食品原材料とハラルビジネスの親和性
【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.2】
前回の記事を読む:ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.1】
こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。5月20日まで3日間、食品原材料の展示商談会「ifia JAPAN 2022(アイフィア・ジャパン)第27回 国際食品素材/添加物展・会議」に協賛団体として出展していました。期間中、多くの事業者との新たな出会いに恵まれました。
そこでシリーズ第2回の今回は、この折に改めて感じた原材料とハラル(ハラール)ビジネスの親和性についてお話していこうと思います。
原材料の「由来の担保」の現状
「日本の原材料」という、日本でしか作れないメイドインジャパンの原材料が、海外とりわけアジアで重宝されていることは十二分にご存じだと思います。海外生産の日本食品で、その味を再現するのに使われるフレーバーや添加物などはその代表です。東南アジア諸国や南西アジア等の経済発展により、そうした食品の自国流通が増えるようになると、イスラム教徒への対応、つまりハラル認証商品も必然的に多くなります。そこで、原材料の「ハラル性」も要求されます。
これまでは原材料の規格書とアンケートなどで「成分(エビデンス)ハラル」の原材料であれば、問題なく輸出ができていました。当協会も、自社で成分ハラルの推奨マークやエビデンスの証明書発行を行っています。現状は「由来の担保」はハラル認証でなくとも東南アジアのタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどに輸出できていますが、その流れが今後も続くかどうかは不透明です。東南アジア諸国ではハラル認証商品が今後ますます増えることが予想されます。原材料にもハラル認証を要求されることを念頭に、今から準備を始めておくことをお勧めします。
日本の原材料はハラル認証がスタンダードに
東南アジアで、食品のハラル認証商品は、増加の一途をたどっています。つまり、ハラル認証商品がスタンダード化している傾向があります。そのような国々に輸出をするには最低でもノーアニマル、ノーポーク/ノーアルコール、ノーアニマル/ノーアルコールの3種類のいずれかを示すことができると有効です。
しかしながら、この2、3年で特に顕著な傾向として、当協会に相談される原材料メーカー様のほぼすべてが買い手からハラル認証を要求されています。米、卵、きのこ、魚といった農林水産品にもハラル認証が付き始めた現状を考えると、加工度が高い物の原材料は当然ハラル認証を要求されると考えておくべきでしょう。
そのために準備しておくことが大きく3つあります。1つはハラル認証を取得したい製品は原材料の規格書ベースでそもそもハラルかどうか?2つ目はハラル認証は国際認証ですが、世界統一基準がなく自社で選ぶ必要があります。そのためどの国に輸出するのか、ターゲットを明確にしておくこと。そして3つ目は自社の工場がそもそもどこのハラル認証を取得できるかのか可能性を診断し、事前に対策を立てておくことです。これらの準備をしておけば怖いものはありません。
まずは自社の原材料を規格書ベースで確認してください。二次原料までの追跡、確認は現時点では必要ありません。ハラル認証機関(団体)によって指導が違うからです。次回は「ハラル(ハラール)認証取得の基本を学ぶ」についてもう少し詳しく解説したいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
(佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)
次回の記事を読む:ハラル認証取得の基本を学ぶ【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.3】
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