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セミナー・展示会

【受付中】ifia開催直前特別号|今年の見どころを主催者&出展企業が紹介(5/15)

当社では、商品開発に役立つオンラインセミナーを毎月開催しております。2024年5月15日(水)に予定しています、第45回のテーマは、「ifia開催直前特別号|今年の見どころを主催者&出展企業が紹介」です。食品原料と添加物を取り扱う企業が一堂に会する展示会「ifia / HFE JAPAN 2024」が5月22日から3日間の日程で、東京ビッグサイトで開催されます。食品開発の最新情報を発信する当展示会の見どころと注目の登壇企業をご紹介します。開催概要テーマ:ifia開催直前特別号|今年の見どころを主催者&出展企業が紹介日時:2024年5月15日(水)13時30分~参加方法: オンライン(EventHub)定員:200名(先着順)参加料:無料お申込はこちら:https://shareshima.com/seminars/20240515※こちらでお申し込みを受け付けた後、メールにて参加URLをお送りします申込締切:2024年5月15日(水) 13時プログラム1.シェアシマ事務局より (13時30分〜)セミナーの注意事項など2.基調講演「ifia/HFE JAPAN2024見どころ紹介」食品化学新聞社 健康食品事業部 次長 石川 透 氏3.登壇企業から発表愛媛製紙株式会社株式会社サビンサジャパンコーポレーションDM三井製糖株式会社宝酒造株式会社コンビ株式会社ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社4.その他次回のご案内など15時終了(予定)※暫定のプログラムになります。時間は目安ですので多少前後します。都合により変更になる場合がございますのでご了承ください。

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行政情報

4月16日更新|行政情報【厚生労働省・農林水産省・消費者庁・東京都】

厚生労働省「輸入食品違反事例速報(令和6年4月分)」が更新されました。(令和6年4月11日)「『高度な機能』の条件を満たす自動販売機の機種のリストについて」が更新されました。(令和6年4月10日健生食監発0410第3号)インド産オクラのクロルピリホス、テブコナゾール検査命令が発出されました。(令和6年4月5日)農林水産省「煮干魚類」の日本農林規格が一部改正されました。(令和6年4月10日)消費者庁「機能性表示食品制度届出データベース 届出情報」が更新されました。(令和6年4月10日) 「『機能性表示食品の届出等に関するガイドライン』の一部改正について」が公表されました。(令和6年4月1日消食表第217号)「『特別用途食品の表示許可等について』の一部改正について」が公表されました。(令和6年4月1日消食表第220号)「『特定保健用食品の表示許可等について』の一部改正について」が公表されました。(令和6年4月1日消食表第244号)東京都「令和6年度HACCPに沿った衛生管理導入のための訪問アドバイス事業」についてが公表されました。(令和6年4月8日)

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業界用語

【2024年版】食品開発担当者必見!シェアシマ編集部注目の原料5選

毎年変わっていく食品業界でのトレンド。変化の激しい食の市場において、食品開発者のための専門メディア「シェアシマ」編集部では、2024年に注目したい最新の食品原料を5つ選定しました。社会背景や消費者のニーズ・動向を踏まえた本記事を活用することで、新たな食品の可能性を発見することができるでしょう。開発担当の方は必見です。1.ピープロテインピープロテインとは、主に黄えんどう豆から作られたプロテインを指します。ピープロテインは、タンパク質・ビタミンB・ビタミンEを豊富に含んでいます。また、筋肉のエネルギー源となる必須アミノ酸が多く含まれているのも特徴です。ピープロテインは、牛肉等の動物性たんぱく質と比較すると、生育に必要な水の量が少なく、環境面に優しい食材としても注目を集めています。環境に配慮したエシカルな食生活を目指す人に最適な食材のひとつです。※関連記事:ピープロテイン(えんどう豆プロテイン)とは|効果とデメリットを解説2.そばの実(そば米)そばの実は、収穫したそばの実から黒い殻を取り除いた薄緑の実です。そばは穀類の中で、タンパク質と食物繊維が豊富に含まれています。ニューヨークタイムズ紙も2024年の注目食品のひとつとして挙げています。そばの栄養価が高いのは実の皮の部分とされています。しかし、そば粉にされる過程で皮の部分は失われてしまいます。そばの実をまるごと摂取することで、栄養を取り逃しません。※1参考:The New York Times「9 Predictions for How We’ll Eat in 2024」3.アムラ(グーズベリーエキス)アムラとは、インドで食べられているライトグリーンの果物で、別名「若返りの果実」と呼ばれています。アムラの成分の約25%がポリフェノールだといわれています。ポリフェノールを摂取することで体内でコラーゲンが生成されやすくなります。これにより、肌の明るさや透明度、水分量・弾力のアップや、メラニン色素減少といった効果が期待されます。アムラエキスの全世界の市場規模は、2023年には39,500,000米ドル(約60億円)でした。それが10年後の2033年には、76,600,000米ドル(約115億円)にまで拡大するといった予想もあり、市場規模の拡大が期待されています。※関連記事:若返りの果実「アムラ」の効果とは|食べ方や注意点も解説

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セミナー・展示会

最新の食品原料・添加物が集結!「ifia / HFE JAPAN(国際食品素材/添加物展・ヘルスフードエキスポ)」が5月22日より開催

食品原料と添加物を取り扱う国内外の企業が一堂に会する展示会「ifia / HFE JAPAN(アイフィア・エイチ・エフ・イー・ジャパン)2024」が、5月22日(水)~5月24日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催されます。食品開発の最新情報を発信する当展示会の見どころを、シェアシマinfoがひと足先にご紹介します。関連記事を読む:特集|ifia JAPAN 2024に出展する注目企業一覧「ifia JAPAN(アイフィア・ジャパン)」とは「ifia JAPAN」は食品素材の専門紙「食品化学新聞社」の主催による、食品原料と添加物に携わる企業・団体のブース展示やセミナーを中心とした展示会です。1996年の初開催以来、食品開発の技術交流やビジネスマッチングの場として、国内随一の規模と実績を重ねてきました。コロナ禍を経て29回目の実施となる今回は、前年度を超える約380社の出展が決定。開催期間中は約3万人の来場者が見込まれています。「食の安全・おいしさ」の最新事情を知る食の安全に対する消費者の目が、今までになく厳しくなっている現在。会場の「食の安全・科学エリア」では、食品の安全管理や品質確保を科学的にサポートする製品やサービスが集中的に展示されます。製造現場におけるオンライン測定や分析技術、消費者に品質を正確に伝えるデータ解析や数値化技術など、食の安全を支える日進月歩の技術に触れることができます。また「おいしさ探求エリア」では、味・香り・テクスチャー・外見など総合的な要素で構成される「おいしさ」を分析・数値化する関連資材を集めて紹介。減塩やカロリーカット、介護・高齢者食など、多様なニーズに沿った「食のおいしさ」を実現するヒントが得られます。機能性表示食品のパビリオンが初登場会場内では、健康・機能性食品に特化した「ヘルスフードエキスポ」、通称「HFE JAPAN(エイチ・エフ・イー・ジャパン)2024」も同時開催。一般食品の原料や添加物を対象とする「ifia JAPAN」に対し、「HFE JAPAN」には健康・機能性食品の原料やその加工技術、分析技術をもつ企業が集います。国内で唯一、機能性表示食品の専門展示コーナー今年で22回目を迎える「HFE JAPAN」には、「機能性表示食品開発パビリオン」が初登場。機能性表示食品の開発を目指すメーカーが抱える疑問や課題を解決する製品・サービスが集中的に展示される、国内唯一の専門展示コーナーです。数々のヒット商品が生まれる一方、広告規制などで流動的な要素も多い機能性表示食品の市場。「自社製品を機能性表示食品にするには?」「成分の含有量や配合は?」「臨床試験や届出の流れは?」など、気になる疑問を一挙に解決できる場がこのパビリオンです。機能性表示食品の制度や関連法の最新動向、素材開発、品質・安全性の確保などをテーマにしたセミナーやシンポジウムが連日実施される他、関連団体による相談窓口も開設される予定です。同市場へ新規参入を目指すメーカーにとっても、有益な商談機会となります。食の最先端を知るセミナーも充実期間中に会場で企画される、多数のセミナーやセッションも見逃せません。主要なものとしては、初日の5月22日(水)に「第6回 日中韓食品添加物フォーラム」がコロナ禍以降で初再開され、国内外で進展する食品添加物の規格基準が3カ国間で共有されます。5月23日(木)、24日(金)には日本食品化学学会の30周年総会・学術大会が同時開催されます。会場内では学会主催の無料セミナーが行われ、研究の最先端に触れることができます。その他、「オートファジー」「減塩」「セルフケアフード」など、食品開発で注目される多様な話題をテーマとしたセミナーが連日開催されます(一部有料・要事前予約)。展示会場内のオープンスペースでは、出展社によるプレゼンテーションも無料開催されます。また十文字学園女子大学の食品開発学科とのコラボ企画として、出展社提供による素材を使用して学生チームが開発した「柚マシュマロ」「米粉クレープ」の試食配布も予定されています。食品開発を進めるうえで欠かせない「安全・健康・おいしさ」という3つの要素。その知見をより深め、最新情報に触れられる会場に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。◾️ 「ifia JAPAN 2024」及び「HFE JAPAN 2024」の詳細はこちらから:https://www.ifiajapan.com/※来場には事前登録が必要です。事前登録はこちらから:https://f-vr.jp/fcn/ifia/

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セミナー・展示会

特集|ifia JAPAN 2024に出展する注目企業一覧

食品素材・添加物に特化した国内最大級の食の展示会「ifia JAPAN」。今年は、東京ビッグサイトにて5月22日(水)〜24日(金)の日程で開催されます。出展企業総数は約380社。特別企画として、食の安全確保と安心できる製品づくりを科学的にサポートする製品、サービス、関連機関を集めた「食の安全・科学エリア」や、おいしさの“数値化”をキーとした「おいしさ探求エリア」など、盛りだくさんの内容が予定されています。シェアシマに原料登録されている企業様も、ブースを構えておすすめの商品をアピールします!以下の出展社リストを参考に、会場までお越しください。関連の特集記事を読む:最新の食品原料・添加物が集結!「ifia / HFE JAPAN(国際食品素材/添加物展・ヘルスフードエキスポ)」が5月22日より開催ifia JAPAN 2024に出展する注目企業一覧

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行政情報

4月16日更新|行政情報【厚生労働省・農林水産省・消費者庁・東京都】

厚生労働省「輸入食品違反事例速報(令和6年4月分)」が更新されました。(令和6年4月11日)「『高度な機能』の条件を満たす自動販売機の機種のリストについて」が更新されました。(令和6年4月10日健生食監発0410第3号)インド産オクラのクロルピリホス、テブコナゾール検査命令が発出されました。(令和6年4月5日)農林水産省「煮干魚類」の日本農林規格が一部改正されました。(令和6年4月10日)消費者庁「機能性表示食品制度届出データベース 届出情報」が更新されました。(令和6年4月10日) 「『機能性表示食品の届出等に関するガイドライン』の一部改正について」が公表されました。(令和6年4月1日消食表第217号)「『特別用途食品の表示許可等について』の一部改正について」が公表されました。(令和6年4月1日消食表第220号)「『特定保健用食品の表示許可等について』の一部改正について」が公表されました。(令和6年4月1日消食表第244号)東京都「令和6年度HACCPに沿った衛生管理導入のための訪問アドバイス事業」についてが公表されました。(令和6年4月8日)

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【受付中】ifia開催直前特別号|今年の見どころを主催者&出展企業が紹介(5/15)

当社では、商品開発に役立つオンラインセミナーを毎月開催しております。2024年5月15日(水)に予定しています、第45回のテーマは、「ifia開催直前特別号|今年の見どころを主催者&出展企業が紹介」です。食品原料と添加物を取り扱う企業が一堂に会する展示会「ifia / HFE JAPAN 2024」が5月22日から3日間の日程で、東京ビッグサイトで開催されます。食品開発の最新情報を発信する当展示会の見どころと注目の登壇企業をご紹介します。開催概要テーマ:ifia開催直前特別号|今年の見どころを主催者&出展企業が紹介日時:2024年5月15日(水)13時30分~参加方法: オンライン(EventHub)定員:200名(先着順)参加料:無料お申込はこちら:https://shareshima.com/seminars/20240515※こちらでお申し込みを受け付けた後、メールにて参加URLをお送りします申込締切:2024年5月15日(水) 13時プログラム1.シェアシマ事務局より (13時30分〜)セミナーの注意事項など2.基調講演「ifia/HFE JAPAN2024見どころ紹介」食品化学新聞社 健康食品事業部 次長 石川 透 氏3.登壇企業から発表愛媛製紙株式会社株式会社サビンサジャパンコーポレーションDM三井製糖株式会社宝酒造株式会社コンビ株式会社ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社4.その他次回のご案内など15時終了(予定)※暫定のプログラムになります。時間は目安ですので多少前後します。都合により変更になる場合がございますのでご了承ください。

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最新の食品原料・添加物が集結!「ifia / HFE JAPAN(国際食品素材/添加物展・ヘルスフードエキスポ)」が5月22日より開催

食品原料と添加物を取り扱う国内外の企業が一堂に会する展示会「ifia / HFE JAPAN(アイフィア・エイチ・エフ・イー・ジャパン)2024」が、5月22日(水)~5月24日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催されます。食品開発の最新情報を発信する当展示会の見どころを、シェアシマinfoがひと足先にご紹介します。関連記事を読む:特集|ifia JAPAN 2024に出展する注目企業一覧「ifia JAPAN(アイフィア・ジャパン)」とは「ifia JAPAN」は食品素材の専門紙「食品化学新聞社」の主催による、食品原料と添加物に携わる企業・団体のブース展示やセミナーを中心とした展示会です。1996年の初開催以来、食品開発の技術交流やビジネスマッチングの場として、国内随一の規模と実績を重ねてきました。コロナ禍を経て29回目の実施となる今回は、前年度を超える約380社の出展が決定。開催期間中は約3万人の来場者が見込まれています。「食の安全・おいしさ」の最新事情を知る食の安全に対する消費者の目が、今までになく厳しくなっている現在。会場の「食の安全・科学エリア」では、食品の安全管理や品質確保を科学的にサポートする製品やサービスが集中的に展示されます。製造現場におけるオンライン測定や分析技術、消費者に品質を正確に伝えるデータ解析や数値化技術など、食の安全を支える日進月歩の技術に触れることができます。また「おいしさ探求エリア」では、味・香り・テクスチャー・外見など総合的な要素で構成される「おいしさ」を分析・数値化する関連資材を集めて紹介。減塩やカロリーカット、介護・高齢者食など、多様なニーズに沿った「食のおいしさ」を実現するヒントが得られます。機能性表示食品のパビリオンが初登場会場内では、健康・機能性食品に特化した「ヘルスフードエキスポ」、通称「HFE JAPAN(エイチ・エフ・イー・ジャパン)2024」も同時開催。一般食品の原料や添加物を対象とする「ifia JAPAN」に対し、「HFE JAPAN」には健康・機能性食品の原料やその加工技術、分析技術をもつ企業が集います。国内で唯一、機能性表示食品の専門展示コーナー今年で22回目を迎える「HFE JAPAN」には、「機能性表示食品開発パビリオン」が初登場。機能性表示食品の開発を目指すメーカーが抱える疑問や課題を解決する製品・サービスが集中的に展示される、国内唯一の専門展示コーナーです。数々のヒット商品が生まれる一方、広告規制などで流動的な要素も多い機能性表示食品の市場。「自社製品を機能性表示食品にするには?」「成分の含有量や配合は?」「臨床試験や届出の流れは?」など、気になる疑問を一挙に解決できる場がこのパビリオンです。機能性表示食品の制度や関連法の最新動向、素材開発、品質・安全性の確保などをテーマにしたセミナーやシンポジウムが連日実施される他、関連団体による相談窓口も開設される予定です。同市場へ新規参入を目指すメーカーにとっても、有益な商談機会となります。食の最先端を知るセミナーも充実期間中に会場で企画される、多数のセミナーやセッションも見逃せません。主要なものとしては、初日の5月22日(水)に「第6回 日中韓食品添加物フォーラム」がコロナ禍以降で初再開され、国内外で進展する食品添加物の規格基準が3カ国間で共有されます。5月23日(木)、24日(金)には日本食品化学学会の30周年総会・学術大会が同時開催されます。会場内では学会主催の無料セミナーが行われ、研究の最先端に触れることができます。その他、「オートファジー」「減塩」「セルフケアフード」など、食品開発で注目される多様な話題をテーマとしたセミナーが連日開催されます(一部有料・要事前予約)。展示会場内のオープンスペースでは、出展社によるプレゼンテーションも無料開催されます。また十文字学園女子大学の食品開発学科とのコラボ企画として、出展社提供による素材を使用して学生チームが開発した「柚マシュマロ」「米粉クレープ」の試食配布も予定されています。食品開発を進めるうえで欠かせない「安全・健康・おいしさ」という3つの要素。その知見をより深め、最新情報に触れられる会場に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。◾️ 「ifia JAPAN 2024」及び「HFE JAPAN 2024」の詳細はこちらから:https://www.ifiajapan.com/※来場には事前登録が必要です。事前登録はこちらから:https://f-vr.jp/fcn/ifia/

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セミナー・展示会

特集|ifia JAPAN 2024に出展する注目企業一覧

食品素材・添加物に特化した国内最大級の食の展示会「ifia JAPAN」。今年は、東京ビッグサイトにて5月22日(水)〜24日(金)の日程で開催されます。出展企業総数は約380社。特別企画として、食の安全確保と安心できる製品づくりを科学的にサポートする製品、サービス、関連機関を集めた「食の安全・科学エリア」や、おいしさの“数値化”をキーとした「おいしさ探求エリア」など、盛りだくさんの内容が予定されています。シェアシマに原料登録されている企業様も、ブースを構えておすすめの商品をアピールします!以下の出展社リストを参考に、会場までお越しください。関連の特集記事を読む:最新の食品原料・添加物が集結!「ifia / HFE JAPAN(国際食品素材/添加物展・ヘルスフードエキスポ)」が5月22日より開催ifia JAPAN 2024に出展する注目企業一覧

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サステナブル

日本でも有機食品が増えつつある理由とは?【食品企業のためのサステナブル経営(第14回)】

前回の記事を読む:サステナブル経営のための3つの疑問【食品企業のためのサステナブル経営(第13回)】あなたは有機食品と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 価格が高い。供給が不安定で取り扱いが難しい。ごく一部の限られた特殊なマーケットであり、自分たちとはあまり関係がない。そのように考えられる方がまだまだ多いのではないかと思います。地域ぐるみの有機農業に動く市町村と農業者たしかに少し前まではそう思われてもしかたない状況でしたが、この数年の間に日本国内での状況は急速に変化しています。消費者の意識の変化もありますが、最大の理由は農水省の「みどりの食料システム戦略」(以下みどり戦略)かもしれません。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、2021年に策定されたこの戦略で、農水省は2050年までに国内のオーガニック市場を拡大し、有機農業の取組面積を耕地面積全体の25%(100 万ha)に拡大することを目指すとしています。大変野心的な目標なのですが、現在日本での割合がわずか0.5%であることを考えると、これまで長く有機農業に関わってきた方々や団体からすら現実的でないとの声が上がったほどでした。けれども、実際にはこの計画はかなりうまく走り始めているようです。農水省では有機農業を地域ぐるみで推進する市町村、オーガニックビレッジを募集しており、目標を2025年までに100市町村、2030年までに200市町村としています。ところがなんと2023年度中にその数は93市町村となり、最初の予定はほぼ達成してしまったのです。この勢いであれば、2025年には2030年までの目標も易々と実現してしまうかもしれません。もちろん有機農業が実際に定着するかは別問題ですし、いろいろと問題も出てくるでしょう。しかし、農業従事者において有機農業への関心は確実に高まっているように思います。2021年秋以降の化学肥料の高騰に悲鳴を上げた農家が、有機農業に関心を持ったのかもしれません。日本の化学肥料の原料はほぼ100%海外からの輸入で、今後の国際情勢や為替を考えると、こうした化学肥料に依存することは間違いなく高コスト構造になってしまうからです。国が有機農業へと舵を切る要因一方、農水省が有機農業への転換に注力するのには、また別の要因がありそうです。みどり戦略は、EUが2020年に発表した農場から食卓(Farm to Folk)戦略をお手本にしたと言われています。こちらは2030年を目標年に、化学農薬の使用量を50%削減、化学肥料の使用量を少なくとも20%削減、 家畜および養殖に使用される抗菌剤の販売量を50%削減、一人あたり食品廃棄物を50%削減、そして有機農業の取り組み面積を少なくとも耕地の25%まで拡大することを掲げています。これはEUの持続可能な経済戦略であるグリーンニューディールの一環であり、2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの実質排出量ゼロ)で持続可能な経済に公正かつ包摂的に移行しようとするものです。そのためには環境負荷の大きい農業を、より持続可能なものに変革する必要があるのです。日本も2050年にカーボンニュートラルを達成することを掲げていますので、農業のあり方も同様に変換していく必要があります。その結果、政策もかなり似通って来て、みどり戦略では2050年までに農林水産業においてCO2ゼロエミッションを実現、化学農薬の使用量を50%削減、化学肥料の使用量を20%削減、有機農業取り組み面積割合を25%まで拡大としたのです。有機農業によりすべての環境問題が解決できるわけではありませんが、化学農薬の使用量を大幅に減らし、化学肥料を使用しない有機農業は、CO2の排出量を減らすと同時に土壌や水質を保護し、また生物多様性への影響を大幅に低くすることができます。そして農業そのものをよりレジリエント(回復力がある)で持続可能なものにすると考えられています。安全とおいしさを求める消費者のニーズももちろん需要側からのニーズもあります。有機食品の方が農薬や化学肥料の使用が制限されるため、有害な化学物質の摂取量を減らすことができ、安全と考えられるのです。また、有機食品の方が味わいが良く、栄養価が高いと考えている人たちもいます。これは必ずしも科学的に立証されてはいないのですが、確かに有機栽培された果物や野菜は、慣行栽培のものより美味しいように私も感じることがあります。また最近では、エシカルな消費をしたいという理由で有機食品を好む消費者も増えています。そうしたこともあり、有機食品を嗜好する消費者は一定数存在しますし、有機食品は高い価格で取引されるのです。特に海外への輸出を考えると、有機食品の方が好まれ、付加価値を高めてブランド化しやすいという傾向があるようです。価格の高さは原料として使用する際のデメリットにもなりますが、それとて有機栽培された原料を使っていることをアピールできれば販売価格に転嫁可能でしょうし、それ以上に付加価値を高めることも考えられます。となると問題は供給量が少ないことや、供給がしばしば不安定であることでしょう。しかし、今や大きな政策的な後押しがありますので、そうした問題も少しずつ解決していくでしょうし、何より有機食品に対するニーズは増えることはあっても減ることはなさそうです。だとすれば、これを積極的に扱わないない手はないと思います。そしてみなさんが有機食材の利用を増やしていけば、それが有機食品を普及させ、また有機食材の生産拡大を可能にして、供給にまつわる問題を解決していくことでしょう。そしてそれが環境問題の解決にも大きく貢献するとしたら、こんなに良い話はありませんね。それでもやっぱり有機は高いし、育てるのは大変だしねぇ… そう考える方には、実はもっとすごい農法があります(笑)それについては次回、詳しくお話しをしたいと思います。

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行政情報

消費者庁のお知らせ一覧(令和6年度)

4月「機能性表示食品制度届出データベース 届出情報」が更新されました。(令和6年4月10日) 「『機能性表示食品の届出等に関するガイドライン』の一部改正について」が公表されました。(令和6年4月1日消食表第217号)「『特別用途食品の表示許可等について』の一部改正について」が公表されました。(令和6年4月1日消食表第220号)「『特定保健用食品の表示許可等について』の一部改正について」が公表されました。(令和6年4月1日消食表第244号)「機能性表示食品制度届出データベース 届出情報」が更新されました。(令和6年4月3日)「知っておきたい食品の表示(令和6年4月版・消費者向け)」 、「早わかり食品表示ガイド(令和6年4月版・事業者向け)」が更新されました。(令和6年4月3日)「食品表示基準Q&A」が一部改正されました。(令和6年4月1日消食表第214号)※第19次改正「食品表示基準について」が一部改正されました。(令和6年4月1日消食表第213号)※第35次改正「内閣府令(表示の基準に関するもの)」が一部改正されました。(令和6年4月1日内閣府令第50号)

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行政情報

厚生労働省のお知らせ一覧(令和6年度)

4月「輸入食品違反事例速報(令和6年4月分)」が更新されました。(令和6年4月11日)「『高度な機能』の条件を満たす自動販売機の機種のリストについて」が更新されました。(令和6年4月10日健生食監発0410第3号)インド産オクラのクロルピリホス、テブコナゾール検査命令が発出されました。(令和6年4月5日)「輸入食品違反事例速報(令和6年4月分)」が公表されました。(令和6年4月5日)「輸入食品違反事例(令和5年度分)」が公表されました。(令和6年4月4日)

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行政情報

農林水産省のお知らせ一覧(令和6年度)

4月「煮干魚類」の日本農林規格が一部改正されました。(令和6年4月10日)「HACCP管理アプリ紹介カタログ」が更新されました。(令和6年4月版)(令和6年4月3日)

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食品原料

原料高騰を乗り切るマスキング調味料の活用【宝酒造】

マスキング調味料のご紹介昨今、さまざまな原料の価格が上昇しています。そのため、「代替原料を調達する」という決断を余儀なくされ、従来よりも品質が劣る原料(不快臭のある原料)を用いるケースがあるかもしれません。このような状況で心強い味方になるのが、素材本来の風味を生かしつつ、不快臭を抑制できる「マスキング調味料」です。科学的な視点に基づいて「おいしさの見える化」を追求した結果、素材の風味は活かしつつ、不快臭だけを減らせるようになりました。今回は、宝酒造株式会社(京都市)が開発・製造・販売しているマスキング調味料をご紹介します。原料の価格高騰に悩んでいる人や不快臭を改善したいという人は、ぜひ参考にしてみてください。マスキング調味料のシェアシマ掲載ページは、こちらよりご覧いただけます。「おいしさの見える化」を活用して香りの課題に取り組む宝酒造は、江戸時代後期の1842年から180年以上にわたって酒造りを営んできた酒類製造メーカーです。本みりんのトップメーカーとして長年培った醸造技術に基づいて、調味料も開発・製造・販売。「調味料カスタマーセンター」を東京と京都に設置し、お客様である食品加工業者が抱える課題に対して、科学的な視点から解決策を提示しています。宝酒造では味覚センサーやテクスチャー測定装置を用いて、甘み・酸味といった味のほか、こくや広がり、香り、食感など、多様な要素を科学的・客観的に分析することにより、数値化して「おいしさの見える化」に取り組んでいます。その中で今回は「香り」にフォーカスして解説します。まず、食品の不快臭は「原料」に由来するものと、「調理過程」で発生するものに大別されます。原料由来の不快臭:魚の生臭み、食肉の特異臭、脂質酸化臭、大豆たんぱく臭など調理過程で発生する不快臭:含硫化合物のにおい、脂質酸化臭など不快臭を抑制するためには、原因を正しく見極めた上で、それぞれに応じた対策を講じなければなりません。宝酒造では、食品開発企業の「香りに関する課題」の解決に向けて、さまざまな原因に対応したマスキング調味料を開発しています。この記事では、不快臭に関する課題にフォーカスしますが、調理過程で減少してしまう香り(例えば、だしの香り)に関する課題の場合は、減少しにくい香りを持つ商品で補うといった提案を行います。マスキング調味料の特徴とメリットここでは、マスキング調味料の「特徴・メカニズム」および「メリット」について解説します。マスキング調味料の特徴・メカニズム以下は、マスキング調味料の不快臭を抑制するメカニズムです。アルコールによる共沸効果(不快臭の原因物質がアルコールと一緒に食材から抜けていく)固形分への臭い成分の吸着醸造成分による臭い成分(アミン類)の化学変化醸造成分による脂質の酸化抑制(脂質酸化臭の低減)調味料(醸造成分)のよい香りによるマスキング主にこの5つの作用によって、食品(具材)のおいしさは維持しつつ、不快臭だけを低減することができます。不快なにおいの発生要因は食材ごとに異なるため、原因に応じた対策を講じなければなりません。例えば、魚に「生臭さ」がある場合は、原因物質の「トリメチルアミン」がアルカリ性であるため、酸との中和によって不快臭がしない物質に化学変化させることが可能です。魚に「泥臭さ」がある場合は、固形分に原因物質(ジオスミンなど)を吸着させる方法が適しています。脂質酸化臭がある食材(肉や魚)に関しては、醸造成分の効果で酸化作用を抑制できます。また、肉(モツ、レバーなど)に関しては、特異臭を感じるケースもあるでしょう。その場合は、調味料の香気成分によるマスキングによって不快臭を抑制する手法が有効です。宝酒造のマスキング調味料の特長は、さまざまな機器による分析結果に基づいて香りを数値化し、酒造メーカーならではの知見と科学的な根拠に基づいて開発されていること。強い香りでただ誤魔化すのではなく、本来素材のもっている香り・風味は生かしつつも、不快な臭いは低減させておいしさを引き立ててくれます。上記作用の組み合わせにより、食材や料理に合わせた商品をラインナップから選ぶことができます。マスキング調味料のメリットマスキング調味料を使用するメリットとしては、不快臭を抑制し、よい香りによるマスキング効果を得られることが挙げられます。以前であれば、「不快臭がする原料を回避し、コストが多少かかっても高品質な原料を仕入れた」という事業者が多かったかもしれません。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う供給不安や原油価格などの上昇、円安の進行によって、「安定的に調達できる原料でないと使用できない」「少しでも価格が低い原料を仕入れなければ、ビジネスとして成り立たない」という状況に置かれている事業者も存在するのではないでしょうか。このような状況で心強い味方になるのが、マスキング調味料という選択肢です。原料の供給不安や原料価格が高騰している今だからこそ、マスキング調味料を上手に活用することをおすすめします。マスキング調味料の商品ラインナップ宝酒造が製造・販売している主なマスキング調味料として、酒類調味料の清酒、焼酎に加えて、醗酵調味料の味しるべシリーズの3つのカテゴリーがあります。以下に、各カテゴリーの商品ラインナップを示します。料理用清酒:本料理清酒濃醇、料理用白麹清酒料理用焼酎:料理用マスキング焼酎、料理用マスキング焼酎〈玉ねぎ〉、料理用マスキング焼酎〈クローブ〉味しるべシリーズ:味しるべマスキングーⅠ、味しるべマスキングーⅡ〈しょうが〉、味しるべマスキングーⅢ〈玉ねぎ〉、味しるべマスキング-4〈白麹〉1つ目の 「料理用清酒」は、清酒由来の醸造香や有機酸が特長です。特に白麹清酒は、白麹由来の有機酸(クエン酸)を豊富に含み、クエン酸のキレート効果で金属イオンの酸化作用を抑制し、高い消臭効果を発揮する料理専用の清酒です。臭みの強い肉や魚介類の消臭に効果があるので、活用してみてはいかがでしょうか。2つ目の「料理用マスキング焼酎」は、食品の不快臭改善に特化した焼酎です。独自の蒸留技術で製造されていて、しょうがや玉ねぎの風味による上乗せや、化学反応によって素材の臭みをマスキングします。3つ目の「味しるべマスキングシリーズ」は、料理用清酒や料理用焼酎の機能を有し、消臭効果に特化した醗酵調味料です。また酒類では、実現できない固形分などを含む商品もラインアップしています。マスキング調味料の活用例ここからは、宝酒造のマスキング調味料の具体的な活用事例を4つ紹介します。いずれの事例も、マスキング調味料を使うことで、素材のおいしさを活かしながら不快な臭いだけを抑制できます。「料理用白麹清酒」はえびしんじょの調味液にえびは、原料によって不快な臭いが発生する場合があります。えびしんじょを作る際に、原材料の一部に「料理用白麹清酒」を混ぜることで、特有の臭みを抑えられます。「料理用マスキング焼酎」はレバーの下漬けに畜肉(牛肉、豚肉、鶏肉)は、それぞれ特有の不快臭が課題になります。料理用マスキング焼酎は、原料のしょうが由来の醸造成分で、畜肉の不快臭をマスキングします。特に、臭いの強いもつやレバーなどの内臓肉には、料理用マスキング焼酎を肉重量の5%添加し、1時間下漬けをすることで、畜肉由来の不快臭を抑制できます。「料理用マスキング焼酎〈玉ねぎ〉」はレトルト鍋つゆにレトルト食品を加熱すると発生する独特の臭いは「レトルト臭」と呼ばれています。レトルト鍋つゆにマスキング焼酎〈玉ねぎ〉を配合することで、レトルト臭を抑えることができます。「料理用マスキング焼酎〈玉ねぎ〉」は卵焼き・茶碗蒸しに卵を焼成すると、硫化水素による不快臭が発生します。卵焼きや茶碗蒸しを作る際に、卵に料理用マスキング焼酎〈玉ねぎ〉を混ぜて焼成することで、硫化水素の生成を抑制し不快臭を抑えることができます。そのほか、宝酒造ではチーズ風味、炭火焼風味、かつお節風味など、「よい香り付けをするための調味料」も数多く製造・販売しています。詳細は、こちらをご覧ください。食品の開発現場では、味や見た目だけではなく、香りも重要なポイントです。どれほど味や見た目がよい商品であっても、不快臭が漂う場合、リピーターを獲得できず、売上が伸び悩む可能性があります。今回紹介したマスキング調味料を活用すれば、素材のおいしさをキープしながら不快臭だけを抑制できます。本みりんのトップメーカーである宝酒造の特長は、さまざまな分析機器を用いて香りを数値化し、「おいしさの見える化」に取り組んでいること。そして、長年培った醸造技術とお客様サポートの経験に基づいて、多種多様なマスキング調味料を開発・製造・販売しています。各企業が抱える課題の解決に向けて、レシピ提案や食品分析、調理効果検証を通じて協力できます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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セミナー・展示会

【受付中】食の安全は素材から、注目の国産原料特集〜安心プラスアルファの魅力に迫る〜(5/8)

当社では、商品開発に役立つオンラインセミナーを毎月開催しております。2024年5月8日(水)に予定しています、第44回のテーマは、「食の安全は素材から、注目の国産原料特集〜安心プラスアルファの魅力に迫る〜」です。原料の高騰と円安の影響を同時に受ける中、国産の食品原料へのニーズが高まっています。食品業界の内外から原料の安全性への注目が集まる今、安全・安心で信頼できる選りすぐりの商品をご紹介します。登壇企業の方々へ直接質問できるコーナーもございます。ぜひ、ご参加ください。開催概要テーマ:食の安全は素材から、注目の国産原料特集〜安心プラスアルファの魅力に迫る〜日時:2024年5月8日(水)13時30分~参加方法: オンライン(EventHub)定員:200名(先着順)参加料:無料お申込はこちら:https://shareshima.com/seminars/20240508※こちらでお申し込みを受け付けた後、メールにて参加URLをお送りします申込締切:2024年5月8日(水) 13時プログラム1.シェアシマ事務局より (13時30分〜)セミナーの注意事項など2.製品・サービス紹介①「仕入先と連携!国産原料の調達と加工事例のご紹介」 京都グレインシステム株式会社(20分)当社は原料生産地の近くに工場拠点を設置し、生産者や農協様と連携した国産原料の調達、農産物の加工をおこなっています。国産原料が注目された背景や供給情報と合わせ、国産原料調達のポイントや、飲料や食品原料への加工・使用例についてご紹介します。②「ここまできた!!開発ならおさえておきたい最新植物工場の野菜原料」 株式会社ベジタブルテック(20分)詳細は随時更新いたします。3.その他次回のご案内など<15時15分終了予定>※時間は目安ですので多少前後します。都合により、内容が変更になる場合がございます。

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食品原料

発酵食品テンペの栄養や効果効能とは|テンペ菌についても詳しく解説

インドネシアの伝統食品であるテンペをご存知でしょうか。テンペは、大豆をテンぺ菌で発酵させて作られた食品です。栄養が豊富で、さまざまな効果効能があるため、近年インドネシアだけではなく、世界中で注目されています。発酵食品に関心がある人や健康に意識の高い人は、「テンペ」という言葉を見聞きした経験があるかもしれません。今回は、テンペがどのような食品なのかを徹底解説します。作り方や食べ方も含めて、テンペについての理解を深めましょう。テンペとは|インドネシアの伝統食材テンペ(tempeまたはtempeh)とは、インドネシアの伝統的な大豆発酵食品で、白い菌糸が絡まったケーキのような見た目をしています。インドネシアでは、良質なタンパク源として、数百年以上前から日常的に摂取されてきました。近年では、健康志向の高まりを背景にインドネシア以外の国・地域においても製造されたり、食べられたりするようになっています。なお、テンペは大豆を発酵させた食品ではあるものの、納豆とは異なります。独特な臭いはなく粘り気もないので、納豆嫌いな人でも食べやすい食品です。大豆をテンペ菌で発酵させて作られる現在のテンペは、大豆にテンペ菌(クモノスカビ)を植菌し、発酵させて作られます。なお、大豆の原産地は中国の東北地方で、インドネシアには西暦1000年頃に流入しました。以下は、テンペの起源に関する2種類の説です(※)。・昔からテンペに似た食品が存在し、ココナッツなどをテンペ菌で発酵させていて、大豆が伝わるとテンペが作られるようになった。・中国人が醤造りに大豆こうじを使用していたことが、テンペの起源になった。ちなみに、ココナッツを発酵させた食品は「テンペボンクレック」と呼ばれ、現在でも食べられています。※参考:日本テンペ研究会「テンペの起源」テンペの栄養と効果効能ここからは、テンペの栄養および効果効能を紹介します。テンペの栄養以下は、100gのテンペに含まれる主な栄養成分の量です(※1)。エネルギー:180kcalたんぱく質:15.8g脂質:9g食物繊維:10.2gナトリウム:2mgカリウム:730mgカルシウム:70mg鉄:2.4mgビタミンB1:0.07mgビタミンB2:0.09mgビタミンB6:0.23mgナイアシン:2.4mg葉酸:49μg発酵前の大豆に比べてビタミンB群の量が多く、食物繊維も豊富に含みます。そのほか、原料が大豆であることから、イソフラボンも豊富です(※2)。※1参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年「食品群名/食品名: 豆類/だいず/[その他]/テンペ」※2参考:太田美穂ほか(2010年)「無塩発酵大豆テンペの機能性研究:Rhizopus sp.を混合して調整したテンペのイソフラボン生成」相愛大学人間発達学研究、1巻、pp.57-62テンペの効果効能テンペは、牛肉と同水準のたんぱく質を含みます。ただし、脂質やナトリウムの含有量が少なく、カロリーは低めで、コレステロールは全く含まれていません。そのため、ダイエット食品に適しているほか、脂質異常症や動脈硬化症、高血圧症の発症予防・改善に役立つとされています。なお、葉酸が不足すると胎児の発育に悪影響が及ぶ可能性がありますが、テンペは葉酸の含有量が多いため、妊娠中の女性や妊娠を計画している女性にも適した食品です(※1)。そのほか、イソフラボンが豊富なため、更年期症状を緩和する作用も期待できます(※2)。※1参考:日本テンペ研究会「テンペの栄養」※2参考:太田美穂ほか(2010年)「無塩発酵大豆テンペの機能性研究:Rhizopus sp.を混合して調整したテンペのイソフラボン生成」相愛大学人間発達学研究、1巻、pp.57-62テンペ菌を使ったテンペの作り方ここからは、テンペ菌を使ったテンペの作り方を紹介します。材料(作りやすい分量)以下に、テンペ作りに必要となる材料を示します。乾燥大豆 150gテンペ菌(スターター)1.5g水 1L酢 50㎖なお、テンペ菌に関しては「純粋培養されたもの」もありますが、広く流通していて入手しやすい「スターター」という製品を使用するケースが一般的です。作り方以下は、テンペを作る一般的な手順です。乾燥大豆を流水で洗う。7分程度熱湯で煮て、薄皮を剥く。酢を混ぜた水に、皮を剥いた大豆を漬けて16時間程度待つ。吸水した大豆を40分程度煮る。煮た大豆を30分程度、放冷・乾燥させる。水煮した大豆に、乾燥大豆にスターターを混合したものを加える。ラップで容器の上部を覆い、楊枝などで空気孔を開ける。室温で1日~1日半程度経過すると、テンペが完成する。なお、使用する大豆などの量は、お好みに合わせて調整してみてください。また、スターターの詳細に関しては、製造業者の公式サイトなどで確認しましょう。テンペの食べ方テンペの味は淡泊で癖がありません。「栗や芋に似ている」と表現されることもあります。インドネシアでは、薄くスライスして妙め物や揚げ物にするのが一般的ですが、それ以外にも幅広い料理で使うことが可能です。以下、テンペの食べ方の例を示します。塩・ケチャップ・マヨネーズ・味噌を付けて食べる薄くスライスして油で揚げる軽く両面を揚げ焼きにし、醤油・みりんで味付けして照り焼きにする細かく崩して、お好み焼きの生地などに混ぜる食べやすい大きさにカットし、サラダの具材として利用するヨーグルトと一緒に食べる粉末状にしてクッキーの材料にするこのように、テンペはおかずとしても、デザートとしても食べることが可能です。上記を参考に、多様な食べ方を考えてみてください。まとめテンペとは、インドネシアの伝統的な発酵食品で、大豆にテンペ菌(クモノスカビ)を植菌し、発酵させて作られます。なお、納豆とは異なり独特な臭いがなく、ネバネバと糸を引くこともありません。食物繊維やビタミンB群などの栄養が豊富で、さまざまな効果効能を期待できることから、近年健康志向の高まりを背景として、インドネシア以外でも注目されるようになりました。テンペは、完成品を購入する以外に今回紹介した作り方を参考にして、大豆やテンペ菌(スターター)などを用いて製造することも可能です。多種多様な食べ方があるので、おかずやデザートとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

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業界用語

【2024年版】食品開発担当者必見!シェアシマ編集部注目の原料5選

毎年変わっていく食品業界でのトレンド。変化の激しい食の市場において、食品開発者のための専門メディア「シェアシマ」編集部では、2024年に注目したい最新の食品原料を5つ選定しました。社会背景や消費者のニーズ・動向を踏まえた本記事を活用することで、新たな食品の可能性を発見することができるでしょう。開発担当の方は必見です。1.ピープロテインピープロテインとは、主に黄えんどう豆から作られたプロテインを指します。ピープロテインは、タンパク質・ビタミンB・ビタミンEを豊富に含んでいます。また、筋肉のエネルギー源となる必須アミノ酸が多く含まれているのも特徴です。ピープロテインは、牛肉等の動物性たんぱく質と比較すると、生育に必要な水の量が少なく、環境面に優しい食材としても注目を集めています。環境に配慮したエシカルな食生活を目指す人に最適な食材のひとつです。※関連記事:ピープロテイン(えんどう豆プロテイン)とは|効果とデメリットを解説2.そばの実(そば米)そばの実は、収穫したそばの実から黒い殻を取り除いた薄緑の実です。そばは穀類の中で、タンパク質と食物繊維が豊富に含まれています。ニューヨークタイムズ紙も2024年の注目食品のひとつとして挙げています。そばの栄養価が高いのは実の皮の部分とされています。しかし、そば粉にされる過程で皮の部分は失われてしまいます。そばの実をまるごと摂取することで、栄養を取り逃しません。※1参考:The New York Times「9 Predictions for How We’ll Eat in 2024」3.アムラ(グーズベリーエキス)アムラとは、インドで食べられているライトグリーンの果物で、別名「若返りの果実」と呼ばれています。アムラの成分の約25%がポリフェノールだといわれています。ポリフェノールを摂取することで体内でコラーゲンが生成されやすくなります。これにより、肌の明るさや透明度、水分量・弾力のアップや、メラニン色素減少といった効果が期待されます。アムラエキスの全世界の市場規模は、2023年には39,500,000米ドル(約60億円)でした。それが10年後の2033年には、76,600,000米ドル(約115億円)にまで拡大するといった予想もあり、市場規模の拡大が期待されています。※関連記事:若返りの果実「アムラ」の効果とは|食べ方や注意点も解説

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サステナブル

テクノロジーで食にイノベーションを!「フードテックビジネスコンテスト」|令和5年度受賞者のアイデアを一挙ご紹介

テクノロジーを活用した食の新産業創出を目指す「フードテック官民協議会」(事務局:農林水産省)は2024年2月3日(土)「未来を創る!フードテックビジネスコンテスト」の本選大会を、都内で開催しました。フードテックの認知度向上と新たなビジネスの創出が目的で、今回は二回目。会場では予選を通過した『アイデア部門5組・ビジネス部門7組』の計12組がプレゼンテーションを行いました。食品原料のBtoBマーケットプレイスを創り出そうとする当社(ICS-net株式会社)は、当コンテストに協賛の立場で参加。最優秀賞・優秀賞を含む受賞者5名のアイデアを、シェアシマinfoにて特別にシェアします!【アイデア部門・最優秀賞】循環型の施設園芸『棚田ポニックス』 遠崎 英史さん(株式会社プラントフォーム)株式会社プラントフォームの遠崎英史さんは、サステナブルな施設園芸「アクアポニックス」の営業開発を担っています。今回は「アクアポニックス」と日本の原風景でもある「棚田」を掛け合わせたアイデアで最優秀賞を受賞しました。『棚田ポニックス』とは『棚田ポニックス』とは「棚田」を利用した「アクアポニックス」のことです。アクアポニックスとは「アクアポニックス」とは、水産養殖の「Aquaculture」と水耕栽培の「Hydroponics」からなる造語で、魚と植物を同じシステムで育てる新しい循環型農業です。仕組みは魚を養殖する魚から出た排泄物を、バクテリアを通して植物の肥料に分解するその肥料を利用して植物を育てる植物が水を浄化し、その水を魚の養殖に利用するというもの。つまり「循環型」の農法で、水を捨てない、換えない、そして農薬と化学肥料も必要としない、いわば水で行う有機栽培であり、サステナブルを体言する地球に優しいエコ農業とも言われています。アクアポニックスは魚と植物を同じシステムで育て、同時に収穫することがで『棚田ポニックス』とはアクアポニックスでは、魚を育てる「養殖槽」、魚から出る排泄物を肥料に変える「ろ過槽」、作られた肥料で野菜を育てる「栽培槽」の3つの槽が必要となります。その3つの槽を、棚田を利用して運用するのが『棚田ポニックス』です。棚田を利用する純粋なメリットとしては落差ある地形・良質な水源が挙げられますが、その他にも、放置された棚田を有効活用することで、これまで棚田が担っていた災害予防や景観などの役割を維持するというメリットもあります。『棚田ポニックス』が解消を目指す3つの課題『棚田ポニックス』は、以下3つの課題の解消を目指しています。①人口高齢化問題人口高齢化に伴い、働き手不足が深刻化している現代。従事者の平均年齢が70歳を超えている農業も例外ではなく、離農の増加やそれに伴う耕作放棄地が問題となっています。IoTで管理を行う『棚田ポニックス』は、少ない人数で多くの農地を管理することが可能なため人口減少への対策として有効です。また、『棚田ポニックス』は地産地消の実現を目指しているため、今後大きな問題になるであろうドライバー問題にも貢献できると考えられます。②食料安全保障問題世界情勢が不安定な昨今、日本国内でも輸入食糧不足や価格の高騰などの影響が出てきています。食料自給率が低い日本にとっては、「食料の安定供給」は重要な課題と言えます。IoTで管理し、気候に大きく影響されない『棚田ポニックス』は安定した栽培をすることが可能です。それにより、食料自給率の向上や野菜価格の安定化につながります。また、魚を養殖できるため、近年問題とされている漁獲量減少問題への対応策としても期待できます。③環境温暖化、燃料問題『棚田ポニックス』は、養殖している魚の排泄物をバクテリアが肥料に分解し、植物はそれを養分として成長します。そのため、無農薬・無化学肥料栽培が可能です。また、設備として太陽光発電を備えるため、環境にも配慮した農法と言えます。『棚田ポニックス』のビジネスモデル『棚田ポニックス』では「養殖槽」でチョウザメを、「栽培槽」で小麦の栽培を行うことをビジネスモデルとして提案します。チョウザメをすすめる理由決して安価ではない初期費用がかかる『棚田ポニックス』ですが、チョウザメは高級食材として有名なキャビアが獲れるため高い収益性が期待できます。また、チョウザメの身も食用として販売可能なため、初期費用の早期投資回収が可能です。小麦をすすめる理由主食でありながら輸入に頼りがちな小麦。その理由として、国内での生産量の少なさと価格の高さが挙げられます。『棚田ポニックス』で小麦の生産をすることで、国内の小麦の生産量の増加、それに伴う低価格での提供が期待できます。小麦の国内自給率を上げることで、食料の安定保障へ一歩近づくと考えられます。関連URL:https://www.plantform.co.jp/問い合わせ先:https://www.plantform.co.jp/contact/

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食品原料

牡蠣の殻は再利用できる!用途や特徴、石灰肥料の活用事例を紹介

牡蠣を食べた後に殻を捨てる方も多いと思いますが、実は意外な再利用方法があることをご存じでしょうか。肥料やインテリア、アクセサリーに利用できるだけでなく、アメリカの海水浄化プロジェクトにも活用されるなど、捨てずに再利用することができます。この記事では、牡蠣の殻の特徴や再利用方法、地域別の事例を紹介します。牡蠣の殻が廃棄されている現状についても解説するので、牡蠣の殻の再利用に興味がある方はぜひ参考にしてください。牡蠣の殻の廃棄の現状日本では各地域の堆積場に牡蠣の殻が大量に廃棄されていて、堆積場が満杯になっているのが現状です。牡蠣の殻は肥料や飼料への加工が可能なものの、地域によって利用量の差があります。再利用への取り組みが少ない地域は堆積場に大量の牡蠣の殻が投棄されていて、高額の費用を捻出して溶融処理を行わなければなりません(※)。生産者だけでなく、自治体にも大きな負担が生じていることから、牡蠣の殻の再利用への取り組みが実施されています。※参考:糸島地区カキ殻リサイクル研究会「福岡県リサイクル総合研究センター平成24年度 研究成果発表会」牡蠣の殻の特徴牡蠣の殻には、独自の特徴があります。殻に含まれる成分に大きく関係するため、ここで牡蠣の殻の主成分と効果を紹介しましょう。牡蠣の殻の主成分牡蠣の殻の主成分は炭酸カルシウムで、全体の9割以上を占めています。残りの1割はカリウムやマグネシウム、窒素や鉄です(※)。※参考:フジクリーン工業株式会社「牡蠣|水の話」牡蠣の殻の効果牡蠣の殻は土壌を良くする作用や、水質を安定させる作用が期待できます。肥料で得られる土壌への効果には次のようなものがあります(※1)。土を柔らかくして、土壌が硬くなることを防ぐ作物の栄養吸収率を向上させる続いて、水質を安定させる効果を紹介します。殻に付着した好気的微生物が有機物を酸化分解する主成分の炭酸カルシウムが水質を中性化する牡蠣の殻は土を柔らかくしたり、作物の栄養吸収をサポートする効果があるため、肥料として活用されています。また、牡蠣の殻を水中に入れることで、有機物を分解したり、水質を中性化させたりする効果もあり、注目を集めています。土木学会西部支部が行った水質実験によると、牡蠣の殻を入れていない水槽よりも、殻を入れている水槽のほうが濁りにくいという結果が出ました(※2)。ただし、牡蠣の殻は長期的に水の中に置いておくと効果が失われていくため、水質を安定させる効果を期待するのであれば、定期的に交換することが大切です。※1参考:丸栄株式会社「肥料事業」※2参考:土木学会西部支部「牡蠣殻による水の浄化について」牡蠣の殻を再利用する方法牡蠣の殻は肥料や水質安定剤以外にも、形や素材を活かした方法で再利用されています。牡蠣の殻がどのように活用されているのでしょうか。ここでは、3つの再利用方法を紹介します。牡蠣の殻を原料にした有機石灰肥料海のミネラル成分を豊富に含む牡蠣の殻の有機石灰肥料は、野菜や花の栽培に活用できます。牡蠣の殻の主成分の炭酸カルシウムには、植物の病気を防止・改善する効果があるとされています。植物特有の病気にかかる心配が少なくなり、美しい花や草を長期的に楽しめます。また、牡蠣の殻は植物の根や茎を強くし、栄養の効率的な吸収をサポートします。ミネラルやアミノ酸により野菜や果物の色つや・糖度・日持ちが向上するので、外観の美しさはもちろん、品質にも優れた野菜や果物を栽培できるでしょう(※)。牡蠣の殻を利用した肥料は以前から販売されていましたが、加工時の高温焼成により、ミネラルやアミノ酸などの栄養素が失われていました。現在は、栄養素をそのまま維持する「低温乾燥方式」を採用する製造業者が増えたため、自然由来の栄養素を土壌に届けることが可能になりました。※参考:株式会社グリーンマン「連作障害を防ぐ|カキ殻肥料~新製法・低温乾燥でミネラル保持」牡蠣の殻の色合いを活かしたインテリア牡蠣の殻の色合いを活かし、花瓶や装飾タイル、壁に付ける装飾品などのインテリアを手がけるデザイナーもいます。牡蠣の殻を焼くと真っ白な粉状の灰になるため、陶器製作に必要な釉薬に使えます。釉薬とは、陶磁器の表面を覆うガラス質の部分です。釉薬の材料に牡蠣の殻の灰を使うことで、牡蠣の殻を連想させる独創的なインテリアに仕上がります。また、牡蠣の殻は硬さもあるため、インテリア素材としても活用されています。粉砕した牡蠣の殻を鉱物や砂などと混ぜ合わせることで、より強固になるため、硬さが必要なインテリア素材として最適です。牡蠣の殻による美しい質感は、装飾タイルや壁に取り付ける装飾品など、さまざまな雑貨に活かされています。繊細な技術で製作されたアクセサリー牡蠣の殻をアクセサリーパーツに加工し、おしゃれな装飾品に仕上げるデザイナーもいます。牡蠣の殻は、洗浄や消毒を行って不要物や微生物を除去すれば、装飾品に加工することが可能です。牡蠣の殻を平面に加工すると、自然の色合いを活かしたネックレスに仕上がります。殻を小さくカットして研磨すれば、クラフトパーツを作れます。クラフトパーツはイヤリングやヘアゴム、指輪、ジッパーチャームなど、幅広いアクセサリーや雑貨に付けられます。牡蠣の殻の色合いを活かしたアクセサリーは一つひとつ色味が異なるので、個性的なアクセサリーに仕上がります。SDGsにもつながる、牡蠣の殻の再利用事例牡蠣の殻は、持続可能な資源として注目されています。毎年大量に廃棄されている牡蠣の殻を有効活用するために、日本だけでなく、世界でも再利用に向けた取り組みがスタートしています。ここでは、福岡県糸島市とアメリカのニューヨークでの牡蠣の殻の再利用事例を紹介しましょう。【福岡県糸島市】土壌改良剤として再活用福岡県糸島市では、廃棄される牡蠣の殻の特徴を活かし、土壌改良剤を製作しています。糸島市は牡蠣の養殖産業が盛んな地域で、市の重要な産業のひとつでもあります。2014年には500トンの牡蠣を生産し、地域の牡蠣小屋は多くの賑わいを見せました(※1)。しかし、生産量に伴って増える牡蠣の殻の処理費用に、生産者や自治体は頭を悩ませていたといいます。そこで、生産者や自治体の負担を軽くするために、2010年に糸島地区カキ殻リサイクル研究会が発足。会の目的は、廃棄される牡蠣の殻を乾燥・粉砕し、土壌改良剤として活用することです(※2)。研究を重ねて完成した土壌改良剤「シーライム」は2010年に販売を開始。自然素材を活用した新しい土壌改良材として注目を集めています。※1参考:福岡県水産海洋技術センター「糸島地域におけるカキ養殖業の発展とカキ小屋の役割」※2参考:糸島地区カキ殻リサイクル研究会「福岡県リサイクル総合研究センター平成24年度 研究成果発表会」【ニューヨーク】浄化作用を活かしたプロジェクトを実施アメリカのニューヨークでは、ニューヨーク湾の水質をきれいにする「ビリオンオイスタープロジェクト」が2014年から実施されています。このプロジェクトは、約20年かけてニューヨーク湾全体に10億個の牡蠣を放すというもの(※)。水をきれいにする効果が期待できる牡蠣を大量に放すことで、ニューヨーク港の牡蠣礁を復元することが目的です。プロジェクトにはハーバー・スクールの学生も参加していて、ニューヨーク湾の水質を改善するために、数多くの牡蠣を海に放しています。プロジェクト開始時は濁って何も見えなかった海も、徐々に濁りが解消されつつあるようです。水質の悪い環境で育った牡蠣は、汚れを多く含んでいるため食べることはできません。しかし、このプロジェクトによって水質が改善し、牡蠣礁が復元されることで、将来的に品質のいい牡蠣を食べられると期待されています。※参考:ビリオンオイスタープロジェクト「私たちのビジョン」まとめ牡蠣の殻は年間約20万トン生産されていて、そのうちの8割を占める牡蠣の殻が廃棄されています。殻を廃棄するには溶融処理を行わなければならず、生産者や自治体が高額の費用負担を強いられています。こうした負担を抑えるべく、牡蠣の殻はさまざまな方法で再利用されるようになりました。肥料やインテリア、アクセサリーなど、特徴や主成分を活かした画期的な方法で活用されています。牡蠣の殻は持続可能な資源として注目を集めていて、今後も新たな再利用方法が生まれるかもしれません。

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セミナー・展示会

【受付終了】商品の魅力をアップさせる製菓製パン原料〜美味しさを長持ちさせる素材~(3/27)

<こちらのセミナーの受付は終了しました>当社では、商品開発に役立つオンラインセミナーを毎月開催しております。2024年3月27日(水)に予定しています、第43回のテーマは、「商品の魅力をアップさせる製菓製パン原料〜美味しさを長持ちさせる素材~」です。製菓・製パン分野においては、季節やトレンドに合わせて数多くの商品が販売されています。また、最近では高騰する原材料への対応、食品ロス削減などの観点からも原材料の見直しや新規素材の探索が重要になっています。当セミナーでは、各社の特長ある商品を紹介することで、製菓・製パンの商品開発に貢献する情報を提供いたします。登壇企業の方々へ直接質問できるコーナーもございます。ぜひ、ご参加ください。開催概要テーマ:商品の魅力をアップさせる製菓製パン原料〜美味しさを長持ちさせる素材~日時:2024年3月27日(水)13時30分~参加方法: オンライン(EventHub)定員:200名(先着順)参加料:無料申込締切:2024年3月27日(水) 13時プログラム1.シェアシマ事務局より (13時30分〜)セミナーの注意事項など2.製品・サービス紹介①「製パン分野における酵素利用~冷凍耐性付与・保形性改善・伸展性向上~」 長瀬産業株式会社(20分)酵素は食品加工における”縁の下の力持ち”!品質改良剤の核となる原料として、パンのボリュームアップ・食感や味のデザイン・日持ち向上等、多様化するお客様のニーズに貢献しています。今回はNAGASEの製パン用酵素について最新データを交えてご紹介します。②「パサつく生地を老化防止!理想の食感が長持ちする機能性油脂のご紹介」 ミヨシ油脂株式会社(20分)菓子のソフトさとしっとり感を持続させる酵素配合の機能性乳化油脂「パールインプラス」。パウンドケーキやスポンジケーキ、どらやきなどへの活用事例や、抹茶やココア生地などパサつきやすい生地への効果をご紹介します。③「製パン用酵素による、原料コスト削減とパン品質向上のご提案」 ノボザイムズジャパン株式会社パン製造において、酵素は生地処理性や品質を左右する原料です。さらに近年では、高騰する原料の代替として活用されています。今回は世界でニーズが高まっている新発売酵素とアプリケーションをご紹介します。ぜひ商品開発・コスト削減の提案にご検討下さい。3.その他次回のご案内など<15時終了予定>※システムの変更により、今回のセミナーから見え方が変更になります。※時間は目安ですので多少前後します。都合により、内容が変更になる場合がございます。

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食品原料

酵母エキスの活用法|旨み、香りを付与しておいしさをエンハンス【アサヒグループ食品】

酵母エキスのご紹介「酵母」は、アルコールの醸造やパンづくり、発酵調味料などの製造に欠かすことのできない微生物の一種です。アサヒグループ食品株式会社(東京都墨田区)では、この「酵母」の力を活用した「酵母エキス」を製造・販売しています。酵母エキスには、食品に旨みや香りを付与するだけでなく、素材の美味しさをエンハンス(増強)する効果があり、活用の幅が広がっています。 この記事では、酵母エキスの特徴とメリット、酵母エキスの商品ラインナップ、具体的な活用方法についてご紹介します。酵母エキスのエンハンス機能で食品のおいしさをアップさせたい方、高騰原料の代替としてコストダウンを図りたい方は、ぜひ参考にしてください。シェアシマに掲載されている商品は、こちらからご覧いただけます。酵母エキスとは酵母エキスは、ビールを醸造する際の副産物であるビール酵母や、パンの発酵に用いるパン酵母の細胞壁の内側にある内容物を抽出したものです。取り出したエキスを乾燥、または濃縮加工することで、パウダー、ペースト、リキッド状のタイプがあります。アサヒグループ食品株式会社では、アサヒグループホールディングス株式会社の一員として、酵母素材や乳素材、フリーズドライ素材といった独自原料の開発に取り組んでいます。同グループの研究所には、数千種類もの酵母を有する「酵母バンク」があり、膨大なデータと長年の研究によって、優れた食品原料の開発が日々進められています。酵母エキスは、食品に旨みや香りを付与するだけでなく、タンパク質(アミノ酸・ペプチド)、ビタミン、ミネラル、核酸などの栄養成分を豊富に含んでいます。さらに同社では、酵母バンクのデータと独自技術を駆使し、食品の旨み成分に関わりの深いグルタミン酸や核酸、グルタチオンなどの特定成分を多く含む酵母を獲得。美味しさと機能性を併せ持った同社ならではの酵母エキスを誕生させました。 酵母エキスの特徴酵母エキスは、原料となる酵母やエキスの抽出方法によって、それぞれ違った特徴があります。原料となる酵母の種類と酵母エキスの特徴ビール酵母エキス:ビールの製造に使用された酵母から抽出したエキスです。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ペプチド等の栄養素が豊富で、強い呈味と複雑な味を有しています。ビール醸造の副産物の有効活用として、アップサイクル原料としても注目です。パン酵母エキス:パンの製造に用いられる酵母から抽出したエキスです。原料には、ビート(甜菜)・サトウキビの糖蜜で培養した酵母を使用しています。目的に合わせた風味を作り出すことが可能で、グルタミン酸、核酸等が高含有のものがあります。トルラ酵母エキス:トルラ酵母は、第一次世界大戦中、ドイツが食糧資源(特にタンパク質)確保のために製造を開始して以来、食品・飼料用酵母として利用されるようになった酵母です。トルラ酵母は、アルコール発酵力が弱く生育が速いので、核酸やグルタチオンを多く含む酵母エキス製造に用いられます。製造工程アサヒグループ食品では、ビール酵母エキスとパン酵母エキスを製造しているため、この2種類の製造工程を紹介します。ビール酵母エキスの製造工程は、大麦とホップや米等の副原料から作った麦汁に、酵母を加えて、ビールを製造します。ビール製造時に発生した余剰のビール酵母を洗浄し、ビール由来成分を取り除きます。そして、酵母の中身であるエキス成分を抽出し、乾燥や濃縮させて、ビール酵母エキスを製造します。パン酵母エキスは、ビートやサトウキビ由来の糖蜜に酵母を加え、発酵させて、酵母を増やします。その後は、ビール酵母と同様、酵母を洗浄した後、中身のエキス成分を抽出して、乾燥や濃縮させて、パン酵母エキスを製造します。抽出方法による特徴自己消化法:酵母が、自身の持つ酵素でタンパク質を溶かす作用を利用した製造方法です。独特の臭いが強い特徴がありますが、多種多様なアミノ酸が生成されるため、食品にコク味や複雑味を与えることができます。酵素分解法:酵母の細胞壁やタンパク質を分解する酵素を、人工的に加えて製造する方法です。臭いが低減され、アミノ酸よりは核酸成分(シイタケやカツオなどの旨味成分)、ペプチド(アミノ酸が結合したコク味成分)が多くなります。熱水抽出法:酵母を煮出して製造する方法です。出汁やブイヨンを作るイメージで、特定の成分(アミノ酸やグルタチオン)を狙って抽出できます。自己消化法よりも酵母臭の少ない酵母エキスが製造できます。 これらの特徴を活かした酵母エキスには、市場ニーズに応えるさまざまなメリットがあります。 酵母エキスのメリット1.食品においしさをプラス。旨み・コク・栄養素を付与酵母の持つ旨み成分や香りで食品に複雑な呈味をもたらします。また、同社の酵母エキスは、特有の風味を有したタイプがあり、魚介風味・昆布風味・肉の濃厚感・グリル感・スモーク風味など、開発用途に応じた使い分けが可能です。2.エンハンス効果同社の酵母エキスには、素材の持つ甘み・塩味・辛味や果汁感・乳感といった風味をエンハンス(増強)する効果を持つタイプがあります。塩分を減らす、調味料を減らす、価格が高騰している原料の代替として使用するなど、美味しさは維持しながら減塩やコストダウンにも貢献します。3. 動物性原料不使用、プラントべースフードにも使用可能酵母エキスは酵母を原料としているため、動物性の原料は使用していません。そのため、プラントベースフードや代替肉の調味にも使用できます。また、食品素材のため食品添加物表示も必要ありません。そのほかにも、遺伝子組み替え作物を使用しない、アレルギー表示不要など、安心・安全な食品であり、着色料不使用、NO MSG(グルタミン酸ナトリウム不使用)など、天然・健康志向を求める消費者ニーズにも訴求が可能です。酵母エキスの商品ラインナップと活用事例同社の、バリエーション豊かな酵母エキスの商品ラインナップと活用事例を一部ご紹介します。ハイパーミーストHGグルタミン酸高含有の酵母エキスです。旨味が強いだけでなく、スパイス感、柑橘系・果汁感、乳感、塩味をエンハンスする機能があります。一方で、植物タンパク特有の臭いやお酢などの酸味をマスキングする効果があります。酵母臭が少なく、汎用性の高い酵母エキスです。 つゆやタレ類、カレー、シチュー、畜肉・水産加工品、菓子・スナック類、製菓・製パンなど、あらゆる食品に活用できます。ハイパーミーストAP-2515さまざまな種類の酵母エキスを独自の加工、配合技術で仕上げたパウダー状の酵母エキスです。バランスの良い、旨味、厚み、さらには中味から後味にかけての伸びを併せ持つ、高力価な製品です。特に畜肉系商品との相性が良く、ラーメンスープ類、たれ類、畜肉加工品、鍋スープなどに適しています。 ハイパーミーストSeaF(魚介ホタテ風味)魚介の旨味と風味を付与できるリキッド状の酵母エキス調味料です。ホタテ、イカ、真鯛、真鱈、ホキなどの魚介類に多く含まれている旨み成分を豊富に含んでいます。スープ、水産加工品、各種ソースなどに適しています。スモークドハイパーミーストA-1387スモーク風味を付与するペースト状の酵母エキスです。  液体にスモーク加工ができる独自の技術により製造しています。和風つゆやハム・ソーセージのようなスモーク風味を持たせたい食品や、プラントベースフードにも適しています。セサミーストMT胡麻の風味と香ばしさを引き立てるペースト状の酵母エキス調味料です。ドレッシングやタレ類、鍋スープなどに採用されています。胡麻は使用していません。 ほかにも、鰹風味、昆布風味、チーズ風味など、お好みの風味を付与できる商品が多数あります。シェアシマに掲載されている商品は、こちらからご覧いただけます。分野を超えて活用の幅が広がる酵母エキス一般食品に多数採用されている酵母エキスですが、健康食品の栄養素付与やペットフードの嗜好性向上にも活用されています。また、バイオの分野(培地)や、化粧品の原料としても活用の幅が広がっています。酵母エキスについて、より具体的な説明を聞きたい方は、ぜひ、アサヒグループ食品までお問い合わせください。

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サステナブル

サステナブル経営のための3つの疑問【食品企業のためのサステナブル経営(第13回)】

先日1月30日にオンラインで、「食品企業のためのサステナブル経営入門」セミナーが開催されました。190名の方にご参加いただき、その半分以上が食品原料の取り扱いに関わる企業の方でした。参加者の4分の1弱が経営層でしたが、環境・SDGs関連や研究・開発の方が次に多く、次いで営業、マーケティング、事業開発という順番でした。タイトルに「サステナブル経営」とあるので、経営層や環境部門の方が多かったのは当然としても、それ以外の事業活動の本流に関わる方々に多数ご参加いただいたことが特徴的だったように思います。サステナビリティやサステナブル経営が、食品企業においてもいよいよ重要な経営課題となってきたことを感じます。セミナーの開催レポートはこちら:【開催レポート】シェアシマ特別セミナー「食品企業のためのサステナブル経営入門」(1/30)サステナブル経営入門セミナーを振り返って実際、私が講演の冒頭でもお話ししたように、これは食品業界もSDGs(持続可能な開発目標)の達成に何か少しでも貢献しましょうというレベルの問題ではなく、サステナビリティを考えないことには、原材料が安定的に調達できなくなる、取引が継続してもらえなくなる、お客様の嗜好もどんどん変わっている、という事業の継続性に関わる問題なのです。それがゆえに、農水省の中世古さまがご説明くださったように、行政も「食品企業のためのサステナブル経営に関するガイダンス」を発表して、事業者に取り組みを促したり、行政としてそれを後押しする政策を次々に打ち出しています。あるいは日本マクドナルドの牧さまのご発表にあったように、企業も持続可能な原材料の確保のための体制を整え、さらにはお客様にも情報提供をしながら進めています。そして重要なのは、これがグローバル企業や大企業に限った話ではなく、規模の小さな会社や、農業・水産業の現場にとっても考えるべき課題であるということです。具体的に注意すべき内容やその対策については本連載でしっかりカバーしていきますので、ご興味のある方は連載の過去記事を読んでいただいたり、これからの記事もフォローしていただければと思います。連載をはじめから読む:食品企業がサステナビリティを考えなくてはいけないわけ【食品企業のためのサステナブル経営(第1回)】今回は、このセミナーの際にいただいたいくつかのご質問に、この場所をお借りして回答したいと思います。と言うのも、いずれも質問者の方だけでなく、関係するすべての方々に知っていただきたい内容だからです。それでは早速まいりましょう。質問:2050年に世界人口95億人、今のフードシステムでは養えないとのことですが、これはカロリーベースで養えないというこということでしょうか?回答:カロリーベースで足りなくなるという意味もありますが、残念ながら今のままですともっと悲惨なことになりそうです。まず、生産量を増やそうとすると畑を増やす必要がありますが、新しく畑を作る場所はもう残っていません。それどころか既存の畑が劣化していることから、下手をすると今より生産量が大幅に落ちる地域もあるでしょう。水資源もどんどん足りなくなります。また気候変動の影響も厳しくなりますので、農作物の質が低下したり、収量が減る場所が多くなります(寒い地方など、ごく一部例外はあります)。そして、台風やサイクロン、洪水、旱魃などの異常気象によって、その年の収穫が激減するという事象も今より多く発生するようになるでしょう。一方、病害虫による被害は、気温の上昇により増えると考えられます。そしてそもそも、このペースで異常気象による被害が増えると、2050年には経済そのものがまったく回らなくなることすら危惧されているのです。これ以外にも、水産資源の枯渇や花粉媒介者の激減など深刻な問題は山積みであり、このままでは95億人どころか、今より少ない人口すら支えることができなくなると懸念されています。質問:食品ロス、廃棄、代替肉への転換、農法の改善など、いくつかのフードシステムの改善がありますが、日本の食品産業が実施する場合に1番効果があるフードシステムの改善はどれでしょうか?回答:どれがもっとも効果があるかではなく、すべてに取り組む必要があります。できることすべてに取り組まなければならないのです。その上で言えば、手をつけやすいのは食品ロスの削減ですが、これもできる範囲で少しすればいいのではなく、徹底的にすることが重要です。その次に進めていただきたいのは、使用する原材料について、サプライチェーンと協働して負荷を減らしていくということです。農法の改善などについても、需要家が求めたり、協力することで進みやすくなります。そして食習慣を変えていくことも必要ですし、影響は大きいのですが、これは一番時間がかかるかもしれません。消費者の方の意識を変える必要があるのと、そもそも代替となる食物や調理方法を考え、作り出していく必要があるからです。しかし、ビジネス的には新しいマーケットになりますので、こちらにもぜひ力を入れて取り組んでいただきたいところです。質問:最後のスライドにあった「ビジネスとして」という観点、サステイナブルやSDGsというからみになるとなぜか そのビジネスという観点が抜けてしまい、独り歩きしてしまうのですが、どうするのがビジネスとサステイナブルが共存できますでしょうか?回答:それについてはぜひこの連載を毎回お読みいただきたいと思うのですが(笑)、一つだけ大切なことを言うと、今のビジネスのやり方を続けて、それにサステナビリティやSDGsの取組を付け加える形にはしないということです。そうではなく、すべてのビジネスの前提として、サステナビリティを考えるようにする必要があります。そうしないとサステナビリティと両立するようなビジネスにはなりません。あるいは、ビジネスの観点があるサステナビリティにはなりません。なお、以下の質問は日本マクドナルドの牧さまに対してのものなのですが、本質を捉えたとても良い質問なので、私からもお答えしたいと思います。質問:マクドナルドだけの話ではないが、脱プラに伴って紙資材の利用が増加していると思いますが、 紙の原料はもちろん木材です。プラスチックは減った一方で森林も減ってしまっては元も子もないと思いますが、環境負荷に対する本質的な評価はどのようにしているのでしょうか。回答:とても良いところに目をつけられました。でも、安心してください。紙は再生可能な資源であり、きちんと再植林をしながら使っていれば森がなくなることはありません。そして、マクドナルドが使用しているFSC認証紙はそのような形で生産されていることを第三者が確認しているものですから、心配する必要はまずないと言っていいでしょう。ただし、認証紙だからと言って無駄遣いするのはよくありません。他の環境負荷もあるからです。なるべく節約したり、リサイクルした方が良いことは言うまでもありません。一方で、ある負荷を下げることで、別の負荷を増やしてしまうという二律背反、いわゆるトレードオフは、いろいろな場面で起こります。なので、そこに目をつけたこの質問はとても良い質問なのです。そういう場合、そもそも問題の性質が異なったりすると直接的に比較しにくいので判断に困ることも多いのですが、それでもどう考えたら良いのか、きちんと整理することは可能です。ただし、説明すると少し長くなるので、詳しい説明は今後の宿題とさせてください。くれぐれも、一つの問題だけしか見なかったり、経済的な軸だけで判断したり、ということは避けてくださいね。次回の記事を読む:日本でも有機食品が増えつつある理由とは?【食品企業のためのサステナブル経営(第14回)】

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セミナー・展示会

【開催レポート】シェアシマ特別セミナー「食品企業のためのサステナブル経営入門」(1/30)

食品原料のWebプラットフォーム「シェアシマ」を運営するICS-net株式会社(長野市)は、日本の食品製造業の未来に焦点を当て、グローバルな視点での展望と対応策を探る特別セミナー「食品企業のためのサステナブル経営入門」を、1月30日に開催しました。本記事では、登壇者様の講演内容の一部をご紹介します。農林水産省から情報提供|「食品企業のためのサステナブル経営ガイダンス」とはまずはじめに、農林水産省の中世古昌史様より「食品企業のためのサステナブル経営に関するガイダンスについて」と題して、情報提供をいただきました。中世古様は、環境問題の深刻化やESG(※)課題への投資が拡大している中、「今こそ各企業はサステナブルな経営への対応が求められている」と述べました。気候変動の影響や環境問題への対処の必要性、ESG投資に関する詳しい内容の紹介があったほか、企業がサステナビリティに取り組む際の背景や動機、具体的な取り組み方についても説明がありました。データや事例を交えながら、参加者に対して「サステナビリティに対するより深い理解が求められる」と促しました。その上で、今後は、サステナビリティに関する取り組み自体が「企業の経営戦略において必要不可欠である」と強調していました。※ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の略で、これらを考慮した投資活動や経営・事業活動のこと日本の食品産業の未来像|食品業界におけるサステナビリティの可能性次に、サステナブル経営アドバイザーの足立直樹様(株式会社レスポンスアビリティ代表取締役)より、基調講演をいただきました。冒頭、足立様は「私たちの今の経済活動は地球に大きな負荷をかけており、このままのやり方を続けることはもはやできない」と、経済活動優先の現状に警鐘を鳴らしました。その上で、食品業界は特に「気候変動」「資源循環」「生物多様性」において、多大な影響を及ぼしていると指摘しました。具体的な事例として、パーム油のための大規模なアブラヤシのプランテーション開発が、森林破壊・森林火災・地球温暖化を引き起こす大きな要因になっていることを挙げました。ほかにも、ミツバチの世界的な減少が農作物の生産を苦境に追いやっていることについても言及。こうした課題が顕在化し、対策に積極的な企業が増えつつある一方で、認証原料の供給が追いつかずに逼迫している問題を取り上げました。こうした複合的な課題には、「企業と個人、そして国際的な協力が必要とされている」としました。異常気象や自然災害については、その影響で食品産業においても深刻な経済損失が起きつつあることを強調した上で、事業者も調達先に働きかける必要性を訴えました。その上で、温室効果ガスの排出について、肉生産が大きな原因になっていることを指摘し、「代替肉の活用を含む食品システムの変革が求められている」と述べました。最後に、日本の食品産業に向けて、「国際的なトレンドや変化に敏感であることが必要。輸出先や海外からの訪問者に選んでもらうためには、サステナビリティや環境への配慮、持続可能な原材料の確保が求められる」と指摘。今後は現行のビジネスモデルでは立ち行かなくなる可能性が高く、「サステナビリティへの取り組みや柔軟性が一層求められている」と言います。加えて、重要なこととして、「持続可能な経営には企業と顧客の共同作業が必要であり、顧客に対する働きかけ、意識強化が必要である」とも言及。「解決策は既にある。伝統的な知恵を守りつつも、それらを新しいアイディアと融合させることこそが不可欠であり、そうすることで食品産業を持続可能なビジネスにすることができる」と述べました。マクドナルドのサステナビリティ戦略|環境保護とビジネスの調和日本マクドナルド株式会社の牧陽子様からは、同社のサステナビリティへの取り組みが紹介されました。牧様は、マクドナルドでは、サステナビリティを「食」「環境」「社会」「人」の4つの柱で捉えていると説明しました。「環境」については、2050年までのネット・ゼロ・エミッションを目指し、店舗やオフィスでのCO2削減やサプライチェーンにおける改善を進めているそうです。例えば、再生エネルギー導入・省エネルギー対策、食品リサイクルの積極的推進など多岐にわたる取り組みを行っていて、併せてプラスチック削減も進行中ということです。牧様によると、同社では、2025年末までに、すべてのお客様提供用パッケージを再生可能な素材、リサイクル素材または認証された素材に変更することが計画され、すでに木製カトラリーや紙製ストロー、紙製サラダボックスの提供が始まっています。加えて、ドライブスルーではレジ袋の提供を抑制。食品ロス削減にも力を入れており、2023年における食品ロス率は2.3 %に止まったそうです。ほかにも、持続可能な食材の調達、地域貢献活動や人材育成などに力を入れていて、「おいしさとFeel-Goodなモーメントを、いつでもどこでもすべての人に」というミッションを達成するため、サステナビリティを追求していく意欲を示していました。当日は、190名を超える方々にお申し込みいただきました。講演後に寄せられた感想では、「行政の動き、社会課題やSDGsに関する豊富な事例紹介、大手企業の取組みと多彩な内容で貴重な学びを得られた。」「弊行でもSDGs推進に関する相談を受け対応する事例が出ているので参考にしたい。」「これまでサステナビリティの機運への高まりを感じていたが、自分事として捉え切れていなかったと再認識した。自分たちがこれからも生きていくためにも、大切な変革の時期だと感じた。」などの声が寄せられました。なお、今後もシェアシマでは「サステナブル経営」に関する継続的な情報発信をしてまいります。「食品企業のためのサステナブル経営」好評連載中足立直樹氏が、食品企業のサステナブル経営をいろいろな角度から解説する「食品企業のためのサステナブル経営」が、シェアシマinfoで好評連載中です。#食品企業のためのサステナブル経営のタグから、連載中のすべての記事をご覧いただけます。