ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス
【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.4】
前回の記事を読む:ハラル認証取得の基本を学ぶ【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.3】
こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。今年は暑い日が続いた後で雨の日が続いたりと、梅雨明けと梅雨時期がテレコになったような「異常気象」ですが、その異常が通常になることがとても怖いです。コロナ禍も含め、新しい課題の原料高、資源高、さらには燃料高などがありますが、人間の叡智で何とか乗り越えていきたいものです。
今回は「ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス」を解説していきます。ハラルビジネスに取り組むには大きく2通りの方法があります。一つはハラル(ハラール)認証を取得して対応する方法、もう一つはイスラム教やハラルなどをきちんと学び、原材料成分や扱い方で対応する方法です。今回はこのことについて具体的にお話していきます。
ハラル認証取得は「パスポート」⁈
ハラル認証が必要なハラルビジネスは、多くの原材料メーカー様が直面している、現在進行形の課題です。イスラム諸国のバイヤー等にハラル認証取得を要求され、指定のハラル認証を取得して、輸出します。日本では原材料メーカーのハラル認証取得はここからスタートしたといっても過言ではありません。
最近は高い経済成長の東南アジアのイスラム市場で、マレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンからもハラル認証原材料の引き合いが多いと思います。今後もこの傾向は続き、ハラル認証を取得しての輸出も増えますが、現地製造のために海外進出する企業も並行して増えていくと見ています。輸出するものか?現地で製造するものか?の種分けの時代に入ったと考えられます。
エビデンスハラル(成分ハラル)の有効性
ハラル認証がいらないハラルビジネスでは、ハラル認証を取得してはいないが、「原材料はハラルですよ」「作っている工場やラインはこんな状況ですよ」ということをバイヤーと確認しながら輸出を進める、いわゆる「エビデンスハラル(成分ハラル)」という手法があります。
海外へ輸出するには、原材料を輸出したい国の「輸出可否」をそれぞれ確認する必要があります。原材料の詳細スペックを確認する必要があるので、事前に社内の研修やセミナーでイスラム教ないしはハラルの基本を学習しておけば、プラスアルファで「エビデンスハラル(成分ハラル)」を確認することができます。その情報を商談でバイヤーに伝えることで、ハラル認証は取得していないが、実質ハラル原料だから使用可能だったり、マレーシアやインドネシアなどで製造するハラル認証食品の原料として扱われたりします。
インバウンド対応はソフトに
国内のインバウンド対応に目を向けると、これからはアフターコロナ時代に入ります。日本に働きに来る外国人、学びに来る外国人、そして遊びに来る外国人はこれからもどんどん増えます。しかし、日本は非イスラム教の国ですから、本格的なイスラム教対応は難しく、国内で展開される手法の多くは、ハラル認証に頼らないマーケティングになると考えられます。ただし、素材や物にもよります。畜肉そのもの、または畜肉由来、油脂及び油脂由来などの原材料には、日本国内であってもハラル認証取得が有効な場合がありますので、対応を準備しておくといいと思います。国内は基本的な対応を学べば、ハラル認証に頼らない方法で問題ないと考えています。
次回は原材料の「ハラル認証が有効な国、そうでない国」について解説したいと考えます。8月の第4金曜日を楽しみにしていてください。また、夏バテや熱中症にも留意ください。引き続き、よろしくお願いいたします。
(佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)
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