く人たちに向けて、展示会の取材や企業へのインタビュー記事を通して、食品開発・製造に関わる話題のトピックを発信しています。プラントベースフードに興味津々の国際薬膳師、累計記事執筆2,500以上の元新聞記者等々、30〜40代の編集メンバーを中心に運営中

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